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次の目的地は?

「ユウ、レナ。次は特に目的地決めずにぶらつくぞ」


 レナの城に厄介になりながら1週間が経った。

 正直ここまで長くいるつもりはなかったが、若手の育成のためにとシリウスに言われたので意外と時間が掛かった。

 訓練が終わった後は町で雌をつまみ食いしたり、毎晩レナを抱くばかり。

 ぶっちゃけ飽きた。


 ちなみに町でちょっと雌をつまみ食いした後はレナがその雌の匂いを消すように激しく交尾するからそれが余計に気持ちよかった。

 レナも俺の物を受け入れる事に慣れてスムーズになったし、交尾すると分かるとすぐに股を濡らすので前戯ぜんぎなしで受け入れられるようになったのはマジでありがたい。


 そしてユウの方は少しずつ興味を持ち始めている。

 光源氏計画をしている訳ではないが、どうもユウは性交と言う物を通して愛を知ろうとしている節があるように感じる。

 まぁ俺がエロでユウの前でも何てことなく交尾しまくっているせいで感覚が狂っているだけかもしれないが、愛のある性交と愛のない性交の違いから『愛』は何なのか調べようとしている様に感じた。


 更に不思議なのだがユウの成長が異常に速い。

 成長と言っても戦闘技術ではなく身体的特徴と言う意味で背がどんどん伸び、肉付きも少しずつ女性らしくなりつつある。

 それに以前のユウなら服がキツイくらい何も言わず、着続けて俺が気付いて服を買い直す事になっていただろうがその前に自分から言った。

『服がきつい。新しい服が欲しい』

 そうユウが行った時は本当に驚いた。


 新しい服のためにベレトの所に行く事も考えたがそれはやっぱりやめておく。

 何と言うか……今のユウの成長速度から予想すると、今新しく服を買い替えてもまたすぐ切れなくなると思う。

 ベレトの所は品が良いだけに金もかかる。人間の国の物だったら遠慮なく奪うがベレトが居る国ではしたくない。

 まぁ金に困っている訳でもないがポラリスに所属している国に金を払うのはしゃくだ。

 それにすぐ着られなくなるなら高いもの買わなくてもいいしな。


「目的地は決めないのですか?」

「ああ。正直今やりたい事は特にないし、やるとしたらポラリスの上層部について調べるくらいだが……どうでもいいからな。あの国は邪魔だが滅ぼすとしても面倒臭い。俺1人でポラリスの住人絶滅させるのは流石に非現実的過ぎる」

「それじゃどこ行くの?」


 レナだけではなくユウも聞いて来る。

 身体の成長とともに自己主張もしてくるようになったな。


「だから思いつかないんだよ。だからとりあえず人間の国で何か悪い事でもしようかな~って感じ。だからそう難しく考える必要はないぞ」

「でも大雑把でも目的は作っておいた方が良いんじゃない?」


 ……つい数ヶ月前まで無感情の無表情が言うようなったじゃないの。

 そして不思議そうに表情も作れるようになってるじゃん。

 前のお前の写真見せるぞ。正確にはスクショだけど。


「そうだな……なら大罪系スキル持ってる奴が他にいないか調べてみるか」

「他の?」

「そうだ。ぶっちゃけクエストで得る事ができるのは『憤怒』と『色欲』、これに関してはレナとベレトが持っているならそれでいい。次に『強欲』に関してはジラントが持ってるし、『傲慢』に関してはサマエルが持っているかもしれないからだから残りの3つ。『嫉妬』『怠惰』『暴食』の3つが誰かの手に渡っていないか確認する。これでいいか?」

「ちなみに取得条件は?」

「どれも行動で手に入るスキルだったからな……詳しい事は言わないが知らない間に条件を満たして手に入れている可能性は高い。知っていればさらに取得は簡単だ」

「ナナシ様が言う簡単は普通から見れば相当難しいと思いますが」


 レナが何かツッコんだような気がするけど無視。

 自分で言っておいてなんだが、他の大罪系スキル所有者がいるかどうか判別するなら次の行き場所はあそこだな。


「それじゃ次の目的地は聖域だな」


 俺がそう言うとユウ以外は全員ビクッとした。

 ユウだけはよく分からない様で質問してくる。


「聖域ってどこの聖域?」

「もちろんポラリスが所有している聖域だ。と言うかどこって聖域って複数あったっけ??」

「あるよ。ポラリスの首都だって聖域として認定されてるし、他にも神様に会う前に身を清める滝、300年前の聖戦の跡地、あとは聖獣が居る聖域の4つあるよ」

「そうなんだ。今回向かうのは聖獣が居る聖域だ。と言うか昔はあそこの事しか聖域って言ってなかったのに増えたんだな」


 これがジェネレーションギャップと言う奴か。

 聖域って言ったら聖獣が住んでいる土地だろうに。

 そう思っているとシリウスが口を開く。


「聖獣の聖域は現在危険じゃと聞いておりますが」

「危険?」

「なんでも聖獣を狙った密猟者が最近激しいと聞いております。故にポラリスも聖域に力を注いでいるとか」

「へ~。確認ついでにポラリスにダメージを与えられるならそれも良いな」

「そう簡単に言えるのはナナシ様だけです。あの聖域を守っているの聖女と言われるポラリスの中でも上位の実力者です。聖女と言う言葉の割にかなりの武闘派だとか」

「武闘派聖女。強力なワードが出て来たな……回復系が得意じゃないの?」

「あのポラリスですじゃ、守るよりも攻める方が得意なのは知っておりましょう。それは聖女もしかり。付与魔法で自身を強化しながら相手を殴る、まるで獣人われわれのような戦い方をすると聞いております」

「それほんとに人間?」

「ポラリスが人間以外の者を抱えているとは思えません」

「それは確かに」


 人間至上主義と言っていい連中しかいないからな。

 宗教上神様の事を敬ってはいるが、腹の中じゃ何考えているのかさっぱり分からん。

 本当に不気味な組織だ。


「ま。それだけ強そうな奴がいるならレベリングにもなるだろ。レナはもうすぐレベル99に到達しそうだし、ユウも聖獣を狩ってレベルアップできるだろうし」


 聖獣って意外と経験値持ってるんだよな。

 人間狩るよりも経験値は少ないが、普通のモンスターを相手にしているよりは経験値の入りが良い。

 しかも種類によるが回復系アイテムにする事ができるし、無駄がないんだよな。

 元々聖獣と言うのは回復効果を持つモンスターの総称だったはずだし、生態はモンスターと変わらない。

 ただし大昔に聖獣の乱獲があった事で数が激減、これによりポラリスはこれ以上聖獣を減らさないために聖獣がいる場所を聖域と認定し、保護し始めたのが始まりだ。


 と言っても実際の所はポラリスが聖獣の独占のための措置だ。

 聖獣の血や肉は余すことなくすべて回復アイテムの製造に役立つし、加工方法を変えれば能力向上系消費アイテムを作り出す事も出来る。

 しかも聖獣系の素材を使うと効果が永遠に持続する。

 簡単に言うとMPの上限を増やしたり、ステータスを上昇させる系の消費アイテムが作れる訳だ。

 他にもこの世界のNPC向けではあるが難病を治すための薬の素材になっていたりその価値は非常に高い。

 それを独占する事でポラリスは多くの金を手に入れてきたのだろう。

 これくらいあいつらなら平然とやる。


「でも聖獣は人の悪意に敏感だって聞いた事あるけど、そんな簡単に狩れるの?」

「あいつら聖獣にもレベルは存在する。そのレベルより10くらい上なら確実に狩れる」

「平均レベルは?」

「30前後。俺らなら余裕余裕」


 俺達から見れば大した事のないレベルだが、普通の人間からすれば非常に高い。

 それでも俺達高レベルの存在でもある程度はレベリングになるので効率は少し悪いがまぁ仕方ない。


「という訳で聖域に行ってくる」

「止めても無駄でしょうが、無事にお戻りください」

「誰にもの言ってるんだよシリウス。俺は天下の大罪人様だぞ。殺す事はあっても殺された事は1度しかない。しかも遊び疲れてどうでもいいと思っている時に殺されたんだ。今面白いと思っている時に死んでや~んない」


 そう言うとシリウスは苦笑いを浮かべながらも少しだけホッとした様子を見せた。


「それじゃ早速午後から行くぞ。目標は聖域。レナ、準備しとけ」

「は~い」


 レナはこれからの旅を期待してか尻尾を振って楽しそうな様子を見せる。

 ユウもまた旅が始まるのかと少し期待している様に見える。

 ほんの少し前まではただついて来るだけだったのにな。

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