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072:ロックミュージシャン・紅茶・矢文

「最終判決を下す」

 冥府、五道転輪庁――死後四十九日に出される判決で地獄行きと見做された亡者たちにとって、救済を兼ねた三度目の再審、そして本当の意味で最後の処遇が決まる裁判で、一人の男がぶるぶると歯の根を震わせながら跪いていた。

「私欲のため仏閣に火を放ち、騒ぎに乗じ仏像を盗み売り払った罪、またそれに対する自戒の見られない振る舞いは酌量の余地なし。よって五道転輪庁から貴様に下す刑務は阿鼻地獄鉄野干食処、身洋処及び十一焔処の計三刑場の連れ回しとする。その身を焼かれ食われながら己の罪過に向き合うがよい」

「なッ……!」

 男は顔を上げ、判決を下した白い道服の裁判官を睨みつける。そして唾を飛ばしながら「待てやゴルァ!」と声を荒げた。

「前の審判より刑が増えてるじゃねえか!! 再審は地獄行きの奴らの救済じゃねえのか!? ざけんな!! それに寺に火ぃつけたのは生前にムショで臭い飯何年も食ってリセットしたはずだろ!?」

「再審による救済とは文字通り、自戒し省みる者に対し行われるものだ。貴様のような性根の腐った輩にくれてやる物ではない。次の罪人が控えている。連れていけ」

「はっ」

「……ッ!! チクショウ!!」

「あ、てめぇ!」

 火事場の馬鹿力というべきか、男は両肩を抑えていた役人二人を跳ね除けて走り出す。どんどんと遠のく罪人と、一歩遅れて彼を追いかける役人たちの背中を裁判官はため息交じりに眺め、小さく首を傾いだ。

「……またか。逃げたところで刑罰が増えるだけなんだがなあ」

 そう呟き、庁舎唯一の出入り口で待機していた一人に令を発した。


「五道転輪王から地獄局移送課へ通達。罪人が一人そっちに行きました。対応をお願いします」


『了解しました』


 パァン! と即座に庁舎内に銃声が響く。

 それと同時に罪人の騒ぎ声も途絶え、静寂を取り戻した。

『終わりました』

「おや、今日はまたずいぶんと早いね。記録更新じゃないかな?」

『今日はこの後予定がありまして』

「おっと、そうだったのか。手間をかけさせてすまんね」

『いえ、これも職務ですので』

「ふふ、君が地獄局に入ってから亡者の逃亡率ががくっと下がったと聞いている。今後ともよろしく頼むよ――穂波君」



          * * *



「お疲れ様です!」

『『『お疲れ様です!!』』』

「ん。お疲れー」

 冥府、鬼狩局訓練場――全身に切り傷打撲痕を拵えたむくつけき男たちが揃えられた林のように並び、最大限の礼を表す。その中央を征くのは、亜麻色の長い髪を一つに括り、赤い着流しを肩から羽織った小柄な壮年の女。

 周囲が見るも無残にボロボロであるのに対し、彼女は髪の毛一房も乱れていない。

 冥府に所属する鬼狩りは精鋭揃いであり、特に最前線で術を繰る実働部隊に至っては雑兵に値する者すらいない。しかし彼らが束になったとて、今代において彼らを相手に鍛錬を担う彼女には掠り傷一つつけることもできない。

「各自訓練場の片付けを済ませたら食事に行って良し。今夜の見回り担当から順に休息をとりなさい」

「はっ。本日も鍛錬ありがとうございます!」

『『『ありがとうございます!!』』』

「ういー」

 鬼狩りたちに指示を出すと一足先に訓練場を後にする女性。その後ろに一際ガタイのいい青年が苦笑交じりに飲み水を片手に続いた。

「今日はまた一段と気合が入ってたな」

「そう?」

「ああ。連中、痩せ我慢してるが今頃全員床に転がってるんじゃないか」

「そこまで柔な鍛え方してないわよ」

 青年から受け取った容器に直接口をつけ、中身を一気に飲み干した。汗一つかいていないように見えるが、その分高まったままの体温を一気に冷却する。喉元から胃を通して全身が少しずつ冷やされていく感覚が心地好い。

「まあでも、今夜は楽しみにしてたから、ちょっとテンション上がってたかも」

「だろうな。楽しんで来い――梓」



          * * *



「……んごー……ぐー……」

「…………」

 冥府、死神局顧問執務室――だったらしいとっ散らかった個室で、全身をピアスで穴だらけにしたロックを履き違えたミュージシャンのような女が大の字になって眠っていた。それを冷えた鉄のような灰色の瞳でじっと見つめていた黒髪の少女は深い深いため息をつき、彼女の顔面に大量の分厚い魔術書を落とした。

「おぎゃあ!?」

「お目覚めですか、荼枳尼様」

 少女は自ら床に散らした魔術書を一冊一冊拾い、それを虚空間へと放り込む。

「お、起きた起きた……。鼻が痛ぇんだけど」

「不思議ですね」

 つんと冷たく澄まし顔で言い捨て、少女は申し訳程度に髑髏紋様の意匠が彫られた眼鏡のフレームを持ち上げた。

「最近ソウちゃんが優しくしてくれねぇ……」

「仕事をしてくれない上司を持つと非情にならざるを得ないんですよ」

「ちくしょう……楽するために死神局立ち上げたのに、最近なんでこんなに仕事回ってくるんだ……」

「数百年単位でサボるからですよ。わたしが補佐についたからには、名ばかり顧問なんて許されると思わないでくださいね。はい、これ今日期限の書類です。目を通して捺印お願いします」

「判子レスって知ってる?」

「荼枳尼様の担当範囲では実現化は厳しい制度ですね」

 昨今では、局員に対する刑罰を兼ねている地獄局でさえ業務のデジタル化は進んでいる。とは言え、神仏に類する荼枳尼らへ割り振られている作業内容的に難しいのも真実だった。そもそも、自らの名が彫り込まれた印を押すという行為そのものに術式的意味を含んでいるため、必然的に簡略化できない作業も多いのだ。

 少女は自分に割り当てられた執務机の上を軽く整理し、よく使いこまれているが紅茶の渋一つついていないティーカップを虚空間に仕舞い込んだ。

「それでは、わたしはお先に失礼しますね。今日は早番でしたので」

「マ!? じゃあ俺も帰ろ――」

「――縛」

「おわぁっ!?」

 いそいそと立ち上がろうとした荼枳尼の尻に吸い付くように椅子が衝突する。そしてそのまま背中も背もたれに磔にされたように固定化された。

「本日の作業が終わるまで立てなくなる魔法です。頑張ってくださいね」

「鬼! 悪魔! 魔女! 死神!!」

「鬼じゃないです。悪魔交じりの魔女で死神ではありますが」

「ちょっと待ってこれ便所とかどうすんの!?」

「荼枳尼様、排泄しないじゃないですか」

「気分によってするよ!?」

「じゃあ我慢してください。それではお疲れさまでした」

 そう言い残すと死神の証である髑髏の意匠の眼鏡を外し、ケースにしまうと代わりにシンプルなデザインの眼鏡に掛け代え、少女――朝倉真奈は執務室を後にした。



          * * *



「ふんふーん♪」

 冥府、極楽浄土――桃園。

 白髪に白い着物の少女が袖をたすきで括り、梯子に腰かけて桃の枝から花の蕾を一つ一つ摘み取っていた。枝に生る実の数に手を加えることでより大きく甘く、また滋養強壮に良い果実ができるのだ。また摘み取った蕾も特別な香料の材料となるため、無駄にしないよう丁寧に扱う。

「おーい」

「あれ、セイ?」

 桃園の向こうから白い衣の女性が手を振りながら近付いてきた。天使の先輩で、冥府に来てから新たにできた友人の一人だった。

「そろそろ時間ですよっと。確か今日この後予定あるんでしょ?」

「あれ、もうそんな時間!?」

「浄土にいると時間の感覚曖昧になるからねー」

 陰の気が強い冥府において特異な地である極楽浄土は極端に陽の気が強い。そのためかほぼ常に空が明るく、夜になることがないため慣れないと時間を忘れてしまうことがある。

「ありがとう! それじゃあ私行くね」

「はいはーい、それじゃあ楽しんできてくださいね――ビャクさん」



          * * *



「それじゃ、かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

 冥府は八大地獄に位置する衆合地獄に栄える鬼の花街にて、懐かしの顔ぶれが四人集まり居酒屋で杯を交わしていた。

 冥府に帰する者はそれぞれ最も美しい年頃の姿で顕現するため、皆見た目の年齢はばらばらだった。もちろん例外もあるが、少なくともこの場にいる四人とも生前は共に机を並べた学友でもあった。

「いやー、このメンツで集まるの何年振り?」

「最後に朝倉が冥府に来た時に集まって飲んで以来だから、もう何十年も前だな」

 この中で最も年上の姿で冥府で暴れまわっている梓が尋ねると、青年姿の裕が指折り数えて肩を竦めた。

「皆お仕事でそれぞれでしょっちゅう顔は合わせるけど、四人全員ってなるとなかなかスケジュール合わなかったもんね」

「ごめんねー……わたしが忙しくってなかなか時間作れなくて」

 裕と同じかいくらか年下の年頃姿のビャクが苦笑すると、少女姿の真奈が申し訳なさそうに眉根を下げる。それを見て「いやいや」と裕とビャクが首を振った。

「むしろ荼枳尼様がご迷惑をおかけしてます……」

「ちょっと遠回りになるけど、ホムラ姉様経由で宇迦様に一言お願いしようか?」

「そういやそこってそういう繋がりもあったわね」

 クスクスと笑いながら梓がぐいっと手にしたグラスを空にする。裕の記憶では生前は酒には弱いたちだったはずだが、よほど今日を楽しみにしていたのかいつもよりハイテンションのようだ。

 ビャクもそれに気付いたらしく、水を勧めながらメニューに手を伸ばす。

「とりあえずすぐに来そうなものは注文しておいたけど、なにかがっつり食べるものとか時間かかりそうなのも頼んでおく?」

「あたしレバニラ。地獄のニンニクとニラってなんか美味いのよね」

「ああ、吸血鬼も殺せるって触れ込みのアレ」

「じゃあ頼もっか。あと私、焼き魚系も食べたいな」

「……もみじさんを知ってる身としては、なんだかじわじわくるキャッチフレーズだよね」

 梓ほどじゃないにせよあまり酒に強くなかった真奈も既に笑いのツボが浅くなってきているらしく、ぷるぷると肩を震わせながらお通しの煮付けに手を伸ばした。

「そう言えば荼枳尼様で思い出したんだけど、今日もサボろうとしてたから椅子に縛ってから来たんだけど……」

「「本当に申し訳ありません」」

「草」

「どこから仕入れてきたのか、判子レスって言葉覚えちゃって……」

「あー、ついにそっちまで行っちゃったか」

 ぐいっとジョッキを傾けながら裕が苦笑を浮かべる。

「ほら、僕らの親世代で死神局の開発課に入ってきた人がいるんだけど。その人がかなりのやり手でさ、これまで人力でやってた地獄局の記録作業の大部分をデジタル化させたんだよね。多分そこから回りまわって今になって荼枳尼様の耳に届いちゃったんだと思う」

「ちょっと待って? 地獄局の記録って刑罰兼ねてるんじゃないの? その、なんていうか、作業軽減化させていいの?」

 ビャクが当然といえば当然の疑問を投げると、裕は軽く笑って「大丈夫」と答えた。

「代わりに動力としてかなりきつめに魔力吸い取られるんだよ。僕なんかは移送担当だからデスクワークはあんまりないから触れる機会は少ないけどね。あとまあ慣れてない世代だと普通に扱いムズくて、あれはもう立派な刑罰」

「な、なるほど」

「ああ……」

 自分も生前に文明の利器に苦戦した思い出があるビャクと、なんとなく開発者が分かってしまった梓が曖昧に頷いた。

「それで言うと気になるのは、ビャクちゃんだよね……」

「私?」

 運ばれてきた注文の品をつまみつつ、ビャクが小さく首を傾ける。

 それに対し梓もまた頷き、真奈の言葉を引き継いだ。

「浄土管理室って、あたしたちは色々思うところがあるじゃない。そこに就くことになって、心配するなってのも難しいじゃん。いや、今の管理室はだいぶ組織改革されてるってのは知ってるんだけど」

「あー」

 かつて裕たちが学園に通っていた頃、ビャクを始め縁浅からぬ六人が術の柱として当時の室長に捕らえられ、大規模な実験計画に巻き込まれる事件があった。その頃から梓や裕、真奈の浄土管理室の心象はかなり低かったのだが、当の本人は意外とケロリとしていた。

「そうだね。私も最初は『えー』って感じだったけど。でも件の前室長は……その、いなくなって久しいから、もうほとんど昔の気風は残ってないんだよね」

 ちらりとビャクは梓を見ながら言葉を選ぶ。浄土管理室のかつての室長が消滅した事件の際、別件で梓もその場にいたため気を配ったのだが、当の本人は何でもないように大きく頷いた。

「ああ、兄貴ぶっ殺大会の時のアレ。クスクス、そんなこともあったわねー」

「ノリ軽いなあ……」

「今となっては笑い話よね」

「世界の危機だったんだけど……」

「結果として平和に世界が回ってるなら全部OKよ」

 相も変らぬ豪快さに三人とも小さく笑みを浮かべた。

 そして場が緩み始めた瞬間、「だからさ」と懐からソレを取り出した。


「今だからこそ、こういうことに全力で取り組める」


 ピタリと裕の纏う空気が張り詰め、ビャクが姿勢を正す。真奈は即座に結界魔法を展開し、周囲に声が漏れないように空間を世界から隔離させた。

 梓が持ち出したのは、一本の矢文だった。

「あたしらが一堂に会す席を設けるってことは、それほどの事態なんでしょ――真奈ちゃん」

「そうだね」

 真奈は頷き、髑髏紋様のフレームの眼鏡に掛け代えた。


「冥官様からの勅令です。現世で死亡した鬼狩り特務が行方不明となっています。冥府三局及び浄土管理室の一部に情報を開示し、彼の者の捜索と原因究明に踏み切ることとなりました」


「……また、か」

 小さく頷き、裕も懐にしまっていた矢文を取り出した。

「前回が五十年前だっけ。今回妙に短命なのも気になるけど……一度ならともかく、二度目ともなるといよいよ異常事態か」

「一回目の時は私たちも冥府に来てすぐか、冥府に来てすらいなかったからあまり詳しくは知らなかったけど。……うん、助けて、探してあげなきゃ」

「だね。鬼狩局(ウチ)としても、あの人を行方不明のまま野放しにしとくとか論外だから探すのは当然として、地獄局(そっち)は良いの?」

 ビャクが頷き、梓が裕に意向を確かめる。

「もちろん。生前から世話になってるしね。……たまに滅茶苦茶なことに巻き込まれたりもしたけど」

「……敵陣のど真ん中で放置されたって聞いたことあるけど?」

「それはまだ軽い方だね」

 死んだ目で笑う裕に、梓まで若干引いていた。

「ともかく、朝倉の連絡を受けてすぐにデータベース浚ってる。まだ二割くらい残ってるけど、やっぱり前回同様地獄には来てないみたいだな」

「え、もう八割終わってんの?」

「デジタル化のいいところだよな。当の死神局は?」

「……こっちはあまり芳しくないかな」

 ふうと一つため息をつき、真奈が難しい表情を浮かべてグラスを持ち上げ口の中を湿らせる。

「状況が状況だけに大々的に人手を使えないのがネックなんだよね……。事情を把握してる上層部にもたまに現場に出てもらうようにしてるけど、今のところ収穫なしかな」

「そもそも前回はどうしたんだっけ」

「香宮の当主補佐……いや、その時はもう先代か。彼がたまたま見つけて保護したのよ」

 ビャクの問いに梓が答える。

「用事があって狭間から数年ぶりに出てきたら本当に偶然見つけて、大慌てで回収したそうよ」

「それじゃあ今回も手伝ってもらうのは厳しいのかな?」

「どうだろうな。頼めばそりゃ率先してやってくれるだろうけど、そもそもあの人、アレで生者だからなあ……」

「でもあたしらにまで話が回ってきたってことは、その辺はもうかなぐり捨てていいってことじゃないの?」

 ちらりと梓が真奈へと視線を向けると、真奈は灰色の瞳をゆっくりと瞬かせて頷いた。

「そもそも前回の時も研究に噛んでたから、彼に関しては冥府の原則云々はとりあえず無視していいよ。今回も折を見てこちらから頼むつもりだから」

「あれ、それじゃあ僕らって何すればいいんだ?」

 人間でありながら人間という枠組みから外れてしまったあの元魔法師が関わってくる以上、自分たちにできることはもう限られているはずだ。もちろん大枠に嵌めれば現世の存在である彼の者の手を借りずに済むのならばそれに越したことはないため今後も捜索は続けるが、それでも対象をいつまでも行方不明のまま放置もできないため、遠からぬうちに話が通ることになる。

 尋ねると、うん、と真奈は頷いた。

「だから三人にお願いしたいのは――他事例の洗い出しかな」

 今現在、彼の身に生じていることは冥府開闢以来前例のないことである。鬼狩りの印を保持したまま記憶、人格をそのままに容姿まで引き継いで冥府を介さず現世に転生もどきを起こしている。

 しかし記憶と人格をそのままに転生した例というのはないわけではない。

 今三人の目の前にいる真奈がソレだ。

「わたしも含めて、これまでに起きた類似した事例を徹底的に洗い出して、彼の身に起きている現象の解明が目標とします。梓ちゃんにはこれまで通り彼の探索をお願いするけど、ユッくんとビャクちゃんはそっちを頼むことになると思う。……無駄な労力になるかもしれないし、そもそも悪魔の証明みたいなものだから心苦しくはあるけど」

「気にすんな」

「さっきも言ったけど、断る理由もないしね」

「私も! 管理室に地獄局にない記録があるかもしれないから、探してみるね」

「……ありがとう」

 ふう、と溜め息をつき、真奈が指先を繰る。すると結界が解除され、先ほどまで隔絶されていた世界が元に戻る。

「はーい、レバニラお待ちー」

「お、来た来た!」

「相変わらずすげー匂いだな……」

 と、鬼女の店員が運んできた大皿に梓がぱっと表情を明るくし、とっ散らかり始めていたテーブルを整理してスペースを確保する。その独特な香りに苦笑しながら裕は取り皿を用意し、なんともなしに「それにしても」と呟いた。

「死んでまで周りに迷惑かけるなんて、なんだか羽黒さんを思い出すな」

「ユーちゃん、自殺願望でもあるの?」

「ユッくん、それは言いすぎだよ……」

「ユタカ、言っていいことと悪いことがあるよ?」

「あれぇ!?」

 なんだか腑に落ちない反応に面食らいながら、再会の宴はもうしばらく続いた。

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