表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/121

107 雷の歩法

「こ、これは――!?」


 カザオトが驚愕の声を上げる。


 俺は激しいステップでジグザグ走行しながら、彼に迫った。


「――参った」


 間合いに侵入し、一閃させた剣を、カザオトの前に突きつける。


 同時に彼が降参を宣言した。


「見事でござる」

「……いや」


 俺は首を左右に振った。


 その場にへたりこむ。


「ゼル殿……?」

「足がガクガクだ。この歩法は脚力を消耗しすぎる」


 俺は苦笑した。


「カザオトはすごいな。こんな歩法を使いこなして戦ってるんだろ?」

「見たところ、ゼル殿は常に全力で走っているように見受けられる」


 と、カザオト。


「この歩法の肝は『全力』と『脱力』でござる」

「あー……『脱力』を覚えないと、あっという間に消耗しちゃうわけか」

「然り」


 俺の言葉にカザオトがうなずいた。


「助言ありがとう。参考になったよ」


 俺は礼を言った後、ハッとなる。


「あ、でもいいのか? それって奥義の術理を教えるようなものだろ?」

「構わぬ。もちろん、みだりに教えるようなことではござらぬが……ゼル殿はいずれ、さらなる高みに行く方だ。わずかでもその手助けになれば幸い……」

「カザオト――」


 俺は微笑んだ。


「ありがとう」


 感謝を込めて、深々と一礼した。


    ※


 一方、そのころミラ・ソードウェイも修行をしていた。


 相手は3番隊の隊長を務めるラヴィニアだ。


 銀髪碧眼の美女を前に、ミラは緊張気味だった。


 今でこそ部隊長に過ぎないが、かつてラヴィニアは魔界最強クラスである騎士団長の一人だった。


 ただ、数十年前の【覇王戦役】を境にその職を自ら辞し、部隊長に甘んじているというが――。


「致命的な怪我を負ったとか、衰えたとか……そういうわけじゃないよな、やっぱ――」


 こうして向かい合うだけで、すさまじいプレッシャーで押しつぶされそうになる。


 しかも彼女はまだ本気には程遠い。


 にもかかわらず、本能が全力で警戒を発していた。


 ラヴィニア・ティルゾードは戦闘能力の次元が違う――と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg


▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ