103 幼女がラーメンを食べたら暴走した
─夜になった。
あの後ファイスとセレナは宿でポーションを飲み全回復したようだし、ファイスも明日のトーナメントへの準備は万全みたいだ。
Aブロックで驚いたハドウの攻撃についてはレベル120クラスにしたってありえない威力だったが、ユニークスキルに攻撃力上昇系のものがあると見てまず間違いないだろう。
…まあそれはさておきまずはルーシーの部屋に転移だ、この空間魔道具について時間があるときに調べてもらおう。
「おっす、1ヶ月ぶりくらいか?」
「にゅお?もぐもぐ…なんじゃ、もぐもぐ…もう本選が始まったのかの?」
めっちゃ御飯中だった…
ていうかそのカエルの死骸みたいなのうまいのか…?ものすごくマズそうなんだけど…
サイコロ修行の時に発覚したが、ルーシーは基本的に食料調達は泉の周辺に住む生き物で賄っているようなんだよな…俺もなんだかよく分からない謎の料理を食わされたけど、とてもじゃないが感想を言えるレベルの味じゃなかった。
というか、今思い返せばコロコロがトラウマになったのも、料理がマズすぎた事が原因の一つなんじゃないかと考えている。
…それくらい謎の料理しか出なかった。
「いや…今回はこの魔道具について調べてくれないか相談に来たんだ。なんか分かるか?」
「ぬ~、なんじゃこれは、微妙な魔道具じゃのぉ」
…その後ルーシーに今回の経緯を話し調査を依頼してみたが少し時間がかかるとのこと。
さすがのルーシーも空間魔法の魔道具を見ただけじゃ道具のすべてを知る事はできないらしい…
魔法陣みたいな構造が表に出てるものなら別みたいだけどね。
「まあ話しを聞く限りではこの魔道具の制作者は他人の魔力から情報を抜き取っていたみたいじゃな、面白い発想じゃの~。ただ構造が妹の魔道具以下じゃし技術力そのものは弟子2号と変わらん。発想はあの小童のほうが上じゃから、落第点かの?」
「これで落第なのか…」
というか11歳のアベルが魔公爵家の生産最高峰の当主と互角って…
いや考えるのは止そう、アベルが天才なだけだ…
「それじゃ暇なときにでも解析をしておいてくれ、頼んだ。…それとトーナメントは明日からだからもう下界に降りておいたほうがいいぞ、下界の飯はうまいし俺がおごってやるよ」
「飯なんてどれをくっても同じじゃろ…腹が膨れれば変わらんわい、カッカッカッカ!」
いやそれ絶対カエルしか食ってないからだと思う…
この幼女は研究のしすぎて料理ってのを忘れちゃっているらしい、これは本気で旨いものを食わせてあげるべきだな。
…まだ研究の続きがあるのか、めんどくさがっているルーシーを引きずり夜の屋台へと連れていった。
そして現在…異世界のラーメンと思わしき油ガッツリ系の料理を食べさせている。
4年に1度の大陸闘技大会とだけあって、昼も夜も変わらず店は営業中なようだ。
…しかもこの屋台はここらへんで一番値段が高い屋台らしく、ラーメンっぽい何かに使われているモンスター肉・麺・スープは全てが極上の物を使っているとのこと…ラーメン一杯で銀貨1枚するとかやばい…
「ぬぁあああっ!!なんじゃこの料理はっ!?うまい、うますぎるのじゃ!お主は世界一のシェフかなにかなんじゃろうか!?」
めっちゃ興奮してた。
「おぉ、お嬢ちゃんいい食べっぷりじゃねぇか…俺はシェフなんて言われるほどお高くとまっちゃいねえけどよ、それでも客に最高のモンを食わせるために全てを駆使してきたつもりだ。これだけ喜んでくれる客がいりゃあ今までの努力が報われるってもんだぜ…くっ…」
「もうなんでもええわい!これだけの料理が作れるならお主は世界一のシェフじゃ! 儂がいままで食べてきた物のなかで一番じゃのぉっ…うまいっ…」
屋台のおっちゃんが喋っている途中で泣き出してしまった…俺から見るとルーシーの喜びっぷりのほうが料理より驚いたわ…
その後ルーシーはラーメン大盛を追加で頼みお腹をパンパンにさせていた…あの幼女のどこにあの量のラーメンが入るのか不思議でしょうがない…
「な?うまかっただろ?」
「うまいのじゃぁ、でも苦しいのじゃぁ…」
「苦しいのはあたりまえやろ…」
まあでも気持ちは分かる…あのカエルしか食っていない環境下で1万円のラーメンを食べたらそうなるわ…
明日も別のところ連れてって上げよう。
そして1時間後、ルーシーのお腹が元にもどりはじめたので下界の案内をちらちらとしてあげた。
「…ふむふむ、500年くらい訪れんかったがサンドレイク帝国も様変わりしたようじゃのぉ。昔はちっぽけな小国じゃったのに、今じゃ大陸最大の国の一角とは。ただ、文明はあんまり変わってないようじゃの」
「ズバっというな…」
地球と違って進化の流れ的には魔法が発展するか科学が発展するかの違いだと思うけど、それでも中世くらいの時代はまだ進化が緩やかだったような気もする…関係あるのかは知らないけどね。
「まあルーシーはお金とかもってないだろうから、俺がたまに連れてってやるよ。期待してまっとけ」
「カッカッカッ!小童にしては粋な計らいじゃっ、もっと儂を楽しませるがよいぞっ」
「まあ、さすがにカエルはかわいそうだしな…」
「もうあんなものは食いたくないのじゃ…」
…俺も二度と食いたくない…
…その後俺たちのとまっている宿に連れて行って翌日を迎えた。
ちなみに昨日の晩御飯の報酬として応援はしっかりしてくれるとのことだ。
ただのカエル料理じゃないです、調味料がないカエル料理です…




