表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/166

光の神対大罪人⑤

 神様相手に手を抜いて戦う、普通に考えれば自殺行為だと思うが俺は特にそう思わない。

『憤怒』によるステータスの上昇にある程度光の神の動きが見えてきたからだ。

 確かに今も光の神の動きは非常に素早く、避けたりカウンターを狙うのは相棒なしでは非常に難しい。

 だがユウを目覚めさせるための時間稼ぎという点で見れば不可能と言う訳ではない。


 今までは俺が攻撃を仕掛けてきたが、現在は光の神の方が攻撃する側になっている。

 神様を相手に手加減と言うところが気に入らなかったようだ。

 それに相棒なしで勝てるとは思えない様子。

 そしてさっきの顔面パンチが結構響いたらしい。


 現在は防御に集中しながらユウに呼びかけ続ける。


「おいユウ!いつまでそうしてるつもりだ!いい加減起きろや!!」

「その声を、やめろ!!」


 魂に直接ダメージを与える技の応用で何度もユウに声をかけているのだが、どうもこの声が光の神にとって非常にうるさいもののようだ。

 まぁこれで本当にユウに声が届いているのかどうかは分からないが、光の神がうるさいと感じるのであれば聞こえている可能性はある。


 そして俺は少し戦い方を変え、防御寄りの戦い方をしている。

 カウンター狙いと言ってもいい。

 俺は極夜ではなく他の呪われた武器を使い、光の神の攻撃に対応している。

 双剣で手元をくるくると回し聖剣を防ぎ、光魔法を防ぐ。


 だが両手だけでは足りないので他の武器も召喚し、空中で操作している。

 と言ってもそっちは武器ではなく、俺の持つ数少ない大盾だ。


 呪われた大盾。

 効果は破壊されるたびにMPを大量諸費する代わりに再生及び防御力を高めるという効果だ。

 呪われている感じのしない盾だって?

 いやしっかり呪われてるぞ。


 だって使用中の戦闘が終わるまでずっとこの盾は起動し続けるし、破壊された時の攻撃力に比例してMPの消費量も決まるので相手の攻撃力が高ければ高いほど消費MPも大きくなる。

 もしMPが尽きても戦闘が継続されていた場合、今度はHPを消費し始める。

 で、HPも尽きたらデッドエンドだ。

 だから俺のようにHP、MP両方とも大量にあるプレイヤーなら問題ないが、少ないと自爆しかねない危険な盾である。


 まぁ俺が使うと普通に永遠に強化し続ける良い盾なんだけどな。

 光の神もこの盾の特殊性に面倒だと感じているからか、盾を避けて攻撃しようとするが俺だって動いて避けるし、双剣で防いだりもする。

 他の呪われた武器も空中で操って足りない手数は増やし続ける。

 なので現在の俺の周りには常に武器が浮遊している状態であり、本当に危険な攻撃は盾で防ぎ、大した事のない小さな攻撃は武器で防ぐ。


「ちっ!」


 流石の光の神もこの防御方法は想定外だったのか攻撃し辛そうにする。

 まぁこれもオーラや覇気の応用技なんだけどな。

 今回の場合は覇気で武器を持っているイメージをしながら相手に合わせて武器を選び、使用する。

 簡単に言うとそんな感じだが技術的にはかなり難しい。

 元々実体のない物で実態を掴むというのは、ただ覇気を纏うのとは違いかなりの量を使わないといけない。

 大体1つの武器を使うのに2倍くらいか?

 それくらいの量をまわさないと実体のない物では掴む事も出来ない。

 そこからさらに振り回したりすると集中力も必要となる。

 つまるところ普通に考えればかなり非効率的な技術であり、普通覚える必要はない。

 それに武器に覇気を回す分自分自身の覇気は薄くなるので危険かもしれない。


 まぁ俺はそんな無駄な技術を習得して最大4つまで自在に操れるようになったけどな。

 理由はかっこいいから!!

 そんな無駄な技術で俺は光の神の攻撃を守っている。

 ちなみに武器を伸ばして攻撃できるのは半径3メートルまで。

 それ以上伸ばす事も出来るが、最大5メートルが限界。無理に伸ばすと武器を落とす。


 まぁ距離に関してはあまり気にしなくてもいいかもしれない。

 光の神は全方位から攻撃してくるがまだまだ対応できる。

 光系の魔法を使ったり、聖剣で連続で攻撃してくるが全て対応できる。


 光の神は防御に回っている俺に対して光の攻撃魔法を使ってくるが、どれも下級で強くても中級くらいの魔法しか使わないのは何故だろう。

 強い攻撃と言えるのは近接攻撃ばかりであまり長距離では強い攻撃をしてこない。

 幻術でのフェイントもあるがその辺は勘と経験カバー。


 俺からの攻撃と言ったら近接攻撃をしてきたときのカウンター。

 浮遊させている武器で手足を狙って攻撃。

 手加減しているから顔は無しにしておこう。


 それに結構防御に力を注ぐと意外と光の神は弱い。

 正確に言うと攻撃が得意でない事が浮き彫りになったという方が正しいかもしれない。

 何と言うか、昔のユウと似た感じがある。

 基本的に受けの姿勢というか、自分から攻撃するのが下手というか、とにかく攻め方が型にはまりすぎているというか。

 もし光の神が光その物を操る事が出来るとすれば、それこそマンガで見るような超能力を使いこなす事が出来るのではないだろうか。

 何せ相手は光その物。

 光があって当然の俺にとって光を利用した攻撃なんていくらでもある。


 例えば虫眼鏡で光を集めた熱をより攻撃に使うとか、光その物に色はついていないのだから不可視の攻撃をするとか、光速で動く攻撃とか、何かあってもいいと思う。

 どれも普通に考えれば必殺の一撃になりそうなのにどれも使ってこない。

 まぁ光速の攻撃に関しては光魔法のビームもどきですでに再現できていると言えなくもないが、自分自身を光速で動くことは出来ないんだろうか?

 もしできれば俺は絶対に防ぐ事が出来ないし、こうして見てから動いたところで避けられるわけがない。


 俺は冷静に光の神を観察しながら1つずつ疑問点を潰そうとする。

 上位魔法を使わないのは何故か、信者達からのイメージを壊さないため?

 何故ユウのスキルをユウ以上に引き出す事が出来る?光の神が言っていた純粋な心という奴が本当に関係しているのか?

 何故俺を殺そうとしているのにここまで中途半端な事しかしないのか。


 言ってしまえば覚悟が足りない。

 まぁ少しずつ光の神のスピードに目が慣れてきた。

 上下左右の剣技、おそらく光の屈折を利用した幻術によるフェイント、光魔法による光速の攻撃。

 攻撃パターンさえ分かればある程度攻撃できる。


 ただ気になるのはその攻撃パターン。

 この攻撃パターンはユウが戦っている時の癖に非常によく似ている。


 例えば上段からの切り下し。

 聖剣を振り下ろすときに左手に力が入る。

 その攻撃は浮遊している盾で防ぎ、がら空きの脇腹に短剣で切る。


 魔法を使って攻撃する際、相手の目を見て睨むような動作。

 どこから攻撃してくるかは分からないがそこは『森羅万象』で察知して短剣で弾いた。


 フェイントに関しては殺意を感じないからそのままスルー。

 幻術が俺を斬るが当然痛みなんてものはない。


 どこまでも優勢に進められるよう常に視線を外さずに光の神を捉え続ける。

 ちなみにユウを斬るときは常に魂に直接ダメージを与える技だけを使っている。

 それにかすり傷でも光の神は非常をゆがませているし、結構ダメージは大きいのかもしれない。

 神を相手に優勢に立っている感覚はあるが、油断せずにもうしばらく観察させてもらおうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ