370 迷惑な世界 ②
先程の場所に戻るとここまで連れて来た連中が瓦礫を椅子代わりにして静かに待機していた。
俺が現れると再び立ち上がって近寄って来たけど、その動きがすぐに止まり逆に後ろへと下がってしまう。
それも仕方のない事だと思うけど死神たちは難民生活でストレスが溜まっており、その発散も目的に含まれていたようだ。
そんな連中が後ろから続々と現れれば引いてしまうのも仕方がない。
ここなら思いっきり暴れても良いので、死神たちは穴から飛び出すと同時に空へと上がって行く。
「あ、あの・・・先程の方々はいったい?」
「神を取り締まる警察みたいな奴等だ。声を掛けたら協力してくれると言うからこの世界で好き勝手してる奴等を任せる事にした。それが終れば更に他の世界の奴等がこの世界を元の状態に回復させてくれる。」
「本当ですか!?」
「それに関しては少し時間が掛かるが、他の世界からも少しずつ食料を提供してもらえば大丈夫あはずだ。幾つか心当たりはあるから声を掛けてもらっておく。」
「何から何までありがとうございます!」
「俺が出来る事は大した事ではない。その後に世界を平和に出来るかはお前たちの努力次第だ。」
「いえ、それすら意味のない事だった私達に救いの手を差し伸べてくれたのはアナタが初めてです。これから人類が滅びるまで語り継いでいこうと思います。」
「その辺は好きにしてくれ。俺は大元を殴り飛ばしに行って来る。」
俺もその場から飛び立つと空に出来た光へと飛び込んでいった。
するとそこは別の空間となっており、明るい光が降り注ぎ白い雲の絨毯が遠くまで広がっている。
そこの至る所に豪邸が立ち並び、その周りでは死神たちが戦いを繰り広げていた。
「さすがは死神だな。負けそうな奴が1人も居ない。」
相手が弱いというのもあるけど技術の面でも十分に上を行っている。
上級邪神だと力で押されて負けてしまうだろうけど、回復不可能の鎌の攻撃があるので変な取り決めさえなければ十分な抑止効果があったはずだ。
ただこんな入口の奴等は放置して、もっと奥へと向かって進んで行った。
途中でエヴァの声が聞こえた気がしたけど、ここには連れて来て居ないはずなので他人の空似だろう。
悲鳴を含んだ暴風がこの辺一帯を更地に変えているけど、きっと風属性を使える死神が居るに違いない。
「あ~!やっと見つけたわよ。」
「なんでエヴァがここに来てるんだ?死神たちを連れてきた時には居なかっただろ。」
「皆がアナタの事を心配して私を送り込んだのよ。」
「そうか。色々な世界を跨いでるから心配をかけたのか。」
「それとアナタが新しい女を引っ掛けて来ないか凄く心配してたわよ。」
「そっちが本命か!」
「まあ、どっちにしても愛されてるって事よ。それに到着早々にこんなお祭りを始めたら飛び入り参加しない訳にはいかないでしょ!」
「まあ、その方がエヴァらしいか。でもこれは死神のストレス発散も兼ねてるから程々にな。」
「任せなさい。こう見えてもその辺の事は弁えてるのよ。そういう訳だからそろそろ行くわね。」
エヴァは最後に捲し立てる様に言って敵へと向かって行ったけど、本気モードの鬼の姿まで晒しているので説得力が皆無と言える。
4桁は居るので大丈夫だと思うけど200年でここまで精神生命体への進化を遂げた者が居るという事は、彼等のやり方は思っていた以上に効率が良いのだろう。
他に迷惑を掛けず、その力を自分達の世界を再生させるために使っているならここまでの事をしようとは思わなかった。
ここに居る全員に死なない程度の拳骨を落として、クオナ達へと一緒に頭を下げて手助けを申し出るくらいはしただろう。
しかしコイツ等は自分達以外の人間を切り捨てて家畜の様に扱い、他の世界へも迷惑を掛けた。
それで命を落とした数はここに居る人数の数倍では済まないはずだ。
それにこういった町はここだけでなく、この星全体に転々と点在し既に貧民街の住人が死に絶えている所もある。
ここは全体で見ればまだマシな方なので、この世界がどれだけ他人に優しくないか分かると言うものだ。
彼等も1回や2回くらい死ぬ程度は覚悟が出来てこんな事をしているのだろう。
そして俺は更に前へと進み、この中で一番デカイ屋敷の前へと到着した。
「やっと到着したな。転移を使えば距離は関係ないとは言っても最寄りの出口から人の足で1日の距離なんてアクセスが悪すぎる。」
「ここに何用だ!」
「まずはノックから・・・と思ったけど、ドアノッカーが見つからないな。」
「貴様には耳が付いておらんのか!?」
「これは代わりに声を掛けてくれって事だな。」
「おい!!」
「五月蠅いな~!今呼ぶから黙ってろ!」
俺は巨大化して大きく息を吸い込むと屋敷を縦に4等分して睨み付ける。
先程から変な虫が騒いでいるようだけど、ここまで面倒を掛けられた思いを込めて全てを轟砲と一緒に吐き出した。
「ごめんくださ~い!!」
「うおーーー!!儂の屋敷がーーー!!」
しかし屋敷の端が吹き飛んだ程度で驚いてはいけない。
俺はそのまま顔の角度を変えると屋敷の全てを塵へと粉砕していく。
「な、なんだこれはーーー!貴様は儂にどんな恨みがあるんじゃーーー!?」
「え?お前のやり方が気に入らないだけだけど。」
「なんじゃそれはーーー!ならば儂も容赦せんぞ!!」
すると飛び出して来た男も巨大化すると黄金に輝く巨大なハンマーを取り出しフルスイングで攻撃してくる。
「ゴーーード・スマーーーシュ!!」
「ようは金鎚を使った横薙ぎね。」
「ゴーーード・プレーーース!!」
「次は金鎚を使った振り下ろしか。」
「儂の攻撃が通用せんじゃと!しかも余計な解説まで入れられて緊張感まで無くされてしもうた!」
攻撃が弱過ぎて防御する必要もない程だ。
逆に力を押さえないと金の金鎚が砕けてしまうので手加減のスキルを使っている。
しかも少し前にゲンさんの戦いを見たばかりなので、その時との差を感じてしまい問答無用で始末したくなる。
「お前は本当にこの世界を束ねている神なのか?」
「ここの神2000人を束ねているのは儂じゃ!周辺世界へと手を広げ、ようやくここまで増やしたのじゃからな!」
「やっぱり雑魚でもここの親玉か。悪いけど被害に遭った世界の為に潔く死んでくれ。」
「貴様は何様のつもりだ!?儂ら神が居るから世界が成り立っておるんじゃぞ!」
「お前の場合は害悪でしかない。やはり完全に消し去ることが多くの失われた命に対する弔いになりそうだな。」
それに神が居なくてもちゃんとやっていける世界もあると俺は知っている。
逆にこんな神が居る事で滅亡しそうな世界もある事が分かったのは良い勉強になった。
ついでのつもりだったけど結果を見ると幾つもの世界が救えているし、邪神ではないようだけど馬鹿な事をしている神も始末することが出来る。
俺も良い神様ではないけど分別が出来るように頑張って行こう。
「あ・あが・・だずけで・・・。」
「手加減もそろそろ止めるか。これで痛みというのを十分に理解が出来ただろう。」
最後は一思いに本気の連打で魂諸共完全に破壊し、復活も出来ないようにしておいた。
これで、ここに暮らしていた奴等も死神という抑止力がある事を知り、復活した後にも悪さはしないだろう。
そういえばラルティーネの世界をあんなにした勇者を探すのを忘れていたけど、既に姿が無いので倒されてしまったのかもしれない。
そして外に出て地上に降りると、今度は別のお客さんが俺達を待っていた。
「お前が他の世界から現れた魔人だな!」
「この世界ではどんな勝手も許さないわよ!」
「俺達はこの世界で最強チームだからな!」
『ゴン!ゴン!ゴン!』
「グハ!」
「イタ!」
「ガハ!」
どうやらコイツ等がここに来た時に話に聞いていた剣聖、聖女、賢者の称号を持っている奴等のようだ。
鑑定した限りでは剣聖は脳筋だけど、聖女と賢者にはこの荒廃した大地を改善するための手段を持っている。
コイツ等だけという事はないだろうから他にも居ると仮定して、やはり力の使い方を間違えているようだ。
「お前等はこの光景を見てどうも思わないのか?力、能力、知識があれば解決策は幾らでもあるだろ。」
「魔人が偉そうに!『ゴン!ゴン!』・・・グフ!」
「他に反抗する意思がある奴は手を上げろ。」
「「・・・。」」
「良し。お前等はこの世界を救う手段を有して居るな。聖女は全てを浄化する神聖魔法。賢者は植物魔法によって自然を再生できるはずだ。何故それをしない。」
「あの、なんで俺達がそんな事をしなくてはならないのでしょうか?」
「ん!?」
「ヒィーーー!」
どうやら情操教育の段階から問題がある様なので絶望を叩き付けてやる。
少しの間、心臓が止まったけどステータスを持っているおかげでギリギリで持ち直したようだ。
「聖女さん。」
「は、はい!」
「貧民街の連中はお前が感じているのよりも深くて長い間を絶望に囚われて暮らしてたんだ。お前だって命懸けの旅を生き抜いて帰って来たなら少しは分かるよな。」
「はい~!」
「それならやる事は1つだけだ。これ以上は言わなくても分かるよな。」
「世界を浄化する旅に出るであります!」
「いや、その必要は無いから町を周って回復に専念してくれ。」
「あの・・・それって何万人の話ですか?」
「聖女ならそれくらい出来るよな。俺1人でもこの町の人間を治療したんだからな。」
「そ、そっちの方が異常だと・・・。」
「ん!?」
「やらせて頂きます!!」
俺の様に1日でしろと言っているのではないのだからこれくらいは出来て当然だろう。
そうでなければ半神にすらなれずに人生が終ってしまう事になる。
それに自分の世界で感謝の念を相手に植え付けて信仰を集めるのが一般的なやり方だ。
ただ曲がりなりにもアズサと同じ聖女なので少しだけサービスしてやる事にした。
「お前には少しだけ俺から加護を与えておこう。そうすればお前が目指している精神生命体へも1歩以上近付けるからな。」
「本当ですか!?」
「ああ。代わりに進化出来たらその後も扱き使ってやるから覚悟しろよ。お前等が迷惑を掛けた世界が幾つあるか知らないけど、その分の償いもしてもらうからな。それと、この世界に居たお前の先輩は皆殺しにしておいた。お前が生きている内に誰かが助けてくれるなんて淡い期待はしない事だ。」
「も、もしかして悪魔に見入られてしまったのでは・・・。」
「その予想は間違いではないぞ。俺は別の名で悪魔王とも名乗っているからな。これからはしっかりと励まないと加護を送り続けて破裂させるからな。」
そう言って安物のアクセサリーに力を注ぎ込んで粉々に砕いて見せる。
ここで実演するなら何かの生き物が良いのだろうけど、この辺に居るのは足元に倒れている2人だけだし、食べ物を無駄にすると後で怒られそうだ。
「加護を通じてお前の事は分かるからな。少ししたら別の監督官がこの世界を再生させに来るからそいつの指示に従って治療を行え。」
「・・・はい。」
実の所を言うとクオナ達は精神生命体ではあるけど、性質はSF寄りで科学技術を主軸にしている。
そのためファンタジー要素が薄くて魔法のような劇的な変化をもたらす治療法は専門外になる。
もしこの世界の住人を健康な状態に戻そうとすると長い時間と莫大な費用が掛かるので聖女のような回復要員が居るのは都合が良い。
回復だけなら賢者も出来るので2人には頑張ってもらう必要がある。
ちなみに脳筋な剣聖は2人の護衛が良い所なので全く役に立たない。
ただし、これまでの事から怒りの矛先が向く可能性もあるので居ないよりは居た方が良いだろう。
「それじゃあ頑張れよ。行くぞエヴァ。」
「ええ。今回はセーフって所ね。」
「なんだよセーフって。」
俺が地上に戻ってからエヴァも後ろで静かに様子を見守っていたけど、どうやら監視が目的だったようだ。
別に聖女だからって俺が好感を持つ理由にはならないのだから少し心配のし過ぎではないだろうか?
そして戻ってすぐにマルチに結果報告を行いクオナへと回線を繋いでもらった。
「あの世界の神は全部ブッ飛ばして来たから後は任せても良いよな。」
『分かりました。早急に環境再生ナノマシンを投入しましょう。彼等が向かっていた世界も調査して状況の確認を行います。』
「必要なら死神たちが協力を惜しまないそうだから声を掛けたら良い。どうも暴れ足りないみたいだからな。」
『それならこちらで幾つかの世界を通報してみましょう。』
「頼む。詳しい事はマルチが報告してくれるから今は通信を終る。」
『ご苦労様でした。』
そして、あそこでの問題は終ったけど、もう1つの問題が足元へと転がっている。
そいつは俺が探していた奴で城の禁書庫に似顔絵が保管されていたのですぐに分かった。
「お前等この俺にこんな事をして許されると思ってるのか!?これはこの世界を救った英雄様に対する侮辱だぞ!」
「はいはい、勇者ね勇者。実はお前の事を少しだけ探してたんだ。それとあの2人の前でも同じ態度が取れるのか今から楽しみだ。」
「何しやがるんだ!離せコラーーー!!」
コイツはこの世界を救った事になっている100年前の勇者様でロベルとカイラを殺した犯人でもある。
あちらの世界に攻め込んだ時についでに死んでいるだろうと思っていたけど、どうやら擦違ってしまったようだ。
勇者教からの異常を聞いて確認に来たようだけど、人選としては適していると思う。
昨日までなら神となって戻って来たコイツを諸手を上げて歓迎しただろうけど、今はそんな事になりはしない。
コイツ等がして来た事は既に公表されており、至る所の教会で勇者の像が壊されている。
この国が防波堤になっているからと言って一国で監視できるような面積ではないので他の国にもそれなりに犠牲と迷惑を強いて来ただろう。
そういう時に犠牲になるのは強固な守りの中に居る王族や貴族ではなく、その周りに住んでいる一般人だ。
今回は油断していて立場が逆転しているけど、そのせいで勇者に対する民衆の怒りは凄まじいものがある。
そしてタイミングの良い事に帝都の謁見の間では全ての役者が勢揃いしている。
逃げ出した貴族達だけでなく放置していた3人の勇者が拘束されており、お話が始まるところだ。
そこに転移で乱入すると連れて来た勇者を足で踏みつけて動けないように固定する。
その顔を見てロベルとカイラの視線が一際厳しくなった。
「アナタはあの時の勇者!・・・ですが・・・プッ!」
「カイラ・・・ここは厳正な場なのだから笑っては・・・いけないよ。クック・・・!」
「お前等なんで生きてやがる!それよりも人の事を笑ってんじゃねえ!!」
仲間を殺しておきながら笑われただけで怒るとは心の狭い奴だ。
逃げられない自信はあるけど、念の為に弱体化のアイテムを全身に装備させて更に拘束を強めておこう。
「あーーー!力が抜ける~~~・・・。」
「俺用の装備だから強力過ぎたかな。ステータスが1000分の1になってるからコイツだと能力が一桁くらいか。」
ここまで弱体化していると何かをしようとしても碌に動けないだろう。
なので捕らえられて居る連中の前へと引き摺って行き、そこに置いて玉座に座る2人へと声を掛ける。
「こっちに戻って来てたから俺の仲間で婚約者が捕まえてくれてた。後は任せるから好きにしてくれ。」
「しかし、そいつがこの世界に来たという事は召喚陣を使わなくても、互いの世界で行き来が可能だという事になる。戻らなければ仲間が取り戻しに来るのではないか?」
「ハハハ!お前は以前と変わらず頭が良いな!もし俺が戻らなかったら勇者を越える力を持った奴等が何千人もこの世界に進行してくる!そうなったらお前等はもうお終いだ!諦めて今まで通りに俺達の家畜として生きてりゃ良いんだよ!そもそも家畜が俺の命令を拒んだのがそもそもの間違いなんだ!この世界が滅ぶとすればお前等の下らねー意地と愛とかいう何の役にも立たねえ思い込みが原因だな!」
「貴様!俺達の思いを愚弄するのか!」
「・・・やはりアナタにはキツい罰が必要なようですね。」
「ゲハハハハ!お前等程度の奴等が神と同じ存在となった俺をどうこう出来ると思ってんのか!」
確かにステータスが子供並みになったとしても相手は精神生命体なので普通の人間とでは存在そのものが違う。
勇者たちはそれを知っているようで強気に騒ぎ立てているけど、その言葉に耳を傾ける者は誰も居ない
それにあの手に持っているのは俺も使用された事のある獄卒の金棒だ。
別名をお仕置き棒とも言われ、相手がどんな存在だろうと痛みを与える事が出来る。
「俺はちょっと下がっておこうかな。」
「フフフ。アズサさんと名乗る方が巨大な蟹を食べながら良い物を貸してくれました。きっと、この状況を分かっていたのですね。」
「お、おいなんだそれは!?そいつはヤバイ!絶対に呪われた武器の類だ!」
「フフフ・・・アナタのそういう顔がずっと見たかったのです。」
勇者はアレの恐ろしさを本能で感じ取ったようで恐怖に顔を歪めながら必死に動き始めた。
しかし今の力では拘束を外すことも出来ず、芋虫の様に動くのが限界だろう。
しかも、あの金棒は以前から使われていた物で俺の血と汗と涙が染み付き、すでに破壊の効果すら宿っている。
使用する者によって威力に差が出るだろうけど、カイラが使用したとしても人間と神の絶対的な隔たりを破壊してダメージを与えられるはずだ。
「さあ、永遠の眠りに就きなさい!!」
「止めろーーー!!」
そして振り下ろされた渾身の1撃は勇者の頭にクリティカルヒットし、跡形もなく消し飛ばした。
しかも聖女なのに神殺しの能力まで手に入れ、凄くスッキリとした笑顔で額を拭っている。
このまま金棒を預けておくと、神をも打ち倒す聖剣とか言われそうなので後で回収してもらっておこう。
そして金棒を小枝の様に振り回して肩に担いだカエラは先程まで騒いでいた3人の勇者へと視線を向けた。
「アナタ達も受けてみますか?」
『『『ブル!ブル!ブル!』』』
「ならばアナタ達に関しては追放処分で許してあげます。ハルヤさん。彼等をしっかりと送り届けてもらえますか。」
「まあ、それくらいはしておくか。それで貴族達はどうするんだ?」
「どうしましょうか。きっとこれまでに色々として来たのですからその罰は受けてもらわないといけませんよね。」
「法律関係に俺は口を出さないから好きにしたら良い。それと撲殺聖女とか言われないようにした方が良いぞ。」
既に書記官が何やら書き込んでいるので手遅れかもしれないけど、大陸の覇者となったのだから歴史の改竄くらいは出来るだろう。
カエラに睨まれた書記官が筆を縦に動かして一部を塗り潰しているので、後はこの事を口外しないようにすれば良いはずだ。
まあ、人の口に戸は建てられないから裏話とか子供向けの物語として密かに語り継がれるだろう。
そして、ここでやる事は全て終えたので3人の勇者を元の世界に放り投げ、俺は温泉へと向かって行った。




