7 世界会議、開催
そして――第一回サミットの日がやって来た。
俺は『希望の盾』の一員としてその会議に召集されている。
「私はエルメダの王、エイギス。今回の会議の議長を務めさせていただきます。冗長な挨拶は抜きにして、さっそく本題に移らせていただきたく」
初老の王は全員を見回し、そう切り出した。
「まず基本的なことから説明します。すでにご承知の方も多々いらっしゃるかとは思いますが、この場にいる全員の認識を一致させるため、ご容赦いただきたい」
エイギス王が言った。
「奴らは『災厄の王』とその配下『使徒』から構成される軍団です。太古の昔より幾度も人間の世界に侵攻し、甚大な被害をもたらしてきました。
奴らを束ねる『災厄の王』自体が攻めてきたことは数えるほどしかありません。ですが、『使徒』に関してはそれなりの数の侵攻事例があります。直近においても、何度も襲来しており、この中にも自国が被害を受けた方はいらっしゃるでしょう」
会議に出席している王や高官の中には深くうなずく人が何人もいた。
「ですから、その力を、脅威を、既に味わった国も少なからずあるはず。『災厄の王』とその軍団は世界を襲う驚異なのです。そしてその脅威はより増して、我らに等しく迫っている――」
その後、会議は『災厄の王』や『使徒』についての概要、各国の対使徒部隊についての説明、さらに現状や問題点、今後の懸念点など説明が続いた。
大半の説明は、俺が既に知っている情報だった。
冒頭でエルメダ王が言ったように、今回は各国の現状認識を一致させたいという意味合いが強く、ここまで判明している情報の共有という側面が大きいんだろう。
ただ――既に知っている人間にとっては、若干退屈なのも事実だ。
「ふあ……」
ついあくびをしてしまう。
……って、駄目だ駄目だ。
もっとしゃっきりしないと。
ごうんっ!
爆音が響き渡ったのは、そのときだった。
「なんだ……!?」
会場になっている城のすぐ側だ。
「あれは――!」
会場内の誰かが叫んだ。
窓の外に黒いモヤのようなものが漂っているのが見えた。
そこから巨大な何かがしみだしてくる。
空間を捻じ曲げ、移動している……!?
「使徒か!」
しかも、この数は一体や二体じゃないぞ。
「全部で……13体!?」
俺は驚愕した。
今まで散発的に現れた使徒が、ついに複数での同時侵攻を始めたのか?
あるいは、まさか――。
「人間どもよ。これより世界はお前たちの手から離れ、我らが王のものとなる」
「王の名は――『災厄の王』」
「さあ、おののけ」
「さあ、平伏せ」
「我ら、王の使徒として貴様らを殲滅する――」
使徒たちがいっせいに咆哮した。
とうとうこの日が来たってことか。
「災厄の王の軍勢が、人類を攻めてきた……!」
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