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朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる 〜1レベルから始める地道なレベルアップ〜  作者: いかぽん


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第164話 潜入捜査

 いかにも金持ちの豪邸といった雰囲気の、ゴルドーの屋敷。

 その屋敷の廊下を、俺と風音さんは足音を忍ばせ、静かに進んでいく。


「それにしても広い家だね。二階も合わせて、部屋の数って全部でいくつあるんだろ」


「さあ。三十か四十か、そのぐらいはありそうですけど」


「うへぇ。その中から探すの、大変だなぁ」


「しかも『隠し部屋』まで視野に入れておかないといけないですからね」


 ゴルドーの屋敷は二階建てで、豪邸らしくたくさんの部屋がある。

 その中からエスリンさんの居場所を探り当てないといけない。


 さらに、以前の強硬捜査の際にこの屋敷に突入したことがあるアリアさんの話によると、この屋敷内のどこかに「隠し部屋」でもないと道理が合わないという話だ。


 以前に強硬捜査したときにも、誘拐されたと思しき人物が屋敷内に入ったところまでは、ほぼ確定だったという。

 しかし、それをあてにして突入してみたら、さらわれた人を発見できなかったとのこと。


「ま、やるしかないよね。──っと、大地くん、そこの角の先から誰か来るよ」


 廊下を進んでいたところ、風音さんが正面の曲がり角を指して言う。


 その先から誰か──おそらくは屋敷の使用人だろう──が来るとしたら、このままだと鉢合わせコースだ。


「まずいな。【隠密】スキルの効果を信じるか? いや、だが──」


 一般人相手には特に高い効果を持つ【隠密】スキルだが、その力も万能ではない。


 注意力が散漫になる程度のものなので、武装した冒険者が屋敷の廊下を歩いていたら、さすがに分が悪そうだ。


 せめてもうちょっと目立たない格好をしてきていればと思うが、後の祭りだな。


「仕方ない。遠回りになるけど、一度戻りましょう」


「ううん、待って。そこの部屋の中、たぶん誰もいないよ」


 風音さんがそう言って、すぐ近くにある扉を指し示す。


 風音さんが修得している【気配察知】スキルの効果範囲は、風音さんによると、「聴覚」をイメージすれば分かりやすいらしい。


 例えば廊下の曲がり角の先であれば、かなり遠くの気配も察知できる。


 一方で、壁を隔てた部屋の中などに対しては、効果は相当に制限されるようだ。

 マンションの自室に、隣の部屋の音がどのぐらい漏れ聞こえてくるかみたいな話。


 ゆえに【気配察知】だけで、この屋敷全体の人の動向をつかむことはできない。

 だがすぐ近くであれば、部屋の中であっても、人の気配の有無をある程度は察知することができる。


 俺は風音さんの感覚を信じて、指し示された扉のノブを捻る。

 扉は静かに開いた。


 わずかに開いた扉のすき間から、慎重かつ素早く部屋の中を覗き込む。

 部屋に人の姿はなかった。


 俺と風音さんは、部屋の中に入って静かに扉を閉める。

 しばらくすると、かつかつという足音が近付いてきて、やがて遠ざかっていった。


 俺と風音さんは、ホッと安堵の息をつく。


「やれやれ。この調子だと、屋敷じゅうを探索するのに、どれだけかかるか分からないな」


「ねえ、大地くん。これ──」


 風音さんが呼びかけてくるので、何かと思って見てみると、指し示していたのは部屋の中にあったいくつかの衣装ケースだった。


 風音さんはその中から一着の衣服を取り出して、俺に見せてくる。

 いわゆる「メイド服」という種類の衣装だ。


 さらに別の衣装ケースからは、執事服らしきものも出てきた。


「大地くん、これなら」


「なるほど。いけそうですね」


 俺と風音さんは、その場で着替えをして、衣装チェンジを行った。

 身につけていた武具は、【アイテムボックス】にしまっておく。


 メイド服を着た風音さんと、執事服を着た俺。

 使用人の姿に扮した俺たち二人は、部屋を出て何食わぬ顔で廊下を歩いていく。


 しばらく進んでいくと、執事服を着た屋敷の使用人らしき男が一人、正面からやってきた。

 事前に気付いていたが、今度はわざわざ隠れたりはしない。


 俺たちの横を、使用人らしき男は特に違和感をおぼえた様子もなく、普通に通りすぎていく。

 男が角を曲がっていったのを確認して、俺と風音さんはぐっと拳を合わせた。


「よーし。これならサクサク行けそうだね」


「ええ。エスリンさんが心配です。急ぎましょう」


 メイド服の風音さんと、執事服の俺。

 俺たち二人は潜入工作員よろしく、屋敷内を探っていった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 黒髪ってかなり目立つんじゃなかったっけ そんなのが2人いて服装だけで誤魔化せるのかな
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