お宝発見
ギッチャラッギッチャラッ
そうっと忍び足で壁伝いに進む。
足に鎖があるから、それでも音はするんだけど、今の所気付かれた様子はない。
この船大丈夫か?
見回りはどうしたよ?
普通の帆船なら、この上のとことか船員の部屋みたいになってんじゃねえの?
聞こえねえのかな?都合良いからいいけどよ。
手さぐりで当ったドアを開けて中に入る。
鍵すらかかってねえし。
「これは…小麦かな。これは豆。食糧庫か?」
当りだ。これなら酒も見つかるだろう。
どっかにビンないかなあ。酒詰め替えるやつ。
壁に手をついて床を探っていく。
あれ?ふたが開く。
ん?何だ?箱?
食糧庫に?食糧庫っていや、船底だぞ?
そこに隠し扉って、心底アホだろう。
水漏れしても知らねえからな。
ちっと重いな。箱みたいだ。でも片手で抱えられる大きさだ。
…これでもいっか。隠されてるくらいのものなら、船長の興味は引けんだろ。
俺はそいつを片手で担いで、床を元通りにするとさっさと部屋に戻った。
場所わかんのかって?それくらい数えてなきゃ暗闇で動けねえよ。
さて、部屋に戻ったことだし、隅っこに箱を置いて元の場所で寝ますか。
幸い、この部屋にはネズミはいねえみたいだしな。
お休み~。
**********
ドォンッ
「うわっ。なんだ?なんだ?」
大勢の足音と振動がひっきりなしに続く。
もしかして、船長か?
じゃあ、このままここにいたらやべえな。
人質にされちまう。
お宝持ってと、壁伝いに少しでも上に行っとくか。
すぐ上はもううるさくねえし、皆、外に出払ってんだろ。
お。階段はっけ~ん。
そうっとそうっと、這い上がるように進むべし。
あ。向こうに明かりがある。
まぶしー。でも、周りに誰もいねえな。
よっぽど急な襲撃だったんだな。
でも、俺を捕まえた時点で取り返しにくるって思わなかったのかね?
アホだから思わなかったとか?
ありそうだなあ。船長があれだもんなあ。
「砲弾。用意!もたもたすんなあっ。」
さらに上に行くと、上から砲撃の指令が聞こえる。
皆、上に行ってんだな。
わ。ぶっとい柱。あぶね。ぶつかるとこだった。
これって…碇を巻き上げるやつじゃねえ?
なら、この奥は船の後ろ、幹部や船長の部屋が集まってるってことか。
そこなら酒もあるかな。
覗いちまえ。
おっじゃまっしまーす。




