それでも貴女と私の関係を変えたいのです ①~③
①それでも貴女と私の関係を変えたいのです
わたくしは天王洲 彩音と申します。
中学1年の終わり迄。神成 セツナ君という恋人がおりました。
小さい頃から一緒にいる為。幼なじみの様な関係で家同士も付き合いが深い関係です。
「おりました」ということは現在は神成 セツナ君とは別れてしまい。学校でも昔程。話さなくなっていきました。
学校でも天王洲家と神成家という古い家柄同士での色々な派閥やら、利害があり。
なかなかお互い話す機会が無くなっていきました。
たまに廊下ですれ違うとわたくしから話しかけるのですが、わたくしの気持ちが先走りトゲのある言い方になりがちで。
それに加えてわたくしの友人達も輪に加わわる為。
セツナ君はごめんと一言言っていつもその場を後にするばかりでした。
そんな些細な言い争いがあった後には神成 セツナ派閥(セツナ君、非公式)が黙ってのおらず。
わたくしの天王洲 彩音派閥(非公式)が学校生活の裏側で戦い言い争いを始めるという流れになっていました。
そんなことがあるとますますセツナ君とは学校では話しづらくなっていき。
(神成 セツナ派閥とは、聖豊中学の一般入試枠や学校側が推薦で入学させた特待生。編入生。学校での勉強についていけず学校側から転校を進められてしまい。
学校に居づらくなった生徒を集め。セツナ君が勉強会を開いて転校や処分を回避した人達等、セツナ君に恩のある方達や仲が良い方達が自然と集まってできた派閥です。
中学受験で外部から来た優秀な方達や一芸に秀でた人達も何人もいて私達の学年で一番大きい派閥らしいです。
それを良しと思わない財閥の子供や小学生からのエスカレート式で上がって来た生徒が集まってできた派閥がわたくしの派閥(非公式)天王洲派閥らしく。
わたくしの家が天王洲家であり。わたくし自信が大人しい性格為、利用しやすく。セツナ君の事が気に食わない方達の代表として担ぎ上げられている状態で今に至ります。本当はもっと話したいのに。)
セツナ君と付き合っていたのも中学に入学し外部受験者や天王洲家に媚を売ろうとする方達避けとしてわたくし達の親同士が話し合い。
幼なじみで仲が良かったわたくしとセツナ君に偽りでお付き合いをしろと言ってきたのが事の始まりでした。
そう言われてわたくしは凄く嬉しくなり。セツナ君も二つ返事で了承しくれました。
中学入学以来。休みの時は2人で色々な所に出かけ。思い出を作りました。ですが順調だったお付き合いも中学2年を上がる前のふとした出来事でピリオドを打つことになりました。
それは、神成家の跡取り候補からセツナ君が外されてしまい。
それを良しとしなかったわたくしのお祖父様である天王洲 扇の一言「彩音とは別れてもらう」の一言ででわたくし達の交際が終了したからなのでした。
セツナ君が神成家の跡取りで無くなったことも直ぐに学校の生徒に知れ渡り。喜ぶ方達も少数いたと聞かされましたが当の本人は余り気にしていませんでした。
わたくしはそれよりもおじいさまのたったの一言でわたくしとの交際を諦めるセツナ君の態度にものすごく怒りを覚え。学校内でも顔を会わせれば気まずくなる場面が多々ありました。
セツナ君を嫌う方達はそれがとても嬉しかったのか。わたくしがセツナ君と別れて以来、なにかと距離を積めてくる方達何人もいました。
中には別れてしまい悲しんでいるわたくしを本当に心配して声をかけ、今では親友になってくれた方達も数人でき。そういった方達が中心になって大きくなり。
わたくし?の派閥はセツナ君の派閥に次いで学校内でも二番目に大きな派閥に成長したと派閥所属の誰かが説明してくれました。
セツナ君はセツナ君でわたくしと別れた少しの間は落ち込んでいたらしいですが。数週間するとセツナ君の友人達と学校生活を楽しんでいるのを遠くで見かけることがあり。
わたくしとの出来事も些細な事たったんじゃないかと考え。静かな怒りが心の中を行き交いしてこんな自分が嫌いになりそうでした。
中学に入学し恋人になり。楽しい日々を共に過ごし。別れ今では他人の様にお互い牽制しあう間柄になってしまいましたが。
中学2年も半年がたった頃突然、セツナ君が食あたりで長期的に休む事になったと友人に知らされ。
わたくしは心配になりましたが。連絡するのにも後ろ髪を引かれなかなか行動出来ず何週間も経ってしまい。
セツナ君の妹である神成 星奈さんに現在のセツナ君の様子を伺いましたが、星奈さんもセツナ君について分からないということなので定期テストが終了した次のお休みの時に星奈さんと一緒に神成家へ行くと決まっていたのです。
ですが神成家へ行く前にセツナ君が定期テストの日に久しぶりに登校してきたらしく。友人数人とセツナ君がいるクラスに見に行ってみるとそこには綺麗な金髪の可愛らし女の子が隣で親しげに二人で会話しているのが見受けられそれを見た私はその場で倒れ意識を失ったらしいです。
友人達に保健室へと素早く運ばれていったと後で教えてくれました。
というか誰なんでしょうか?あの美少女は?
いきなり現れてあのセツナ君と親しげにはなしているし。
気になります。気になり過ぎてまた意識が飛びそうになりました。
保健室に運ばれた後、星奈さんに会いに学校内にある星奈さんが住む寮まで押し掛け。星奈さんに事情を聞こうと思いましたが星奈さんの方も詳しいことは余り知らなかったみたいで。その日は、もう日も暮れ遅かったので星奈さんの住む寮でお泊まりすることになりました。
(寮の設備は充実していて寝具やベットの貸し出しもしているらしく。勉強に集中したい生徒は寮で暮らし成績を伸ばす人達も多い。生徒が、いきなり寮に泊まって勉強しても大丈夫な用に始めから食事や制服等も用意されているらしい。)
その日は星奈さんと色々な話をしました。
そして次の日は、神成家へ一緒に行き。
例の謎の美少女の正体を解明することを心に誓いながらわたくしは眠りにつきました。
神成 星奈視点
定期テストも無事終わった次の日。私。神成 星奈は天王洲先輩を連れて実家に帰ってきた。
兄さんである神成 セツナには昨日のうちに次の休み実家に帰省する事を連絡済みなのでご馳走を用意して歓迎すると返信が来た。
そして現在、神成家の玄関前に天王洲先輩と共に昨日、兄と一緒に帰っていった金髪美少女がメイド服を着て出迎えに現れた。
「なんじゃ?お主ら?誰じゃ?」
私は数秒。思考が停止していた。隣で目を見開いている天王洲先輩も多分同じ状態なのだろうと予想はつく。
昨日の定期テストの結果が直ぐに集計され聖豊中学の生徒閲覧用のサイトに学年別の順位結果が掲載されていた。
このサイトは聖豊中学の関係者なら誰でも見れるらしくそんな私も順位が気になり。掲載発表と同時に自分の順位を確認した。
学年では10位と中々の成績を修められた。
次に兄の順位も確認したけど、長期休暇で休んでいて今回のテストはさすがにトップ陥落等と噂されていたけど。
蓋を開けてみると今回も学年1位を難なくキープしていたみたいで然程驚かなかった。
別の意味で驚いたのは今回の定期テストは学年2位が同率で2人いることだった。
そのうちの1人は毎回。兄の後に必ず追随する形で学年次席をキープする秀才天王洲先輩。
そしてそんな天王洲先輩と今回の定期テストの総合合計点数が同じだった謎の編入生「ユナ・エスフィールさん」だった。
編入試験では歴代でもトップに入る成績を残したとか先生方が話していたけれど、それが本当だった事に衝撃を受けた。
そんな可愛くて頭の良いエスフィールさんがなぜか家の玄関でメイド服を着て出迎えてに来てくれた事に思考が追い付かなかった。
(どういう状況? これどういう状況?私、実家に帰って来たのよね?何でこの人私の実家に普通にいるの?!何でメイド服?)
と混乱しているとエスフィールさんが話し始めた。
「おー!そういえば今日はセツナの妹ぎみが実家に帰って来るとセツナも言っておったな。自己紹介が遅れて申し訳ない。我は、ユナ・エスフィールじゃ。セツナの友人で少し前からセツナの家に住まわせてもらっておる。よろしくお願いするのじゃ。それで?どっちがセツナの妹なのじゃ?」
そう言うとエスフィールさんは私達の顔を交互に見た。
言葉使いがやや中二病みたいだけど。とても人当たりが良さそうな雰囲気で声も可愛らしかった。
ん?家に住まわせてもらっておる?
なんで?どういう事?
天王洲先輩もそれを聞いてビックリした顔をしていたし。私も同様だった。
そんなやり取りをしていると家の奥からエプロン姿の兄がやって来た。
「おーっ!星奈!お帰りー!そして久しぶり」
そう言うと兄は笑顔で私の前に近づいて来た。
兄は結構なシスコン気質である。
私の隣に立っている天王洲先輩の存在に気づくと一瞬驚いた顔したが直ぐに笑顔になり天王洲先輩にも挨拶した。
「彩音………さんも久しぶり。星奈と来てくれてありがとう。嬉しよ。」
少しの間。沈黙を場が支配した。気まずくなると思ったけど
天王洲先輩は顔を朱色に変えて体をもぞもぞしだして小さい声で
「おっ!お久しぶりでしゅ。」
わかりやすぎる。反応で私は悶えたが直ぐに意識を切り替えその前のエスフィールさんの自己紹介で気になったことを兄に聞くことにした。
「そんなことより兄さん!」
「なんだ?」
エスフィール先輩だっけ?一緒に住まわせてるとか言っているけど。どういう事かちゃんと説明してよ!」
「それは話せば長くなるというか。なんと言うか。とりあえずここでは、なんだから荷物を星奈の部屋に置いてきてから話そうか」
そう言うと兄は私の荷物と天王洲先輩の荷物を指差した。
「彩音さんは1階の客間に案内するよ。星奈も一旦自分の部屋に荷物を置いてきな。彩音さん、客間に案内するよ。」
そう言うと兄は天王洲先輩の荷物を持って天王洲先輩を客間に案内した。
私も自分の荷物を持とうとしたがエスフィールさん近づいて来た。
「よいぞ、よいぞ、お主も疲れているじゃろう?荷物はワレが運んでおくぞ」
と言って私の荷物を持ってくれた。
「あっありがとうございます。エスフィール先輩」
そうしてエスフィール先輩と共に私は実家の自室の方へ向かった。
せっかくエスフィール先輩と二人切りにになったので先ほど、疑問に思った事を聞いてみることにした。
「えっと、あのエスフィール先輩と兄はどういう関係何でしょうか?それに今、家で一緒に住んでいるとか?それにその格好は?」
「あぁーそうか。久しぶりに帰って来て知らない人間がいたら疑問に思うものじゃな。それと私の事は、ユナと呼んでくれて良いぞ」
「わっ分かりました。ユナ先輩」
「うむうむ。」
エスフィール先輩……ユナ先輩はそう言うと少し沈黙した後、兄との関係を話し始めた。
エスフィール先輩は海外から来たこと。行く宛が無く困っているところを昔からの知り合いの兄を頼ったらしい。
その後。兄が父親に相談し一緒に住むことと学校に通うことになったというのが事の経緯とのこと。
それを聞いた私は色々とツッコミたくなる所もあったけど。後で兄が詳しく話すだろうと考え。その場での質問はしないことにした。
その後、自室に入ると荷物を置き、部屋着に着替え終え。リビングへ向かうことにした。
神成 セツナ視点
俺は異世界帰りの元勇者である。
こちら(地球)の世界に帰還して色々な事があったがようやく一段落した。
っと思っていたがなぜか異世界に飛ばされる前に付き合っていた恋人(家同士の合意のもと)と自分の家の通路で二人っきりという状況に現在なっている。
天王洲 彩音………異世界に飛ばさアリーナで4,5年過ごした。
異世界帰りの際、女神からのギフト(多分だが)のお陰なのか分からないが俺の年齢は飛ばされる寸前の年齢に戻っていた。
なのでアリーナで過ごした時間を込みにすると彩音と会うのは実に数年振りの感覚なのだ。
少し昔を振り返ってみることにしよう。
彩音とは家同士の付き合いもあり。同い年でもある為。小さい頃から一緒に過ごすことが多かった。
金持ち同士の晩餐会やイベント等の時は親同士が旧知の中というのもあり。人見知りで虚弱体質だった彩音の面倒をみるよう父に言われていた。
それに俺は人が困っていたら手を差しのばさずにはいられない人間の為。別に気にすることでもなかった。
10、11才位になると彩音も天王洲という名家のお嬢様で顔立ちも整っている為。晩餐会やイベント等に家族連れで来ている子供達が彩音の気を引こうとちょっかいやイタズラをしようとしてきたが隣に立っている分家とはいえ神成家である俺がいる為、諦めるシーンが何回かあった。
昔、神成家は没落する寸前まで落ちた頃があった。
確かあれは俺が10才位だっただろうか?
俺のお祖父様が会長を勤める神成グループが海外投資かなにかで失敗し多額の負債をおってしまった。
神成グループが抱える子会社にも影響が出てしまい。
倒産寸前まで追い込まれた。
父もあの時は首を吊りそうな勢いで落ち込んでいた。
そんな状況を見ていられなかった俺は小さい頃から趣味でやっていた投資で得たお金や父が所有していた神成家の銀行口座にあった隠し貯金やらを使い、それを元手に仮想通貨やFX等を一か八か全額突っ込んで運良く神成グループの負債を補える位まで稼いだ。(神成家の隠し貯金が思ったよりあったお陰で元手の資金よりも数百倍になって返ってきた。)
将来暮らせるだけのお金が手元残っていれば良い俺は一か八かで稼いだ資金をを途方にくれていた父に渡した。
渡した時はものすごい顔をしてその場でぶっ倒れたのを今でも覚えている。
その後。そのお金を使い神成グループはなんとか危機的状態から持ち直したとか何とかを後で聞いた。
たまたま投資が上手くいったがもし失敗していたら現在の神成家は無かったと思う。本当に運良く稼げてよかった。
それからは色々な人に感謝されたりした。分家ながらあの時の功績で神成家の跡取り筆頭候補とか周りから言われるようになったがそんなことは別にどうでも良かった。
将来はある程度稼いだら楽隠居する予定なので。今、神成グループが潰れるには俺的にも不味いので行動しただけに過ぎず。お礼とか欲しくはなかった。
しかしまわりの目は違っていた。神成家の麒麟児とか訳の分からないあだ名を付けられて勝手に警戒心を持たれた。
そんなエピソードもあってか。彩音の近くに俺が常にいるので彩音に近寄ろうとする男も余りいなかった。
同年代の女の子とは普通に仲良くなっていたが天王洲家の当主である天王洲 扇さんが彩音をとても可愛がっていた為。俺、以外の男は近寄らないように根回ししていたらしい。
そんな感じで共に幼少期を過ごしていたが聖豊中学にお互い進学した時、家同士の策略もあって彩音と恋人関係になれといきなり父から言われた。
なんでも中学に上がると外部の人間や他の地方からの生徒が集まり彩音にちょっかいをかけトラブルになることを危惧した天王洲 扇さんが対策として幼なじみである俺に偽りの恋人をやらせるように頼んできたらしい。
そう説明された俺は二つ返事でOKと言い。彩音も了承したことから俺達は恋人関係になった。
学校ではお昼は一緒に食事をしたり。休みの日にどこかへ遊びに行ったり。二人で晩餐会やイベント等にも参加し周りにも俺達が付き合っていることをアピールして彩音に変な虫がつかないようにした。
そんな感じで時間が流れていき。彩音も昔みたいに人見知りや虚弱体質も改善していった為。同級生や知り合いも沢山できていった。
だが。付き合い初めてもうすぐで1年位経つだろうという時に事は起こった。
天王洲 扇さんにいきなり呼び出された俺は急いで天王洲家の本家へ父に連れてこられ彩音と別れて欲しいと頼まれたのだった。
なんでも彩音が聖豊中学に入学してだいぶ友人や学校内での派閥等ができり変な虫が寄りつけなくなってきていること。将来的にもそろそろ婚約者を決めおきたい為だと説明を受けた。
それから俺には本当に感謝している。俺のお陰でこれまで彩音が無事で過ごせていた等と扇さんは泣きながら感謝の言葉をずっと語っていた。
それを聞きながら俺は色々考えた。つまり彩音が人間として自立出来るまで支えてきたが彩音も成長し。俺がいなくても1人で考え生きていけると天王洲家の人達は思ったのだろう。
しかも俺は神成家での立場も分家の為。神成家でのカーストは低い。
そんな人間が天王洲家のご令嬢と付き合っているのが気に食わないという人間達は、沢山いるに決まっているのだ。
彩音とは一緒にいて楽しいし楽だ。将来的に一緒になりたいとも考えていたが。下手に今、騒げば神成家と天王洲家の関係にもひびが入るだろう。
頭の中で色々な考えが浮かび。葛藤し。グルグル回ったが。最終的に彩音と別れる事を承諾した。
それからの展開は早かった。彩音に別れる事を伝え。最初は落ち込んだが昔からの友人や聖豊中学で勉強会やイベント等で仲良くなった人達に励まされ。立ち直れた。
あれ以来、学校でも話すことがほとんど無くなり。
たまに廊下で見かけると彩音の派閥の人達と仲良くしているのを見かけた。
近くを通るとトゲのある言葉や睨まれたりした。
彩音からしたら一方的に別れ用等と言われたらショックでああいう態度を取るのも仕方がないと思い俺は小さく一言ゴメンと言いその場を離れるのだった。
彩音と別れた事で俺の立場も少し変わった。
神成家の跡取り筆頭から降りるよう父から言われたのだった。天王洲家のご令嬢と別れたせいで色々五月蝿く言ってくる人達がいるようで。そんな人間を跡取り筆頭にするのはどうなのかと言うものまで現れたらしい。彩音に別れ話を話す前から外す外さないの議論が行われていたらしく。
俺と彩音の関係を気に食わない人間が裏で色々手を引いていたんだと後から思った。
俺、自信は神成家の跡取りなんてなりたくも無かったので二つ返事で了承した。
なぜか学校でも跡取りから外された話が伝わっており。
噂話になっていたが中学1年間の生活で色々な人達に協力したお陰なのか分からないが俺の派閥?みたいなものが出来上がっていて。流言飛語を飛ばしていた連中は陰で粛清され学校を去って行ったらしい。
俺の派閥?なのか分からないが恐ろしい集団である。
そして別れて半年後。お互い全く話さなくなり俺はアリーナに飛ばされ。地球に戻って来て。現在なぜか彩音と一緒にいるのだった。
沈黙しているのもなんなので彩音に話しかける事にした。
「彩音さん。本当に久しぶりだね?元気だった?」
「えっはい。元気ですわ」
久しぶりに会うので緊張しているみたいだった。
「俺が学校ずっと休んでたからお見舞いで星奈と来てくれた感じ?」
「そ、そうなんです。はい」
言葉とても固かった。
そんなやり取りをしていると客間の部屋に着いた。荷物を部屋に運び入れる。
「おっ、同じ部屋でふた、二人きりで」
テスト疲れているのかモゴモゴ1人事を言っていた。
「結構デカイ部屋なんだ。神成家の分家だけど家は広いから好きに使ってね。落ち着いたら一旦リビング集合で頼むよ。」
「はっはい。分かりましたわ。」
これ以上は持たないと思い。俺は客間のドアをそっと閉じ。リビングへと逃げるように向かった。
②
頭が、頭がボーッとします。
なぜでしょう?
神成 セツナ君、幼少の頃や恋人関係の時は、セツ君とお呼びしていましたが別れて疎遠になってからは一度もセツ君と呼んだ事がありません。
でも今は違います。現在、わたくしは神成家に。セツ君の家の客間にいるのです。
先ほどまで2人っきりでしたが久しぶりに話すということもあり。何を話せば良いのか分からなくなり。
セツ君が喋りかけてくれても緊張して変な返事をしてしまいました。
というか久しぶりに話す元恋人に普通に接してくるとかどういう神経なんでしょうか?
わたくしと同じ様に多生なりともドギマギしてくれても良いのに余裕のある態度はいかがなものかと思います。
これではわたくしだけが意識しているみたいで恥ずかしくなります。
セツ君が、去ってから少し冷静になろうと思いわたくしは客間を見渡しました。
装飾が施された上質なベットや一目で高いと分かる絵画等、神成家の分家とは思えない品々が使われたり飾られたりしています。
久しぶりに神成家へ来ましたが相変わらず大きな屋敷だと思いました。
天王洲家の本家と屋敷の広さは同じ位はありますね。
それから1つだけ昔からの疑問に思っていた事があります。
セツ君は昔からうちは神成家の分家だからと言っていましたが本当に分家なのでしょうか?
家に置かれた品物もどれも一級品ですし。数年前にあった神成カンパニーの倒産危機を解決したのもセツ君のお父様とセツ君が何かの投資で得た莫大な資金のお陰とお祖父様から少しお聞きしました。
普通ならば本家の神成家が解決する筈の事を分家であるセツ君の家が解決するには相当なお金とコネクションがなければ出来ないことです。
そんな事を出来てしまう分家とは聞いたことがありません。
ですがいかに仲の良いお家同士といっても一族同士の内側の事を容易く聞ける訳もないので、聞き出す事など言語道断だと思いわたくしは思案するのを止めました。
それからもう1つ気になる事がありました。
ユナ・エスフィールという方。近くで拝見いたしましたが物凄い可愛らし方でした。
セツ君とはどのような関係なんでしょうか?
しかも一緒に住み始めた?どういう事ですか?
物凄い混乱します。
気になって思考が停止しそうです。
また2人っきりの時に問いただしたいと思います。
セツ君は数年前の神成カンパニーの件から神成家の麒麟児の呼び名で有名になりました。そのせいかセツ君に近づき甘い汁を吸いたい方達が現れましたが。いざセツ君と会い話をすると皆さん青ざめて去ってい行きました。
数日後には会社の不正や一族のスキャンダル等が発覚し財界や政界から追われ姿を消していました。
それとなく何かされたのですか?等と聞くと。父が色々知っていたらしくそれを教えてもらい何か神成家にしてくればバラすと言ったと教えてくれました。
セツ君のお父様。神成 雷魚さんも昔からお世話になっておりますがとてもミステリアスな雰囲気がある方で。神成家でもかなり上の立場の方だとわたくしのお父様から聞いておりますがいつもお仕事が忙しいらしく最近は余り会えていませんでした。
心を落ち着ける為に色々と考えていましたが客間に着いてから20分位経ち。落ち着いたらリビングに来てと言われていた事を思い出し。
わたくしは、扉のドアを開けリビングへと向かいました。少し進んだ所に先ほど玄関先でお出迎えしてくれたユナ・エスフィールさんがメイド服を着てリビングに向かう通路を歩いていました。
エスフィールさんもわたくしに気づいた様で。目が合うと嬉しそうに話しかけてくれました。
「おー!さっきは変な自己紹介ですまなかったのう。改めて、私はユナ・エスフィールと申す。セツナの昔からの友人で今は、空いてる部屋を貸してもらってこの家で世話になっておる。よろしくのう」
エスフィールさんはそう言うと笑顔で右手を差し出してきた。
「ご丁寧にありがとうございます。わたくしは天王洲 彩音と言います。セツ君………神成君とはエスフィールさんと一緒で昔からお世話になっている大切な………ご友人です。よろしくお願いいたします」
エスフィールさんに自己紹介すると数秒、わたくしの目を見てなにかを考えているみたいでしばらく沈黙が続きましたが、エスフィールさんは考えがまとまったのか会話を再開しました。
「私の事はエスフィールではなくユナと呼んでくれ。エスフィールだとなんか他人行儀に聞こえるのでな」
「分かりました。では、わたくしの事も彩音とお呼び下さい。ユナさん」
そう答えるとユナさんは、嬉しそうに飛びはねわたくしの両手をガシッと掴みました。
「うむうむ。こちらこそよろしく頼む。彩音!セツナのアホはいくらユナと呼べと言うてもずーーっとエスフィール呼びなんじゃ。全く」
そう言い終えるとプンスカと顔を膨らませ怒り始めました。なんだか思っていた方と大分違います。面白いですこの方。
それに今ならセツ君とユナさんの関係を聞ける絶好のチャンスではないですか。えぇぃいい!ままよですよ。
「あの、ユナさんに1つお聞きしたい事がございます。よろしいでしょうか?」
「なんじゃ?」
「えっと、ユナさんと神成君ってどのようなご関係なんでしょうか?もしかしてお付き合いされているとか?」
勇気を振り絞って言ってしまいました。これで付き合っているとか言われたらわたくしは家から出家いたします。
「セツナとの関係?おー!セツナはただの恩人じゃぞ」
「恩人ですか?」
「うむうむ。日本でお金もなく途方にくれていた私を家に住まわせてくれて学校まで通わせてくれる命の恩人じゃな。」
「それ以外に他にありませんか?神成君が気になっていとか?」
「ないのう。住んでおる世界も違うしそのうち帰る事になるだろうしのう。恩人として感謝はしておるが頼れる友人だと私は思うておるよ。」
「そう何ですか。良かったです。」
「良かったです?」
「いえいえ。こちらの話です。ユナさん、早くリビングへ行きましょう。」
話を聞き終えたわたくしは足取りが軽くなり。ユナさんと一緒に神成家のリビングへ向かったのでした。
エスフィール視点
職業・魔王から転職して学生兼神成家のメイドとして使えることになった。
なぜそうなった?私も不思議なのじゃ?
編入試験が終わり定期テストとも終わった後。休み前にセツナの両親から電話がかかってきた。
電話の内容は住まわせることは別に構わなかったが本家の人間や他の家の人達が色々言ってくると不味いのでとりあえず神成家の専属メイドということにしといたとか何とか。
それを聞いたセツナの行動は早かった。
丈の短いスカートに高そうな装飾が施されたメイド服を用意し私の前に待ってきて。
「さぁ、着てくれ。エスフィール」
と目を輝かせて言ってきた。
無限の殺意が込み上げたが今まで世話になったこともあって私は渋々、セツナが持ってきたメイド服に袖を通し。家にいる時は神成家の専属メイドとしての道を歩むことになったのだ。
そして今に至る。
先ほどリビングに行く前の通路で彩音と会ったので一緒に向かう事になったのだ。
彩音とは少ししか会話をしていないが素直な良い子で話していてとても楽しい。
ぜひ、仲良くなりたいものだ。
「そういう訳で私は現在、神成家の専属メイドとして仕えておる」
「そうだったのですね。ユナさんも色々あるみたいで大変ですね」
「まだ、メイドとして働く様になって日が浅いがのう。」
「でも、その。結構際どいメイド服ですね」
「セツナの趣味じゃ。あやつはメイドフェチの変態じゃ」
「えっ?まだ治って無かったのですか?メイド趣味?」
彩音はそう言うと少し引きずった顔をした。
「まだ治っていなかった?どういう意味じゃ?」
「昔からなんです。他の事は色々出来てカッコいいのにメイドの話やメイド関連の事になると暴走するんです。あの人。わたくしも何回が着させられて。その都度わたくしの両親と神成君のご両親に叱られていましたね。神成君」
そう言うと彩音は、コロコロと笑っていた。
あやつ昔から変態だったのじゃな。
納得いったわ。
そんな会話をしながらリビングへと歩いていた。
来た頃は余り気にしていなかったが。なにげにこの家が結構な広さだということに今さら気づいた。
最初の頃は私がアリーナで住んでいた城と比較してしまったが家の外の建物と神成家の建物を見比べると明らかに神成家の建物の方が数倍大きいことがわかった。
だから前に部屋が沢山余っているとか言っていたのにも納得した。
アリーナだったら魔王の側近クラスが住む家のレベルなので広いのは当たり前か。
(しかしいつも通っても長い通路じゃな。)
そんなことを考えながらしばらく進むとリビングが見えてきた。
「ついたのう。では、入るとしよう」
「はっはい」
なぜか少し緊張している様子だったが気にせず2人でとリビングへ扉を開けて入った。
リビングにはセツナと星奈が私達よりも先に来ていたらしく。2人で食事の準備をしていた。
「兄さんカニグラ『蟹のグラタン』はここに置けば良いの?」
「適当に置いてくれ妹よ。そしてさっきプレゼントしたメイド服を兄に見せてくれ」
バコーンと何かを物凄い勢いで叩いた音がした。
音が鳴りやんだ後、セツナが床にぶっ倒れて痛そうにしていた。
「何をするんです。妹よ」
「二人っきりになると変態の本性剥き出しにするのいい加減治したら?良い歳なんだからさぁ」
「久しぶりの義兄に会えて嬉しくないのか?嬉しさの余りメイド服を着たくならないか?」
「ならないわよ変態!はあぁ~!なんでこんなのが学年一位で女子に人気なのかしら?」
「全ては親の顔の良さと小さい頃の英才教育の賜物だな。両親には感謝している」
「あっそう」
「星奈は会うたびに俺に厳しくなるな」
「兄さんが悪いよ。私の友達を弄もてあんでさぁ~」
「なんの話だ?」
「うわぁ~!出たよ!自覚無し~!本当にサイテー!」
そしてまたバコーンと大きな音が響き渡り、セツナが床に倒れていた。
「おっお主ら、仲が良いのう(汗)」
私と彩音はちょっと気まずそうになりながら兄妹二人へと話しかけた。
彩音は床に倒れているセツナに近づき心配そうにしている、
「あっユナさん。彩音さん遅かったですね?もしかして迷ったりしてました?彩音さん、放置しといていいですよ。仮病でズル休みするバカ兄貴なんて」
「ズル休み?」
彩音は、頭に?を浮かばせて不思議そうにしている。
「食あたりなんて真っ赤な嘘だったんですよ。本当はユナさんに勉強を教えるためと自分の趣味の為にズル休みしてたんですから。さっきちょっと甘えたふりして教えてって言ったら直ぐにはきましたよ。このバカ兄貴わ」
「お前が可愛い猫なで声で何で学校ずっと休んでたの?メイド服着てあげるから教えてとか言うからだろう。」
そう言いながらゆっくりとセツナが起き上がった。
「自分の趣味の事にしなると直ぐにバカになるから助かるわ。お兄ちゃん」
「確かにバカになるのう」
数週間。近くでセツナを見てきたが確かに何か自分の趣味に興じている時は馬鹿になってたのう。
「食あたりが仮病?趣味の為に?」
彩音はずっと独り言を言っていたが、不意に話し始めた。
「神成君!」
凄い剣幕だった。
「はっはい!」
「仮病とは何事ですか?趣味の為?これは問題点です。後で、聖豊中学、生徒会として詳しく聞かせてもらいます」
星奈が小さな声で「あちゃ~!そういえば、彩音先輩ひ生徒会だった。と呟いた」
しかし先ほどまでセツナの前では、モジモジしていた人物とは、全く思えない位毅然としている。
一方のセツナはびっくりしている。
「あっ彩音!久しぶりに会って会話したと思ったらなんだよ急に!」
「なんだよ!ではありません。これは幼なじみとか元恋人とかは抜きにして生徒会としての責任があります。食事が終わったら後でお説教です。分かりましたね?」
凄い剣幕にセツナはたじろぎ後ずさり。一言。
「分かりました。」
声がとても小さかった。
③
私はもっと修羅場になると思っていた。
学年一位の女顔バカ兄貴の前に現れた金髪美少女に嫉妬でヤンデレ化が徐々に進んでいき嫉妬に狂う天王洲先輩。
そんな、二次小説の様な展開を第三者視点で見ていくことになるのだと私はそうぞうを膨らませていた。
そうなると勝手に決めつけていた。
だがそんなことにはならず。
ユナさんと天王洲先輩は私達兄妹がいない間に仲良くなっているし。
兄は先ほど天王洲先輩にぶちギレられ縮小と作った料理を運んでいる。
バカ兄の長期休みが実はズル休みと知ってぶちギレた聖豊中学生徒会の天王洲先輩は家に来るまではソワソワしていたが今では楽しそうに皆で食事を楽しんでいる。
私は勘違いしていたのかもしれない。私とこの人達は同じ思考を持っているのだと。
違うのだ。この人達や私が通う聖豊中学で学年で1位や2位を独占している兄や天王洲先輩と一般生徒である私とでは立っているステージが全く異なっているのだ。
日本には、古くからある12の家系がある。
その12の家系は、日本経済を支え、発展させてきた。
その12の功績を称えて着けられた名が花衆十二家と呼ばれる様になったとか。
私、自信も神成家へ養子へ招かれる前の旧称は九条家であり九条家もその1つであったりするが九条家事態もう没落し現在はお家劣り潰し状態らしい。
そんな花衆十二家の2人である小さい頃から腹黒い政界人や財界の人間の中に放り込まれ揉まれているのだ。
そもそものメンタルや心の持ち様等が一般生徒とは全然違う。
それにユナさんも多分だけど兄や天王洲先輩と同じステージの人間だと私は感潜っている。
独特の話し方とか玄関前で会った時や。私や天王洲先輩を見た時、一瞬ではあったけど。心の憶測まで覗かれているような鋭い目線が飛んできた気がした。
それにとても社交的で場馴れしている感じが伝わってきた。
この人も多分、普通じゃない。兄と一緒で幼少よ頃から特別な訓練を受けている類いの人なんだろうなぁと勝手に考えた。
この3人は私とは違う。だから自分の感情なんかは上手く隠し、コントロールし上手く立ち回ってこの場を上手くやりきるのだろうとこの場に居て思ってしまった。
そんな事を思案していると不意に静かだった兄が恐る恐る喋り始めた。
「あっ。彩音さん!料理の方はいかがですか?」
まるで金持ちの家の執事みたいだった。
「はっ、はい!とても美味しいです。神成君は昔からお料理が得意でしたが、以前、頂いたお料理も美味しかったのですが………その、以前よりも本当美味しいです」
天王洲先輩はどこか不思議そうな顔で兄に料理の感想を話していた。
どうしたんだろう?確かに兄は料理がとても得意でどれもこれも美味しい。今回作ってくれた。舌平目のムニエルや鴨のバテなんかは多分凄く作るのが大変なんだと食べていて直ぐに分かった。
「それは良かった。良かった」
それを聞いた兄は満足そうにうなずいていた。
「……………。そのなんでしょう。そのとても良いづらいのですが神成君はどこかで本格的なお料理を習っていたのですか?………いいえ、ありませんね。学校もあって忙しくのに。でも、本当にどれもこれもとても美味しいです。まるで数年間。本当に真剣に料理を打ち込み研鑽を積んだような」
そう言うと天王洲先輩は静かになった。
「そうなんじゃ。こやつ、アリーナではずっと雑用してたらしいく。結構苦労していてのう………」
給仕していた、メイドさん(ユナさん)が話していいると兄が慌ただしく動きが出した。
「黙れ!バカメイド!その口を今すぐ閉じろ!」
そう言うとユナさんに近づきユナさんの口元を手で覆った。
「なっなにするんじゃ!放すのじゃ!変態!」
「黙れ!アホウ!口が軽すぎだ」
お互い小声だ放しているので上手く聞き取れなかった。
何をそんなに慌てているのか状況が掴めなかった。
そして私の隣からとても冷たい冷気みたいなものが私の体に伝わってきた。
直ぐに隣を見ると凄く笑顔でぶちギレられている天王洲先輩がじゃれ合う2人をみていた。
「ずいぶんと仲がよろしいのですね?わたくしとお付き合いしていた時はその様なやり取り一度も無かったのに」
さっき一度、ぶちギレたのでどこか吹っ切れたらしく。物怖じしないで兄と会話するようになったみたいで良き事である。
そんな兄はというと。
「彩音さん。違うだ!これには色々事情があるんだよ」
先ほどぶちギレられたので天王洲先輩には余り強く言えなくなっていた。(仮病でずっと休んでいたのも原因の1つ。)
「どういった事情なのでしょうか?」
「それは言えない?」
「言えない?なぜです?」
「別にエスフィールとの関係なんて君に関係無いだろう?」
「関係が無い?あなたから一方的に振っといて元恋人に対して関係が無い?」
天王洲先輩はプルプルと震えている。
「関係無いわけないないでしょう?昔から貴方は何かあるとはぐらかしてそうやって逃げるのですか?」
別れてこの半年間相当貯まっていたのだろう。遠慮がない。
「いや、そうではなく」
「そうではなくとは?だからなんなんですか?」
さっきのことは私の考え過ぎだったのかもしれない。
この人達も人間で同じステージにいる。喜怒哀楽の人間なんだ。
私は目の前の修羅場を見てそう感じた。
「あーーもう!やめよ!やめよ!よせよせ」
元恋人同士のやり取りに割って入ったのが神成家の新メイドさん。っていうかこのケンカの原因のユナさんが間に入った。
「お互い頭を冷やせ。バカもの。彩音も言い過ぎじゃぞ。セツナの話をちゃんと聞いてやれ。セツナもセツナでちゃんと家族や親しい者達には下手に隠さずあったことをちゃんと伝えるんじゃ。だから変になる」
ユナさんがそう声を張り上げると2人共おとなしくなった。
「セツナよ。私とお主との関係を隠したい気持ちは良く分かるがいつまで隠しと押せる訳が無いのじゃ。いつかはボロが出る」
「ボロを出したのは君だ」
ボソッと一緒兄が何かをいった気がした。
「それに彩音と星奈には今日初めて会って話したがこの2人にならアリーナでの出来事を話してもきっと信じてくれるはずだぞ」
アリーナでの出来事?さっきからアリーナ、アリーナって何の事?それと兄とユナがどう関係するわけ?
「だからちゃんと1から2つが納得するように説明してやるのじゃ」
ユナさんにそう言われた兄は、少し沈黙し大きく頷いた。
「うん、分かったよ。ちゃんと説明するよ。2人共今から説明する事はここだけの話しに留めて置いてほしいんだが………」
そう言うと兄は兄の身に起きたことを話し始めた。
兄は少し考えた後、語り始めた。
「俺は………実は異世界に行って勇者をしていたんだ。」
うん?なに言ってんだ。このバカ兄は?
一瞬そう思ってしまったけど、隣にいるユナさんはうんうんと首を縦に降って良く言ったと言いたげな顔をしている。
そんな私はつい。
「なに?異世界?中二病かなんか?」
それにつられて天王洲先輩も
「神成君。………わたくしに本当の事を話したく無いからってそんなあからさまな冗談で乗り切ろうとお思いですか?」
さっき迄あんなに怒っていたのに今は悲しそうな顔で兄を見ている。
「だ、だから前に言ったんだアホメイド!誰かにこんな話したって信じてもらえずおかしな空気になるって」
兄はそう言うとユナさんに詰めよった。
「アホでは、ワシは天才じゃあ」
ユナさんは天才らしい。普通自分から言わない。
「アホはお主じゃ。お主がアリーナで手に入れてきた。魔道具を彩音と星奈に見せてやれば納得するじゃろう?彩音に怒られて思考がバグっておるぞ。ご主人様よ」
ユナさんにそう言われた兄はハッとした顔をした。
「そうだった。そうだった。くそ、今日は色々あるせいで考えが上手くまとまらないな」
とか言い終えると兄の腰にあった大分古そうな袋に手を突っ込んだ。
「数個見せれば納得するだろ」
そう言う兄に私と天王洲先輩はお互い目を見てアイコンタクトで「どういうことですか?」「全然、分かりませんわ。遂に神成君が壊れてしまったかと。」
さっきから何か吹っ切れた天王洲先輩は兄に対する扱いに遠慮がなくなりつつあり。言葉も鋭利になっている。多分、別れてからのフラストレーションと久しぶりに会って兄と会話が出来たことから辺りがきつくなったんだと思う。
そんな2人の関係を今後どうなっていくか少し気になる私だった。
兄は、古そうな袋から数個の装飾品を取り出した。
「なにそれ?凄く綺麗じゃん。お兄ちゃん頂戴?」
「誰だ。貴様声代わりかい?」
先ほど辛辣な言葉をかけたので普段なら一発で落ちるお兄ちゃん攻撃も全く通じなかった。
何が声変わりだ?アホ兄貴。
「神成君。それは何ですか?まさかユナさんへのプレゼントですか?」
「違います。違いますよ彩音さん。魔道具だよ。魔道具」
これ以上怒られたくない兄は必死である。
昔からの幼なじみなだけあって普段、おしとやかな天王洲先輩を怒らせるのはとても不味いことを昔から一緒にいる兄が一番知っている。必死に天王洲先輩を怒らせないようにしているのが伝わる。
「魔道具ってなに?」
「だからそれを今から説明するよ」
そう言うと一旦沈黙して兄は語り始めた。
「俺はアリーナと言って俺達が今住んでいる地球とは別の異世界にあっちの転移魔法で勇者として召喚されたんだ。それでエスフィールは、アリーナでは元魔王で。俺との決戦の時に時空間が裂けて2人でこっちに戻ってきたんだよ」
そう言うと兄はユナさんの方へと目配せした。
ユナさんはというと兄の説明そっちのけで料理を食べるのを再開していた。
説明は兄に任せる感じらしい。兄はキレそうな顔を一瞬したけどすぐに説明の続きを始めた。
「それを証拠に今、取り出したのがアリーナで俺が作った魔道具だよ」
そう言うとどう見てもアクセサリーにしか見えないブローチ手に取った。しかし結構素敵なデザインだし。普通に欲しい。天王洲先輩も同じ事を考えているみたいで、テーブルにのせられている魔道具とやらをずっと見ている。
女の子は宝石とか装飾品が好きなので辺り前といえば辺り前だけど。
「これを腕に着ける身体能力が少し上がるんだ。俺には魔力はもう無いけど。魔道具の中の魔力は半永久的に魔道具の中で循環しているから無くならずにすむんだよ。それを利用しているお陰で地球でも魔道具だけは使えるんだ」
言うていることがちんぷんかんぷんで頭がついていかないが、説明は続く。
「アリーナに飛ばされた後、俺はあっちの世界で色々な勉強や修行をしたりして魔王討伐の旅へと向かったんだ。それから4、5年位たったはずなんだけどなぜかこっちに帰ってきた時は、飛ばされる前の年齢に戻っていたんだ」
「前にセツナに言われたことで思い出した事があるのだ。それは多分アリーナの女神達のせめてもの恩返しらしいとな。要は頑張ったセツナに若返りと魔道具をプレゼントして地球に返したんじゃろう」
捕捉なのかユナさんが唐揚げを頬張りながら言った。
「それは前に俺が君に話した考察だろう。何を知ってる風に唐揚げを頬張りながら語ってるんだ。全く」
「この唐揚げは美味いのう~!」
もしかしてユナさんって物凄い天然なんじゃないかと思ってしまった。兄が言うにはユナさんはアリーナ?って異世界では魔王だったんだよね?
そんな風には全く見えない。
「それでそこの唐揚げ魔王との最後の戦いで幸運にもこっちの世界に戻ってこれたんだ。エスフィールもこっちじゃいく宛がどこにも無いから。父さんに頼んでこの家に住むことになったんだ」
「なったのじゃ」
さっきから妙に息が合っている。この2人って話を聞いていた感じ宿敵同士だったんじゃないの?
なんだか、ドラマでよくある。熟練夫婦のつまらないやり取りを見ているような感覚に私は陥った。
「まぁ、もっと詳しい話はまた明日にでもするよ。彩音さんも今日はもう遅いしどうせ泊まってくんだろう?」
兄はそう言うと天王洲先輩を見た。天王洲先輩は兄とユナさんのさっきのやり取りを見ていたようでフリーズしてボーッとしていた。
「もしもし?彩音さんよ?聞こえてるかい?」
兄が天王洲先輩に近づき肩を軽く叩く。
「なっなんですか?あっ今日ですか?ではお言葉に甘えてお泊まりさせて頂きます」
そう言うと兄から少し距離を取った。
「俺は食器の片付けやらをやってるから。風呂は3人で大浴場を好きに使って入ってきてくれ。俺はもう入ったから安心して。じゃあよろしいく~」
兄はそう言い終えると御盆に空いた皿を乗せてキッチンへと向かった。
テーブルにはさっきの魔道具?とやらが数個の残されていた。しかしまぁ。
「綺麗じゃろう?アリーナはこっちの様な科学技術は無いが、科学の変わりに魔法技術で色々な事が可能じゃったからのう。装飾品、美術品、彫刻等の技術は無駄に高くてのう。特に勇者が作るアクセサリー類の装飾品はアリーナではかなり高値で売り買いされていたのじゃ」
勇者?ん?つまりそう言うこと?
「えっ、もしかしてこのテーブルに置いてある装飾品は全部、兄さんの手作りなんですか?」
「まぁ、あやつはアリーナでの魔力量が多分じゃが私よりも多かったからのう。魔力量が多い程。魔法技術も高まるものなんじゃ。しかもあやつは繊細な魔力操作を得意としていたと話には聞いていたな。そういう奴らは手に魔力を込めて遊び半分で変な魔道具やらを作るのじゃ。セツナもその1人だったのじゃろう」
「このアクセサリーが遊びですか?信じられません。(ごくり)」
天王洲先輩が生唾を飲み込んでテーブルに置かれてある装飾品を睨んでいる。欲しいのだろうか?
確かに細部に迄、装飾がしてあり、デザインも作り込まれている。私でも欲しくなる。こんなのを兄が作った等と未だに信じられない。
「これは神成君が作ったんですよね?今でも作れるのでしょうか?」
「無理じゃな。地球には魔法の概念が無いのじゃ。セツナも私も魔法は一切使えなくなっておる。魔力が無ければ魔法操作も出来ん。魔法操作あってこその魔道具作りじゃからな。だから地球では無理じゃ」
「そうなんですか。残念です」
天王洲先輩はそう答えるとシュンとなった。
「まぁ、試しに1つ着けてみるとよいぞ。ものは試しじゃな。」
ユナさんから勧められたこともあり。私と天王洲先輩は魔道具を着けることにした。
兄が置いていったどう見ても高そうなアクセサリーにしか見えない魔道具?とやらを私はユナさんに着けるよう言われ。
試しに1つ腕輪型の魔道具を着けてみることにした。
「それは確か身体能力向上の魔法が付与されているとかセツナが言っておったのう。使い方は頭の中で力を入れたいと思った部分魔力を集中させる感じかのう。まぁ、強くイメージする事が大事じゃな」
「魔力って。私、魔力なんてありませんよ」
「だからイメージが大事じゃと言っておろう。それに魔道具というのは魔力無しでも使えるのじゃ。魔道具事態を一種の1つの世界として落とし込んでおるらしいからのう」
「1つの世界ですか?」
「うむ。そうじゃ。これもアリーナの勇者殿が考えたアイディアでのう。あやつこれでズル賢しいことに特許なんぞ取っておって。これで相当荒稼ぎしたらしいがのう」
「兄さんってそんなことまでやってたんですか?」
「噂でしか聞いた事がないが色々やっておったみたいじゃぞ。なにぶんセツナの魔力総量はアリーナでも相当な上澄みじゃったからな。魔力量が多いと色々できる幅が広いんじゃ身体活性化。思考高速化とかのう。魔力操作を極めれば一週間不眠不休で動く事も可能じゃからな。時間は沢山あったんじゃろう」
それで暇を持て余してこんな凄い装飾品を作ったって事?
悔しいけど家族の贔屓目を差し置いても女子としてこのテーブルに置いてある。数個の装飾品のどれかは欲しいと思ってしまう。
隣で未だに魔道具をジーッと見つめている天王洲先輩も同じ事を考えているのかな?
仮にも私や天王洲先輩は世間一般からはお金持ちと言われる分類に入ってしまう。
女の子というのもあってこの綺麗に作られた装飾品の数々に目を奪われないわけがない。
これを兄が作ったというのが未だに信じがたいし。
「おっと話が長くなってしまったのう。とりあえず利き腕にでも力を込めてみるのじゃ」
ユナさんからそう言われ私は利き手の右手に力を込めた。
あれ?何か変わった?何にも変化してないじゃない?
欠陥品?
「試しにこれを握ってみよ」
ユナさんはそう言うとどっから持ってきたのか分からないけど渡された何かを私は持った。
ぐしゃり!ブシュー!その何かを持った瞬間。凄い勢いで握り潰してしまって辺りに握り潰した汁みたいなのが、飛び散った。
「うむ。見事なゴリラパワーじゃな」
そう言われて一瞬だけフリーズしていた私は我に返り右手に握っている物を確認した。
リンゴだった。潰れていた。果汁が飛び散ったせいで服にべっとり着いた。天王洲先輩とユナさんは反射的にすぐに離れたらしく服に汚れは一切ない。
「なにするんですか?何でリンゴがあるんですか?」
「魔道具の効果の検証はバッチリじゃな。ちなみに彩音が着けていた魔道具は身体の反射神経アップの魔法が付与されておる。だから飛び散った果汁も避けられたんじゃな。………服が果汁で汚れてしまったのすまん。………ごめんなのじゃ」
ユナさんはそう言うと一歩後ろに下がった。
逃げようとしている。
「まぁ魔道具の効果を知りたかった私にも責任はありますからリンゴで服が汚れるなんて仕方ないですよ」
私は笑顔でジリジリとユナさんに近づく右手には先ほどの肉塊になった。リンゴと身体能力向上の魔道具が装着されている。
「そうじゃろう、そうじゃろう。だから満面の笑みでジリジリと近づかないでくれ。怖いのじゃ。のう?謝るのじゃ!
私は笑顔で静かに近づく。
「ではそろそろ解散して風呂にでも行こうぞ。のう?星奈もいつまでもそんなびビジョビジョの美女じゃ。その格好ではしょうがないし。先にお風呂に入るとよいのじゃ」
「ぷっふぅ」
ビジョビジョの美女というギャグワードに反応して天王洲先輩が吹き出した。
それが合図だったのか分からないけど。私の中の何が切れた瞬間だった。
「何が何がビジョビジョの美女ですか!!!これでもくらいなさい」
私はそう言うとユナさんに肉塊になったリンゴをユナさんの口めがけて押し付けようと勢い良く近づいた。
「彩音!!助けてなのじゃ~!」
ユナさんはそう言うって彩音さんを盾に逃げようとしたが。私は魔道具の効果で脚力を強化してすぐに追いつきユナさんを羽交い締めにしてリンゴの肉塊をユナさんの口に突っ込んだ。
「やっ!やめるのじゃ!服がメイド服が汚れる。あっ胸を触るなぁ!ちょ!どこ触っておるのじゃ」
この際だからどさくさに紛れてユナさんのボディチェックをした。うむ、スベスベの白い肌に。胸は中2とは思えないほど大きいし形も整っている。お尻もキュッとなっていて小ぶりで綺麗。
「謝るからもう許してなのじゃ」
そこにはメイド服は乱れ。あられもない姿になり(かなりエロい)リンゴの果汁のせいで服がベトベトになった。エロメイドが泣きながら事後の様な姿で床に横たわっていた。
天王洲先輩はというとユナさんと私の戦いを隣で、興奮しながら静かに見ていた。
今も顔が少し火照っている。
「よっよいものを見せてもらいました。弄ばれるエロメイド………眼福です。眼福」
最近、天王洲先輩の近くにいることが増えたらからだんだん天王洲先輩も兄と同じで頭のネジがぶっ飛んでる側だと薄々気づき始めた。
そんなことより。ユナさんへの復讐も果たせた私の心は晴れ晴れとしていて気分が良くなった。
「しかし最初は怪しんでましたけど。本当に凄いですねこの魔道具っておにちゃんくれいないかな?」
「わたくしもデザインもそうなのですがぜひ欲しいですね。」
「ぐすん、ぐすん。リンゴの匂いがするのじゃ。ベトベトじゃ」
未だに泣いてるユナさん(エロメイド)が私達の話に加わる。
「ぐすん、多分。くれと言ってもセツナは渡さんじゃろう。セツナが所有している魔道具が広まれば悪用する奴らも出てくるだろうしのう。それに仮にセツナから魔道具を奪えたとしてもセツナからある程度の距離を取ったり、セツナの許可無しに使えばペナルティを受けるはめになるじゃろう」
「ペナルティ?どういうことですか?」
「アリーナの魔法は女神達との関係もあって。基本的に契約や約束を重要視しておる。下手に破れば使用者にもそれなりのペナルティは課せられるんじゃ。セツナの場合の魔道具も同じじゃ。セツナの不利益になることがあれば魔道具を使った者にはそれなりのペナルティが与えられる」
「そうなんですね?残念ですわ」
天王洲先輩はそう言うともの凄く残念そうである。
「まぁ逆にお主ら2人が普通に使っておるということは使用許可が下りているということじゃな」
ユナさんがそう言い終えると廊下の方から足音が近づいてきた。ドアが開く。
「君たちまだ風呂入ってないのか?………エスフィールと星奈は何で服が汚れてるんだ?」
「色々あったんじゃ」
「うん、色々あるのよ。兄さん」
空気が固まった。
「……………まぁ、いいや、とりあえず1人1人入るのが面倒なら大風呂の方も早く皆で入ってくれよ。俺はもう寝るからお休み」
兄はそう言うと部屋から出ていこうとした。相変わらずの早寝早起きである。変なところで真面目人間でびっくり。
「あー!そうだ忘れてた。リバース!」
「戻れ」
兄がそう唱えた瞬間さっきまで私達がたけていた魔道具が消え。兄の腰に着けた古い袋の中へ入っていった。
「じゃあ、お休み。また明日」
そう言うとドアを閉め自室がある2階へと登っていった。
「あーっ!!せっかくの魔道具があぁあぁ」
「今のはあの魔法の袋の能力でのう。「戻り呼び」と言うんじゃ」
ユナさんがそう言い終えるのを聞いて私もあんな魔道具が欲しいなあと心の底から思った。
多分、天王洲先輩も今、同じ気持ちじゃないだろうか?
そう思いながら私達は大風呂へと3人で向かった。
ユナ・エスフィール視点
我輩はメイドである。もう魔王では無い。
今は神成家。自慢の大風呂に神成家のご令嬢と天王洲家のお嬢様と共にゆっくりとお風呂を満喫している。
セツナの奴はもう寝たらしい。
ゴーチュウブの動画で学んだことだがこういうシチュエーションの時。年頃の男の子は風呂場を覗くと解説動画にあったが、セツナは覗きをしないらしい。
あの若さでもうナニが干からびているのかもしれん。
「ふぅー!いい湯加減ですね。それに家のお風呂場と同じでとても広いです。でも、良く神成君1人で屋敷の管理を出来ていますね?」
「あぁー。それはですね。一週間に2回は使用人の人達が来て家の掃除とか庭の手入れをしてくれているんですよ。最近では、兄が、使用人の人達の出入りを断っているんで来てないですけど」
「では、今は神成君とユナさん。2人だけで家の掃除等をしてらっしゃるんですか?」
「そうじゃな。セツナの奴がワシが入るのに使用人に出入りされて変な噂を神成家本家の連中に知られたくないからとか言うておった。今は掃除よう魔道具とやらが勝手に掃除してくれるからそれ程手間では無いからのう」
「そんな魔道具まであるんですか?異世界便利過ぎません?私も使ってみたい。兄さんズルい」
「その分生活水準はこっちで言う中世ヨーロッパ並みじゃぞ。魔法が便利過ぎて他の分野の技術は余り発展して来なかったからのう」
「中世ヨーロッパですか?それはちょっと生活しづらいですね。でも、わたくしも魔法には興味が湧きました」
「興味を持ってくれたのは嬉しいのじゃが地球では本当に魔法が使えんのじゃ。大気の魔力が全くといっていい程ないしのう。使えたとしてもセツナが所有している魔力を半永久的な循環させて使う魔道具くらいじゃな」
「ではこちらからアリーナですか?行けることは可能なのですか?」
彩音がそう訪ねてきた。
「それは分からんのじゃ。セツナが持っている伝説級の魔道具なら。もしかしたら召喚魔法の類いもあるかもしれんがあやつは、探そうとしないし。そういった危なそうなアイテムは全て封印して二度と使えなくしたとか言いよった」
「危なそうなアイテムって兄さん。そんなものまで持っているんですか?」
「ああ。あやつがアリーナにいた頃は珍しい物があると思えば。バレないようにひっそりと複製品とすり替えていつもぶら下げておる魔法袋に閉まい込んでおったとか言うてたな。多分私の城にあった財宝も戦いのどさくさ紛れて回収しておるな。だが本当なのかは分からぬがな」
セツナの奴は普段はボーッとしているの様に見えるが。抜け目がない奴だ。魔王城に侵入した時やたら城内部を探索していると部下から報告を受けたな。
「そういえばあの魔法の袋とかいうやつ。何であんなに物が入るんですか?それに兄さんが何か唱えたら魔道具も吸い込まれたし」
「わたくしも気になりました。何故ですか?」
「あれか?あれはアリーナの7つの秘宝の1つじゃ。アリーナではあれを売るだけで一緒遊んで暮らせる位の価値があるシロモノじゃな」
「そんな、秘宝を何故。神成君が持っているんでしょう?」
「7つの秘法も魔道具の一種じゃがあれらには女神達の契約が備わっておる。女神達事態に認められないと使う事は出来んのじゃ。後、セツナの奴は魔法の袋以外に聖剣も認められ待っておったな。こっちに飛ばされた時無くしたとか言うておったが」
「あんなに便利な魔法の袋以外にもその秘宝の1つを持ってたんですか?チートじゃないですか。」
「そうなんじゃよう。あやつはおかしいのじゃ。戦っている時もこいつヤベーとか思いながら戦っておったな」
「でも今は魔法は使えないのですよね?神成君は落ち込んだんじゃないですか?」
「逆じゃ逆。魔法が一切使えなくなって、めちゃくちゃ喜んどった。ワシは悲しんだのに」
「そうなんですか?勿体無い」
星奈がそう言ってきた。
「セツナいわく。魔法はこっちの世界じゃ余わなくても生きていけるとか言っておった。そのくせ、魔道具はバンバン使うくせに。全く」
「まぁ神成君なら地球でも好き勝手できる力はありますから。魔法なんて入らないというのにも納得いきますね。無駄にスペック高いんです。彼。それで昔っからたまに無意識にマウント取ってきたりして………はぁ」
昔何かあったらしく彩音はため息を着いた。
「そうなんですよ。無駄にスペック高いんです。私が何回もやって覚える事も。兄さんは一回ヤれば覚えちゃうし。普段勉強してないくせに。一夜漬けで学年1位だし」
「そうなんですよね。要領が良いのか。中学の二学期の中間テストの時なんてテストの結果発表を一緒に確認した時なんて『彩音はいつも学年2位なんだね?凄いねぇ。』とか言ってきて。数時間会話をしてあげませんでした」
「うわぁ。あやつ最低じゃな。ワシも何回もマウント取られていつもプンスカじゃ」
その後3人でセツナの話で盛り上がり風呂場に2時間位浸かっていたせいでのぼせてしまい。
近くにあった連絡用の電話でセツナを呼び。
セツナに介抱され各々の部屋に運ばれ気づいたら次の日の朝になっていた。
とても恥ずかしかった。




