乖離決戦・列島を想いし皇天は未来を願う No.2 帝守閣
まるでここだけが異空間の様だった。空には満天の星干しが煌めきが広がり。周囲は一番高い建物の頂上の筈が。広い闘技場の様な造りの空間になっていた。
〖神帝区画 帝守閣〗
「怪異達は結構な数が西の地に行っていて、僕に参拝してくれる子達は多いかなと思ってたんだけどね。流石が僕の同志達。二人しか頂上まで越させないなんて。優秀だね」
……恐らくだが、帝の奴はわざと俺達を頂上まで招き入れる為に、俺達の侵入をわざと許したんだと思う。そうでなければあんな余裕そうな態度は取っていられないだろう。
「そういえば。鈴鹿はどこに居るんだい? あの娘は僕の大切な同志なんだ。返してくれないかい?」
「……こっちの世界には居ないさ。今はな」
「この世界には居ない? どういう事だい?」
「あんたの企みにこれ以上、鈴鹿御前を巻き込むな……あの娘は安全な場所で、あんたがあの娘にかけた洗脳を解いて寝ている最中だ。あの娘を一度、俺達の懐に潜り込ませて、俺達が頂上に上り切った瞬間にあんたと鈴鹿御前で挟み撃ちにしようと企んでるんだろう?」
「……ハハハ……成る程。君は馬鹿では無い様だね。流石、エキドナやアトスを倒しただけの事はあるね。要心深いね」
「ああ、お前達。〖神々の黄昏〗に対して油断も容赦もしないつもりだ。【皇帝】」
「……どうやら厄介な子を西から誘き寄せてしまった様だね。〖救国の担い手〗君」
▽▽▽▽▽
数分前の〖神成 刹那 精神世界〗
「……(君、帝の前に多分、殺されるから俺の中に入ってろ)……とか言ってたでありんが……まさか刹なとかはんの精神世界に放り込まれるなんて思いもせえへんかっわ~、確かウリエルはんとか言う娘がこの場所を使ってるやったけ?」
ズズズ……
「ああ、そして、帝がしている君の洗脳を解く場所でもある」
「ん~? 刹那はん? いきなり現れて、何を言って……るんでありん……すぅぅ?!! キュウウウ?!……な、何するでありんす?!」
「時間が無いからな。幻術からの洗脳解除は荒療治で行くぞ。頑張って耐えろよ。鈴鹿御前」
「な、何を言ってるでありんす! キュウウウ!! そ、そこは駄目でありんしゅ…………せ、刹那はん……最低なお人でありんす……」
「……ああ、良く言われる。今、君の中に俺の魔力と神気を大量に送り込んでる……溢れる程にな。これで君の中の帝の〖神秘〗を殺し、俺の魔力で君の歪みを治す」
「……帝様の〖神秘〗を?……こん……な……そ、それってただ、ウチの身体の魔力が帝様から刹那はんに変わっただけであり……」
「……あっ! 悪い話しかけられたから、予定より多い魔力と神気を君の中に入れてしまった……まあ、少し気持ち良くなるだけだから。我慢してくれ」
「……コン?……何でありんす?……気持ち良く?……この白い魔力は何でありんしゅ?!!……」
「……じゃあな。また、後で見に来るから。俺は帝と戦って来るから。しばらく寝ていろよ」シュンッ!
鈴鹿御前の洗脳を解く為、精神世界での矯正を始めた……そして、矯正対象の鈴鹿は、俺が彼女の中に溢れる程、注いだ魔力と神気を浴びて、気持ち良くなってしまたのか凄い顔をしていた。
◇◇◇◇◇
「焔。先ずは俺が前に出る。帝の実力を知りたいからな」
「……分かりました。では私は後方で遠隔攻撃で支援します。刹那さん」
「ああ、鵺様。力を貸して下さい……天雷よ……」
「キュー……おうよ! いくぜ! 雷様……神煌・回帰」
「「獣神・『天雷・鵺の双極』」」
白と黒の陰陽太極図が現れ、二対の双曲の短刀へと変わっていく、そして、その双曲の刀には雷が帯びる。
「……へー、神獣の〖神煌具〗かい。でも良いのかい? 〖七原龍〗の神煌具ではなく、〖鵺〗程度の神煌具で僕に挑むなんて自殺行為だと思うんだけだね?」
「まだ戦いが始まってすらないのに、結論づけるには早すぎるんだよ! 〖雷双曲〗……〖鵺の恩讐 ・斑〗」
(喰らいやがれ! )
俺は双曲の一振を帝に向かって投げた。すると〖雷双曲〗は複数に分裂し、幾何学的な動きをし始め、帝に向かい始めた。
「単調な攻撃だね。薙ぎ払い、僕に従え……〖天羽々斬〗」
帝は両手には何も持っていなかった。いなかったが、短い詠唱を言い終えた瞬間。鞘、刀芯、柄の全てが白い長剣が帝の左手に現れた。
「……業物か」
「ハハハ……君、刀の良し悪しが分かるのかい? これは意外だね……そんな神獣のなまくらの双剣を使っているのにさあ。〖白滝〗」
ガキンン!! 帝守閣の広い場所に硬い金属音が鳴りびいた。
「……掛かったな。絡み付け〖雷の神糸〗」
「これは……双剣の先端に糸が? 〖天羽々斬〗に絡み付いてくる?」
「だろうな。爆ぜろ! 〖雷残〗」
ドガアアアンン!
突然、〖雷双曲〗が帝を巻き込んで大爆発した。




