85 2層突入
煉獄界から帰ってきてから2日、結局この日は迷宮に向かうことになった。
覇者シリーズは早めに入手しておくべきなんだけど、まだその情報もつかめてないしとりあえず俺が個人的にキャシーとやり取りしてからにしようと言う事になった。
情報を掴んだあとにみんなで向かうのがベストという結論なので、みんなが授業にいってるときにでも情報を集めておくことにする。
ちなみにぐるぐる修行の成果が出て時空魔法がレベル2になっていた。
まあ1レベルから2レベルまでは上がるのが早いしな、その後のレベル上げは経験値が大量に必要になってくると思う。
「それじゃみんな集まったし、ルーシーの部屋に転移だ」
早く2層に直接転移できるようになりたい。
……みんなが集まったところを見計らって瞬間移動した。
「また来たぞ~、今日こそは2層を目指す…」
「来たようじゃの、2層に関しては運じゃからどうにもならんぞ」
分かってても行きたい…
とりあえずルーシーに一昨日の件について報告をしておいた。
「と、いうわけでもうキャシーは怒ってないみたいだったぞ。というか勝ち誇ってた」
「あの大馬鹿者のことなんぞ知らんわい、ぜんぶ勝手にすればいいのじゃっ。魔法や技術は広めてこそ意味があるはずじゃ、それを悪用するかしないかは本人次第じゃからの。作り手が気にしてたらキリがないわい」
「まあルーシーの言ってることもキャシーが言ってることも一理あると思うんだけど、いちいち行動が極端なんだよな幼女姉妹は…」
「幼女じゃないわ!」
「あだっ!」
久しぶりに瞬間移動で殴られた、でもまあ元気になったみたいだからいいや。
俺は運用できて尚且つ対時空魔法が確立されればいいと思うんだけどね、どっちにも賛成だ。
その後はいつも通りモンスター部屋を周回していると、わたあめ羊の部屋でいつもと違う現象が起きた。
なんか地面がぐねぐねうごめいている…
「なぁ、あれって階段でるんじゃないか?」
「階段だよきっと!土の精霊さんがこの下に沢山いるのが分かるよっ」
「ははは…やっとだね」
「そろそろレベルも上がった感じがしなくなってきましたし、ちょうどいいタイミングだと思いますわ」
確かに今日はまだファイス以外1レベルも上がっていない、あの量のモンスターを倒してるのに上がらないところを見るとさすがに頭打ちになったみたいだな。
そして階段が現れた。
「やっと2層が出たか…1層の突破にしてはかなり時間をくったな、さっそく行ってみようか」
階段を下りていくと不思議な光景が広がっていた、なんというかここただの階段じゃないな、周りの景色が土じゃない。
土だったのは入口だけで、その後の周りの光景はサバンナだったり草原だったり、海だったり墓場だったりだ、いままでのモンスター部屋に似た光景が宙に浮く階段の下に広がっている感じかな。
最後に宇宙っぽい光景が広がってたし絶対変だわこの迷宮…。
そして2層にだとり着くと、そこには森と巨大な城があった…
森の中に俺たちが居て、遠くに巨大な城が見えている感じかな。
「なあルーシー、ここどこなん?」
「儂もここまでしか来た事がないからのぉ、知らんわい。もともと迷宮が空島にいる理由じゃないしの」
そりゃそうか。
まあ行ってみればわかるか。
みんなと一緒に城を目指した。
しばらく歩いているとヴァニエが怪訝な顔をして疑問を口にしていた。
「変ですわっ、ここには過去に絶滅した動植物やモンスターが多すぎます。それにあの城、文献でみた魔王が居た頃の全盛期魔王城にそっくりですわ」
なんやて…
「ボクもなんか変な感じがするよ…精霊さんたちが震えているし闇の精霊さんが多すぎる」
「僕もだね、ブレイブソードの光り方がおかしい、こんなことは初めてさ」
「俺は特に何も感じねぇけどな」
ファイスと俺は何も感じないが、他のメンバーは違和感を覚えている…雲行きが怪しくなってきた。
「ブレイブソードの挙動がおかしいか。ふーむ、あれかもしれんなぁ…」
あれってなんや…
ルーシーはなにかを掴んだらしい、だが聞くのはよそう…いまは考え中なようだしな。
階段も消えて帰り道がどこかわからないので、とりあえず時空魔法の瞬間移動を試そうとしたら宿の魔力を感知できた。
帰りは問題なさそうだな、よかったよかった。
だけど空間魔法の方はなぜか反応しなかった、謎だ…
そして歩くこと2時間ちょっと、異常な発生率のモンスターをバッタバッタなぎ倒していると遠くで戦闘の音が聞こえた。
「くっ、エンドウっ!モンスターの数が多すぎるぞっ!!」
「わかってる、アーサーはそのまま前衛をたのむっ!【オートヒール】っ!ほかの皆も魔力の残量にきをつけてくれっ!【聖剣解放】【シャイニングロード】ッ!!」
黒髪の日本人っぽい人がフル装備で戦っていた…
ていうかなんでブレイブソードもってるんだ、シャイニングロード使ってるし完全に本物だぞあれっ!
「あれ…?あれってエレンくんのブレイブソードだよね?」
「………どういうことなのか分からないけど、間違いなくブレイブソードさ。宿主になってからわかるようになったけど、ブレイブソードが近くにあると剣の魔力を感じられるんだ」
「まぁ幸いモンスターの戦力よりもあのパーティの方が圧倒的に強いみたいだ。魔力を気にしているだけで負ける事はないと思うから手を出すのは少し待とう」
あのエンドウとかいう人、前衛だけなら完全に俺より強い。
っていうかギラやルクァンと同じレベルのプレッシャーを感じるな。
もし戦うなら準備込みの魔神モードを使うくらいじゃないと勝てない気がする。
そしてしばらくこちらに漏れてくるモンスターを倒していると、向こうのパーティもひと段落ついたみたいだ。
「はぁっ…はぁっ…やっとモンスターの流れも止まったみたいだな。だけど後ろの方に団体さんがいるようだ、まだ気を抜かないでくれ。それにあの黒髪の少年と紫髪の幼女から異常なプレッシャー感じる…おそらくS級は間違いない」
「気を抜くわけあるかよ、前衛はまかせろ」
「ああ、助かるよアーサー」
前の4人パーティが俺たちに対して構えをとってきた。
…っていまから戦うの!?いきなりすぎて準備が終わってないぞ…
そしてエンドウって呼ばれてた黒髪のにいちゃんが俺に声をなげかけてきた。
「まず君たちの戦意を確認する。僕たちと戦う気があるか?」
「ねぇよそんなもん、なんで行き成り人間をおそわなきゃいけねぇんだよ? 常識を疑うぜ」
ファイスがぞんざいな口調で返事をした。
こういう時はもうちょっと柔らかく言おうファイス…気持ちはわかるけど。
「ボクたちは危ない時のために助ける準備をしてただけだよ~」
「そうですわ、まあそんなものは必要なかったみたいですが」
「まあそういうことになるね」
みんながこちらの意思を伝えると向こうが混乱しだした。
だが一応戦闘の構えは解いてくれたようだ、戦いに関して冷静な人達だな。
「まさか戦う気がないのか? だが一般人にしては強すぎるプレッシャーだし、こんな魔王直下の地域に人間がいるわけがない。どういう事なんだ。……っ!!まさか人体実験目的で攫われたのか!?」
「ありえるぞエンドウ。あの魔王とS級魔族のやることだ、お前を殺すためだけに異常な生命体を生み出してもなんら違和感はねぇ。おそらくあいつらは逃げ出してきた被検体かなにかなんだろうよ」
「…なんてことだ…くそっ!」
なんでや!?
勝手に話が進んで俺たちが実験か何かされたみたいになってる、飛躍しすぎだろ…
というか魔王とS級魔族でだいたいわかった…ここ過去だわ。
…およそ500年前。
実際に過去なのかはわからないけど、おそらくそれに近いなにかだろう。
どおりで時空魔法が通用して空間魔法が通用しないわけだ。
現在出会った勇者は完全に完成した強さの勇者となります。




