其々の視点
『黄金の宝物庫』夜・アヤネの部屋
「アヤネ。幻術魔法には、自分の得意とする系統の魔法を組み込むと相手に効きやすくなるぞ」
「自分の得意とする魔法を組み込むですか?‥‥‥‥セツ君。それはいったい?」
アヤネはそう言って首を傾げた。
「言うより見せた方が早いな。俺の場合は雷魔法と聖魔法が得意だから‥‥‥」
ドドドド、ガチャリ!
「ちょっと!ラファエル様から聞いたわよ!二人共。何を二人だけで添い寝しながら寝るとかアオハルしようとしてるのよ」
「おぉ!ちょうど良いタイミングで来てくれたな。委員長‥‥‥では、試しに委員長にかけてみるぞ」
「はい!是非」
「ちょっ!また、私に変な事をするつもり?」
「雷幻魔法『神経雷束』」
「?!にゃにーー!この痺れは!!にゃんん?!!」
「セ、セツ君!な、何を?!」
「いや、だがら、雷幻魔法だよ。雷魔法と幻術魔法を組み合わせたんだ。どうだ?委員長。だんだん、身体の疲れが取れてこないか?」
「そ、そんにゃわけ‥‥‥‥ある?‥‥‥凄い!ミカエル様との修行の疲れが取れてるりゅ?‥‥‥それに痺れから‥‥‥‥快感に?‥‥‥‥意識が遠退くの~」
パタン‥‥‥
委員長はそう言って深い眠りに落ちていった。
「け、恵はどうなったのです?大丈夫何ですか?」
「ん?あぁ、雷魔法で身体を活性化させて幻術魔法で眠気を誘ったんだ。これで一晩中グッスリ寝れば明日は快調だろうな」
「魔法というよりはアロマテラピーみたいですね‥‥‥‥興味深いです‥‥‥」
「アヤネの適正魔法は‥‥」
俺は懐から透明な水晶を取り出した。
「?何ですか?その人綺麗な水晶は?」
「適正魔法を色で教えてくれる『識別の水晶』だ。これを手に持ってみてくれ」
「は、はい」
俺はアヤネに識別の水晶を手渡した。
「す、水晶が‥‥‥‥青く光出しましたわ!」
「アヤネの適正魔法は水魔法か‥‥‥水魔法ならラファエルだな」
俺がそう言った瞬間。アヤネは驚いた顔をした。
「え?ラ、ラファエル様ですか?嫌ですわ!そんなの!絶対に嫌ですわ!私はセツ君に魔法を教わりたいですわ!」
「いや、教えてるだろう?今もマンツーマンで。そこにラファエルが増えるだけで‥‥‥」
「ダメですわ!また、お尻ペンペンされますわ。だからあの方はダメですわ。セツ君」
「いや、そんな俺の身体にしがみつかれてもな‥‥‥‥アヤネの魔法修行の為に、もう呼んであるぞ。ラファエルは」
「‥‥‥‥‥あい?」
「はーい!アヤネ!修行を始めるわよ!ビシバシいくからね。良いんでしょう?セツナ」
「あぁ、本人もやる気みたいだしな。宜しく頼む。ラファエル」
俺はそう言うと外の世界に戻ろうと立ち上がる。
「セ、セツ君。待って下さい。私はセツ君に魔法を教わりたいでしゅ」
アヤネは情緒がおかしくなり。最後の語尾がおかしな事になっている。
「とりあえず、2、3時間したら、また来るからな。アヤネ、その間。ラファエル先生の授業をしっかり受けるんだぞ。じゃあなー」
「ですって。アヤネ、水幻魔法の極意をたんと伝授してあげるわ」
「嫌ですわ、セツ君。行かないで下さい!」
「あぁ、数時間後には精も根も尽きている。アヤネに添い寝してるから楽しみにしておいてくれ」
「それでは、セツ君とチョメチョメできませんわ」
「チョメチョメする前に修行よ。元恋人さん。貴女、素養は凄いんだから。早く始めるわよ」
「いやですわ~」
アヤネの叫び声が宝物庫内に響き渡った。
‥‥‥‥
(主君、いいの?大切な元恋人なんでしょう?)
「ルシファーか‥‥‥‥ずっと見てたのかよ」
(そりゃあ、そうよ。今回の旅のパートナーはこの私何ですから。だから、こうして杖の状態ではなく腕輪に形を変えて近くにいるのだけど)
「まさか、君が今回の旅の協力してくれるとは思わなかったよ。いつもはずっと寝ているのにな」
(‥‥‥いつもは寝てないわよ。いつもわね‥‥‥私は他の天使達よりも睡眠が深いのよ)
「‥‥‥‥そうかい、それにしてはミカエルが良くあの人は滅多に起きませんとか!愚痴ってくるけどな」
(‥‥‥‥気のせいよ。そう!気のせいなのよ!‥‥‥それよりも『悪魔の淑女』‥‥‥主君はどう思うのかしら?)
「やっぱり、ルシファーも気になるか?」
(えぇ、なんたって『悪魔』よ『悪魔』‥‥‥‥この私が言うのもなんだけどね)
「今回もあれ絡みだと思うか?ラグナログ(神々の黄昏)の奴等の?」
(えぇ、そのうち誰かもしれないわね。誰が来るのかしらね)
「そのうちの誰か?なんだ?その言い方だと何人も入るってことか?」
(‥‥‥さあね、分からないわ。今の私にはね‥‥‥もう眠いから寝るわ。お休み)
「あっ!こら!‥‥‥‥たくっ!相変わらずの怠惰な天使様だ‥‥‥‥全く」
俺はため息をつきながら外の世界に戻った。
シュン!
『モニュメント荒野』
シュン!
「おーい!二人共、どうだ?ラインバッハの様子は?」
「セツナ殿」
「おぉ!カミナリ様か、ワハハハ!ラインバッハならあの鉄の塊‥‥‥‥車という奴か?を大層気に入りあの中で寝てしまったぞ」
「寝た?」
「えぇ、それはグッスリと」
「‥‥‥‥自由な奴だな」
「まぁ、冒険家ですからね」
「いや、そうだけどさぁ‥‥‥‥ラインバッハの事だが2人はどう見る?本物だと思うか?」
「‥‥‥あの後、セツナ殿とアヤネ殿が居なくなった後に色々と質問してみました。あの方が書いた『生還航路』や『アルトネ大陸紀行』等は夜叉も読んだ事があるのでその時の詳細な話を聞いたところ。まるで体験してきたような語りで聞いているこっちも話に引き込まれました‥‥‥‥間違いなくラインバッハ・エゴル殿。本人かと」
「‥‥‥‥グレイはどう思う?」
「十中八九、本人だろうのう‥‥‥あの洗練された魔力残滓に豊富な経験か?‥‥‥あんな、人物がまさか、このような場所に居るとは思えんがな」
「やはり、俺達に会うために『モニュメント荒野』に居たって事か?」
「恐らくは‥‥‥七大賢者は元『神ノ使徒』候補です。そして、ラインバッハ殿は―女神―ヘファイストス様の元眷属っと龍族の文献には書かれておりました」
「随分、詳しいな。と思ったが、そういえば。龍族は歴史家の一族でもあるのか‥‥‥長命種だもんな歴史の記録係としては適任者か」
「いかにも」
「‥‥‥これから、どうするか?ラインバッハがヘファイストス様の元眷属で冒険家なら、ヘファイストス地方も知り尽くしてるし。一緒に来てもらうしかないか?」
「‥‥‥正直、夜叉は反対ですね。あの方は夜叉達を何か大きな厄介ごとに巻き込む気でいると思われまする。此方には地球から来たばかりのアヤネ殿や恵殿もいらっしゃいますのに」
「拙者もだが‥‥‥ラインバッハ殿はエウロペ大陸でも著名な方だ。そんな方を無下に扱ったと世間に広められたらどうなると予想するかな?カミナリ様は」
「魔法新聞や他国にしつこく追われる事になるな。ラインバッハの人脈を使えば若い俺達なんて簡単に消せるからな。それが龍族の姫や剣聖だろうと関係無しにな」
「‥‥‥ですね‥‥‥」
「では、どうする?カミナリ様よ!」
「連れてくしかないな。それで何かしらの騒動に巻き込まれたら、その時はその時。アヤネと委員長には宝物庫の中で修行兼避難してもらおう‥‥‥最悪は」
7の秘宝の一つを解放すると言いかけたが途中で口を閉じた。
「セツナ殿?」
「とりあえずは様子を見よう。大丈夫だ!最強の用心棒に龍族の姫が居るんだ。大抵の事はどうにかなるさ。うん!なんとかなる。今日はもう遅い‥‥‥外で寝るのは危険だから、今から取り出す新居(出張版)の中で寝てくれ。あの車は‥‥‥車庫に居れとくか」
俺はそう言うと。宝物庫の中に居れておいた物。神成所有の使ってない別荘を荒野のど真ん中に取り出した。
「こ、これは?」
「い、家なのか?カミナリ様」
「あぁ、さぁ、入ってくれ。部屋は好きな場所を使っていいからな。俺は車を車庫に居れてくる。それじゃあ、お休み~」
二人にそう伝えると俺はラインバッハが居座る、車の方へと向かって行くのだった。




