13話 勉強会開催
学校が終わり早々に三人は尊の家に集まっていた。
「みーくんの家久しぶりかも。でもあまり変わってない」
「久しぶりって言っても一か月くらいだろ。そんな変わったりはしない」
リビングに入るなり周りを見渡し目をキョロキョロさせる陽菜。
大きな瞳に小柄な身体も相まって小動物を連想させる。
ちなみにみーくんとは尊のことだ。陽菜は親しくなると愛称で人を呼ぶことが多い。尊もみーくんは流石に恥ずかしかったので止めるように言ったのだが全くもって聞く耳を持たなかった。
「でもいつもながら綺麗な部屋だよね。私なんてすぐ散らかしちゃうのに」
「物がないだけだよ。散らかりようがないんだ」
「まあ、確かに良く言えばシンプル。悪く言えば寂しい部屋だよな」
「うるせえ。いいから早く勉強始めるぞ」
折り畳み式の少し大きめの机を取り出しリビングの真ん中に置く。
それを見て陽菜が不満げな顔をする。
「えー。ちょっと休憩してからにしようよ」
「何しに来たんだよお前は……いいからそこ座る」
机の一角を指さし促すと、ぶーと膨れながらも陽菜は座った。
隣に隼人も腰を下ろしようやく勉強する体制になった。
「それで何から勉強するんだ?というか何の教科がわからないんだ?」
「全部!」
「お前な……」
陽菜の言葉に頬を引きつらせる。全部ということは文字通り全教科だ。流石に尊も頭を押さえ項垂れる。
「全部って言っても多少は得意な教科もあるだろ?」
「うーん、強いて言うなら国語かな」
「でも陽菜の得意って言ってる国語もほぼ赤点ぎりぎりだから誤差みたいなもんだぞ」
「ちょっとはーくんひどい!」
隼人の肩を叩く陽菜。だがその手にはほとんど力が入っておらず軽く触った程度のものだ。隼人もごめんって、と言いつつ嬉しそうにしている。
「おい。イチャつくなら追い出すぞ」
「あー!ごめんごめん怒らないでみーくん!」
「悪かったよ。この通り。な」
目を細め睨みつけると慌てる二人。
二人揃って顔の前で手を合わせて反省しているポーズを取る。いつものことと言えばいつものことなのだが、独り身としては目の毒でしかない。
「とりあえずテストまで時間もない。一つずつ順番に行くぞ」
「はーい、先生」
「先生言うな」
鞄から教科書とノートを取り出し、三人は勉強を開始する。
時折イチャつく二人を注意しながらだったので、尊は全く集中はできなかった。
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