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37、唐突なる異変

 ジョンが光に問われ、『明けの明星』の正体と追いかけている悪魔の狙いを答えた頃。

 護は月美たちと合流し、帰路についていた。


「で?誰と会ってたんだ?」

「は?」

「いや、嫁さんほっといてどっか行ってたんだろ?」


 合流して早々、清は護にニヤニヤとした顔を向けながらそう問いかけていた。

 昨年度ならばともかく、二年生になってから月美と離れて単独行動することがあまりないため、下衆の勘繰りをしているようだ。

 だが、護はジョンから話を聞くために離れただけであり、月美もそのことを知っている。


「ちと連絡しないといけない人がいてな。携帯使ってるところを見られるのはまずいだろ」

「ほほぉ?そいつはまさか浮気あい……」


 だが、事情を知らない上に、護を弄り倒して遊びたい清はより面白くなるであろうと、浮気相手という言葉を口にしようとした。

 その瞬間、清の背筋に冷たいものが這いあがり、背後から不気味な気配を感じ取った。

 建付けの悪いドアのような音が聞こえてきそうなほど、ゆっくりと視線を背後へ回すと。


「もうそろそろ、いい加減にしたらどうなの?勘解由小路清さん??」

「何故にフルネームな上にさん付け?!つかその顔やめて!まじで怖いから!!」


 にこやかなのだが、うすら寒いものを感じさせる笑みを浮かべている月美がいた。

 この一年間、何度もこの手のことでからかわれ続けているためか、もういい加減、うんざりしているようだ。

 苦笑を浮かべたり、うろたえたりしてはいたが、最近ではそんな反応を見せることがなくなり、恐怖以外の何も感じることができない視線を送られることが多くなった。


「嫌だったら、もうやめたら?それとも、勘解由小路清さんはいじめられて喜ぶ変態さんなんですか?」

「なんでそうなるの?!」


 月美の言葉に、清は必死な様子で否定する。

 自分は被虐趣味者(マゾヒスト)でなければ加虐趣味者(サディスト)もない、いたって普通の人間だ。

 護に絡み過ぎたせいで、男色の気があるように誤解されることはあるが、さすがに他人をいじめたり、他人にいじめられることで快楽を得るような趣味は持っていない。

 全身全霊で否定するが。


「そういえば、勘解由小路って何度そつなくされても土御門に寄っていくよね」

「本人は否定してるけど、本当のとこはどうなんだろう?」


 外野の友人二人にそんなことをささやかれていた。


「ちょっと待て!なんで二人してそんなこと言うの?!桜沢はともかく、吉田はそんな子じゃなかったよね?!」

「あ、話しかけないでもらえますか?」

「私たち、変な趣味の人を友達に持った覚えはないので」

「おいぃぃっ?!」


 二人に対して弁明、というよりも妙な妄想をしていることに対する文句を言ったが、まったく取り合ってもらえなかった。

 頼みの綱とばかりに、護の方へ視線を向けるが。


「あ、こっち見ないでもらえます?警察に連絡しますよ?」

「そこまで?!ねぇ、俺、そこまでのことした?!」


 明美と佳代のボケに乗っかったからか、護からも変態扱いされる始末。

 不当な扱いを受けるいわれはない、と言っているが、実際の所は今までいじり倒してきたことに対する仕返しであるため、ある意味では自業自得である。

 もっとも、本人にその自覚はなく。


「いいもんね!みんなしてそんな扱いされても、俺にはこれがあるから平気だもんね!!」


 何やら不貞腐れて携帯を取り出した。

 どうやら、夢中になっている『幻想召喚物語』で遊ぶようだ。


「お!さっそく会話機能が実装されてるな」


 アプリを起動させてから、清がそんなことを呟く。

 どうやら、先日から話していた簡易的な会話機能が導入されたらしい。

 その言葉に、清と同じように『幻想召喚物語』を遊んでいる明美も携帯を取り出し、アプリを起動させる。


「あ、ほんとだ」

「んじゃ、早速試してみますか!」


 清は早速、導入された新機能を試し始めた。

 その無邪気な様子に、護と月美は呆れたようなため息をつくが、ふと何かに引っ掛かりを覚える。

 今回の事件に関わっていると思われるバフォメット。

 彼の狙いが『明けの明星』の復活だということまでは推測ができている。


――だけど、その手段は?神と戦ったというほどの存在を呼び出すなら、魔力や霊力にしてもバフォメット自身のものだけじゃ足りないはずだ。どこから不足している分を補うつもりなんだ?


 『神』という最上位の存在を呼び出すというのは、言うほど簡単なことではない。

 それなりの霊力が必要となるだけでなく、場所や時間といったいくつかの条件も満たしていなければならないこともある。

 それだけでなく、日本に根を下ろし、日本の自然の中に息づいている神々は基本的に気まぐれだ。

 自身が声をかけ、約定を交わしでもしない限り、人間の呼びかけに答えるようなことはしない。

 理の違う大陸の存在がどうなのかはわからないが、上位存在というものは、滅多に呼び出せるものではないことくらい、バフォメット自身が何よりわかっているはずだ。


――もし、『幻想召喚物語』に会話機能を取り付けるように提案したのはバフォメットで、その目的が『明けの明星』を呼び出すために不足している霊力を補充するためのものだとしたら!


 簡易的なものであっても、問いかけに答えるということは、回答者の魂の一端をつかむ行為でもある。

 そこからつかんだ、蜘蛛の糸のように細い縁を霊的な通路にして、生命力や霊力を集めることが目的だったのだとしたら。

 そこまで思い至り、護は二人に携帯を閉じるよう伝えようとした。

 その瞬間。


「なっ?!」

「じ、地震??!!」

「ちょ、え、どういうことだよ!」

「な、なになに?!」

「や、やだぁっ!!」


 突如、地面が大きく揺れ出し、五人はその場で身動きが取れなくなってしまった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます

よければ、下の☆を好きな数だけ★にしていただけると、作者のモチベーションにつながります

よろしくお願いいたします!(>人<;;

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