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ガチャ027回目:この世界のダンジョン

 この世界に来てからの初めての依頼に内心ワクワクしていると、ミランダさんが俺の手をぎゅっと握ってきた。


「ショウタくん、ここに書いてある通り依頼はダンジョンの有無の確認なの。だから、決して気軽に入ったりしちゃダメよ。良いわね?」


 そういや依頼書にも書かれてたな。そんなに前振りをされると入ってみたくなるのが人の性だが、命を賭けるほどでもないんだよな。けど、そもそも何をもってそこがダンジョンかどうかなどと判断するんだ? 話によると機能停止してたんだろ?

 そう思った俺は、疑問をそのまま吐露した。


「そうね、確かにそれを知らないと判断はできなかったわね、ごめんなさい」


 そう言って彼女は地図を広げて見せた。それは1メートル四方の巨大なもので、それらは全て南の森だけが描かれた詳細なものだった。

 そんな森の南西部分に、髑髏マークに赤い×点印が記載された場所があった。どうやらそこが過去にダンジョンが存在したポイントらしい。


「ここには洞窟があってね、ダンジョンは以前ここに発生していたの。そしてダンジョンが消えた後、しばらくはモンスターも出現しなくなったのだけど、何年か経った頃にはまたゴブリンがここから発生し始めたわね」

「モンスターが湧いて来るだけじゃ、ダンジョンという扱いにはならないんですか?」

「ええ。以前は複数種類のゴブリンが無尽蔵に発生していたの。けど今は、ゴブリンが疎らに発生する程度ね」


 なるほど、発生する規模の大きさでダンジョンかそうでないかで分けている感じか。


「でも、ゴブリンが発生する事がわかっているなら、洞窟を潰しちゃえば良いんじゃないんですか?」

「モンスターが出現し続ける場所は世界中にあってね、そこは『魔素の噴出口』というそうよ」

「『魔素の噴出口』ですか」

「その場所は世界を流れるエネルギーの出口と考えられていて、その流れは洞窟を崩した程度じゃ収まらないそうなの。そしてもし崩した後でも内部でモンスターが出現し続けることになれば、共食いが発生していずれ強力なモンスターが誕生することになってしまうとも言われているの。もし仮に完全に破壊する事ができても、その周辺からまた次の出現場所が発生すると懸念されているわ。だから、今の洞窟から出現し続けてくれる方が管理が楽なのよ」

「なるほど」


 ダンジョン跡地は物理的に封鎖をすることは可能だが、最悪蠱毒が発生して強力な上位モンスターの誕生を後押しすることになりかねないし、完全に破壊して仕舞えば今度は一ヶ所に出現していた連中が周囲に散らばる可能性があると、そういう事か。それは確かに、アンタッチャブルというか、下手に触らないほうが良いよな。

 あと、一時的にモンスターが出てこなかった理由や、また時間をおいて出るようになった理由は不明だそうだ。まあそれは分かるようなら、触れずに様子見なんて真似はしないよな。


「じゃあ、ゴブリンが出現している洞窟ってだけじゃ、ダンジョンが再稼働しているかどうかは判断できない訳ですね」

「そうなるわ。だから判断基準は、そこから通常のゴブリン以上の上位種が出てくるかどうかに掛かっているの」

「……それって、途方もない話じゃないです? もしたまたま折り合い悪くずっとゴブリンしか出てこなかったら、判断ミスになりかねませんよね」

「大丈夫よ。ダンジョンだった頃は1日に何十回もモンスターが出現していた上に、複数体まとめて誕生していたそうなの。それも色々なモンスターが混ぜ混ぜになってね。そしてここ数年は、1日に数回前後しかゴブリンが生まれて来ていないの。だから仮にゴブリンだけしか出てこなくても、その頻度を目撃するだけでも価値はあるわ」

「なるほど」


 ダンジョンがフル稼働してたら、今までと違って質も量も桁違いという訳だ。……でもそれはそれで、また別の問題が顔を出すよな。


「あの、その規模で今この時も湧いて出ていたら、その洞窟の周りに近付くのも難しいんじゃないですか?」


 下手したらゴブリンカーニバルだ。


「それも大丈夫よ。地図のここを見て」


 指し示されたのは森の南東部分。そこにはゴブリンの醜悪な顔がアイコンのように貼り付けてられていた。


「ここはゴブリンの集落よ。『魔素の噴出口』から生まれたモンスターは、基本的に少し離れた別の場所で住まいを形成するの。そして『魔素の噴出口』には好き好んで近付かないらしいわ。だからダンジョン稼働時は集落周辺が一番危険で、ダンジョン近辺はそれほどでもなかったりするそうよ」

「なるほどー」

「ダンジョンに関する注意事項は以上よ。他に何か知りたいことはあるかしら。……今の話を聞いて嫌になったのなら断ってくれても――」

「あ、そういうのは無いんで大丈夫です」


 ミランダさんはしゅんとなってしまった。

 さて、後何か聞いておくことはあったかな。ダンジョン周り大体聞けたはずだけど……。


「あ、そうだ。ゴブリンの死体ってそのまま野晒しにして良いんでしょうか。何か処理するための手法とかあるなら聞いておきたいんですけど」

「特にないわよ。『魔素の噴出口』から現れたゴブリンの死体は半日も経たずに魔素に還っていくし、そうでない場合でも1日あれば勝手に消えてくれるから」


 そうなのか。ダンジョンモンスターが煙になるのと似たような事象かな。

 その後も細々とした内容を聞いた俺は、礼を言ってその場を後にする。それじゃ、弁当4人前をテイクアウトしたら、ダンジョン調査開始だ!


『(プルプルル!)』


 あ、そうか。武器屋にも寄らなくちゃな。

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