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46 輝くスラキューダイナマイト、その後俺は目をそらした

勇者たちを殲滅します。

ある意味では魔王です。


屋敷に帰ってきてから数日、俺は勇者と面会するためにパパン達と共に王城へとやってきていた。


しかしいくらまっても勇者たちが来ない、もう2時間になるがなにをやっているのか。

遅すぎる勇者に痺れを切らしたパパンが、王のおっさんに問いかけている。

フィッテなんか目からハイライトが消えて、眼力だけでモンスターを倒せそうなレベルだぞ。


どうしたんだオアシスよ。


「ギルバート、勇者たちの件はどうなっている? それとドラゴンの件はさっき話した通りだ、あのドラゴンは俺たちの指示を受ける存在ではないし、危害も加えない。勝手に住み着いているだけということになるな」

「まぁ、王級のドラゴンに命令できるなんて聞いたこともないからな。おそらくお前が言っていることが、そのまんまその通りなんだろう、この件は貴族共も納得するはずだ。……それと勇者か、あいつらは既に呼んではいるが王の権力が通用しづらくてな、教会の庇護がある上に勇者の肩書まであるときた。魔王への切り札とはいえ、厄介なやつらだぜ」


どうやら王のおっちゃんもほとほと手を焼いているらしい。

フィッテの件といい、今回の件といい、なんか空気が怪しくなってきたな。

そしてさらに待つこと1時間弱、やっと勇者たちの連絡が騎士を通じて入ってきたようだ。


「失礼します。陛下、勇者たちより伝言があります。私が彼らを発見し王の命令を伝えたところ<僕たちは既にカーデリオン王国の庇護下にはない、王城には住んではいるがこれは護衛みたいなものだよ。命令は聞かない>とのことです」

「「「………」」」


……バカなのだろうか?

いくら超戦力の勇者とはいえ、まだ召喚され間もなく力もないはず。

護衛されているのは彼らであると思うし、そもそも王城に居候しておいて護衛はないだろ。


俺が聞いた限りでは召喚されて半年らしいからな、そんなんじゃ効率的にレベル上げを行ってもレベル15~くらいが関の山だ。


「……ふぅ。おいロイル」

「わかってる。ゼノン、彼らの元へ行って手合わせしてこい。現実ってやつを思知らせてやれ」


どうやら王のおっさんとパパンの意見は一致していたようだ。

ようするに力に溺れた若造を懲らしめて来いってことだな、俺も若造だけど。


しかたない、精神年齢11+25のおっさんが一肌脱ぐとしますかね。


パパンと王のおっさんはあまりのばかばかしさにこの件は放置とし、すでに他の件で話しを詰め始める方針のようだ。

まぁヴァニエの件とかやることはいろいろあるからな。


そんなこんなで騎士に連れられた俺たちは勇者がいる外の広間まできた。

彼らは最初俺が誰なのか分からなかったようだが、要件を伝えるとここぞとばかりに食いついてくる。

なぜかいっしょにいる聖女もついでに。


「くっ、ゼノン・クロスハート」

「君がゼノンくんか、そこのハーフエルフの子から話は聞いてるよ。……ただ少し期待外れだね、その子があんまり君を過大評価するものだからどんな勇者なのかと思ったけど、まだ子供じゃないかっ! ハハハハ!! 彼女の眼を覚まさせてあげるのも現・勇者の役目ってことかな?」


おまえも子供やんけ、なんなんだその謎の自信は。

あとフィッテの機嫌が悪い理由がなんとなく察せた、そういうことね。


「なんですのこの馬鹿どもは?」

「ははは、これは僕も仲良くするのは無理かな」

「(ギリィ)」


ヴァニエが珍モンスターを発見したような目で見て、エレンとフィッテが既に武器を抜刀しようとしていた。

目がマジだ。


フィッテとエレンの目が怖すぎて、まじでチビりそうになったぞ。


「あー、そこの召喚されし勇者くんたちでいいかな? やる気があるみたいでなによりだ。じゃあさっそく決闘しようか」

「ああ。そうだ、ねっ!!」


うおいっ!?


まだ試合が開始されたわけでもないのに、いきなり切り掛かってきたぞっ!

だが、なんて低スピードの斬撃なんだ、勇者のユニークスキルかなんかで身体能力はあがっているみたいだが、彼自身のレベルとスキルレベルが低すぎる。

まさにあくびがでるレベルだ。


これの程度のレベルでは力量の違いすら分からず、試合でまともに勝ってもあまり懲り無さそうだな。

なら、いっちょ派手に行きますか。


「まるでハエが止まって見えるぜ、よっと」

「「「なっ!?」」」


素手で剣を掴み申した。

もう思いっきりニギニギしている感じだ。

剣のヒンヤリ感がちょっとキモチイイ……。


それに彼らもみんな驚いてくれたようでなによりだ、ビックリ芸をやった甲斐がある。


「ばかなっ! 現・勇者である僕の聖剣を素手で受け止めるなんて! ハッ、もしやお前人間ではないのか!?」

「勇者さまっ! 鑑定が終わりましたっ! 彼の頭の上にいるのは金属ではなくモンスターですっ、それにあの赤い髪の少女も人間ではなく魔族。やはり彼は魔王だったのですねっ!! 私が間違えるはずがなかったんだわ!」

「勇ちゃんっ! 魔王が王城に入り込んでいるなんて大問題だよ! 私たちも加勢するっ」


パパンから聖女の件はちらっと聞いていたが、懲りてないのかこの聖女。

魔王って邪神の加護がついてはじめて誕生するっていうのに、見透かせる聖女さんが俺を勘違いする理由がわからないんだよな。


あと加勢ってなんだよ、そんなのありか。

まあ、ぶっちゃけなんでもいいけどな。


「くっ、ありがとうみんな。魔王! 覚悟しろ」


覚悟?

しないよ。


まあ、他人が負けるより自分自身が負けたほうが身に染みるだろ、ちょうどいいっちゃちょうどいいな。

さっそく大技で終わらせよう。


「まあ加勢でもなんでもいいけど、来るなら倒すぞ? こいスラキュー!」

「キュッ!」


この3年であまりレベルをあげる機会には恵まれなかったが、あの小国でスラキューの講義をしている間にいろいろと技を開発しておいたんだよね。


そのうちの一つで決着をつける。


「……あっ! まさかアレやるきですの!?」

「フィッテちゃん伏せて!」

「え?」


エレン、ナイスフォロー。

まあそこまで被害はいかないと思うけどな。

そして俺は大量の火の魔力をスラキューに詰め込んでから、勇者たちの頭上に投げつけた。


「でかいのいくぞッ! スラキューダイナマイト!!」


ズガァアアン!!


………………。

…………。

……。



「てへっ」

「「「………」」」


やりすぎちゃったっ。


「キュッ♪キュッ♪」


爆発したスラキューが戻ってきた。

あっ、もちろんスラキュー自身が爆発したわけではないぞ。


スラキューは火属性の魔力の圧縮装置にはなるが、そもそも魔法が効かないから俺の魔力が爆発しても無傷なのだ。

まさにスラキューのみが使える爆裂魔法だ。


「……じゃ、帰るか!」


俺はこの惨状を見なかったことにし、その場を去った。


まあ手加減したし大丈夫だと思う。

うん、大丈夫なはずだ!



スラキューは便利です。

生き物に魔力を込めすぎると攻撃になってしまうのですが、スラキューには効果がないです。

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