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転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件【2026年アニメ化決定】  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
第8章

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338/376

338.離れているからこそ


 昇降口で沙紀と別れ、玄関口の掲示板で自分のクラスを確認し、2―Cへと足を向ける。新しいクラスの席は既に半分ほどが埋まっており、早速わいわいとお喋りの輪が広がっていた。

 クラス分けがなされた新しい教室の顔ぶれは、当然のことながら去年と違う。月野瀬ではなかった現象に、少々戸惑いを隠せない隼人。

 それから、春希の姿が居ないことにも。

 その名前はクラス名簿にもない。

 春希とはクラスも離れてしまった。

 まるでどんどん春希と距離ができていることに、寂寥と焦燥を共に抱かせる。

 隼人はそれらを振り払うかのように小さく(かぶり)を振り、改めて教室内を見回す。

 顔ぶれが変わったとはいえ、全員が知らぬ相手というわけでもない。ざっと見回した感じ、3分の1は前のクラスと同じだろうか。

 しかし去年までは別のクラスだったのに、よく見知った顔を見つけ、隼人は不思議な高揚と共に彼女へ声をかけた。


「みなもさん、同じクラスなんだ」

「隼人さん! そうみたいですね。これから1年よろしくお願いします」

「あぁ。それにしてもよかった、話せる友達が居て少しホッとしているよ」

「ふふっ、私もです。けど話せる友達といえば、その……」


 みなもは歯切れ悪く、ある席へを視線を向けた。

 そこでは席に突っ伏し、「えま……えま……」と絶望に染まった声を呟く伊織。

 何ともいえない体たらくな姿の友人に、隼人は肩を竦めて答える。


「伊織はその、伊佐美さんと別のクラスになっちゃって……」

「あ、あはは……」


 伊織は掲示板で恵麻と別クラスだと判明して以来、魂が抜けたようになっていた。隼人が首根っこ引っ張って、このクラスにまで連れてきた形だ。

 もしクラスが別になっても会いに行くと息巻いていたものの、実際にこうして別れてしまったことにショックが隠せないらしい。

 こればかりはどうしようもないと思うものの、新しいクラスで浮き立つ中、陰鬱な空気を撒き散らすのはいかがなものか。いつまでもこのままだと、二年生最初期の人間関係の構築にも支障が出るだろう。しかし、なんて声をかけていいかもわからなくて。

 二人がどうしたものかと眉でハの字を作っていると、横から弾んだ声をかけられた。


「やぁ、隼人くんにみなもさん! 今年は同じクラス……って、どうしたんだい、浮かない顔をして?」


 一輝だった。どうやら一輝も同じクラスのようだ。

 神妙な顔をしている二人を見て不思議そうにしている一輝に、隼人とみなもは顔を見合わせ苦笑し、同時に伊織へと視線を促す。

 すると一輝は目をぱちくりさせた後、伊織の呟きから事情を察する。そして眉根を寄せて、顎に手を当て考えることしばし。やがてやけに達観した表情を浮かべ、伊織に優しく話しかけた。


「伊織くん、伊佐美さんとは別のクラスになっちゃったみたいだね」

「恵麻がいなくなっちまった……うぅ、いつもすぐ近くにいた恵麻が遠くに行――」

「だけど二人の関係を深める、丁度いい機会だと思うよ」

「――どういう意味だ、一輝?」


 一輝の言葉を聞き逃せないとばかりに、机からがばりと顔を上げる伊織。

 伊織の視線を受け止めた一輝は目を細め、諭すように言う。


「すぐに会えない、そんな距離があるからこそ、次に顔を合わせた際には、よりよい時間にしようと思わない? それからいつでも会えないからこそ、次に会う時にはどんな自分を相手に見せようとか、己を研鑽したりも」

「む……確かにそうだな……」

「相手のことを思い、そしてまた会った時に自分はどうしたいかを見つめ直す。離れてしまったのは寂しいけど、ピンチはチャンスとかいうでしょ? そういった機会にするのもいいんじゃないかな?」

「あぁよく考えたら、めそめそした情けない顔ばかりしてると恵麻に笑われるしな!」

「それにちょっと離れたくらいで、どうこうなるような仲でもないでしょ?」

「おぅ、当たり前だ!」


 そう言って伊織は鼻息荒く立ち上がり胸を叩き、いつもの調子を取り戻す。

 元通りになった伊織に、隼人はみなもと一緒にホッと胸を撫で下ろすと共に、こちらに目配せする一輝にも気付く。

 先ほどの一輝の言葉は、やけに隼人の胸にもすとんと落ちた。きっと、こちらに向けての言葉でもあったのだろう。

 そのお節介めいた心遣いがありがたいやら、こそばゆいやら。

 複雑な心境の隼人が気恥ずかしさ半分から肩を竦めて苦笑すれば、一輝はどこか不敵な笑みを浮かべて返す。

 すると、ふつふつと胸に熱いものが灯る。


(っと、春希のことで気を揉んでばかりいてもダメだな)


 隼人は少し腑抜けていた自分に、喝を入れた。



カクヨムの方で新作投稿しました。

そちらの方もよろしくお願いしますね。

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― 新着の感想 ―
多方面で大活躍ですね。頑張ってください。
隼人さんも、次に春希さんに会うまでに何らかの答えが出せればいいですね。
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