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121 アベル大先生の挑戦状

ルーシーの話しを聞くこと30分、だいたい要領がつかめてきた。

以前聞いた時は「他人の魔力から情報を集めるだけ」との見解だったが、どうやらこの魔道具はそれだけでは無かったようだ。


「…要するにこの魔道具は、魔力を抜き取った人からスキルを集めている可能性があるわけか」

「そうじゃの~。まあスキルそのものというよりは、その根源を集めているようじゃがの…」


なんかめちゃくちゃな魔道具だったっぽい。

もちろん集めたスキルをコピーして本人が使えるっていう訳じゃなく、魔力にスキルの情報が含まれているだけとのこと。

まあ細胞まりょくを採取して顕微鏡で覗いてるみたいなもんだな。



スキルなんかは元々、魔素(マナ)や魔力と切っても切れない関係にあるらしく、魔力を集めれば必然としていろいろセットでついてくるらしい。


ただ、魔力が抜かれたからといって本人のスキルが劣化したりするわけではなく、細胞に含まれる遺伝子のように情報が詰め込まれているだけのようだ。


「こんなにスキルを集めてなにするか知らないけど、ご苦労なことだ」

「…まあ優秀な魔道具であることに変わりはないがの。じゃがどんなに優秀でも、儂からみたらポンコツじゃわい…おそらくこの魔道具の制作者は、何かを犠牲にして神の住む場所<魂の扉>を開こうとしているのじゃろうな」


なんとか扉とか、よくわからない単語が出て来たぞ…


その後ルーシーから聞いた話によると、魂の扉とは「神の住む世界・魂が集まる場所」という認識らしい。

そもそも属性やスキルなんて物は大昔には存在せず、古代の時代は全て「無属性魔力たましいのエネルギー」という純粋な力で一括りにされていたとのこと。

…だから無属性が使えない生物なんてものは居ないし、人が使う属性なんてのも大昔は「無属性=魂のエネルギー」しかなかった。


ようするに純粋な魔力量だ。


そして時が経つにつれ、神々が人間・悪魔・モンスターといった知的生物に「無属性から派生した技」をスキルとして与えていったというのが成り立ちだそうだ。

ルーシーの時空魔法が、「無属性→空間属性→時空属性」と派生していったのもこれが原因だな。


で、その全ての力の根源、つまり、魂の力の根源でもある「スキル」の情報を集める理由なんていうのは「神の住む世界」への挑戦状に他ならないってことでルーシーは結論付けたっぽい。





…ふむ、まあだいたい解った。

結局カーネインがやろうとしている事は「全てをぶち破って、アリサさんの魂を力ずくで奪い返しに行く」ってことだ。

無茶するなあの大魔王。


だが仮に向こうの準備が整っていたとしても、その世界へ乗り込むにはまだ何年もかかるハズらしいので、とりあえずこの件は一旦保留だな。


…じゃ、みんなの所にもどろっと!

っていうか、なんだか下が騒がしいな。



「うぃ~っす、戻った」

「うむ、戻ったのじゃっ!」


ルーシーもさっきまでのシリアス顔とは違い、いつものドヤ顔に戻っている。

やっぱ時空幼女のドヤ顔をみると謎の安心感があるな…


「ああゼノン、かなり長い話だったね…重要な事だったのかい?あ、ここの駒全部もらうよ」

「金髪てめぇ…、強すぎんぞ…」


…なにやら囲碁に似たボードゲームで対戦会が開かれているっぽい。

対戦内容を見る限り、子供の頃に俺が教えた「なんちゃって囲碁」を弟が昇華した物のようだ。

碁石の代わりにチェスの駒みたいなのが使われている。

さっき浮かんでた魔道具はこれか…もう魔道具なら何でもアリだな弟よ…


しかもそこら中で対戦が行われている所をみるに、俺たちのパーティ内で大ブームを巻き起こしているようだ。

…もしかしてこれ売ったら大儲けできるんじゃ?

ちょっと見学してみよう。


「オホホホッ!どうです、私の3連勝ですわ!」

「ちょっとアンタ、私が今待ったって言ったでしょ!駒戻しなさいよ!」

「いやですわ…?」

「ムッカァ…」


さすがお勉強最強のヴァニエだけあって、ユリアでは相手にならないっぽいな。

どれどれ、少しマナー違反だが、日本で慣れ親しんだ俺がお手本でも…


「え、兄さんもやるの!?なら僕とやろうよ!」

「あっ!あぁ~いや、なんとなくやりたくなったけど、そうでもなくなったような?あはははは…」


アベル先生マジ勘弁してください。

勝負開始5分でボコボコにされてしまいます。

というかアベルの相手になるのは、時空幼女くらいしかいないだろ。


「おろ?儂の弟子同士の対決かの?見学しとこうかの~」

「えっ?ゼノンくんが対戦するの!?」

「英雄様と弟様の対決…、見物…」


ちょ、余計な事いっちゃだめだろルーシー…

アベル先生まじヤバイんだって!


「あはは、じゃあ僕も」

「じゃ、俺も」

「お前ら、絶対俺が負けるの分かってて見に来てるだろ…」


こいつら完全に俺の逃げ道を封鎖しに来てやがる…


その後はパパンとママンも含めて全員が集まってしまい、大々的に俺vsアベルの公開処刑が始まった…

勘弁してください…この子本気で強いんや…


ここはアレを使うしかあるまい…


「あはは、昔みたいだね兄さん?」

「ふっ…余裕か弟よ。しかし、俺には対戦経験の累積というお前にはない物があり、故に定石と急所を見分ける眼力があっ(略)」

「時間稼ぎしとらんでさっさと勝負せえっ!」


ハイ…


その後、試合開始20分で弟にボコボコにされた兄の姿があったという…

ボードゲーム戦のアベル相手に20分耐えた俺を称賛したい気分だ。

よく頑張った俺…


余談だが、なんちゃって囲碁の4位までの戦績は以下の通りだ。


1位:アベル・ルーシー 1勝1敗で互角

2位:-空白-

3位:俺

4位:ヴァニエ


まあ学力チートのヴァニエを上回っただけでも良しとしよう。



ちなみに、明日は向こうの大陸で勇者を見に行こうと思う。

1日ほどユリアが居なくなって慌てている頃だろうし、あぶり出しにはちょうどいいってところかな…

どっかでボロが出ているはずだ。


せいぜい暴走してるといい。


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