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光の神対大罪人③

 雑魚天使を殺し続けている間、ジラントの怒りの砲撃は絶え間なく続く。

 それはまるで地上から放たれる怒りの雨。

 様々な種類の攻撃魔法が光の神を襲い続ける。

 初級の魔法ならともかく、最低でも上位魔法の攻撃を連続で使い続けているので結界で身を守るしかないらしい。

 これならしばらくは自己強化を進める事が出来る。

 俺は安心して天使達を絶滅させる勢いで極夜を振るい続ける。

 何せ虫の群れみたいに空を覆い尽くすほどいるから飛ぶ斬撃で1体でも多く殺す。

 この程度の雑魚なら魔法を使う必要はないのでマジで効率が良い。


 それにしても本当にこの天使達はいったいどこから湧いて出てくるんだ?

 光の神と言うだけあってどっかの空から軍勢を派遣しているのだろうか。

 なんて考えているとふと目が付いたところがある。

 ポラリスのとある敷地から天使が出てきている。

 てっきりどこかのお空から来ているのかと思ったが、地下したから出てきているとは思わなかった。


 とりあえず面倒なので少しスキルを使って一気に殺すか。

 俺は天使の群れ周辺に結界を展開して俺ごと閉じ込める。

 これで新しい天使は入ることできないが、この結界内の天使達は逃がさない。

 その結界を足場にして俺は超加速でみじん切りにする。

 はたから見ればただ通り過ぎているだけに見えるだろうが、その瞬間に雑にみじん切り。

 結界内をボールのように弾みながら天使全てを絶滅するまで続けた。


 雑魚天使のほとんどを殺し、あとは地下から出てくる天使達を殺せばいい。

 雑魚天使達がこちらに向かって真っすぐ来るので、そいつらもみじん切りにしながら天使が出てくる穴に向かってみる。

 穴の中も天使が出てこようとしていたのでそいつらもみじん切り。

 で、穴からは言ってみるとそこには俺が知っている施設と似たり寄ったりの場所だった。


 より具体的に言うとホムンクルス製造工場によく似ている。

 創っているの人間……みたいだ。

 てっきりここで天使を作っているのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。

 この製造工場では普通の人間を製作しているようだ。

 でもここからどうやって天使に変換しているのか分からない。


 どうしているんだろうと思っている間にも天使達が湧いて出てきたのですべて殺す。

 素っ裸で鎧どころか服も着ていない天使が俺の事を殺そうとしているのを見ると、製造されてすぐ俺を殺すように命令されているようだ。

 つまらないのに数だけはいるのが面倒くさい。

 この施設を破壊して終わらせよう。


 施設を巻き込みながら天使を殺す。

 飛ぶ斬撃で破壊と殺害を繰り返す。

 正直つまらない。

 雑魚天使狩りも作業的だったが、ここはもっとつまらない。

 だってここに居るのは戦闘が出来る状況にすらなっていないだけだろう。


 施設を破壊しながら進んでいると、腰の引けた魔法使い達が天使達に守られている。

 その中には屋上で見た魔法使いもいた。


「何腰抜かしてんだか。とりあえず殺すか」

「ま、待て!!僕達を殺すつもりか!!」

「当然だろ。これは戦争であり、殺す事が前提だ。敵を殺してなんぼだろ」

「ひ、ひぃ!」


 本当に戦う気すら起きないんだな。

 とりあえず爆発系の魔法でこの施設ごと滅ぼすか。


 掌から火の玉を出し、それを握って圧縮。

 爆炎魔法『ストームボム』。

 爆発系の広範囲攻撃であり、威力そのものは中位魔法くらい。

 これでも一応は上位魔法なのだが威力的には物足りない。

 こんな施設を吹き飛ばす程度の威力しかないのだからこれで上位魔法とは笑わせる。

 せめて町1つ潰すくらいの威力はないと上級とは言えないと思う。

 それにこの程度の爆発では俺を傷付ける事も出来ない。


 施設を破壊する程度しかない攻撃力をこの施設全体に広がらせる。

 爆炎は瞬時に燃え広がり、真っ赤な爆風により施設はバラバラに破壊される。

 施設その物はまだ原形をとどめており、地下だからか頑丈に作っていたのかもしれない。


 生き残っている者はいないか確認していると、1人だけ生き残っている者がいた。

 それはすぐそこの魔法使いだ。

 とっさに魔法で防御したのか、意外とダメージがない。

 雑魚なら簡単に死ぬと思っていたが、ギリギリ生き残っていた。


「ぅ……ぁ…………」


 まだ生き残っていたので極夜で首をはねた。

 あっさりと死んだのでただの研究員だったのかもしれない。


 とりあえずこの施設を破壊したのでこれ以上天使が増える事はないだろう。

 これで上空からの攻撃は大丈夫だと思うと、同じ穴から地上に出た。

 そして見上げてみるとまだジラントの砲撃が続いていた。

 ポラリスの騎士達を殺さなくていいのかと少し思うが、まぁレナやベレトが上手い事やってくれているようだ。


 それにしても俺が施設を破壊している間もずっと攻撃し続けてたのか。

 だがそろそろMP切れを起こす可能性が高い。

 ジラントがいくら強いと言っても無限ではない。

 必ずMPが切れる瞬間は来る。


 その瞬間光の神は再び俺の仲間を狙ってくるだろう。

 だからジラントの攻撃がやんだ瞬間俺は再び光の神と戦う。

『憤怒』を使っている間は回復できないが、雑魚天使を倒しまくった今ならステータス的にはほぼ五分である可能性が高い。

 そして最後の奥の手を今の内に使っておく。


 俺は愛車を呼び出し、準備良いのかと聞いてくる。

 もちろんオーケーだし、ジラントの攻撃がやむ瞬間に攻撃するのが最もいいタイミングのはずだ。

 それに愛車と一緒に攻撃すればユウの事を光の神から引きはがす事が出来る。


「頼むぞ相棒」


 俺がそう言うと愛車は俺と合体した。

 合体と言っても愛車が俺の鎧として装備されるだけだけど。

 だが愛車の戦闘能力がそのまま俺に付与されるのだから弱いわけがない。

 サマエルのようなドラゴンスレイヤー相手だったら弱点を作ってしまう事になるが、あの光の神相手なら問題ないだろう。


 愛車は完全にドラゴンの形を模倣した鎧で、正直どこかのライダーっぽい見た目の鎧になっている。

 ドラゴンを象徴するかのように角と翼、長い尻尾があるがやはり一度バイクとして作られたからか機械の部分が強いのが余計にそう見せるのだろう。

 しかしこの鎧状態、普段以上に愛車の感情などを感じやすくなっているため非常に使いやすい。

 翼も得たことで空中戦で一々足場を作る必要もなくなったし、いい事尽くめだ。


 そしてジラントの攻撃がようやく収まった瞬間、俺は光の神に向かって飛び出す。

 ほんの少し力をこめて飛び出しただけの感覚だったのに、想像以上の速度が出て驚いた。

 そのせいで光の神がいる結界に頭突きするような形になってしまった。

 鎧は頭も完全に守っているフルヘルメット状態なので痛みなどは全くない。

 俺の激突に驚いた光の神は、俺の姿を見て余計に驚いたように見えるのは気のせいか?


「貴様は……まさか大罪人か?」

「お前に喧嘩売るのは俺しか居ねぇだろ」

「だが……その姿、いやその気配は……」


 光の神が驚いているところは俺の姿というよりは、何か別なところで驚いているように見えるが……光の神は真剣な表情になって聖剣を握った。


「大罪人。貴様が装備しているそれはいったい何だ」

「あ?俺の愛車だよ。もともとドラゴンだったのをバイクに改造した変な奴がいたらしくてな、そいつと仲良くなってさらに改造してご覧の状態よ」

「…………なるほど。では本人ではなさそうだ。だがその気配から油断してはいけないとよく分かる。ですから、この場で倒させてもらう」


 結界を解いて剣を振るってくるが、さっきよりもはっきりとその剣の動きを捉える事が出来る。

 俺は極夜で防ぎ、さっきよりも力負けしない事から確かにこの状態なら勝てる可能性が非常に高い事が分かる。

 そして俺は容赦なくユウの身体を斬った。


 浅く腕を斬られた光の神だが、ユウの身体には傷が一切ついていない事に驚き、確信したように言う。


「なるほど。確かにそれが出来れば私だけを倒し、勇者を開放する事が出来る」

「ああ。だからこれからユウの事を返させてもらうぞ」


 愛車がやってくれている補助は魔力操作の最上位、簡単に言えば魂への直接攻撃が可能となった。

 あくまでもユウの身体を共有しているだけで魂まで一体化したわけではない。

 だからユウの体内にある光の神の魂だけを斬ったわけだ。

 これならユウを傷付けることなく切り離せる。

 光の神はポラリス流の剣の構えをし、俺も剣を構えた瞬間、戦いが再び始まった。

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