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81 いずれ、勇者になる少年4(レム視点)

「な、なんだ、このガキ――?」

「この光……魔力じゃねぇ……!?」


 魔族たちが狼狽していた。


 確かに――エリオスが放っている黄金の光は『魔力』ではない。


 戦士系のクラスが放つ『闘気』でもない。


「勇者だけが持つ光……『聖なる光』……」


 レムはつぶやいた。


 そのあまりの神々しさに体の震えが止まらなかった。


 同じだ――。


 マリエルが放つ黄金の光と、まったく同じ。


 いや、それ以上のすさまじい威圧感だった。


 マリエルから以前に聞いたことがある。


 神から選ばれた存在である勇者と聖女は、神と同質の力――『聖なる光』を身にまとうのだと。


 マリエルはその力を具現化し、聖女としての戦闘形態を操ることができたというが……。


「魔族は……皆殺しだ……」


 エリオスはゾッとするほど冷たい声音で告げた。


 先ほどまでの気弱そうな少年の面影は、すでにどこにもない。


「やっぱり、あなたが――」


 勇者。


 その二文字がレムの脳裏に浮かんだ。




「ふうっ……」


 エリオスが息を吐き出す。


「な……!?」


 レムはその光景を呆然と見ていた。


 一瞬、だった。


 エリオスが右手からまばゆい黄金の光を放ったと思った次の瞬間には、すべての魔族が細切れにされ、その数千の肉片も光に飲みこまれて消滅する。


 世界最強の魔術師と呼ばれるレムでも、ここまで圧倒的に魔族を撃破することなどできない。


 聖女と呼ばれたマリエルとて同じだ。


 まさしく、勇者。


 まさしく、魔を滅する者――。


「エリオスくん……あなた、その力はどうやって――」

「夢でマリエルが僕に教えてくれたんだ。自分は魔族に殺された、って」


 エリオスが言った。


 その瞳から涙がこぼれ落ちる。


「そのときは半信半疑だった。単なる悪夢だと思っていた。けれど、レムさんがここに来て、マリエルが死んだことを教えてくれて……あの夢は、死んだマリエルが僕のところに来てくれたんだ、って分かった……」

「エリオスくん……」

「だから、魔族が目の前に現れたとき、僕の中で何かが切れたんだ。こいつらが――こいつら魔族が、マリエルを殺した、って……!」


 エリオスは全身を震わせた。


 ごうっ……!


 ふたたび、その体から黄金の光が湧き上がる。


 そうか、怒りだ。


 レムは理解した。


 この光は――【聖なる力】は、エリオスの魔族への怒りや憎しみを根源として発動するのだ。

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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


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