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120 最強のキッズエナジー

その後、アリサさんの今まで生きて来た内容を大まかに聞いてお話は終了となった。

まあ言ってしまえば、カーネインが復讐を誓った原因となるこの大陸の女神のやり方に疑問を抱き、ずっと裏で暗躍して来たとのこと。


アリサさんも最初からそのつもりだったわけではなく、生きているうちにちょっとずつ元のアリサの記憶に影響を受けていったらしい。

今ではもう自分の記憶として捉えているって話だった。

まあ、この大陸の女神がとんでもない奴って事が改めて認識できたし、話を聞いてよかったな。


ちなみに話を聞いている間ずっと実力を探っていたけど、最終的なプレッシャーはパパンの2.2倍くらいで止まった。

パパンがレベル90~100くらいだったはずだし、それを基準にすれば200~220くらいのレベルなんだろう。


S級のレベルが200くらいが上限だとしたら、S級をわずかに超えてるっぽい。

仮に戦うのであれば、今のレベルの俺が蒼炎の魔神を駆使してやっと倒せるってとこかな。

まあでもアリサさんは敵でもないし、ここが拠点になると見て間違いないだろう。


「じゃあ話も終わったしみんなの所に戻るかな、先に行ってるね」

「あら、ちょっと待ちなさい。次元結界が働いているっていったでしょう?」

「だからこそだよ、俺の魔法が通用するのか確認しときたいし」


次元結界が魔道具によるものなのか、アリサさんのスキルによるものなのかは分からないけど、おそらく時空幼女の魔法を超えるってことはないと思うんだよね。

あの幼女が次元結界の劣化魔法をわざわざ600年かけて作り上げるはずがない。


「ちょっと、なにを言って…」

「じゃ、そういうことで【瞬間移動】」

いざオアシスの元へっ!


「…あっ、ゼノンくんが戻って来たっ!みんなー!新しいお兄ちゃんだよー!」

「…ん?」

「「「わぁぁぁああああ!!」」」

「うぉおおおおおっ!?」


俺が戻った瞬間、オアシスの新しいお兄ちゃんコールで孤児院の子供たちが突進してきた…

なんかめちゃくちゃいっぱい居るぞ!?


「黒い髪の毛のお兄ちゃんだーっ!」

「すごーい!ツルツル~!」

「え、ちょ…」


髪の毛は引っ張っちゃだめや!そこはアカン!

7歳以下の子供ばかりだけど、力が弱くても引っ張っちゃだめだ。

髪の毛は繊細なんや!


「このお兄ちゃんカッコいいね?あたちと遊ぼ!」

「だめ!おれがこのニーチャンと遊ぶ!」


なんなんだ、元気すぎるだろこの子たち…

その後、体をよじ登って来た子友達による容赦のない引っ張り合いにより、俺のスタミナはガリガリと削られていった…

精神値3万超えの俺にダメージを与えるとは、恐るべきキッズエナジー…


「…ははは、がんばってくれゼノン。僕たちはもうダメさ…」

「あとは任せたぜ…」

「お前ら…くっ、後は任せろ…」


ふとエレンたちの方を見ると、そこには孤児院の子供たちと激戦を繰り広げたであろう戦士の姿があった…

まさかこの二人を同時に破るとはな、キッズエナジーを侮っていたかもしれない。

だが、こちとら実質レベル100オーバーのステータスがある、そう簡単には負けないぜ…


「うぉおおお!お兄ちゃんが遊んでやるぞおおぉ!どこからでもかかってこい!」

「「「わぁぁぁあああああ!!!」」」

「あっ、ちょっ、全員来るのは反則だぞ…」


キッズたちが全員向かってきた。


「バカですわ…」

「バカね」

「…ん、英雄様の雄姿を見届ける」


なんでや!

少しくらい助けてくれたっていいだろ…



──10分後。



破壊神キッズたちの猛威はアリサさんの登場によって収束し、子供たちは孤児院の奥へと格納されていった。


「た、助かった…」

「だらしないよゼノンくん、もっとしゃきっとしなきゃ」


むしろなぜオアシスが元気なのかが知りたい…


「迷惑かけてごめんなさいねぇ、あの子たちにとって遊んでもらえる人が来るのは稀なのよ」

「いや、まあ子供たちが楽しかったならそれでいいよ。…それでここに来た要件なんだけどさ、さっき使った瞬間移動用のアイテムを設置したいから、信用のおける人を探してたんだ」


まあアリサさんもユリアを勇者から守るためなら願ったりかなったりだろうし、嫌ではないはずだ。


「あの見たことも無い魔法のことね。いいわよ、それなら私に預けてもらえれば安全な所に設置してあげる。あなたたちの目的がこの大陸の女神と勇者に関わるであろうことは分かっていたし、私にできることなら言ってくれて構わないわ」

「じゃ、そういうことで」


アリサさんがなぜ俺たちの目的を知っていたかは謎だけど、いずれ教えてくれる日が来るだろう。

今はとりあえず、容器を設置しておくことが重要だ。


…そしてその後、容器を預けた俺はとりあえずクロスハート領に戻る事にした。

ユリアにこことは違う大陸のことを教えてあげたいしね。


「よし、じゃあ活動拠点も決まったし一旦みんなで戻るか」

「戻るってあんたの雇用主の所か何か?貴族ともつながっているようだし」


まあ、行ってみればわかるよ。


そしてクロスハート家の屋敷へと戻って来た。

最近ミュラ姉さんの顔もみてないし、家にいるといいんだけど…


「ただいま~!」

「…へぇ、ここがあんたを雇っている貴族の家ね?なかなか立派な所みたいだけど、私が話せば手を引くはずよっ!フフン」


いや、実家なんだけど…


すると俺が挨拶をしたとたん、弟のアベルが飛び出してきた。

なんか体の周りに魔道具みたいなものが浮いているけど…今度は何を開発したんだ弟よ…


「兄さんだっ!おかえりっ!」

「おう、ただいま。…気配的に、ルーシーも一緒か?」

「うん、ご飯の時間になるとルーシーさんがこっちに来るんだ。いつも大げさに喜ぶから、お母さんとメイドさんもノリノリみたいだよ」


いや、大げさじゃないぞ…

あの幼女は恐らく本気で喜んでる。


「…え?…ちょ、ちょっと!お母さんって何よ!?ここあんたの家なの!?」

「へっへっへ~、そうだよユリアちゃん、ゼノンくんは別大陸の公爵家なんだよ?それに大陸最強の勇者様でもあったり?」

「…な、な、な」


めっちゃ驚いてるようだ。

今もツインテ式口パクを披露している…


「勇者なのは最初から分かってたけど、別大陸って…まさか魔大陸のこと!?…そう、ここが魔大陸なのね」

「いや、ここは人間大陸だぞ。魔大陸の向こう側にある、もう一つの人間大陸だ」


だが、確かにこっちの大陸のことを知らないツインテちゃんからしたら魔大陸に見えるか…

まあでも、これで分かってくれただろう。


「フッ、…フフフフ。そうね、そういうことなのね…!つまり、世界は私を中心に廻っていたのよ!」


全く分かってなかった…

ツインテちゃんの理解を超え、さらに混乱しはじめたっぽい。


その後は暴走しはじめたユリアをみんなに預け、パパンとママンに会わせておいた。

明日にはまた向こうの大陸に転移するし、とりあえずいろいろ親睦を深めておいて欲しい。

…決してユリアの暴走から逃げたわけじゃない、そう決してだ。


ちなみに、今回戻って来たのはもう一つ要件があったからだ。

カーネインの事をいろいろ聞いて思い出したが、あの人形が持っていた魔力収集魔道具の解析結果が気になったんだよね。


なのでルーシーを部屋に呼んで聞いてみる事にした。

ご飯も食べ終わったようだし、ちょうどいいタイミングだな。


「それで、何かわかった?」

「あのポンコツ魔道具のことかの?」


そうそう、それそれ。


あれからもうだいぶ時間がたってるし、ルーシーに分からないなんてことはないだろう。

態度からも解析済みって感じが出てるし、詳しく聞いてみようと思う。







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