冒険の発見
慎重に周りを確認しながら進んでいく。
こないだつけた印がちゃんと残っているから、思ったより歩きやすかった。
この光るチョーク便利だよな。
何で出来てんだろ?
「サイ。松明が降りて来てる。手元がおろそかになってるぞー。」
「はいっ。…すみません。」
ヤジスさんに注意されて、慌てて下がった松明を掲げ直す。
返事が思ったより大きくなって響いたので、すぐに声は潜めた。
「大丈夫だよ。俺とヤジスが後ろにいるし。」
「そうそう。油断はいかんが、ちゃんと歩けてるからこのまま頑張れ。」
慌てた俺を宥めるようにオルとヤジスさんが声をかけてくれる。
そうだ。慌てるのが一番マズイ。
ここは罠だらけの洞窟だ。大事なことは落ち着くこと。
すーはー。すーはー。よし。息も戻った。
「はい。」
「あ。落ち着いたね。さすが。」
「ホント向いてるわ。船長さすが。」
何のことだか。
とと、足元に罠が。壁にも増えてきたな。
たしかもうチョイ先が別れ道だっけ。
ああ。見えてきた。一度印着けてるから進むの早いな。
一応、見落としがないかも見てるけど、こないだ3人がかりでチェックしたから、今のところ見覚えのない罠はない。
光ってるおかげだな。
「別れ道ですけど…。」
「そうだね。ヤジス。前行った所まではそのまま進んでいいんでしょう?」
「ああ。特に変化はないみたいだしなあ。サイ。右いってそのままこないだの別れ道まで行こう。」
「はい。」
進んでいいのか。よっしゃ。
じゃあ、さっさと次の別れ道まで行こう。
あの罠だらけの扉の前に行くのに時間がかかるから、他の場所にはあまり時間をかけたくないなって思ってたんだ。
松明をゆっくり方向転換して、と。
軽いといっても木の棒だ。長さもあるから、気をつけないとな。
よし。んじゃ、とっとと問題の別れ道に行きますか。
それにしても、何で船長は俺を先頭にしたんだろうな?
しかも、後ろにいるのがオルにヤジスさんとなると、共通するのは…。
うぐ。考えたくないが気づいちまった。
俺らに共通するのは周りに比べて背が低…小柄な体格だってことだ。
オルもヤジスさんも俺と同じくらいか、少しガタイが良いくらいだから、今まで気付かなかったぜ。
ちなみに、周りに比べてであって、俺は全然小柄じゃねえ。
身長だって170は軽く超えてるし、がりがりでもなく普通の成人男子の体格はしてる。
船の連中にマッチョなのが多すぎンだよ。
船長もでっけえしな。
それにしても、これが今回の先行部隊の基準か?
元が船長の勘らしいし、ありそうだなあ。




