怪奇三 ジェットコースター(その二)
連続更新でございます。こちらが先の方は、一つ前からどうぞm(__)m
何故、何故。こんなことに。
「大内君がぁ、誘ったからかなぁ。君のせいだよぉ」
後ろからぽたんと、鉄臭い水滴が落ちる。
「いつか君たちに復讐したかったんだぁ。ありがとう」
じわりと、股間から何かが染み出てきた。
「あはははは。ねぇ、恥ずかしいよ。お漏らしなんてしてさぁ」
囃し立てるように言われるが、大内は何も答えられない。
「ねぇ、知ってた? ここのジェットコースターって、二周回る間に誰も乗ってない場合、お客さんが来るんだってさ」
楽しみだねぇ、そう言ってくるが、何故か歯がカタカタとなって、何も話せなかった。
カン、カン、カン、とうとうジェットコースターが戻ってきた。
完全に止まった時、べちょりという音がした。
ズズッ、ズズズ、ズズズズズ!
真っ黒な靄が、こちらに近づいてきた。
シュッという音とともに、目の前にあった首はなくなり、あるのは暗闇だけ。
周囲は、これでもかというほどに暗くなる。
『ようこそ、久しぶりだ。生きた人間は』
靄が完全に大内を包み込み、そして投げ捨てた。
気が付けば、明るい場所にいた。目の前にいるのは、幸せそうな親子。大内は悔しいと思う以上に、憎らしかった。
「ほら、――の大好きなジェットコースターだ!」
「うん! 僕一人で乗ってみる!!」
身長制限をクリアしたばかりの子供が嬉しそうに笑っていた。
事故ってしまえ。そんなことを思った。
その子供が乗ったジェットコースターは真上で止まって動かなくなった。
ざまぁみろ。そう思った瞬間、子供が落ちた。
そして、いきなり動き出した。緊急停止も効かず、ジェットコースターは勢いをもって動く。
止まった時、子供はどこにもいなかった。
次の瞬間、また真っ暗になった。
「おかえり、人殺し」
そう、水沢になじられた。
そこで大内の意識は途切れた。




