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11 大きい話を、俺はさらに大きくする

狙って勇者偽装計画っ

順番が来たので、俺はそそくさとパパンの所に戻っていた。


「クロスハート家領主、ロイル・クロスハートだ。それと討伐した盗賊の証明部位がある引き取り願いたい。ギルドカードでいいか?」

「はっ! お噂はかねがね。拝見させていただきます……、確認致しました。ようこそっ! 王都カーデンへ!」


門番はギルドカードを受け取る手が若干震えていたが、なんとかやり終えたみたいで胸に手を当て敬礼した。

首は他の門番がもっていった。


門を通り王都へ入る俺たち。


「さて、まずは王への連絡だな。ゼノンは俺と来い、フィッテちゃんはメイド達と宿に行ってもらう。なに、すぐに戻るさ。そのあとゆっくり遊べばいい」

「わかったよ」


そうしてパパン組とメイド組に分かれ、一時的に別行動となった。


「ところで父さんは冒険者だったの?」

「はははっ! やはり気になるか! そうだぞ、父さんはこれでもAランクの冒険者なんだ。周りからは剣聖なんて呼ばれていてな」


自慢気だったが、まずAランクがどのくらいなのか分からないんだが。


「Aランク? ってどのくらい凄いの?」

「あぁ、そうだったな、まずはそこからか。冒険者ギルドっていうのは実力に応じてランク分けされていてな、見習いのFを除きEランクが一番下でそこからD・C・B・Aまでランクがあるんだ。例外として、過去の勇者なんかはSランクだったらしい。そうだな、わかり易く例えれば【Eはルーキー】【Dは中堅】【Cはベテラン】【Bは達人】【Aは人外】ってとこだなぁ」

「じゃあ勇者をのぞいて最上位ランクってことなんだね、すごいなぁ」


いや、マジですげぇ……。


勇者っていってもおそらく勇者の「辿り着けた頂」がSなのだろう。

そう考えるとまじでパパンあんた何者だよ……。


Aランクがこのギルドに何人いるかは分からないが、おそらくそうは居ないのだろう。

自由時間中に俺もギルドに行ってみようっと。


そんなことを話しているうちに王城へついたみたいだ、ここにも門番がいた。


「ロイル・クロスハートだ、王に緊急の用があって参った、通していただきたい」

「はっ! お勤めご苦労様です。どうぞお通り下さい」


ありゃ、今回はすんなり通れた。

ま、公爵だもんな、王城の人間が顔を知ってなかったらそりゃヤバイわ。


スタスタと歩いて城内に入ると、騎士のような人が出迎えてくれた、どうやら先ほどのやり取りで先に連絡が行ったらしい。

その案内に従っていくと、いままで通った中のような豪華絢爛な作りとは違い、質素というかシンプルな作りをした木の扉の前まで来た。


「王の私室でございます、では、私はこれで」

「ご苦労」


そういうとパパンは扉をノックした。


「……入れ」


うお、めっちゃ威圧的な声が返ってきた。

というか扉の向こうから圧倒的な存在感を感じる。


「失礼します、緊急の用があり参上いたしました」

「緊急とは穏やかではないが、久しぶりにあったんだ、他人行儀は止そうじゃねぇか。なぁ、ロイル?」

「……はあぁぁっ。相変わらずだな、ギルバート。少しは息子の前でかっこつけさせろ」

「ガッハッハ! お前が部下みてぇな態度とってっと、背中が痒くなるんだよ!」


うおっ急におっさんが笑い出した、というかこの2人すげー仲良さそうだな、年齢もそんな離れてなさそうだ。

王のおっさん、ギルバートだったか、30くらいに見えるぞ。

おっさんは筋肉もりもりのゴリマッチョで、ライオンの鬣みたいな真っ赤な頭髪と、整えられつつも野性的なヒゲを生やしている。


「それに緊急で尚且つ息子ってことは……、アレか。黒髪黒目、勇者に関係することだな?」

「そうだ、順を追って話すが、まぁそんな長い話ではない。重要なのは教会のほうだ」


教会の話が出ると、おっさんはヒゲを弄りはじめた。


「教会ってーと、なんだ? まさか、本当に勇者になっちまったってんじゃねぇだろうな?」

「それが、そのまさかだ。まだ確定ではないが、かつて勇者が持っていたといわれる力が発現している」


言語理解のことだろうな、あれがまさか、そんなやばいスキルだとは思わなったよ……。

言語だったら理解しちゃうだけだぜ。

充分やばいんだけどさ。

やっぱもっと慎重に森に行くべきだった、ママンがついてきていたなんて分からなかったよ。

恐るべきママン。


「あぁ!? マジかよ、おめぇそれじゃあ、魔王がもう復活したってことじゃねえのか……」

「だろうな、だが目の前の脅威は他にもある。教会そのものだ。一見教会は勇者に対して協力的に見えるが、こちらが勇者を引き渡さず王家で囲うことになれば大変なことになるぞ。周りの貴族はもちろん、教会の暗部なんかも動きだすだろうな。だが、だからといって教会に連絡しないワケにはいかない」

「……だろうな。なにせ連絡しないで魔王が復活してました、じゃ、済まねぇ。それこそ魔族に対して後手に回ることになる。それも最悪の形でだ。教会には教会の存在理由がある」


なんか俺抜きで話しが進むが、教会の存在理由とか暗部ってなんだ。

勇者ではないが、知っておかないと無理やり勇者認定なんかされたときに対応できないぞ。

主に家族を守る的な意味でな。


「すみません……。あの、教会の存在理由とか、暗部ってなんですか? 僕に関わることみたいですが」

「ん? おぉ、つい話し込んじまった。にしても賢そうなガキだな、こりゃセーラ寄りだなッ! ガハハハハ!」

「余計なお世話だ。息子が賢いのは認めるがな」

「んで、なんだ。教会の存在理由か……。そうだな、おめぇが本当に勇者の可能性が高いってんなら話してやろう。ロイル……、こいつのその力ってのはどんなのなんだ?」


おっさんはどうやら教えてくれる気ではいるようだ。


「そうだな、じゃあ早速だが魔法言語辞典なんか無いか? あれなんか丁度いいだろう」

「辞典だぁ? あー、まぁそこらへんに転がってると思うぜ、読まないけどな」


んー、ここで難しい辞典を選ばれたら、言語理解Lv.3の俺が読めるとも限らない。

教会の情報を手に入れるためにも、ここは勇者をチラつかせておくべきだろう。


「父さん、これかな?」


俺は自ら読めそうなレベルの辞典を手に取った。


「そうだ、それを読んでみるんだ」

「ふむ」


パパンとおっさんがまじまじと見てくる、やめろよっ照れるじゃねえか。


「えーっと……【ブレイズ】」


体から魔力が放出し、目の前に火の玉が浮かんだ。

火の玉は4秒ほど宙に浮いたあと、すぐに消えてしまった……。


「おいおい、マジじゃねぇかこりゃ……」

「ゼノン、次も読んでみろ」

「次はー、【アイシクル】」


氷柱が浮かんだ。

そんなやり取りを何回か繰り返し、魔力切れもしないことがわかるとパパンとおっさんは頷き合った。


「こりゃあ本物だな。魔法言語は発音しても対応する魔力量と意味を理解していなければ、発動できないはずだ。となると、まず間違いねえ」

「ああ、改めてみたが、正直俺も半信半疑だった」


どうやら信じてもらえたみたいだ。

じゃ、教会のことについて話してもらおう、内容によって隠ぺいの内容も大きく変わるだろうし。


「はー、疲れたっ。じゃあ教会のことについて教えてよ!」

「わかった、だがまず部屋を移す。おめぇの爺ちゃんと、現・宮廷魔術師長、宰相、近衛騎士長を呼ぶ。話はその後だ」


なんだか大がかりになってきたなぁ……。

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