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ズメイ対太陽の天使

 ジラントが一般兵に向かってブレスを放とうとしている時、3体の天使が阻止しようと攻撃を仕掛けようとする。

 それを阻止するのがレナ、ズメイ、ベレトの3人。

 レナは空を飛ぶ事が出来ないが、防御魔法陣を足場にする事で対応する。


 ナナシがサマエルの背中に乗って大聖堂に向かうのを無視しているのを見る限り、あくまでも狙いはジラントのようだ。

 そんな3体の天使を3人は思いっきり攻撃した。

 レナは自慢の爪で、ズメイは拳で、ベレトは抜き手で一撃必殺を狙う。

 しかし天使達も目標以外の攻撃対象に攻撃されれば、先に倒そうとするらしい。

 3体の天使はそれぞれ攻撃してきた相手を先に倒そうと動き出した。


 ズメイは太陽の天使と戦いを始めた。

 太陽の天使はすぐにガトリング砲を発射して攻撃する。

 しかも避けた場合ズメイに当たるような絶妙な位置での攻撃を行う。

 ズメイは人型からドラゴンの姿になり、その攻撃全てを食らう。

 炎魔法が基になっているからか、ズメイに着弾した魔法は全て周囲に強い熱を与えた。

 人間なら肌が焼けるでは済まない、爆風で手足は当たり前のように吹き飛ぶだろう。

 そして残った空気中の熱が肺を焼く。

 天使は表情こそ変えないがこれで終わったと考える。

 何せ主をかばうために全弾命中、最低でも上位魔法と同等の攻撃力のある弾を数百発食らったのだから普通なら生きているはずがない。


 だがズメイは天使の攻撃をものともせず、まるで当たっていないかのように天使の腹に拳を深くめり込ませた。

 流石に太陽の天使もこれには血を吐き出し、慌てて上空に逃げる。

 そして即座に炎の上位魔法を使ってズメイに攻撃する。

 使った魔法は『レーザースピア』、炎と光の混合魔法であり物理防御無視の攻撃だ。

 短い槍の形であり、炎で攻撃するというよりは熱で攻撃するような魔法。

 それを100本ほど使用してズメイを焼き尽くそうとする。


 魔法を放った後、少し呼吸を落ち着かせる太陽の天使。

 ズメイの身体は一切傷がついていない。

 火傷によって肌が変色している様子もないし、全くと言っていいほどダメージがない。

 鋭い視線を天使に向けるズメイは怯む事もなく、ただ圧倒的に太陽の天使よりも上である雰囲気だけがあふれている。


 その時初めて天使は感情バグが生じた。

 しかしその感情バグは生まれたばかりの天使には理解する事が出来ない。

 手が震える、冷や汗が止まらない。

 そんな症状が出たが結局天使は戦いを続ける。


 ガトリングが効かないのならと、魔法で作り出した炎の大剣を召喚してズメイに斬りかかった。

 ズメイは大剣を両腕をクロスさせるように防ぐ。

 ほんのりと焦げ臭いにおいが出るが、それしか効果がない事に太陽の天使は驚く。

 普通であれば大剣に触れた瞬間肉を焼き切り、両断するはずの大剣を肉体で防いでいるのだから当然だ。

 覇気で身を守っているとしても説明が付かないほどの異常事態。

 太陽の天使が使っている魔法は本来であればそれほどまでに強力な魔法である。


 ズメイは空中で回し蹴りをして天使に攻撃を与えようとするが、空中での移動速度は天使の方が早いため、避けられてしまう。

 天使はMPの大量消費により呼吸を落ち着かせていたが、作戦を通常状態に戻すことを決めた。


 元々地上の人間達の被害を抑えるため、ジラントを倒すように命令されていたのだからそちらに戻る。

 ズメイは確かに攻撃してくるが、基本的に後手ばかり。

 それはズメイが最も優先しているのがジラントを守る事だからだ。

 それを理解した天使は攻撃対象をズメイからジラントに修復。

 再びガトリング砲を展開してジラントに向かって発砲した。


 すかさずジラントの間に入ったズメイは天使の攻撃を全て身体で受け止める。

 着弾するたびに爆発が起こり、爆炎で周囲が赤く染まる。

 それでも攻撃を一切緩めない天使はさらに強力な魔法、『グレート・クリムゾン』を使用した。

『グレート・クリムゾン』は炎の上位魔法であり、簡単に言うとミサイルを魔法で再現したような魔法だ。

 それを5秒に1発の間隔で放ち続ける。

 さらに強力な爆炎が周辺の地形を変え、熱波が火事を起こしても天使は攻撃を止めない。

 全ては相手を確実に殺したという確信が持てるまで。


 10分ほど撃ち続けた後、さすがのMP切れにより天使は攻撃を止めた。

 元々攻撃力の高さが売りの炎魔法をこれでもかと打ち込んだのだから、さすがに倒れているはずだと天使は考える。

 そう思いながら死体を確認しようとズメイに近付くと、ドラゴンの巨大な手が天使を掴んだ。


 天使は驚きながらズメイを見ると、さらに驚愕した。

 ズメイの身体はほんの少し鱗が溶けているだけで五体満足であり、その目は全く光を失っていない。

 それどころか殺意に満ちており一切死の気配などない。


 太陽の天使は一度下がろうとしたが、ズメイに捕まっているため逃げられず、思いっきり地面に叩き付けられた。

 叩き付けらられた天使はボールのように飛んで行き、巨大なクレータを作りながら全身にダメージを負う。

 しかしジラントの攻撃により体中の筋肉がズタボロになり思うように動けない。

 更に掴まれた際に全身の骨を砕かれたのか、少し身体を動かしただけで激痛が走る。


 本来戦闘用の天使は痛覚がない。

 それなのに痛覚が感じるのは本当に命の危険、本人達の感覚としては破壊される危険性を感じた時にしか痛みを感じられない。

 それでも無理矢理動かそうとするのでさらに身体が崩壊していく。

 砕けた骨が筋肉を傷付け、傷付いた筋肉から大量の血があふれだす。


 もう動く事すらできないと悟った天使は、最後に『ザ・サン』を使おうとするが、その前にズメイが頭を拳でつぶした。


「直接戦ってみるとこんなものですか」


 太陽の天使の頭を潰した後、ズメイはつまらなそうにつぶやいた。

 ズメイのドラゴンとしての特徴はその防御力だ。

 硬い鱗に覆われ、そこからさらに防御系のスキル、魔法を使用して鉄壁の防御を誇る。

 元々ズメイはドラゴンの中では珍しく戦闘に興味がない。

 その代わり王族に仕え、王族に傷1つ付けさせない事が彼女の誇りであり、使命だ。


 その防御力はナナシであっても苦戦するほどであり、ユウの結界がなければ世界一の防御力だろう。

 ズメイは倒した天使が確実に死んでいる事を確認してから、守るべき主の元に戻っていく。

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