116 速攻
4チームが武闘場に上がった。
武闘場は直径500メートルという巨大な円形で、真ん中に小さな山が二つ設置されている。
そこに身を隠しながら戦ったり、あるいは高地から有利なポジションで遠距離攻撃をしたり……と戦略に幅が生まれる仕組みだ。
武闘場から落とされれば、その選手は失格。
戦闘不能になったり、他チームに捕縛されたりしても失格だ。
そうやって四チームが入り乱れて交戦し、最後まで残った一チームが勝利となる。
また三十分という時間制限があるため、時間内になっても複数チームが残っていた場合は、残り人数が多いチームの勝ち。
残り人数が同じだった場合は延長戦となる。
主なルールはこんなところだ。
そして、対抗戦が始まった。
第三騎士団4番隊は、前方100メートルくらいの地点にいる。
他の二つの部隊は山の向こう側に隠れていて、まだ姿が見えない。
こちらの作戦におあつらえ向きのシチュエーションだった。
「隊長、俺が速攻で決めます!」
言うなり、【突進】する俺。
他の二部隊がやってくると、作戦の立て直しになる。
その前に、俺が決める――!
一気に加速して、距離を詰める俺。
「あ、あいつ、一人で突っこんでくるぞ!」
「舐めるな!」
向こうは魔法弾を撃ってきた。
俺はそれらを簡単に【見切る】と、
「はあああああああああっ!」
さらに距離を詰め、前衛の魔族二人に対して剣を一閃、二閃。
「ぐおっ!?」
殺さないように剣の腹で軽く叩いただけ。
それでも、下級魔族の標準を圧倒的に上回っている俺のパワーは、それだけで二人の魔族を場外まで吹っ飛ばした。
よし!
こいつら、近接戦闘ならカザオトやミラよりはかなり劣る。
このまま速攻で全員叩き落とす――!
「ふうっ」
きっかり二分。
俺は五人の魔族を全員武闘場の外まで吹っ飛ばした。
前衛の二人を即座に倒したのが大きかったみたいで、後衛の魔術師タイプはなすすべもなく、俺に吹っ飛ばされていった。
まさに完勝だ。
「お、お疲れ様……」
さすがのラヴィニア隊長も驚いているみたいだ。
「おいおい、俺の見せ場まで全部持って行くなよな~」
ミラが口を尖らせる。
「あ、ごめん。つい勢いで……」
「いや、さすがの剣の冴えでござる。拙者、感服いたした」
と、カザオトが褒めてくれた。
「お、俺の活躍の場がない……」
バロールは悲しげだった。
さあ、残りは二部隊だ。
このままサクッと決めて、一回戦突破と行くぞ――。
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