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352 道に迷う ②

俺はまず聖女の体を回復させると繋がりを意識し、そこに力を集中させた。

すると糸の様に細かった繋がりがロープの様にしっかりとしたものに強化され、そこから逆流する様に聖女へと戻り始めた。


『ビク!ビク!バタバタバタ!』

「ちょっと止めて止めて!力を送り過ぎてるじゃない!」


しかし力を受け取った聖女は意識が無いのに体中が激しく痙攣し、白目を剥いたまま陸に上がった魚の様に飛び跳ね始めた。

それを見てファムは俺の腕に抱き着く様にしてしがみ付くと止める様に指示を出して来る。

だ、魂の回復はしているけどまだ完全とは言い切れない。

聖女と言うなら普通の人間と同程度の魂であろうはずがないのだ。


「ああ、悪い。次はもう少し上手くやる。」

「まだやるつもりなの!?もう一度同じ事をやったらこの子が死んじゃうわよ。」

「ん~・・・それなら何か良い方法は無いのか?」


力を絞るにしても俺にはこれが精一杯だ。

それでも髪の毛と同じ大きさの穴に髪の毛を通すくらい慎重に力を加えている。

半神の時にも何年もかけて力加減を覚えたのに、これでは振り出しを通り越してマイナスになっていそうだ。


「は~・・・仕方ないから私が手伝ってあげるわよ。」

「良いのか?どう見ても人助けだぞ。」

「良いのよ。邪神は元来、物事に囚われない自由な神なんだから。まあ、大抵の者が自由にやり過ぎて世界を壊してしまうのだけどね。」

「迷惑な話だ。」

「そうね。・・・それよりも早くしなさいよ。」


ファルはそう言って俺の手を握ると反対の手で聖女に触れた。

どうやら彼女が調節弁の代わりをしてくれるようだ。


「それじゃあ始めるぞ。」

「ええ、でも私も初めてだからゆっくりするのよ。」

「ああ、任せておけ。」

「この子を殺し掛けておいて良く言うわね・・・ひゃう!きゅ、急に始めないで!」

「始めるって言っただろ。」

「そんな・・こと・・・言われても・・・。あぅ!」


聖女に力を送り込む時くらいには力を全力で抑えているのだけど、これでも強過ぎるのだろうか。

手は力強く握られて体には汗を掻いている。

露出している肌が真赤になっているのでよっぽど無理をしているようだ。

しかし、あと少しなので頑張ってもらうしかない。


(な、何なのコイツの力。体の芯から熱くなって凄く気持ちいい!こんなの続けられたら癖になっちゃう。あ・・あぁ。また体の底から何か来ちゃう!)


「もう少しだから頑張ってくれ。」

「こ、こんなの大した事ないわ。私に掛れば朝飯前よ。」


(何が朝飯前よ。そんな訳ないじゃない!それに朝飯前なんて言葉は初めて聞いたわよ。もしかして、コイツの神気が私の精神にも影響を与えてる!?もう~体の奥がムズムズして堪らない。早く終わりなさいよ!)


「なら、最後にデカいの行くか。」

「ちょっと待って・・・!アハ~~~!!」


(・・・またやってしまった。覚えがあるだけでもこれで2回目・・・。なんだかハルヤの目がとても生暖かくて、それと同じくらいに下半身も生暖かい。もしかしてコイツはこれが見たくてワザとやってるんじゃないでしょうね。うぅ・・・もうお嫁にいけない。)


「よく頑張ったな。」


俺は頑張ったファルの頭を優しく撫でてやった。

ちょっと床を汚しているけど処理をするのは既に慣れたもので。さっきも何十回と試した時にやっていたからな。

それに聖女の魂もちゃんと回復して常人の数倍の輝きを放っている。

これでもアズサに比べれば豆電球と変わらないけど、これで死ぬ事は無いだろう。

あちらからの魂の流入も無くなり、今は繋がっているだけとなっているのでもう大丈夫だ。


「ちょっと強化し過ぎたんじゃない?」

「強化?俺は普通に戻したつもりだぞ。」

「でもその子のスキルを見てみなさいよ。」


俺は言われて鑑定してみるとそこにはヒールやハイヒールなど、この世界で使われているであろう回復魔法が並んでいる。

ただその下には更に続きがあり、メガヒール、ギガヒール、テラヒールが並んでいた。

効果を見ると、メガが部位欠損以外の完全回復。

ギガが部位欠損を含めた完全回復となっている。

そしてテラヒールは死者蘇生と出ていた。

ただアズサも出来る様になっていたからこれくらいは当然だろう。

それ以外にも高速再生や状態異常無効などがあるけど、俺も人間の頃から普通にあったので驚く事ではない。


「これの何処がおかしいんだ?常識の範囲内だろ。」

「なんだかハルヤの常識を疑いたくなるわね。アナタはどんな戦いを経て神に至ったのよ。」


それを説明すると長くなるので今は置いておこう。

ただ俺には分からないだけで聖女のこれは異常だという結論だけは理解しておいた。


「そういえば、さっきのクシャミで魔王の足だけ残ってるからこれだけは回収しておくか。」

「回収するの?なんだか持ってるだけで呪われそうなんだけど。」

「ファルは邪神なのにそんな事が怖いのか?以外に可愛い所があるんだな。」

「か、可愛いなんて言わないで!(本気にしちゃうでしょ!)」

「まあ、その気持ちは少し分かるけどな。俺も子供の時は怖い話を聞いた後とか部屋から出られなかったもんな。」

「私は平気よ!邪神の女王なんてしてるんだからこんな事で怖がってたら・・・。」

「よう、魔王!」

「ひゃ~~・・・。あっ!騙したわね!」

「素直に怖いと言えば良いのに。」

「こ、怖くないもん!」


どうやらこの邪神の女王様はお化けが苦手なようだ。

ファルの後ろに向けて声を掛けた瞬間に飛び上って抱き着いて来る程なので今までどうやって邪神ばかりの国で生きて来たのだろうか?

これまで見て来た邪神の中には俺の姿が可愛いと思える様な奴も多く居た。

こんな怖がりな奴が本当に邪神を統べる女王本人なのかと不安に思えてしまう。

しかし、あの時に俺の記憶を改ざんしようとした力は本物でステラから聞いていた通りの能力だった。

今は記憶が元に戻ているけど、あのまま何もしなければ俺の記憶はコイツで溢れている所だ。

今にして考えればちょっと気持ち悪くなってきた・・・。


「ウップ・・・!」

「ど、どうしたのよ!?」

「いや・・何でもない。それよりも聖女を起こそう。勇者がもうそこまで来てる。」

「ええ、分かったわ。」


そしてファルは聖女の体に手を触れると優しく動かして揺り起こした。

今の俺だと触れた瞬間に爆散したり、遠くに見える山の向こうまで飛んで行くかもしれない。

そうなればせっかくこちらに向かっている勇者の頭上を飛び越えかねないのでそれは流石に可哀想だ。


「う、うぅ・・・。私はどうなったの?」

「起きたか。」

「え・・・キャーーー!」


ちなみに今の俺は山羊頭の悪魔王となって聖女を真上から覗き込んでおり、こんなのを寝起きに見れば悲鳴を上げて当然だ。

それに体は後の事を考慮してはいて5メートル位に調整してあるのでそれなりに大きい。

そして素早く聖女の体に手を伸ばすと腰に手を回して持ち上げた。


「声を上げても無駄だ。貴様を助ける者は誰も居ない。」

「あ・・アナタは!?」

「俺はそこで残骸になっている愚かな魔王によって呼ばれた邪神だ。」

「そ、そんな。あの魔王が敗れるなんて!」


そこには残って居た邪神の足が無造作に投げ捨ててある。

一応回収する前に少しだけ役に立ってもらい演出の小道具となってもらう。


「もうじきこの城にお前の勇者が現れる。そいつを殺せばこの世界を滅ぼすのも容易い事だ。貴様はその様を眼に焼き付け絶望と恐怖で魂を満たすが良い!」

「わ、私の勇者はアナタになど負けません!今度も必ず世界の危機を救ってくれるはずです!」

「ガ~ハハハ!我が今まで何度そのセリフを聞き、勇者を葬ったと思っている。聖女の居ない勇者など相手にもならん!」


俺はそう言って聖女を握ったまま歩き始めた。

向かうはこの城にある大きな広間でそこには魔王の使っていた玉座がある。

そして、そこには色々な小道具が揃っており、お誂え向きな物が置いてあった。


「貴様はここで勇者の死ぬ所を見ているんだな。」

「あの人に手を出さないで!殺すなら私にしなさい!」

「愚かな女よ。貴様は勇者が逃げ出さないようにする為の人質だ。貴様がここに囚われている限り奴は死ぬまで戦うしかない。」

「そんな・・・。」


それでも聖女を見捨てて逃げるという選択肢はもちろん残されている。

しかし、その時には本気で勇者の事を殺してしまうかもしれない。

それでも聖女には蘇生を可能とするスキルがある。

世界を救いたいという思いが本物なら。

そして、勇者が諦めなければ未来は必ず開けるはずだ。


そして俺は玉座の横に用意してある磔台へと聖女を固定した。

しかしワンタッチで各部の固定が出来る様にギミックを付けておくとはあの魔王は絶対に変態だな。

あの時は偶然のクシャミで足以外を粉々にしてしまったけど、今になって思えば正解だったかもしれない。


「他人を変態と言っている割にはハルヤも使ってるじゃない。」

「そりゃ~ある物は何でも使うのが俺のやり方だ。お前もちゃんと予定通りに行動しろよ。」

「それにしてもなんだか手慣れているのね。」

「俺は元の世界だと邪悪な悪魔王として有名だったからな。絵本とかも色々と出てるぞ。」


俺はそう言って教会が出版していた絵本を取り出してファルに渡した。

これは彼らが悪魔王と言う存在をどういう風に周囲へと伝えているのかを知る為に購入した物だ。

その中でも子供向けの奴だけどグリム童話の様に読んだ者へと教訓を与える内容に仕上がっている。

そこでは俺は絶対悪として描かれ、悪い事をしていると地獄に連れて行かれる結末となっていた。


「やっぱりアナタって邪神だったのね。でもどうして悪事を働いた者ばかりに制裁を加えているの?」

「そいつ等が悪い事をしたからだろ。俺の世界では悪い事をした奴の所には更に悪い奴が来て懲らしめる様になってるんだよ。」

「・・・それならハルヤはいずれ私も殺すの。」

「さあな。ただ、俺の世界には良い事をしているとその子の所にはプレゼントが届くって言うのもある。」


そう言って今度は神によって浄化された悪魔王が人々に救済を与える絵本を投げ渡した。

そこには圧政に苦しむ人々が居て悪魔王がその元凶を懲らしめる内容になっている。

しかし、最後はその元凶となっていた国王も改心する事で神に許され、皆が幸せになった事で締め括られている。

すると絵本を読んだファルは急に寂しそうな表情を浮かべた。


「それなら私は邪神から生まれたからきっとダメね。この身も魂も既に穢れて誰も許してくれないわ。それに願いを叶える為にはこれからも世界を滅ぼさないといけないもの。」

「そう言えば、さっきから気になってたんだけどお前の願いって何なんだ。」

「・・・笑わない?」

「内容による。」

「まあこの際だから教えてあげる。イビルフェローズには500年前くらい前まで立派な王が居たの。」

「もしかしてそれがお前の親か?」

「そうよ。でもある日、世界の視察へ出かけて行って戻って来なかったの。当然イビルフェローズは巨大な柱を失って荒れに荒れたわ。一時は完全に崩壊する寸前までになったけど、そこをパパの側近だった四天王がなんとか統制して纏め上げたの。そして、そこまでに100年の月日が流れていたわ。」

「それでお前の望みはその父親を見つける事か?」

「そうよ。形としては私が女王をしているけど、言う事を聞くのはほんの一部に過ぎないわ。古参の邪神は全員が四天王の配下になっていて強い力を持っているから私じゃ太刀打ちできないのよ。それにアイツ等は世界を完全に壊滅させてるの。アレだともう命なんて芽生えないわ。」

「お前だって世界を滅ぼしているだろ。」

「それは父さんを探すために仕方ないのよ!私だって好きでしてるんじゃないわ!」

「ならどうして世界を滅ぼす必要がある?」

「それは・・あれ?なんでだったの・・・。そう、四天王がそう話していたからで・・・。でも何時・・何処で?」


すると話の最中にファルの顔に汗が滲み、頭を抱えて座り込んでしまった。

ただ俺にはこの症状に覚えがあり、何らかの力で意識誘導や洗脳をされた者に良く見られる。

別に何かをしてやる義理は一つもないけど、こういうのは昔から嫌いなんだ。

それに今は記憶に疑問を感じた事でファルの魂に巣くい記憶を誤認させている力の波動がハッキリと目に見える。

これなら今の俺にもそれを破壊してやる事が出来そうだ。


「ファル。」

「私はパパを探して世界を壊して・・・でもパパは何処にも居なくて・・・早く次の世界を壊さないと・・・。」


しかし呼びかけてもファルは焦点の合っていない瞳で呟きを続けるだけだ。

それにコイツは邪神から生まれた邪神だと言うけど魂の穢れは驚くほどに少ない。

しかもその魂に巣くう力が少しずつその色を黒く穢しているのが分かる。


「誰の仕業か知らないけど本当に俺が気に入らない事のオンパレードだな。」


そして頭を抱えて震えているファルの前にしゃがむと右手で優しく触れて破壊の力を流し込んだ。

もし人間にすれば即座に破裂してしまうだろうけどファルはさっきも俺の力に耐えている。

それに今もその体の中には余分だった力が残っており魂の許へと導いてくれる。


「これなら大丈夫そうだな。」


そして原因になっている力に触れると欠片も残さずに消し去る事が出来た。

すると一瞬だけこんな事をしてくれた相手の顔がイメージとして頭に浮かんで来る。

俺はその顔をしっかり記憶に焼き付けると今後の敵として認識した。


「大丈夫かファル。」

「・・・あ、ハルヤ。私はどうしたの?」

「説明は後だ。それよりも勇者のご到着だ。」

「分かったわ。ちゃんと後で説明しなさいよ。」


そしてファルは急いで玉座に座り足を組むと腕置きに肘をついて頬に手を当てた。

その姿は女王と言うだけあって様になっていてさっきまでの混乱が嘘のようだ。

俺も回収しておいた魔王の足を設置したり聖女の傍に移動して準備を整える。


「アナタ達の目的は何ですか?本当に世界を滅ぼす気なのですか?」

「死ぬ前の魔王からはそう命令を受けていた気がするな。お前も聖女としての自覚があるなら自分のスキルに目を通し何をするべきかを考えておけ。・・・来たか。」


そして準備が整ったところで勇者が扉を破壊して姿を現した。

その表情は怒りと憎しみで彩られ、まさに大事な者を奪われた男の顔だ。


「魔王!サーナを返せ!」


しかし入った直後に魔王の姿を探して視線を彷徨わせるけど見当たらないので疑問を感じているようだ。

代わりに玉座に座るファルへと警戒した視線を向け、その横に磔になっている聖女サーナに気が付いた。


「お前は何者だ!魔王を何処に隠している!?」

「フフ。良く吠えるボウヤね。魔王は何処にも隠れて居ないわ。ほら、アナタの目の前に居るでしょ。」


すると勇者は警戒感を更に高めて前後左右を探り上下にも意識を向ける。

しかし魔王がそんな所に居る訳もなく、ファルは冷笑を浮かべて横に置かれている足へとしなやかな細指を向けた。

それにしてもファルは女優としても食べて行けるのではないだろうか。

その自然な仕草やセリフはアドリブとはとても思えず、見ている者を引き込んでしまう程の演技力だ。


「面白いボウヤね。ほらここよ。」

「・・・ま、まさか!それが魔王なのか!?」


そして、ようやく置かれている足の存在に気付くと驚愕の表情を浮かべた。

まあ、確かにこの部屋は薄暗く、外には雷雲が立ち込めている。

身に付けている鎧が黒いので分かり難くはあるだろう。

これなら衝立でも置いて、バックを煌びやかにしておいた方が良かったかもしれない。

ちょっと大安売りのセール品っぽいチープ感は出てしまうけど、存在に気付かれないよりかはマシだろう。


『余計な事はしないでよ!』

『・・・了解。』


しかし急いでやり直そうと思っているとハッキリとした声で念話が飛んできた。

俺は仕方なくそれに従い悪役顔で待機を続ける。

ここにダイチかショウゴが居れば元々悪役顔だろうと言われそうだけど。


「ようやく気付いたようね。この魔王は自身の身分も弁えずに世界を絶望と憎しみに染める様に命令を下したのよ。でも、そこに世界の一部である自分が含まれないと思い込んでいたようね。」

「まさか、お前たちの目的は!?」

「命令は命令だから召喚主の希望は叶えてあげないといけないでしょ。」


すると勇者は強く歯を食い縛ると、腰の剣を抜いてファルへと構えた。

どうやら俺達を世界の新たな敵と認識したようだ。


「なら、お前たちを倒してサーナも助け出す!」

「なら私と賭けをしない?」

「賭けだと!?」

「アナタが逃げずに戦うのなら聖女は返してあげるわ。どうせこの戦いに私達が勝てば世界と一緒に滅んでしまうのだから人質なんて必要ないの。それとアナタの相手はこの可愛い下僕が担当するわ。」

『誰が下僕だ。』

『別に良いでしょ。それよりもそれらしく声でも出しなさいよ。』

『ク!覚えていろよ。』


しかし、そうやって振って来るならもっと別の姿にしておくべきだったか。

まさかここに来てこんな状況を招くとは思わなかった。

だが、鳴けと言うなら鳴いてやろうじゃないか。


「メェ~~~~!」


やはり山羊の頭ならこれしかないだろう。

まさに心胆を寒からしめるデスボイスと言える。

しかし勇者はなんだか凄く余裕な笑みを浮かべているし、ファルは凄い顔で睨んで来た。


『ハルヤ!アナタ演技の才能が無いの!?』

『何を言ってるんだ。こう見えても山羊の鳴き声には定評があるんだぞ。』

『そのまま山羊だから言ってるのよ!』

『それよりも早く話しを進めてくれ。意識を加速させているとは言ってもそろそろ怪しまれるぞ。』

『後で覚えておきなさいよ。』

『こっちのセリフだ。』


「それで、どうかしら?」

「良し、その話を受けよう。」


すると勇者は先程までとは違い警戒なくすんなりと話を受け入れた。

なので俺は聖女を解放すると・・・ってこれってどうやったら外れるんだ?


『ねえ!早くしなさいよ!』

『ちょっと待て。今は外している最中だ。』


しかし結局は外し方が分からず最後は手枷の部分を破壊して聖女を解放すると勇者へと返してやった。

なんだかサーナにまで微妙な顔を向けられてしまったけど2人は無事に合流して互いに抱き合っている。


『最後はグダグダになったわね。』

『まあ、この手のギミックは解放を考慮に入れて無いから当然だな。』

『他人のせいにしたわね。』


ゴホン!それよりもそろそろ遊びは終わりだ。

あちらも再会の抱擁は終わりサーナを下がらせて勇者は剣を構えている。

そこに先程までの油断は無く、鋭い視線でこちらを睨んでいる。

そんな2人の前に俺は立つとM78星雲から来た3分ヒーローの様な構えを取った。

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