17 冒険者育成機関へ
やってきましたよ迷宮都市ッ!
クロスハート領から国境までが約3週間、国境から帝国の迷宮都市までが2週間の1ヶ月の旅だった。
いやー、見事なまでに盗賊だらけだったね。
まぁ少しでも武器の購入資金に充てるために、盗賊は殺すんじゃなくて生け捕りにしたのは正解だっただろう。
生け捕りにすれば犯罪奴隷にしたときの代金と討伐金で2重のうまみなのだ。
2年間魔石も換金し、金貨が2枚ほどたまっているうえでの上乗せだ、もうウハウハだよ。
現在の軍資金は金貨4枚に銀貨10枚ほどだが、盗賊が一人あたり銀貨5枚ほどなので、40人前後引き渡したことになる。
特に国境とかの首都から離れたあたりがやばかった、道も整備されてないし無法地帯だな……。
「まぁ、この金貨はパーティ資金だ。迷宮都市にいったらフィッテの装備と俺の装備代に充てよう」
「ボクはまだこの棍でいいよー? これでも師匠が選んでくれたものだしっ」
「あなたに新装備などまだ早すぎます」
銀髪クール美人のメイドさんは、鑑定レベルを最大まであげたおかげでステータスを覗けるようになったが、Lv.44とかなりキチったレベルだった。
D~Cクラスの中年冒険者のレベルが20前後だったことを考えると、おそらくBの上位あたりのレベルだと思われる、正直ドン引きだ。
パパンとママンはまだ鑑定できない、やつらはいったい……。
「まー、迷宮都市行きの馬車の護衛で仲良くなった商人さんからもらった装備とかあるし、フィッテの棍を買う余裕くらいはあると思うよ? 高レベルのマジックアイテムとかになると流石に厳しいけどね」
「あぅ、ゼノンくんがそう言うなら…」
「……」
マジックアイテムは迷宮などで発掘されるオーパーツのことだ、いわゆる迷宮産装備だな。
人工的に作る研究も進められているらしいが、たいしたものは出来ていないらしい。
ちなみに、商人からもらった装備は子供の訓練用革装備を一式だ、2人分。
あとメイドさんの俺への視線が痛い、口説いてないよ!
フィッテとはいつもこんな感じじゃないか、ユルセ。
そんなこんなでギルドカードを提出し、門番さんを軽くスルー。
俺たちは宿を取って冒険者ギルドへ直行した。
旅の途中にフィッテも冒険者登録をし、E級からスタートしていたのだ。
まあギリギリだけどE級の冒険者を倒していたからな、当然の結果だろう。
ちなみに俺のランクはあがっていない、クエストとか今回の護衛くらいしかしたことないしな。
そして、冒険者ギルドで冒険者育成機関に登録したらメイドさんとはお別れだ。
メイドはおいてきた、俺たちの冒険にはついてこれない。
つまり、メイドさんはここまでの護衛だったわけだ。
ただ、しばらくは俺たちと行動を共にし、宿でお世話をしてくれる。
そのうち俺たちが育成機関の宿舎へ入ったら別れるのだろう。
「じゃあ今から登録して、ここでお別れだね。宿で会うことになるけど」
「はい」
「ボクははやく迷宮にいきたいよっ」
フィッテはいつから戦闘狂になってしまったのか。
迷宮にすぐ入れるわけじゃないんだぞ。
冒険者育成機関は、迷宮を管理する冒険者ギルドの子会社みたいなものだな、冒険者ギルドが元締めだ。
ここに登録しないと特定の迷宮へもぐることはできない。
野良迷宮なんてのもあるが、どこにあってどんなうま味があるかも分からないので初心者向きではない。
育成機関と言うのは高ランク冒険者への登竜門といわれていて、俺たちからすれば学校だな。
まぁ、普通の冒険者にとって登竜門なのは事実だろうな…俺にはスキルがあるから自力でなんとかなるが、迷宮で手に入る武器防具はこの世界の冒険者からすればのどから手がでるほどだろう。
まさに一攫千金ってやつだ。
そんなこんなで冒険者ギルドで育成機関への登録をする。
「すみませーんっ、冒険者育成機関への登録をお願いします」
「しますっ」
「オウッ! ギルドカードを見る限りじゃ年齢ぴったしってとこか! その歳でEランクとは恐れ入ったぜッ! こりゃああと数年もすれば迷宮の上層くらいなら庭になってるかもなッ!」
なんだかどっかで見た事あるようなスキンヘッドのおっさんが居た。
態度を見る限りじゃ違う人っぽいが、まさか兄弟じゃねぇだろうな…前のとき名前聞いとくんだった。
「育成機関への登録料は1年間で一人金貨1枚だ」
想像はしていたがやっぱ高いなぁ、まぁしょうがないけど。
「はい、2枚」
「おう、確かに受け取ったぜ。ボウズ達は5歳だから、育成機関では最年少クラスへ割り振られるだろう。一応金さえ払えばだれでも入れるが、実力分けのテストがある、がんばれよッ!」
「まかせといて」
「(……テスト、テスト)」
フィッテはテストの結果でバラバラになるのが不安なのだろう、だが5歳でE級を倒せるようなやつがほかにいるとは思えない。
というかそんなポンポンいたら怖いわ。
「今季のテストはちょうど来週だ、それまで依頼でもこなして体を温めとけッ!」
「はーい」
「(一週間後にテスト……)」
まあ一週間もあれば武器も揃えて準備も整うだろう、それにここら一帯は迷宮があるだけあってモンスターの数も多い、いいレベルあげになりそうだ。
俺たちは冒険者ギルドを出ると、都市を見学して回った。
…途中の教会でシスター(?)のような恰好をした、6~8歳くらいの女の子が目を見開いてこちらを凝視していたが、なんだったのだろうか。
目をあわせたら走って逃げていった。
俺なんか悪いことしたかな……。
まぁ、とりあえず今は装備だ、鍛冶屋でいい武器がないか物色してみよう。
それから俺とフィッテの合う武器を鑑定して回ったが、値段が高すぎるか、性能が低すぎるかでうまくかみ合うものがなかった。
これは迷宮装備は無理かなぁ、なんて思っていると、「銀貨10枚セール」とかかれタルの中にぎゅうぎゅうに押し込められた中古装備に目が行った。
あのタルの中から魔力を感じるのである。
さっそく中を漁ってみると、銀貨10枚だけあってボロかナマクラしかないのがほとんどだったが、1つだけヘンテコな装備をみつけた。
「…これ、グローブか?」
「うーん…でも、なんか布は真っ黒でボロボロだし、手首のところは腕輪だよ?」
「鑑定も弾かれてる…すくなくともただの装備じゃないけど…」
仮に呪われた装備だったとしても、俺は呪いへの完全耐性がある。
銀貨10枚にしては分のいい賭けだろう、買ってみるか。
「おじさん、これください」
「あいよーっ、ってウチにそんなものあったかな?まあどうせまとめて引き取ったものだしな」
おいおい、ますます呪われてそうな装備だな。
装備を買った俺は、さっそく店をでて装備してみることにした。
「装備っていっても布部分はボロボロだな、とりあえず腕輪部分を通してみるか……」
とりあえず、一応装備してみるに……。
バチンッ。
…………。
……。
キィイイイイイイイイインッ!
「うぉおっ!?」
いきなり布がはじけ飛んだと思ったら、腕輪が俺の魔力を吸い始めたっ!
おいおいおいマジもんの呪い装備か!?
あ、いや呪いへは耐性があるはずだから、これは正常な動作ってことになるのか。
これが正常とかまじかよ。
「ゼノンくん!? ど、どどどうしようっ! どうしよう!?」
「大丈夫だ! おそらくこれがこの装備の効果なんだと思う」
「……あぅっ、あぅ」
フィッテは俺のこととなるとすぐに動揺するな。
それからしばらくして、魔力を十分に吸ったのか、腕輪の吸引が止まった。
いつのまにか新品の指ぬきグローブが俺の手にフィットしていたのだ。
「はっ? なんか新品になった……」
グローブ、まじかよお前。
「か、かっこいいーっ! 綺麗で黒くてゼノンくんみたいっ!」
まさかとは思うが、こいつ魔力による自動修復型か?これは銀貨10枚どころか金貨10枚でも安いくらいだな、魔力の消費量からして効果もきっとこれだけじゃない。
「そうだ、俺の魔力を吸って装備できたなら鑑定できるかもっ」
鑑定してみたらできた。
そしたらとんでもない効果だった……。




