冒険の仕掛けー2
俺たちは再び隠し部屋に戻り、例の装飾の中の穴に鍵を差し込んだ。
すると、ただの棒を差し込んだだけなのに、かちんと音がしたと思ったら青い石が浮いて台座から外れる。
マジで鍵だったのか。
どうなってんだ?これ?
「とれたよ。サイ。ありがとう。」
「いやあ。マジで見つけるとはなあ。お前さんすげえわ。」
オルとヤジスさんに褒められるけど、何とも言えない気分だった。
鍵にも驚いたけど、お地蔵様を見たせいかアサイー帝が日本人だったって方がショックでかいんだよな。
「お前の手柄だ。喜べ。」
「そうよぉ。サイちゃんすごいんだからぁ。」
「はい…。あの、それがカギっていうのが不思議で。」
ホントは違うが、嘘でもないので誤魔化しておく。
船長にはアサイー帝が同郷だって言ったからか、頭を撫でられる。
く、首がもげる。
もうちょっと加減して欲しいんだけど。まあ、船長だしな。
「ああ。これはアサイー帝の遺産だよ。」
「遺産?」
「そう。どういう作りになってるのかはいまだになぞでね。魔法だってことしかわかってないけど、アサイー帝は物をペアで作るのに長けたひとだったんだ。魔法で鍵の対象物を固定できて、それがあらゆる場所に使われたんだよ。ビンギス帝国が大きくなれた一つの要因だね。」
あ~。セキュリティ万全な鍵があれば、そりゃ違うわな。
身分の高い連中への良い売り物にもなっただろうし、自国の防衛にも役立っただろう。
魔法で鍵の固定かあ。それこそチート技だな。
ただの棒に見えたから不思議だったけど、チートの産物なら疑問を持ってもしゃーないか。
「すごい鍵なんだな。」
「そうだね。代わりは無いから、鍵が紛失したらもう使えないのもあって、数はずいぶん減ったけどね。持ち運べる鍵のセットは未だに巨額で取引されるよ。これは持っていけないけどね。」
「壁に作ってあるもんな。」
「そう。削ろうにも「不死身の壁」じゃねえ。」
「はあ。もったいねえ。何で壁が再生するかなあ。」
オルが苦笑すると、ヤジスさんがため息をつく。
他の皆も頷いてたから、同じように惜しいと思ってるんだろう。
「欲張んな。これが取れただけでもめっけもんだ。」
「そうだね。ごめん。」
「すみません。欲は厳禁でした。」
船長が諌めると、オルとヤジスさんが頷いてその場の空気が変わる。
きりりと気持ちが引き締まって、次に行こうって気になった。
シメるところはシメるってわけだ。
やっぱ、船長ってかっこいいな。




