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288 修学旅行 1日目 ⑩

俺の名前は筑波ツクバ ケイ

あの安倍 タカナリの側近をしているクズ男だ。

しかしタカナリに復讐するという目的は達成された。

1年前まではもう1つ大事な目的もあったけど、それはもう永遠に失われてしまっている。


そう、あれは5年ほど前の事だ。

俺は二十歳で警察学校へと通っていた。

そして同い歳の叉羅サラと言う妹が居て既に黄龍への就職が決まっていた・・・はずだった。

しかし何故か妹の内定は取り消され、そのすぐ後に安倍家からスカウトがやって来た。

俺は学校の授業で安倍家が黄龍を私物化していると聞いて知っている。

それで今回の事には裏があると思い妹へと止める様に話をしたのだ。


「安倍家は危険だ。学校の先生にも聞いたけど最近は特に良い噂が無いらしい。お前なら別の所でもやって行けるはずだ。」

「でもミカとスバルは黄龍に入ってるんだよ!所属は違うけど何年かしたら口を聞いてくれるって言うし私は行くよ。」


ミカとスバルは高校の時の同級生だ。

進む道は少しズレたけど俺やサラとも仲が良くて今でも時々会って遊んだり話をしている。

2人とも良い奴等でミカは・・・その・・・俺にとっては初恋の相手だ。

陰でスバルも応援してくれているので都合を付けては会っている。

そしてスバルのお目当ては俺の妹であるサラだけどアイツは良い奴なので俺も協力をしている訳だ。


しかしこの時にサラを止められなかった事を後悔しない日は無い。

安倍家に雇われてから1年目には頻繁に会ったり連絡も取り会えた。

しかし、それも次第に出来なくなり、おかしいと気付いたのはある日のメールの内容だった。


『ねえ大学の時の友達覚えてる?』


大学の友達?

確かにサラは短大に行っていたけど、その間の友達に会った事は一度もない。

俺は警察学校に行っていたので出かける為には申請が必要だった。

だからミカ達と会う時以外は家に帰らず、自分の学校の連中だけとつるんでいた。

俺は以前に先生から聞いた話を思い出すと不安になりカマをかけてみる事にした。


『それはミカとスバルの事か?』

『そうそう、その二人。』


俺はこの瞬間に端末の向こうに居るのは妹のサラではないと理解した。

アイツがミカとスバルの事を間違えるはずは無い。

俺はその後は適当に話を合わせると次の日には安倍家へと怒鳴り込んでいた。

以前にとある訓練で教官になった人が言っていたけど本気になればスキルの覚えが早いというのは本当のようだ。

その教官は凄い常識外れな事をする人で・・・人とは思えない人だったけど、俺を強くしてくれた。


そして夜の町や山を死に物狂いで走り抜け京都に到着するまでに数々のスキルを習得した。

その中で俺は捜索のスキルを覚え、サラの居る場所である安倍家の門を叩いたのだ。


「俺の妹を返せ!」

「なんだコイツは!?」

「サラがここに居るはずだ!」


出て来たのは身形は普通だけど目の淀んだ犯罪者の様な男だ。

そして俺を見るなり舌打ちをすると問答無用で拳を顔面へと振り下ろして来た。


「ガハ!」

「これは警告だ。早く帰るんだな。」

「お前!これは明確な暴行だぞ。警察に・・・。」

「行ってみろ。さあ、帰った帰った。」


すると怯んだ様子もなく男は追い払う様に手を振ると屋敷へと戻って行った。

俺はもちろんそのまま警察へと駆け込んでさっきの話をして訴えた。

しかし誰もまともに取り合わず、書類すら作成しない。

それどころか俺を追い出して次に来たら詐欺罪で逮捕するとまで言ってきた。

一体この町の警察はどうなっているんだ!


俺はその後も何度も安倍家へと通っては門番へと声を掛け、その度に殴られて追い返され続けた。

するとある日、家の父さんから連絡があり「何をしているんだ!」と叱られてしまった。

どうやら安倍家から父さんの務める会社へと圧力が掛かったようだ。

後でこの御時世に珍しく紙の手紙が届き、そこには端末や家が盗聴と監視がされている事が書かれていた。

しかも会社を潰すと脅迫があり、多くの人を助ける為に仕方なく指示に従っているとも書かれてあった。

俺は父さんに叱られた時には親子の縁を切る覚悟もあったけど、どうやらその必要は無さそうだ。


しかし今のままでは俺も動き難いのは否定が出来ないので、あの話を受けても良いかもしれない。

少し前に何処で突き止めたのか俺の事情を知って接触して来た奴が居た。

調査ということで新しい名前と顔を貰えるそうだ。

ただ整形で顔を変えるのでポーションの様な全身に作用するアイテムは使えなくなく。

もし使ったら元の顔に戻ってしまうそうなので注意する必要がある。


そして自分のスマホはゴミ箱に捨てると、その時に渡された専用の端末を取り出して連絡を入れた。

すると静かで力強い声が端末から聞こえて来る。


『決心は着いたか?』

「お前は何者だ?」

『今は明かす事が出来ない。それはあの町の実情を知るお前なら分かるはずだ。』

「・・・そうだな。」


あの家は警察すら操る力を備えており、ここで正体がバレるのは失敗と同義と見ても良いだろう。

知らない事こそが秘密を守る最良の手段と言える。

そして通話の最中に端末へと地図が送信されて来た。


『これからお前はここに行き新しい姿に生まれ変われ。その後は屋敷へと侵入し情報を集めて俺に知らせろ。侵入の手筈も全てこちらで準備済みだ。』

「分かった。それでもし俺に何かあったらどうする。」

『その時は諦めて死んでくれ。』


あまりにも酷い言い草だけど、この返答は予想をしていた。

なので完全とは言い難いけど覚悟だけは出来ている。

そして新たな名前と姿を手に入れると男の言う人物へと接触し、まずは下っ端として屋敷へと潜り込んだ。

その後も何度も額を地面に擦り付け、屋敷の人間に酒や女を奢っては情報を聞き出していく。

金だけは潤沢に用意してくれるので情報は次々に集まった。

その情報を端末を通して送り付けて不正、汚職、賄賂を理由に周りから少しずつ力を削いで行くと4年が経過していた。

その頃になれば俺もこの家では古株となり、かなりの地位を手に入れている。

そして、その間にサラの情報も色々と知る事が出来た。


どうやらアイツには特殊な能力があって未来を予言する力があるそうだ。

しかも何処の誰がどんな能力を持っているのかが分かるらしく、それが原因でこの家に雇われたらしい。

しかし、そういう人材は黄龍の中でも特殊で天皇の直轄となると学校で習った。

それを安倍家が密かに利用するためにこんな事態が起きていると予想される。

しかし、あれから4年の月日を使い力を削いで来たとは言ってもこの家の力はまだまだ強大だ。

サラを助け出すとしてもまだ何年も掛かってしまうだろう。


そんなある日の事だ。

俺は何時ものようにスキルを使ってサラの存在を確認した。

しかし、いつもの様なハッキリとした反応は無く、なんだか水で希釈されたような僅かな反応しかない。

しかも、その反応は屋敷から出て何処かへと向かっているようだ。

俺は胸騒ぎを感じて反応がある方向へと向かって行った。

するとそこには安倍家でも本家となる者が住まう豪邸がある。

反応はそこから感じられ、俺は何度も来ている事から門番に適当な理由を着けて中へと入って行った。

そこでは俺を雇っているタカナリと現当主であるミツヒロが部屋の中で話をしていた。

俺は扉の前で護衛のフリをしながら聞き耳を立てる。


「これがあの女を材料にして作った式神だ。しかし未来を見るスキルを持った女を材料にしても良かったのか?」

「道具に関しては幾らでも替えが効く。それに既に薬を使い限界まで能力を使わせた後だ。自我も失い廃人同様だった事はそれをしたお前が一番分かっているだろう。」

「ならば数年以内に代えを用意しろ。次はなるべく若い奴を頼む。」

「それならルリコと言う僅かだが安倍家の血を引いている女を手に入れる予定だ。子供を産ませる予定だからその後は好きに使え。」

「ああ、分かった。」


その話を聞いた直後に俺の中で何かが崩壊する音が聞こえて来た。

頭の中は真っ赤に染まり怒りと悲しみが全身を駆け巡って行く。

それと同時に何処からか声が聞こえ始め、俺の中に闇が入り込んでくるような気がした。


「俺に触れるな!」


俺は即座にその何かを拒絶して歩き始めた。

この怒りも復讐心も全て俺の中にある俺の感情と思いだ!

誰にも触れさせないし指図も受けない!

そして俺はこの事を最後まで報告せずに胸の中で熟成させ続けた。


そして、とうとうその時がやって来た。

報告によると禁断の式神の材料とされたサラは無事に殺され解放されたらしい。

これでもうこの世に思い残すことは何もない。

俺もここに来るまでに色々と悪と断罪される様な事をくり返して来た。

何に利用するのかを知らなかったとは言え、その式神の材料にされた人間を攫う様に指示を出したのも1度や2度ではない。

俺も結局はタカナリと同じクズになってしまっていた。

きっとあの世と言う場所が存在するとすれば俺は地獄へと真っ逆さまだろう。


両親との如何なる接触も禁止されているけど最後に遺書を郵便で送ると見届ける為に山の上にある寺へと密かに登って行った。

ここには結界が張られているけど通行証を持っていれば問題なく進む事が出来る。

それに俺自身の手でタカナリを殺したいが奴はこちらよりも遥かに強く、この5年で嫌という程に分かり切っている。

だから俺は過去の英雄と言われる少年の情報を伏せ、タカナリのやる気を更に煽った。

何年もこの男の傍に居れば容易い事で思い通りに動いてくれている。

その甲斐あってタカナリは疑う事無く絶対に勝てない男へと牙を剥いた。

その結果は圧倒的でまさか傍に居る女性ですら龍となり、あれ程の実力を持っているとは知らなかった。


しかし、これで俺の復讐は完了したので後は自分に始末を着ければ終了だ。

父さん母さん、親不孝な息子でごめんな。


「サラ。出来れば最後にもう一度だけその顔が見たかった。」

「なに1人で完結して死のうとしてるんだ?」

「お、お前は!いつの間に!?」


俺は自分の頭に銃を突き付け、引き金を引こうとしていると後ろから声を掛けられ、驚いてそちらへと顔を向けた。

するとそこには以前に一度だけ見た教官の姿があり、驚きに目を見開いた。



俺が寺の本堂の陰に潜んでいる男の後ろへと移動し声を掛けると驚いた顔を向けて来るのでその間に銃を奪って背中に蹴りを入れた。

それだけで数メートル程転がっていくけど男に受け身を取る様子はない。

そして名前を鑑定するとレベルは20未満だけど色々なスキルを持っている有能な人材のようだ。

しかもコイツの名前である筑波ツクバ ケイの筑波には見覚えがある。

確か天皇の所で助けた女性に同じ名前があったはずだ。


「確か筑波 サラだったか。」

「きょ、教官がどうしてサラの名前を!」

「もしかしてお前が兄貴か?」

「は、はい。それよりもどうして・・・。」

「お前には先に色々と喋ってもらう。その後にならお前の質問に答えてやろう。」

「・・・分かりました。」


するとケイは俺達の疑問を解消するための答えを十分に持っていた。

しかし潜入の為とは言えコイツの犯して来た罪は重い。

ただし、その罪の大半が妹を助け出そうとせず俺を頼らなかった事に起因している。


「あの・・・教官の意見に反対はしませんが・・・。」

「反対が無いなら口応えするな。それ以外は些末な事だ。」

「あの・・・後ろから凄い目で見られてますけど・・・。」

「いつもの事だから気にするな。それよりも妹が天皇の屋敷で待っている。送ってやるからすぐに会って来い。」

「それは本当ですか!」

「妹関連に関して俺は嘘を言わない!」


そして事情を知る俺は神聖魔法でケイの姿を元に戻すとそのまま天皇の屋敷へと転移した。

そのまま驚いているガードの人達に任せると皆の許へと戻って行った。


「ただいま。」

「お帰り。見て来なくて良かったの?」

「問題ない。それよりも最後の仕上げに入る。」

「そうだね。この山の周りに集まっているのは悪い人達みたいだからお仕置しておかないとね。」


さっき送って行ったケイの話ではこの周りに居る連中は荒事なら人攫いから恐喝、殺人、死体遺棄まで行う碌で無しらしい。

それに京都に来てから俺の出番が無いのでそろそろ働く事にした。


「ルリコ。ここからでも結界は解除できるのか?」

「出来ますけど・・・やり過ぎちゃダメですよ。」

「分かってるよ。」

「分かってないからいつも私とダイチが苦労してるんでしょ。」

「何か言ったか?」

「何でもないわよ!」


言いたい事があればハッキリ言えば良いのにな。

団体行動なのでこういった意思疎通などのコミュニケーションは大事にしておきたい。


「それでは解除しますね。」

「ああ頼む。」


結界が解除されると山の周りに居た連中の意識が正常に戻り周囲を見回し始める。

そして結界から出られた事に気付いた者から動き始めると、ここへと向かって移動を開始した

どうやら奴等の持っているスマホに集合命令が送られているようで、これならわざわざ向かわなくても勝手に集まって来る。

危険を感じて逃げる奴も居ない様なので、こんな仕事をしていてもそれを感じ取るスキルは無いようだ。

それとも既に俺が黄泉で体験した時の様に危険すぎる為にスキルが沈黙してしまっているのかもしれない。

皆には本堂に上る階段まで下がって座ってもらい、トワコの開けた穴も塞いだのでこちらの準備も万端だ。

すると視線の先では集まって来た男達が何の疑いも無く敷地へと入って来た。


「よう坊主。生きて帰りたかったら俺達の質問に答えてくれないか。」

「別に構わないぞ。」


そして最初に入って来た男は俺の顔を見るなり威圧的な態度で声を掛けて来た。

しかし荒事に慣れているというのは確かな様で既に腰に差した剣の柄は握っており、何時でも攻撃が可能な様にしてある。


「それでだ。ここに居たタカナリさんは何処に行ったんだ?」

「そいつなら今頃は三途の川でも渡って河童に足でも引っ張られてるだろ。お前等もあまり悪い事ばかりしてると悪魔王にお仕置されるぞ。」

「「「プ・・・アハハハハ!」」」


すると男達は俺の顔を見たり指を向けて一斉に笑い始めた。

俺は本当の事を言って注意をしているのに子供の戯言だと思われたみたいだ。


「コイツこの状況で絵本の話をしてるぜ。」

「あんなのは権力者が作った都合の良い作り話に決まってるだろ。」

「それでタカナリさんは何処に行ったんだ。まさかトイレの紙が切れたから俺達を呼んだ訳じゃあ無いよな。」


ああ、その発想は俺には無かったな。

生徒をトイレに行かせない様にした事はあったけど、いつもは下ではなく上が緊急事態だったから思いつかなかった。

さて、そろそろお仕置と行こうか。


「ギャーーー!」

「な、なんだ・・・『グシャ!』。」

「どうなってやがる・・・ゴハ!」


すると俺が行動に移るよりも早く奴らの背後に問題の2人が到着してしまった。

最初はのんびりと参道を上って来ていたのに途中から森の中を突っ切って来たみたいだ。


「それで『グシャ!』コイツ等は『グシャ!』どうしますか?『グシャ!』」

「そうですね。ついでですから一緒にあの世へと連れて行きましょう。心配する者が居るなら誰かが生き返らせるでしょう。」

「了解ですカブト様。」

「ハハハ。何時も言っているでしょう。2人の時はカブトと呼びなさい。」

「は、はい・・・カブト。」

(俺達も居るから2人じゃないんだけどな。)


なんだかあそこだけラブラブオーラを出しているけど、周りに飛んでいるのはハートではなくそこに居る男達の肉片や血飛沫だ。

俺からすればまったくロマンティックに見えないのだけど、鬼人であるカブトとナミエにとってそれらは地面を彩る花畑なのかもしれない。

確かに広がった血飛沫を赤い花に例える事もあるけど、他人がしているのを見ると綺麗とはかけ離れているのが分かる。


それにしてもコイツ等は仕事を終えてあの世へと帰ったのかと思っていたけど、現世でデートでもしていたのだろうか?

女性のナミエも居るのでたまに来る現世でスイーツでも楽しんでいたのかもしれない。

そして数十人居た男達は瞬く間に殲滅されてしまい地面で赤い染みへと変わってしまった。

なんだか出番を取られた様でちょっとアレだけど、基本は働きたくない性格なのでこの手の事はあまり気にならない。

俺は溜息を吐きながら撒き散らされている血肉を踏まない様にしながらカブトの許へと向かって行った。


「現世でデートか?」

「え!ち・・違いま・・・。」

「ええ、ナミエが美味しいお店を知っているというのでちょっと逢引をしていました。」

「ちょ!カブト!」

「フフフ。彼に隠しても仕方ないでしょ。」

「は、はい。そうですね。」


なんだかカブトは初めて会った時からぶっちゃける性格だったけど、こういう時には押せ押せだな。

ナミエも慌てながらも顔を赤くして満更でもなさそうだし、次に会う時は結婚でもしてたりして。


「御祝儀と結婚祝いはどう送れば良いんだ?」

「ハハハ。次にあちらに来た時で構いませんよ。」

「か、カブト!・・・もう知りません!」


そしてナミエは限界に到達したのか逃げる様にアズサ達の所へと駆け出して行った。

しかし、そっちはこちら以上に恋バナという獲物に目を光らせている乙女たちの巣窟だ。

まさに何も知らずに龍の巣穴に丸腰で入って行くに等しい。

その為、既に周囲は取り囲まれ、お茶とお菓子まで出されて完全なホールド状態にされている。

女の子は甘い物と恋バナは大好物だと言うのでしばらくは放置で良いだろう。

なのでナミエが自分で行っておきながら助けて欲しそうな顔を向けているけど今は見ない様にしておく。


「それで、もしかしてデートをしてたら通り掛った訳じゃないよな。」

「もちろんです。今回の回収対象は3人居りまして、その最後の1人が先程死んだタカナリになります。恨みや欲望の強い魂は現世を彷徨い易いのでこうして回収をしている訳です。」


そう言ってカブトは先程捕まえたというタカナリの魂を見せてくれる。

最近は神眼というスキルを手に入れる事が出来たのでマルチが居なくても魂が見える。

ちなみにシュリは俺とは別で精霊眼というスキルで魂を見ているそうだ。

それと俺の神眼は魔眼の扱いなので悲しい事に厨二戦士の影響を受ける。

なので今は両目の色がそれぞれに変わっている状態になっている。

視界が変化しないから良いけど恵比寿の奴も迷惑な称号を作り出してくれたものだ。

そろそろ反省が薄れているかもしれないから呼び出して確認してみるのも良いかもしれない。


「これで終わったのならもう帰るのか?」

「予定よりも早く終わったので視察という事でもう少し見学をして帰りますよ。最近は犯罪の幅も広がっていますからね。」

「めぼしい奴は連れて行っても良いぞ。」

「ハハハ。相変わらず容赦ないですね。まあ、そのつもりなので数日は突然死の報道が多いかもしれませんね。それではナミエが怯えているのでそろそろ行かせてもらいます。」


するとカブトは楽しそうに皆の居る方へと視線を向けると、そこでは今もナミエが質問攻めにされている。

さっきから聞こえていたけど、最初は何処で出会ったのかとか、もう手は繋いあのかとか、軽い質問だったのけど、今ではキスはしたのかとか、いつ結婚するのかと言った踏み込んだ内容へと変わっている。

どうやら鬼人となって相手に容赦の無い性格になっていても、女子トークの押しには弱いみたいだ。

それにそろそろ涙目になっているので、そろそろ助けないと可哀相かもしれない。


「それでは行きますよナミエ。」

「はい!それでは失礼します。」


そう言ってナミエは囲みから脱出するとカブトの隣に並んで歩き出した。

どうやらあの世で働くと言ってもこういう所は人と変わらない様だ。


「それじゃあ俺達も急いで帰ろうか。」

「「「お~!」」」


そしてバスに戻ると既にシステムは回復しており、無事に旅館へと送り届けてくれた。

小さなトラブルはあったけど、これで今日は無事に終える事が出来そうだ。

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