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俺の子孫、いっぱい居るらしい

「あんた優勝するなんてすごいね!!うちの娘と交尾してくれないかい?」


 宿に戻るとおかみさんがそんな事を言った。

 相変わらず優秀な雄を見るとすぐこれか。

 まぁ俺が知っている部分があるだけちょっとホッとしたって気持ちもあるけど。


「娘さんが乗り気だったら考えなくもない。でも結婚する気はねぇぞ」

「別に構わないよ、あたしらの狙いはその種だからね。あたしがもっと若ければあたしが狙ってたところだよ」


 舌なめずりする女将さん。

 ちょっとエロいけどそれ以上に雌として俺の事を狙っている娘さんがいる。

 少し気配を探ると他にも俺の事を狙っている雌がわんさか。流石に今日はダメだが明日はこの辺の雌を食い尽くすのも悪くない。

 いや~妊娠しても責任を取らなくていいのは本当に気軽に交尾ができるから良いもんだ。

 明日は街に下りてこいつ等を食うの決定。

 300年前は貴族王族ばっかり食ってたから一般人はあまり食ってなかったな。

 あっちはあっちで美味しかったけど。


「ところでレナ様は?レナ様はどうなってるんだい??」


 女将さんが声を潜めながら言う。

 確かにあの試合を見ていたとすればレナに隷属の首輪を付けたのは見ていただろう。

 国民として1番強い人がどうなったのか気になるだろう。


「レナは正式に俺のペットになった。国の方も渋々認めた」

「そうかい……ちょっと不安になるねぇ……」

「だからその交換条件としてちょっと王族と貴族鍛える事になったからもうしばらくこの国に留まる」

「その間家の宿使ってくれるのかい」

「レナの家で厄介になる」

「流石にお城にはかなわないよ」


 女将さんは仕方ないと言う感じで肩を落とす。

 でもちょっとだけ女将さんの耳元でそっと言う。


「でも部屋はたまに貸してくれ。娘さんと交尾させてくれ」

「それならタダで貸してあげるよ。ただし他の子を呼んだ時はちゃんとお代もらっていくよ」

「それで頼む」


 女将さんと話はついたので固い握手。

 聞き耳を立てていたメスたちは興奮からすでに尻尾を振っている。特に娘さんは既に発情状態で荒い息を無理矢理押し止めていた。

 こりゃ明日にでも食いに行った方が良いかな。

 獣人の雌は女性らしいしなやかさとアスリートの様な引き締まった体、でも動き回っている割には女性らしく胸と尻が主張しているから抱き心地で物足りなさを感じる事はない。

 それにもっと言うと種族ごとに微妙に肌触りとか髪の質感とか違うからレパトリーがもっと増える。

 さ~て。中の感触はどう違うのか、食べ比べるのが楽しみだ。


「と言う訳でたまに世話になると思う」

「分かったよ。それにしてもあんたみたいな人間が出てくると昔みたいにいい世の中になりそうだよ」

「それってどんな感じで?」

「最近じゃ特に力のある獣人がいないから男共は中々強くなって他の女の子に告白しようとしないんだよ。きっと心のどこかで余裕こいてるんだろうね、いつ告白してもまだ大丈夫だと勘違いしてるんだよ。そこにあんたが来て周りの女の子達全員と交尾しようとしてる。そしてうちの娘もだけどみんな強い雄と交尾できると思って御覧のありさまだ。これで男共が焦って強くなってくれれば昔みたいにいい男で溢れると思ってね」


 なるほど。

 俺が知っている草食男子とはちょっと違うが似た様な感じだろう。

 ガツガツした男がいないから昔の方が良かったと。


「ま、その辺は時代の流れもありそうだけどな」

「それはどうしようもないけど、あんたは昔の良い男だと思ってるよ。何なら私の事も抱いてみるかい?」

「孕んでも良いのなら親子丼でもらおうか」

「なら最初は私達で決まりだ。約束を破ったら1晩付き合ってもらうよ」

「う~ん。俺は1晩じゃなくて1日が良いな」

「流石にそれは人間のあんたじゃ無理だろ!でも期待はしておくよ」

「期待しててくれ、それからお店1日休む準備もな。そんじゃまた明日」


 こうして俺とユウは宿に話を付けた。

 ユウは辺りをキョロキョロしながら俺に聞く。


「獣人の女の子、みんなこっち見てる」

「そうだな。多分耳が良いからさっきの話聞いてたんだろ」


 周りの女の子達が獲物を捕らえた眼で俺の事を見ているのは気が付いていた。

 中には興奮し過ぎて涎を垂らしていたり、女の匂いを出してすでに俺の事を誘惑している女の子だったり、もっと直接的に濡れた股を見せて今すぐ交尾したいと主張してくる女の子までいる。

 でもユウがそれを気にするとは思わなかった。

 ちょっと気になる。


「これも愛?」

「う~ん。どちらかと言うと本能じゃないか?獣人達は人型と言っても本能の方が強く出てる。特にほら、あのスカートまくり上げて俺にアピールしてる子。あの子は完全に俺の種狙いだろ。まぁ他の子もそうだろうけど」

「愛がないのに交尾したがる?」

「ほとんどは強い子孫を残したいって気持ちの方が強いだろうからな~。だから結婚に拘らないし、つがいになる必要もない」

「獣人全員?」

「そうでもない。レナみたいな狼系の獣人は結婚願望が強い。これも本能で家族と言うコミュニティーを大きくする事で群れを形成してきたからだ。だからレナの心情としては俺と結婚して一緒に群れをつくりたいって気持ちがあるだろうな」


 この辺りに関しては個人の考えと種としての繁栄の仕方の違いだからこれが正解と言う物はない。


「国なのにバラバラ」

「結婚とかその他もろもろ種族的な問題があるのがこの国だからな~。ま、その辺は王族がこう、上手い事やってるんだろうよ」


 流石に政治の事までは分からないのでこんなもんだろ、と言う他ない。

 言い方帰ると人間と異種族は同じなのにいつまでも戦争していたりするのはバカバカしいと言う他ないがな。


「上手い事?」

「具体的は分からないが良い落としどころを上手く見つけてるって事だ。何度も言うが政治は全く分からん」

「そう」

「そう言うのは頭の良い連中に任せておけばいいんだよ。それより帰ってレナの事抱こう」


 今日1番大事なのはそこ。

 レナもいい感じに熟してるし、食いごたえがありそうで涎が止まらない。

 なんて思いながら城に到着すると既にレナが城の前で待っていた。


「ナナシ様!ベッドの準備出来ました!!」

「お迎えありがとレナ。でも交尾はもうちょっと後。その前に飯食わないと」

「そちらもすでに準備が整ってあります。もちろんユウ様用に人間向けの食事も準備しております」

「分かった。とりあえず食って体力付けた後に交尾な」


 そう言うとレナは大喜びで尻尾を振り、俺の腕に抱き付いて頬を擦り付ける。

 ユウはその光景を興味深そうにじっと見る。


 ユウにじっと見られたまま俺達は食堂に行き、この国でも特にうまい分厚いステーキを何枚も食べる。

 厚みだけで何センチあるんだ?言わせると程分厚いステーキ。副菜にマンガ肉、飲み物は精力の付く特殊な薬酒。

 うん。今夜の事を考えてメニューですな。

 レナは酒には一切手を付けず肉ばかりもりもりと食っている。

 ユウは塩コショウを使わない焼いただけの肉をちゃんと人間用にカットされたステーキとサラダを静かに食べる。

 一緒の席に座っていた王族達は俺の食べっぷりに驚いていた様だが、今回はあまりいないな。


「ナナシ様、不思議そうな表情をしてますね」

「そんな風に見えたか?」

「はい。そして同時に雄の顔にもなっておりました」

「……」

「そんなナナシ様の表情から察するに、300年前の様に王族貴族からナナシ様に言い寄る雌が少ない事に疑問を持っているようですね」

「まぁ、少しな」


 獣人の国の王族貴族は強い子孫を残す事が義務と言う風潮がある。

 これは獣の本能が強いと言う理由もあるだろうが、この国は元から弱肉強食、強い子孫を残せなければ貴族と言う地位すらはく奪されてしまう可能性が非常に高い。

 人間の貴族とかだったら強くなくても問題ないが、この国では実力がある事は当然でないといけない。

 もし戦争になったら重要な場面で貴族や王族が自ら戦う事だって珍しくない。

 人間の国なら指示だけのはずだけどな。


 だからこそ300年前は俺と言う強い雄を前に多くの貴族の雌たちがこぞって繁殖を求めてきた。

 強い雄から強い因子を受け継がせる事で、その地位と今後子孫たちが確実に生き残れるよう俺の事を求めてきた訳だ。

 なのに今回はそれがほぼない。

 あまり強そうではない貴族の雌が俺の事を狙っていたのは気付いていたが、前回に比べると圧倒的に少ない。


 そんな疑問にレナは当然と言えば当然、それでも俺にとって予想外の答えが返ってきた。


「現在の若い貴族のほとんどがナナシ様の孫に当たりますから」

「……………………へ?」

「ナナシ様がこの国を出た後、すぐに多くの若い女性達が体調を崩しました。それは腹に子が出来た際の不調でしたので皆で祝福しました。しかも生まれてくる子供達はみな生まれた時から強力なスキルを持ち、そうでなかったとしても他の者よりもレベルが上がりやすい子供達が多く生まれました。それが彼らの親に当たります」

「………………」

「ですからナナシ様と交尾しようとしないのは当然なのです。彼らから見れば祖父にあたりますから」

「………………………………マジか」

「マジです」

「みんな俺の子?」

「正確には孫ですが、ナナシ様の血を引く者と言う意味では間違いありません」


 俺いつの間にかビックグランドファザーになってた!!

 いや、確かに自然な事だけどさ!本当にこんなに生まれてるなんて思わないじゃん!!

 正確には孫らしいけどさ!!


「俺こんなに子だくさんになってたのか!?」

「はい。ナナシ様が抱いた女性は全て妊娠、出産し恐らく100人近く生まれたと予想されています」

「100!?」

「双子や三つ子が生まれる確率が非常に高かったんです。それに交尾した数も非常に多かったですし、当然の結果だと思いますが」

「いや、確かに抱きまくったけどさ……」


 100って何よ?100人生まれたってどうよ??

 確かに抱いたけど全員孕むってどういうこっちゃ??

 俺そんなに繁殖能力高かったのか……


「これにより我が国は大きく戦力が増加しました。ナナシ様の手によりこの国はより強固な物になったのです。ですから何となく血のつながりを感じ、交尾したいとは思わないのでしょう」

「そりゃそうだ。普通そんなこと思わねぇよ」


 でもそれは爺ちゃんだ、婆ちゃんだって子供の頃からそう言われて育ったからと言う所だってあると思うが、俺も知らず知らずのうちに血縁と交尾する事態にならなくて良かった。


 驚愕の事実を知っても今夜の約束は変わらない。

 今夜はレナの事を思いっ切り甘やかし、完全に主従関係をはっきりとさせる。

 主従関係に関してはもう既にハッキリしている様な気がするがまぁ一応だ。

 飯を食い終わった後、城の大浴場でユウとレナと一緒に入り、ゆっくりする。


「あ~……やっぱ広い風呂は良いな。普通の宿だと井戸の水被るくらいしか出来ないし」

「普通はそうですね。そしてこの後……ふふふ」


 レナが今夜の事を想像して顔を緩ませる。

 ユウはただぼんやりと目を細めて湯船につかっている。


「お風呂、気持ちいいのは分かった。気がする」

「まずはそんなところからでいい。大分感情が表に出て来たんじゃないか?」

「……そう?」


 表情は変わらないが雰囲気で何となく疑問に思っているとこちらにも伝わってくる。

 つまりユウは感情を表に出せるようになってきたと言っていいはずだ。

 あとは表情だが……これに関しては自然と出てくるだろ。多分。


 あと最近気が付いたのだが、ユウの肉体成長が結構早い。

 前に測った時よりも身長が5cmも伸びていた。

 こりゃベレトの所で買った服が入らなくなるのも時間の問題かもしれない。

 この町でも一応服買っておくべきかな……


「ところで……ユウ様はナナシ様のペットなんでしょうか?」


 湯船につかりながらのんびり考えているとレナがそんな事を聞いてきた。

 ユウは俺の何なのか?

 そう聞かれると……


「なんだろ?」

「違いましたか?」

「確かにペットと言う言葉ではしっくりこないけど、だからと言って明確にこれと言う関係性もないからな……保護者ではあるけど親ってつもりもないし、かと言って主人と奴隷と言う感覚でもないからな」

「ナナシ様はユウ様の事も将来交尾なさるつもりはないのですか?」

「ベレトも言ってたがなんでみんなそんな風に見る訳?俺、光源氏に見える??好みの女の子自分好みの女になる様に育てる様に見える??」

「う~ん。可能性としてはあるけれど、実際にはしなさそう。と言うのが正直な感想です」


 あ、可能性はあると考えられてたのね。


「でもぶっちゃけ子育てなんてやった事ないから一から育てようなんて思った事ないぞ。自分で育てるより誰かが育てた雌を抱く方がよっぽど手っ取り早い。それに拘りそんなに強くないし」

「でも素直でドMな女の子が好きですよね?」

「ただ単に自分で動く方が好きなだけだ。確かに俺が腰振ると喘ぐ雌に興奮するが、別にドSではないだろ?」

「それは……今夜分かるかと」


 レナが頬を赤くしながら言う。

 なら明日の朝感想でも聞いてみるか。


「ナナシ、私ともエッチする?」

「しねぇよ。せめて初潮来た後に来い」


 孕まない女の子を抱いてどうする。

 ぶっちゃけ俺の子を産んでくれるような女じゃないと抱く気にはなれん。


「さて。上がった後はユウはどうする?」

「眺めてる」

「……まさかベレトの時みたいに?」

「ん」

「…………」

「あの、どうかしました?」


 俺の微妙な雰囲気を感じてレナが確認する。

 隠してもバレるし、素直に言っておこう。


「ユウの奴、俺とレナの交尾見たいってさ」

「っ!?」


 レナは顔を真っ赤にしてユウを見る。

 ユウはそんなレナの表情を理解しきれてないのか不思議そうに言う。


「私は愛を知りたい。性交には愛がある物とない物があるとベレトが言っていた。多分ナナシとレナの成功は愛があると思う。だから愛を知るために観察したい」


 逆にエロが0の状態でこの質問を向けられた時本当にどうすればいいんだろうと俺も思う。

 レナも子供が純粋に性交とは何か?と聞かれている様に感じたのか顔を真っ赤にしながらも怒鳴る事はなしない。

 俺は何と言うのだろうと思いながら待つと、レナはゆっくりと言った。


「……1番最初だけ、最初だけ待って。入ってきて良いって言った後ならいい」


 顔を真っ赤にしながらそう答えた。

 俺はてっきり最初くらい2人っきりにしろと言うのかと思っていたが、意外とそんな事なかった。

 それともこの先こういった事が何度もあると察したのだろうか?

 レナが居るから気軽にエロい事できるようになるしな。


「分かった。待つ」


 こうしてレナの初体験は普通じゃありえない形で決まってしまったのである。

 レナ。本当にごめん。

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