鵺と猫族の少女は木星を穿つ No.5 俺は普通なんだ①
紛争地帯の維持を担当するものでも、『ゲルオラ』を担当する信徒は狂った者しかいない送り込まれて来ない。そんな話は神代から現代まで生き残った宗教国家・『ロマ・テレシア』でずっと語り継がれている話だ。
要は異端者候補の流刑地な様なものか?はたまた、ロマ・テレシアで何か起きた時の首切り用の『弾』ではないかと疑っている。
(おぉ、その野心と殺意を奥底に秘めている目気に入った!リーグ異端候補よ。ワシと共に煌々たる【教皇】様を崇拝しようぞ!!!)
(キャアア!!)グザリッ!
(‥‥‥‥‥‥はぁ?何で俺が?)
(や、止め‥‥‥‥てくれえぇぇ!!!)
ギコギコ‥‥‥‥ギコギコ‥‥ギコギコ‥‥‥‥‥。
俺は単なる自分が気に喰わない奴等の首を切り落としているだけだった。アイツ等は俺を見下し様な目で見てくる。それが『罪』になるとも知らずにだ。
だから、俺は激昂する、殺したくなる、首を落としてヤりたくなる。
(おおぉぉ!リーグ副神官。今日も出かけるのかあぁぁ!?貴方ほど人を斬り付け、残酷に殺す者もなかなかいないだろうなあぁぁ!)
(ああぁぁ!これも【教皇】樣への信仰心からくる奇跡!!!何たる光!何たる尊さようぅぅ!!流石は時代の木星候補なり!!おおぉぉ!)
(おおぉぉ!素晴らしいぞ!!首切りリーグ副神官!!)
(‥‥‥‥‥‥うるせぇな、その話。他の信徒達の前では絶対に口に出すなよ!アンタら!そうじゃなかったら、俺は木星だろうが、副神官だろうが、異常者であるアンタらを『普通』な俺が殺さないといけないからな!)
‥‥‥‥‥俺は普通だ。俺の思考、行動、結果は全て正しい。俺が人を殺すのは普通。俺が人の首を切るのも普通。俺が首を町や村に飾るのも普通。
そう、俺は普通の生き物なんだ!俺が全て正しい。
そう!そうだ!俺、こそが新たなる木星(異常者)』に相応しい男なのだ。
だから、アイツら意外に知られていた真実を知った目の前の奴等も殺す。
俺の隠し通してきた真実を知った奴等の首は全て切り落とすのが正しい選択なのだ。
「‥‥‥‥‥彼の目付きと雰囲気が先ほどまでとは比べ物にならない位。殺意に満ちていますね。タマキさん」
「ヘスティア地方には数年前からこの様に呼ばれる方が居るそうですよ。『ゲルオラの首切り』正体不明の殺人者。まさか、目の前の宗教関係に属する方が犯人とは何とも嘆かわしいですね」
「良く喋る小動物だな‥‥‥‥‥俺の正体を知られた。最初は動揺したがな。さっきからアンタらのやり取りをボーッと聞いていたらなぁ、覚悟が決まったよ!あぁ、コイツらは俺の悪口を言ってやがるな。急いで殺して口が動かない様にしてやらなくちゃってな!!木石魔法『炭深』」
シュン!シュン!シュン!
俺は木炭を鋭利な形に変化させた物を幾つも造り出し、奴等に向かって飛ばしていく。
「緑魔法?何でそんな珍しい魔法を?水魔法『水輪』!!」
「‥‥‥‥いえ、この魔法は‥‥‥‥‥緑魔法ではないですね。これは‥‥‥‥ディエースさんと同じ様な『呪印』の類いでは?転移魔法『隣転』」シュン!
「チイィ!!何故、簡単に防ぎやがる?素直にこの国の奴等同様に直ぐに刺さって首を切られろよ!アンタら!」
「ひ、ひぃー、お、おい!待てくれ!何なんだリーグ副神官さん!アンタ、どうしちまったんだよ!いつもは会ったら俺達をあの異常者達から助けてくれたりしたのに何で無差別に攻撃なんて‥‥‥‥」
「ば、馬鹿ね。あの人達の話、聞いて無かったの?あの人は人殺し!人殺しなのよ!あのリーグ副神官はっ!あの木星達と同じなの!」
「‥‥‥‥‥お前ら、まだ居たのか?くそ‥‥‥‥こんなやり取りまで聞かれてたんのか?さっきから頭が全然働かなくて気付かなかったぜ。たくよう!今日は後、何回。この木星の力を使わないといけないんだよ」
あぁぁ!!!そうだ!頭が回らない。思考が追い付かなくなる。普段は人の心臓の動きを止める時にしか使わないと力。戦闘で使うのは初めてだ。
‥‥‥‥‥何千‥‥‥‥‥いや、万を越えるか?‥‥‥‥それ位使った木星の力。あの異常者。サータ・エンケラドスから無理やり授かった力。
(おおぉぉ!これは煌々たる【教皇】樣より賜った贈り物なり!!!上手く育て呑まれるのだあぁ!!!リーグ副神官!!!)
(‥‥‥‥‥呑まれる?何にだ?)
(おおぉぉ!【教皇】樣!!!)
(止めてくれ!!)グザリッ!
(おおぉぉ!我々の導きてよおおぉぉ!!)
(さ、触るなぁ!!)グザリッ!
(ちっ!また、殺してやがるし、聞いちゃいねえ!何なんだこの力は?)
(イヤーだ!イヤーだ!)
ギコギコ‥‥‥‥ギコギコ‥‥ギコギコ‥‥‥‥。
「リーグ副神官さん。‥‥‥‥‥貴方。直ぐにでも七聖教会に改宗し、ソロモン山脈の頂で清めを始めるのをお勧めします‥‥‥‥‥出ないと貴方、手遅れになって戻れなくなりますよ」
「はぁ?‥‥‥‥何言ってんだ?お前?何が戻れなく‥‥‥‥なるだと?」
「あの人‥‥‥‥‥少ししか、魔法を使ってないのに魔力の淀みが黒くて‥‥‥‥‥‥オエェェ!!!‥‥‥‥」
目の前の魔法装束の女が口から何か吐いた。
「‥‥‥‥大丈夫ですか?カーリー嬢。その良く見える『眼』であの方を直視しない方が宜しいですよ」
「ず、ずびばぜん‥‥‥‥‥で、でもあの方の‥‥‥‥魔力残滓らはもう‥‥‥‥ウゲェェ!!」
「な、なんだ?大丈夫か?アンタ!」
「み、水呑むかい?」
「貴方達もそろそろ、影響が出始めるので一端退場して下さい!転移魔法『縮転移』」
「へ?」シュン!「な、何だい?」シュン!
「おいっ!アイツらを何処にやった?」
「教えませんよ‥‥‥‥教えたら貴方、あの方達を殺すでしょう?自分の保身の為に。‥‥‥‥‥カーリー嬢、無理を承知でこんなお願いを言います!魔法の詠唱攻撃だけ唱える事はできませんか?そうすれば、後の事はウチが何とかします。だから後、少しだけ頑張ってくれませんか?」
「うぅぅ、はい‥‥‥‥‥わ、分かりました‥‥‥‥‥丁度‥‥‥‥昔、神成君が使ってた魔法札があるので‥‥‥‥これに私の魔力を流せば‥‥‥‥少しの詠唱で水魔法が撃てます‥‥‥‥ので、頑張ってみます」
「無理させてしまってすみません。カーリー嬢、ありがとうございます!」
「おいおい、何だが分からないがよう。その女はもう、フラフラじゃねえか!‥‥‥‥‥良く見れば端正な顔立ちをしてるな!殺した後は『ゲルオラ』の廃城にでも飾っておいてやろうか?」
「そんな事させませんよ。この『七の秘宝』が一つ『黄金の宝物庫』の番人こと神獣・タマキがさせません」
「ちっ!ムカつく小動物だ‥‥‥‥‥」
‥‥‥‥‥コイツら態度のデカイ小動物が俺に向かって偉そうにそう言った‥‥‥‥‥コイツらは必ず殺す。俺はそう誓い奴等に向かって攻撃を始めた。




