ガチャ025回目:残高4桁
その後、すぐにミランダさんが戻ってきて、冒険者証と大銅貨8枚を受け取った。冒険者証の残高は、最終的に50G→4490G→7680G→6880Gに変化していた。結構あるなぁ。
そうしてまだ何か言いたそうだったミランダさんと別れ、冒険者ギルドを出ていく。途中、軽くギルド内を見渡したが、口喧嘩をしたやつもフード姿の男も見なかった。まあ、居ないなら居ないでいいんだがな。
そうして夕暮れの街をさっさと駆け抜け、目的の宿へと到着した。宿ではやっぱりカリンちゃんが店番をしていた。
「カリンちゃんただいま」
「あ、おかえりなさいお兄さん!」
「昨日と同じ条件で2日分延長したいんだけど、良いかな?」
「はいっ、喜んで!」
そうして大銅貨9枚を支払い、残りの宿泊可能数を3日まで増加させた。
「はい、手続き完了しました! それにしてもお兄さん、泥だらけだよー?」
「あー、この格好で食堂に行くのは、流石に迷惑か?」
「……うん、ちょっと遠慮してほしいかな。でもお兄さんもお腹空いてるよね?」
「ああ。……じゃあ、ぱぱっと部屋で汚れを落として来るから、食事をちょっと待ってもらう事はできるか?」
「うん、いいよー!」
「ありがとう。すぐ汚れを落としてくるな!」
そうして部屋へと駆け込んだ俺はイリスに全身クリーニングしてもらう。これで中の汗も外の汚れも、全て綺麗さっぱり取り除けたはずだ。
『プルルー……ぺっ』
そしていつものように汚れは全部窓の外へと吐き捨てた。
「……よくよく考えたら、この窓の下ってどうなってんだ?」
『プル!?』
人の往来が激しい場所だったら鳥の糞爆撃並みの嫌がらせになりかねんが……。イリスも深くは考えていなかったらしい。
そう思って2人でそーっと窓下を覗き込んでみる。そこは中庭のようになっていて、備え付けの井戸やら物干し竿が設置されていたのが見えた。人通りはなく人の気配は感じない。そして吐き捨てたものが井戸に入る様な不運なことにもなってはいない様だった。
……うん、行儀は悪いが、ゴミ箱も流しもない以上、仕方ないよな。うん。
けど、クレームが出たら率先して掃除はしようかな。
「カリンちゃんお待たせ」
清潔になったことを再三確認して宿屋の正面入口まで戻ってくると、カリンちゃんは素直に驚いて見せた。
「ええ!? お兄さん早いよ!」
「大丈夫、汚れは完璧に落としてあるから」
腕を広げて汚れがないことをアピールすると、カリンちゃんは俺の周りクルクルと回って確認し始めた。
「うわー、ホントだ! すっごく綺麗になってる!」
無邪気な反応に思わずほっこりしてしまった。
「……あ。そういえばお兄さんの部屋のベッドやシーツもすごく綺麗だった気がするー。あれもお兄さんがお掃除したの?」
「え? あー……そんなことよりお腹空いたなー。早く食べたいなー」
「あ、ごめんなさい! すぐ案内するね、こっちだよー!」
ほっ、なんとか誤魔化せたか。
にしても、ベッド周りか……盲点だったな。そりゃ宿屋なんだし、住人がいないうちに取り替えたり洗濯したりはするよなぁ。
『(プルー?)』
アレは汚いと眠れないだろうとイリスが自主的に綺麗にしたやつだ。それを咎めるつもりは毛頭ないので、服越しにイリスを優しく撫でた。
『(プルプル)』
あー、シーツの交換がされてるなら、俺の寝室のベッド、もう1度掃除する必要があるかもな……。んで、怪しまれるのは嫌だけど複数人に知られるわけにもいかないから、念のため俺の部屋のベッドシーツはしばらく交換しないようお願いしてみるか。
◇◇◇◇◇◇◇◇
満足の行く食事を平らげ、俺達は寝室へと戻ってきていた。案の定ベッドシーツは取り替えられていたので、イリスにはベッドも纏めて掃除してもらう。そして綺麗になったベッドに、2人で寝転がった。
「それにしても、今日は稼げたなー」
『プル~!』
「今分かってるだけでも、常駐型の依頼の報酬はほとんどが美味しいよな」
【討伐対象モンスター】
・ゴブリン
レベル2:15G
レベル3:20G
・ホブゴブリン
レベル8:1000G
【採取対象アイテム】
・リーフ草
判定S:120G
・リフレス草
判定A:150G
判定B:50G
・解毒草
判定S:400G
「この中でも一際美味いのが解毒草だな。多分麻痺や毒の草の方が高いんだろうけど、あの南の森では出なさそうだから一旦除外するか」
『プル!』
「それから売りに出せる武器も良い値段で捌けるのも最高だな。ゴブリンは武器を確定ドロップ扱いで良いだろうし、そうなると『鉄の短剣』は大銅貨3枚だから300G、磨けば5枚で500G。これがゴブリン1体ずつで稼げるんだから最高に旨い。ただ、ホブゴブリンの斧は……全員が全員斧持ちとは限らないよな?」
『プル~ン』
向こうは両手剣だったしな。アレもシステム的に固定化されたものだから、どこかに参考元となった奴がいるはずだ。だから探せば両手剣の個体もいれば、どちらでもない奴もいるかもしれない。
あと問題があるとすれば、『鉄の短剣』を売りすぎることで、供給過多になって値崩れが起きる事だが……。この調子で売ってたらすぐに起きてしまいそうだな。
「とりあえず、今日はたくさん頑張ったし、今後活動していく上での最低資金も得られた。だから安心して眠れそうだな」
『プルプルン!』
そうして俺はイリスを枕にぐっすりと眠りにつくのだった。
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