305 訓練合宿 4日目 ①
朝になって目を覚ますと今日はトワコたちに混ざってマルチまでベットに忍び込んでいた。
これはもはや言い逃れは出来そうにないので後でちゃんと報告をして一緒に叱られよう。
ただし、この状態をどう抜けらすかが一番の問題となっており、全身の状態を確認してみる。
右手はエヴァがガッチリと抱き締め、反対の手はエクレが抱き締めて動かす隙間もない。
腰はトワコが固定し、頭はマルチが抱き締めている。
これで起きない俺も俺だけど、ちょっと油断していたかもしれない。
安眠を妨害してしまう様で悪いけど仕事があるので皆にも起きてもらうしか無さそうだ。。
「悪いけど起きてくれ。」
「・・・。」
「グ~グ~。」
「あと10分・・・。」
「スヤ~~~。」
するとエクレは完全に無反応。
エヴァは急にイビキをかき始め、トワコはお約束のセリフを口にする。
更に情報通のマルチに至っては某アニメの姫がするような寝息を吐き始めた。
流石はマルチと言いたいけど語るに落ちるとはこの事だ。
「エヴァ、離さないとお仕置するぞ。」
「え!ホント!」
しまった!
エヴァにとっては俺のお仕置は逆効果だったか!
「フフ、冗談よ。そう言う事は2人っきりの時でしましょ。」
「エロい事はしないぞ。」
「戦ってくれればそれで良いわよ。」
すると何故か後で戦う事が決定してしまったけどエヴァは快く離れてくれた。
次に声を掛けたのは頭を固定しているマルチで、コイツが居ると身動きを取る為には一番の障害になる。
「マルチもそろそろ離れろ。」
「昔はこうして頻繁に寝ていたのに、あれは遊びだったのですね。」
確かに昔はこうしてマルチと一緒に寝る事も頻繁にあった気がする。
しかし、あの頃はあくまでゴーグルだったので今の様な美少女ではなかった。
まるで浮気でもしていたかのように言われているけど、俺は物に性欲を感じる様な特殊性癖は持ち合わせていない。
それに今のマルチは俺と同い年位なのでまだまだ幼い未成年だ。
俺はシスコンであってロリコンではないのでその辺を誤解されては困る。
「お前も冗談ばっかり言ってるとお尻ペンペンするぞ。」
「マスターにそんな事をされたらお尻が2つに割れそうなので遠慮します。」
「ハハハ、古い冗談だな。お尻は最初から割れてる・・・もしかして割れてないのか!」
マルチを作ったのは異世界の技術で体はもちろんそっちがベースになっているはずだ。
この地球では人間はお尻が割れているのが常識だけど、もしかしてその常識が間違いであるかもしれない。
「見てみますか?」
「・・・グググ!いや・・・遠慮しておく。」
「それならしばらく秘密という事で。」
もしここで見たいと言えばマルチなら本当に見せてくれただろう。
しかし、その行為が知られれば嫁会議・・・いや、嫁裁判で有罪確定となってしまう。
好奇心は猫も殺すとイギリスのことわざにも有るけど、それを利用してくるとはなんて恐ろしい娘!
今後もマルチの頭脳プレイには気を付けないといけないな。
そしてマルチも離れたので次はトワコだ。
・・・チ~ン!
「トワコ10分待ったぞ。」
俺はトワコが言った10分を待ってから声を掛けた。
その間に髪を綺麗にして整えたりしていたのでそんなに待っていた気はしない。
「フフ、約束だから仕方ないわね。」
「は~、やっと解放された。」
「エクレはどうするの?」
するとトワコが俺から離れてベットから起き上がりながら聞いて来る。
ちなみにコイツが寝惚けてベッドに忍び込んで来た事は1度や2度ではない。
ちゃんと対応するためのアイテムも持っているので大丈夫だ。
「ほらエクレ、山羊のヌイグルミだぞ~。」
「む~・・・要らない。」
「なに!?」
しかし予想に反してエクレは嫌そうに顔を顰めると手への拘束を強めた
ルリコならこれで一発なのに・・・仕方ないから次を試すか。
「なら狼はどうだ?」
「・・・可愛くない。」
なんで猛々しいリアル熊グルミは可愛いのに狼はダメなんだ!?
しかし、ここで負ける訳にはいかず、もはや戦いと言っても過言ではない!
「なら鯨ならどうだ!?」
『パシ!』
すると容赦なく弾き飛ばされてしまい天井に当たって床に落ちた。
どうやら鯨は今までの中で最も気に入らなかったようだ。
「これが最後のライオンだ!持っていけ!」
「・・・ギリギリ合格。」
すると、ようやく合格を貰えたけど熊よりも気に入らないらしい。
扱いも少し雑で抱きしめると言うよりは締め上げているので、あれだと遠くない内に壊れてしまうだろう。
エクレに関しては今度モールのヌイグルミ屋にでも一緒に行って好みを把握しておこう。
「さて、俺はAチームの方に行くから今日もマルチにはこちらを任せたぞ。」
「それなら今日は模擬戦をさせましょう。そろそろ対人戦にも慣れさせておかないと。」
「そうだな。最終日は代表を決めて試合をすると伝えておいてくれ。」
「分かりました。」
その場から飛び立ちAチームの許へ到着すると、既に食事を終えた生徒たちは魔物狩りを行っていた。
挑発を使える者が安全圏から魔物の気を引いて効率よく経験値を稼いでいる様で、昨日まではやる気が無い者や危機感の薄い者も居たのに変われば変わるものだ。
挑発も昨日の昼までは覚えていなかったので、Cチームの所へ行った時にでも覚えたのだろう。
魔物ではなく異性の気を引くためにスキルを覚えるとは今までにない斬新な発想なので、俺も参考にさせてもらい今後の訓練に生かすとしよう。
しかし今はそんな事よりも訓練を始めなければならず、体も温まっていてやる気もありそうだ。
「よ~し。切りの良い所で戦闘を終わらせて一旦集まれ。」
「お、やっときたか!」
「待ってましたよ教官!」
そして相手をしている魔物を倒すと順次こちらへとやって来る。
もうレベルは20を超えているのでこの辺に生息する魔物だと相手にならないだろう。
それにCチームの時と同じように武器も限界に来ており、あれだと何時壊れたとしても不思議では無い。
中にはダンジョン産の武器を持っている奴も居るけど、どれも質が悪い物ばかりだ。
Cチームには50階層付近の装備を渡しているので、こちらもそろそろ渡しても良い頃だ。
「集まった奴から装備を変更しろ。」
「まさか金を取ったりはしないよな?」
「そうして欲しい奴は自己申告しろ。」
「いえいえ、有難く頂きます。」
すると警戒していた連中も揃って装備を選び始めた。
タダと聞けばこうやって掌を反すのだから現金な奴等だ。
そして全員が装備を整え終えるとこれからの予定を伝えておく。
「もうじきこの合宿も終了させる。最終日には各チームで選んだ代表者に試合をして貰うからな。」
「その代表は誰が決めるんだ?」
「お前等で自由に決めろ。俺は希望者で模擬戦を勧めるが今回は勝ち負けは関係ない。あくまで成果を見せる事が最優先だ。」
「なら俺達はこの先どうなるのですか?」
「今回の目的はそれぞれにある程度の力と向上心を植え付ける事だ。もし身に付いてないなら今まで通りに怠惰に暮らせ。俺も学園側も何も言わない。ただし、その結果がどうなるかは既に通達されている通りだ。」
ここに居る奴等は小学生なら一般の中学に強制転校。
中学生と高校生は進学をしたいなら受験が待っている。
大学生に関しては学園で抱えるつもりが無いので問答無用で退学になる。
その通達はこの夏休み前にはされているので各自が知っているはずだ。
「それならもしかして俺達は?」
「今後はダンジョンに入って実績を残せば学園に残れるし卒業も出来る。しかし、お前らに与えられているチャンスはこの一度だけだ。もし、以前の様な醜態を晒せば即座に学園を去る事になると思っておけよ。」
「「「うおーーー!」」」
「やったぜ!」
「これからは昔みたいに頑張るぞ!」
周囲からは喜びの声が上がり、隣に居る者同士で肩を叩き合ったりしている。
それにCチームでもマルチから同じ事を告げられた者達が同じように喜んでいるだろう。
Bチームに関しては完全に貧乏クジだったかもしれないけど、付いて行く者を間違えるとどうなるかを身をもって知る事が出来たはずだ。
今居る奴等に関しては学園に帰ってからもう1度だけチャンスを与えるとして、問題は大きく判断を誤った90人となる。
ただ、今回の首謀者であるタチバナとフドウという元リーダーに関しては自分達がどれだけ天狗になっていたかを知ってもらうつもりだ。
「ササイ。俺はお前の古巣に言って来る。ここは任せるが無理はさせるなよ。」
「ウッス!任せてくだせえハルの旦那!・・・?」
するとその口から出たのはこの時代では殆どの者が知らないはずの名前だ。
本人も何故そんな言葉が出たのか分からず首を傾げているけど、過去から現在までにこの呼び方をしていたのは1人だけだ。
「そうか・・・ダイゴも。」
「確かに俺の下の名前は醍醐だけどよ。それが何だって言うんだ?」
「気にするな。もしかしたらいつか分かる時が来る・・・かもしれない。」
「かもって曖昧な言い方だな、オイ。」
コイツはかつて青龍の構成員だったダイゴで間違いないだろう。
あの世に行った時に三途の川で会ったきりだったけど、無事に人間として転生させてもらえたようだ。
きっと生きている間に多くの善行を積んだ事が裁判で評価されたのだろう。
この様子だと記憶を思い出すまでには至っていないようで、どうしてあんな事を言ったのかは分かっていない。
しかし意外な所で意外な掘り出し物を見つける事が出来た。
帰ったらゲンさん達に報告して上手く利用・・・では無くて、活用してもらおう。
「ササイは帰ったら良い所に連れて行ってやろう。」
「え!?マジで!」
「ああ、楽しみにしていろよ。」
「うお~!ここに来て運が向いて来たぜ!」
『ニヤリ』
するとササイは両手に拳を作って空へと掲げ、上を向いて大声で叫んだ。
ただ通常こういった所で1人だけを優遇すればせっかく芽生え始めている絆や団結を壊しかねない。
しかし俺がそんなに甘い人間ではない事には気付いている様で、笑みを浮かべた直後から誰も目を合わせてくれなくなった。
それどころかササイの許に集まっている奴らは優しく肩を叩いたり、励ましの言葉を送っている。
それにササイは気付かずに今も1人だけで浮かれているので周りも密かに哀れみの視線を向ける程だ。
それにしてもアイツはいったい何処に連れて行ってもらえると思っているのだろうか。
向かう先には可愛い女の子ではなく鬼が居るかもしれないので、状況判断がまだまだ甘いようだ。
しかし、せっかく夢を見ているのだから直前まで黙っておこう。
そして俺はこの場をササイに任せるとボロボロな状態のBチームへと向かって行った。
しかし到着してみると意外な光景が広がっており、俺は溜息を吐きながら頭を抱えている。
この俺に対して精神的な負荷を与えるとは、ある意味では凄い奴らが残ったものだ。
「お前等、いったい何をやってるんだ?」
「俺達はどうせ終わりさ。だからこの際だから存分に遊んでやろうと思っただけだ。」
と言われても裸族で海岸を走るのはどうかと思うぞ。
海で狩り(裸)をしている奴も居るし、日光浴(裸)をしている奴も居る。
その潔さは嫌いではないとは言っても誰かに見られたらどうするつもりなのか。
流石にこの状況だと通報はされないだろうけど、大切な所は切り落とされても仕方がない気がする。
「言い分は理解したから服を着ろ。・・・切り落とすぞ。」
『『『ブルブル!』』』
ちょっと威圧が強過ぎたようで冬の時季に良くあるみたいにある場所が縮こまってしまった。
そのおかげでさっきまでは開放感に溢れていた姿をしていたけど、今では率先して服を着てくれている。
これで少しは現代人風な身形になってくれたので話を再開する事にした。
「それでだ。お前らの今後についてだが・・・。」
「やっぱり駄目ですよね。」
「ああ、その通りだ。」
するとここに居る60人は揃って「分かってました」といった感じに肩を落とし、何故か再び服に手を伸ばしている。
もしかして、「もう、失う物は何も無い!」といった心境なのだろうか。
それとも人間を辞めて野生に帰るつもりなのかもしれない。
どちらにしても現在この島には女性も多く居るので何かあってからでは手遅れだ。
それに死んだら生き返らせるだけで良いけど、強姦でもしようものなら未遂でも責任は俺に掛かって来る。
そうなると今後にも影響が出て来るので、とっとと話を進めてしまおう。
「ただし、お前らに関しては今回の事を教訓として帰ったらダンジョンで追加の訓練を行う。しかし学園を去りたい者、卒業したくない者の辞退は自由だ。本音を言えば全員辞退してくれても良いぞ。俺も婚約者と夏を楽しみたいからな。」
すると話の前半には喜んでいた顔が、後半になるにつれてその顔が険しくなったり引き攣ったりし始めた。
そして周りの者と声を潜め口々に話をしているので周囲がザワつき始める。
「ヤ、ヤべー。あの人マジだ。」
「強くて婚約者まで居るって勝組みかよ!」
「リア充は爆発すべし!」
「「「こうなったら!」」」
すると周りから色々な声が聞こえて少しすると、急に心を1つにしたように頷き合い同じ言葉を吐き出した。
何やら不穏な空気が周囲を満たしており、予想は嫌な方向で見事に的中する。
「「「この夏は男臭い俺達の為によろしくお願いします。」」」
どうやら自分達の面倒を俺が見る事で全ての時間を使い切らせるつもりらしい。
しかし何ともむさ苦しい男の友情もあったものだけど、コイツ等の弱みは俺の手の中にある。
それをネタにしてやる気を引き出してやればそれ程の時間は掛からないだろう。
タブレットを見ると共通の趣味もあるようなので、さっきの息の合ったセリフはそのおかげかもしれない。
更にはいつの間に用意していたのか『リア充退散』や『俺達モテない愚連隊』とかいう訳の分からない事が書かれた鉢巻を巻いている。
そんなのを作る暇があるならもっと自分を鍛えろと言ってやりたい。
それは置いておくとして、まずは準備の為にゲンさんへと電話を入れて予定を確認してみる事にした。
「ゲンさん。悪いけどカクカクシカジカで・・・。」
『うむ。それなら問題なかろう。普段は決まったメンバーとしか組んでおらん様じゃからな。そろそろアヤツ等も臨時で組んだパーティで戦ってみるのも良いじゃろう。』
「それなら手配を頼む。こちらも適当な所までは鍛えておくから。」
『ああ、分かった。』
そして了承が取れたので第一条件はクリアされた。
後はBチームの奴等が餌に喰らい付くかどうかだな。
「え~・・・お前らに重大な発表がある。」
そう言って俺はタブレットからネットに繋ぎ、あるサイトにアクセスした。
しかし、こんなアンテナの無い場所でもネットが使えるので本当に良い時代になったものだ。
俺はそんな事を思いながら開いたのは九十九プロダクションが手掛けている、あるアイドルグループのページだ。
その名もダンジョン99(ナインティナイン)と言って略して、え~と・・・DJN99か。
彼女達は日本にあるダンジョンの周辺で活動している娘達で普通のアイドル業だけでなく、ダンジョンに直接入って戦ったりもする。
なんでも到達階層は20階をすでに超えているので今の日本でもそれなりに優秀な部類に入る。
恐らく順位を着けるならトップ1000には入るだろう。
するとそのページを見た途端に男共は大興奮となり、スマホなどの端末も没収してあるので目にするのは数日ぶりだろう。
何でも毎日1度はアクセスしているらしく、どれほど好きなのかが・・・分かる?
(悪いけど俺にはコイツ等の気持ちは理解できないかもしれない。)
しかし、そんな俺の内心とは裏腹にそれを見たBチームの奴等は今にも躍り出しそうだ。
「こ!これは!」
「お前ら全員この子達のファンだよな。」
「ま、まさか!」
「ああ、そうだ。」
どうやら察しはかなり良いらしく、喰い付いて来た事を確信すると大きく頷いてやった。
しかし、そう思ったのも一瞬の事で予想の斜め下の事をのたまった。
「「「握手会に行けるのですか!」」」
「・・・。」
どうしてこんなに目をキラキラさせながらそんな答えが出て来るんだ?
確かにサイトには握手会の開催日も書いてあり、ダンジョンのある九十九学園の傍でも開かれた事があるみたいだ。
ハッキリ言って俺に興味はまるでないけどファンであるコイツ等は違う。
見ると握手会に応募した回数は3桁を超え、テストの点数すら下げている時がある。
(・・・そんな暇があるならもっと自分を鍛えろよ。)
彼女達の事が好きなのは何となくわかるけど活動場所はダンジョンがメインになる。
まあ、そこは心の中だけで叫ぶとして本題に戻ろう。
「残念だけどそれは大違いだ。」
「「「そうですよね・・・。」」」
だからシンクロするな!
しかもいつの間にか額に巻いている鉢巻が『マキちゃんラブ』や『ララちゃんラブ』に変わっており、俺でも気付けないとはいったいどうやったんだ?
まあオタクには時に常識を覆す力があるので良しとしておこう。
「お前等もっと上を見ろ。」
「もしかして!1分会話券!」
「違うわ!」
「まさか・・・ラ、ライブチケット!」
「・・・ギリギリ惜しいな。」
ライブであるのは変わらないけどコイツ等が言っているのはアイドルとしての活動だろう。
しかし彼女達はアイドルでありながら探索者でもある。
だから半分正解で半分不正解だ。
「ま、まさか!」
「あの・・・企画の中で自然消滅した・・・。」
「「「一緒にダンジョン探索ですかーーー!」」」
「やっと正解に行き着いたか。」
するとファンなら誰もが知っている事なのか、正解を言い当てた途端にまさに飛び上って踊り始めた。
そして突然にピンク色のシャツに袖を通すとカラフルな光る棒を取り出して心のままに踊り始める。
しかし、その一糸乱れぬ見事な動きは以前にネットで見た世界大会出場者にも匹敵する。
さすが九十九学生は一味違う・・・なんて言うわけ無いだろ!
「うおーーー!マジかそれ!」
「本物のメグちゃんに会えるのか!」
「俺もう死んでも良いかも。」
「馬鹿野郎!本番はこれからだぞ!」
「変なフラグを立てるんじゃねえ!」
最後のフラグに関しては既に手遅れで、これに参加できる奴には最低限の基準と言う物がある。
「でも今のお前等では参加はさせられないな!」
「「「な、なんだってー!!!」」」
「もしかしてお前等これから会う事になるアイドルとダンジョンに入って守ってもらって終了するつもりじゃないよな。」
当然コイツ等の事だから俺が言わなくてもサイトに書いてある彼女達の到達階層についても知っているだろう。
しかし今のBチームが行けるとすれば5階層までなのでそれ以降は役に立たない。
すなわち向けられるのは尊敬ではなく失望と軽蔑の眼差となるため、そんなものを向けられて喜ぶファンは一部の変態だけだ。
「それに参加できるのはレベルが30に達した者に限る。今のお前等では逆立ちしても数日中にそこまで上げるのは不可能だろうけどな。」
『『『ズザザザ~~~!』』』
「「「教官!俺達にご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いします。」」」
すると全員が俺の前に躊躇の欠片もなく土下座をすると再び声を揃えた。
しかも彼らがどれだけ本気なのかは今の一瞬で手に入れたスキルの数々で知る事が出来る。
それにしてもブーメランになって返って来るから言いたくは無いけどオタクは扱いやすい。
「良し。それならやる気が出た所でこの近辺に居る魔物を狩り尽くすぞ!」
「「「オーーー!」」」
これでコイツ等も上手くすれば楽しい夏休みを過ごす事が出来るだろう。
その思いが何処まで本物なのか確かめさせてもらおうじゃないか。




