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冒険の道2

しばらく進むと道が二手に分かれてた。

地図は船長が持ってるから、少し離れてついてくる後続部隊を待たないといけない。



俺たち先行部隊と船長たち後続部隊は少し距離を置いて行動している。

距離があれば、先行が罠にかかっても後続は無事だからだ。



「せ~んちょ~。道がわかれてま~す。」

「お~。そんまま右だな。」

「了解で~す。」



ヤジスさんが後ろの船長に声をかける。

この程度のやり取りなら船長が追い付くのを待たなくても大声で聞けばいいんじゃないのかと首を傾げる。



それがわかったのか、俺の後ろにいたミランさんが「洞窟の中で大声は厳禁だ」と教えてくれた。

古い採掘場などの場合、声の振動で崩れることがあるのだとか。



ここは天然の洞窟を改造して作ってあるからまだ丈夫らしいが、脆い所は足音にも注意しないといけないらしい。

デカい男たちがどかどか歩いているだけで崩れるのだそうだ。怖ええ。



「サイは静かに歩くよなあ。」

「おお。ついて来てんのかわかんねえときあるしよ。お。右下に罠。印がいる。」

「ほいよ。っと。なりが小さいってだけじゃねえな。歩き方に無駄が少ねえんだよ。」



そんなことを言いながらミランさんがヤジスさんの言った印の手前に、光るチョークみたいなもので矢印を書く。

正規の鍵で出入りすると罠は光ってくれるが、相当昔のものなんで光が弱くなってるやつとかもあって、『危ないぞ』と後続組に知らせるためだそうだ。



にしても、静かに歩く?

俺、普通に歩いてるだけだけど。



あんたらがデカいだけじゃねえの?

なりが小さいのは余計だよ。



「はあ。そうですか?あ。左の壁に罠です。あのちょっと上。」

「変なとこにあるなあ。一応印しとくか。」

「おおよ。ほいっと。…サイは静かだよ。調査で船乗った時も静かだったしなあ。」



それは関係なくね?

酔ってて大人しかっただけだろ。



「そういや船が揺れても気分が悪そうなだけだったなあ。普通、あれくらい揺れると慣れないやつは体勢なんか保ってられないんだぜ?っと、左下に罠。小さいやつだから印っ。」

「ほいよ。…そうなんだよなあ。結構ゆれたのに体勢はそのままだったんだよなあ。」



そういうことか。

なら理由はわかってる。慣れてるからだ。



「…ああ。ちっさい頃から船には乗ってましたからね。バランスは取れる方だと思います。」

「…おめえ、街の子なんだろ?」

「親父がよく釣りに行ってたもんで、ちっさい船に無理やり乗せられてたんです…。初めて乗った時に、船に酔った上にひっくり返りそうになって…そのせいか、未だに酔うんですよ。」



俺の答えに二人とも「あー。そういうことか。」と納得していた。

初めて釣り船に乗せられた時に酔った上に、途中で天候が急に悪くなって突風が吹いた。



その時に船ごとひっくり返りそうになって以来、小さい船は軒並みだめだ。

これってトラウマだよな?恨むぞ。親父。



「成る程なあ。それで揺れてもコケもせず、静かだったんだな。お。右下に罠。足元に近い。印しとこう。」

「おおよ。罠が増えて来たな。奥に近づいてるか?」

「かもなあ。たしかもう一回道が分かれるんだよ。そこついたら船長を待とう。」



「はい。」

「わかった。」

「んじゃ、行きますか。サイ、壁も気をつけろよ。」

「はいっ。」



ヤジスさんの判断に俺とミランさんが了解の返事をし、俺はさらに忠告をもらった。

壁は松明の明かりで見えにくいので注意が必要なのだそうだ。

うっかり触らないよう気をつけないとな。


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