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279 修学旅行 1日目 ①

俺達はあれから成長し小学6年生になっている。

その間にココノエ先生はコイズミさんと結婚し、子供も出来て副担任ではなくなっている。

俺達の福担任をしているのは保健医であるハクレイだけど、どうやら教員免許も持っていたようだ。

まあ愛に呆けていない限りは優秀なのでそれくらいは当然かもしれない。


それと亀に関して言えば、今では飲み屋で鉄板の食材となっている。

特にスッポン程ではないけど肌に良いという事が分かってからは女性を中心に大人気だ。

しかもスッポンと違って鳥と同じ値段で手軽に食べられるので、あの後に規模を拡大して大産業へと発展した。

最初は漁協とトラブルになりかけたけど注文の問い合わせが増えるに従い争っていても意味が無いと分かるとすぐに和解している。

そのおかげで今では互いに協力し合って大きな利益を上げている状況だ。


それ以外だと大きな変化はあまりないけど俺の傍にいたメンバーは全員がレベル100へと達している。

俺と同じステータスへと覚醒し、強さ、スキル、職業も他の者に比べて遥かに強力になった。

恐らく今なら一国でも滅ぼすのに十分な力を有しているだろう。


(さて、そろそろこれまでの思い出にふけるのは止めようかな。)


今の俺達は学校行事として新幹線に乗ろうとしている。

ちなみに以前にハルカが言っていた外来種の捕獲のフラグ回収ではない。

外来種は俺達によって程よく駆除されて安定期に入っており、今ではあれだけ大量に居たウシガエルさえ殆ど見る事は無くなっている。

飲み屋で度胸試しに使われる事が多いので適度に消費されているとだけ言っておこう。


話しは逸れたけど今回の目的は修学旅行だ。

場所は京都で到着すればその時から自由行動に移行する事になっているのだけど、俺にだけは大量の保護者が付いて来るのは確実だ。

アズサを筆頭にしていつものメンバーだけでなくトワコ先生も着いてくる。

これだけ居れば班行動というよりは殆どクラス行動だろう。


そして移動を開始した時から修学旅行も始まると言って良い。

だから楽しむならここから始めるべきだ!


「さあ何して遊ぼうか?」

「到着まで30分くらいだからトランプで良いんじゃないかな?」

「そう言えば新幹線って名前だけどリニアモーターカーだったなこれ。」

「ハルヤは時々可笑しな事を言う。今も昔も新幹線はこれ。」


実は科学の進歩が加速したおかげで新幹線の歴史は無いに等しい。

車の自動運転のおかげで交通がスムーズになり、リニアモーターカーの技術が新幹線の開発途中にクオナ達からもたらされたからだ。

小学生では社会科の授業でその辺の事を教えてくれるのでとても助かっており、やっぱり最初から人生をやり直して良かったと思っている。


そして、ここ数年のやり取りで皆も大きく成長しており、既に運だけでは簡単には勝てないので俺でも負ける事もある程だ。

だからと言って、こちらとしても簡単に負ける訳にはいかない。


「・・・フッ。みんな成長したな。」

「カッコつけてもハルヤがビリ。大人しくアナタが持ってるお菓子を提供する。」


そう言って1番に上ったハルカが遠慮の欠片も無く手を伸ばして来る。

俺は苦渋の表情を浮かべると人数分のプリンを取り出してテーブルに置いた。


「クッ!敗者は勝者に従うのみだ!」

「ハルヤは演技が下手。それにもうネタは上がってる。アナタは黄金のプリンを持っているはず。それを出して。」

「な、何故それを!」

「秘密。でもあなたの行動は把握済み。」


俺は表情を更に歪めると少し前に田舎の道の駅で購入したプリンを取り出した。

これは選ばれたニワトリだけが生んだ卵を使い作られた数量限定の商品だ。

その日にどれだけ卵が生まれたかで生産数も決まり、下手をしたら作られない日さえある。

それを朝の3時から開店の9時まで並んで購入した貴重品だ。


「クソ~!持ってけ泥棒!」

「私は泥棒じゃない。勝者。」


そして負けた俺は全員分のプリンを出すと手荒く自分のプリンの蓋も明けた。

苦労して買ったのだから俺も食べないとやっていられない・・・。


「あれ?俺のプリンは?」


さっきまで確かに左手にはプリンのカップを持っていたはずだ。

ちゃんと反対の手にはスプーンを持っているのにプリンの容器だけが消えている。

皆も1つずつ取って食べ始めているので数に間違いは無いはずだ。

それに、もし俺から密かに奪えるとすれば横で一つ目を美味しそうに食べているアズサだけだろう。

もしかするとアレが2つ目という可能性も無い訳では無いけど、アズサは勝手に奪ったりはしない。

取るなら堂々とした態度で必ず一言は告げてから持って行く。

それもどうかと思わないでもないけど、そこはいつもの事なので気にしてはいない。


なら反対に座るユウナならどうだろうか。

ユウナならこっそりと取るのは限りなく不可能に近いけど可能性が0ではない。

ただ、ユウナの場合はこっそり取るのではなく大胆に要求してくるだろう。

食べているのを交換とか、ア~ンして欲しいとか、下手をしたら口移しして欲しいと言って来てもおかしくない。

それもどうかと思わないでもないけど、そこはいつもの事なので気にしてはいない。


ただ、考えていても仕方ないので俺は再びプリンを取り出した。

すると何も無い空間から手が伸びて来たかと思うと俺の持っているプリンを掴み持ち逃げしようとしている。

俺は即座にプリンの容器を潰れない様に強化するとガッチリと掴んでその場に保持して渡さないようにする。

しかし、これで犯人は確定したと言えるだろう。

いや、犯人が確定したと言うよりも犯人の一味が判明したと言う事だ。


「ちょっと席を外すよ。」

「・・・そう言う事だね。分かったよ。」


アズサは俺のプリンを奪おうと必死に引っ張っている手を見てすぐに理解をしてくれたようだ。

何せこの手には見慣れた指輪がその輝きを放っており、それは俺の婚約者としての証であり、俺自身がプレゼントした物だ。


「この手だとツクヨミかな。」

「ちゃんとプリンを分けてあげないからだよ。」


とは言っても数量限定で数に限りがあるんだ。

あの日は限定100個だったけど全部を買い占めるのは悪いと思って50個しか買っていない。

既に幾つか自分でひっそりと食べ、ここでも10個を超える消費をしてしまったので残りは35個を切っている。

流石の俺も相手が婚約者だからと常に甘い顔をしている訳では無いのだ。


「それじゃあ、ちょっと行って来る。」


俺はそう言ってプリンを手放すと犯人たちの許へと向かって行った。

そして転移でツクヨミの前に移動すると、そこにはやはりユカリとクレハの姿もある。

しかもユカリの手には俺が探していた黄金プリンが握られ、既に半分が口の中へと消えている状態だった。

そして機先を制するために口を開こうとすると、それを上回る速度でクレハの声が飛んで来た。

どうやら犯人を確認する時間で先を越されてしまったらしい。


「ハルヤさん。これは何でしょうか?」

「・・・普通のプリンに決まってるじゃないか。」


するとそれを聞いてプリン大好きなユカリの目が細まった。

それはまるで獲物が罠に掛かったのを待ち構えていた猟師のようだ。


「語るに落ちたなハルヤ!これは通常のプリンに在らず!これは山間部にある道の駅で数年前から売り出されている超レアプリンで間違いない。我が何度行っても買えなかった物を手に入れておきながら何故教えなかったのじゃ!?」

「ハルヤさん。まさか1人占めしようなんて考えていませんよね。」


あれ?これって俺が叱られる事だっけ?

なんだか立場が540度違う様な気がするぞ。


「い、いや、1人占めではないんだ。・・・そう、験担ぎだよ。これを持ってるとまた買えそうな気がしたんだ。」

「そうですか。」

「それなら仕方ないのじゃ。」

(ホッ!何とか誤魔化せたみたいだな。)

「それなら私達が代わりに買いに行きますから持っているプリンを出してください。」

「そうよね。ハルヤは今日から1泊2日で京都なのだからその間に私達が買い足しておいてあげる。」

「フム、いいアイデアじゃ。それでは早く出して新幹線に戻ると良いぞ。もうすぐ到着じゃからな。」


そしてユカリが締め括ると補佐をしているクレハが大きな盆を取り出して近づいて来る。

今の俺にはその1歩1歩が死刑宣告へのカウントダウンの様に見える。

それにどうやら俺が沢山のプリンを持っている事は既に想定済みのようだ。


「さあ、出すのじゃ。まだ30個は持っておるじゃろ。」

「どうしてそこまで分かるんだ!」

「神の御告げじゃ。」


ここで神はお前だろうとツッコミを入れるのは大人気ない事だろうか。

それにもしかすると神が神に御告げを下す事があるのかもしれない。

俺は仕方なく言われた通りにプリンを30個取り出してお盆の上に並べて置いた。

きっと俺が戻って来た時には無くなっているんだろうな。


「大丈夫じゃ。しっかりと3倍にして返してやるのじゃ。」


なんだか勝てないギャンブラーみたいな事を言っているな。

それにもしそうなったとしても再び取られてしまうのがオチだ。

時間的に既に今日の分は売り切れているとして明日と明後日で90個買うのは難しいだろう。

ここは諦めて京都で新しい甘味を買う事にしよう。


「まあ、期待せずに待ってるよ。」

「任せておくのじゃ。じゃからお土産も期待しておるぞ。」


そして去り際にチラリと見た時は既に次のプリンへと手を伸ばしていた。

まあ、ダメでもまた買いに行けば良いだろうし、美味しいプリンを売っているのはあそこだけじゃない。


「ただいま。」

「どうだったの?」

「殆ど取られた。買い足してくれるらしいけど期待は薄いだろうな。」

「そうだと思った。そっちに関しては諦めた方が良さそうだね。」


戻ってすぐにアズサが結果を聞いて来たので素直に答えて報告を済ませておく。

周りからもいつもの様に笑われてしまい、その直後に到着を知らせるアナウンスが流れた。

そして外を見ると大きな街並みが広がっており、少しすると駅のホームへと入り停止する。


「せっかくの修学旅行だから過ぎた事は気にせずに楽しもうか。」

「そうだね。それにお兄ちゃんも色々と予定があるから時間が無くなっちゃうよ。」

「京都には来た事は無かったので、色々と周ってみたいです。」

「そういえば来たことがなかったな。」


ここには古い思い出もあるので避けていないと言えば嘘になる。

それ以外にもちょっと面倒な事があるので、あまり皆を連れて来たくは無かった。

もちろん俺だけなら教官の仕事があるので何度も来ているけど、必要以上には滞在せずに仕事が終わるとすぐに帰っていた。


ちなみに今回に関しては修学旅行の日程に合わせて2つ・・・厳密に言えば3つの招待状が来ている。

日頃は適当に理由を付けて断っていたのだけど、そろそろ顔を出さない訳にもいかないだろう。


それに2つの招待状に関しては別に嫌と言う訳では無い。

片方は本当に互いの予定が合わなかっただけだし、もう1つの方は普通に面倒だっただけだ。

もう1つ呼び出されている案件はあるけど、そちらに関しては俺から出向くつもりは一切無い。

用があるならそっちから訪ねて来いと書いて毎回送り返しており、こちらに関しては変な事をして来た時に叩き潰してやろうと思っている。


そんな事を考えながら駅から出るとそこで手配しておいたバスへと乗り込んだ。

これも自動運転なので指定した場所へ案内してくれるだけでなく、観光地と言う事もあってお勧めのコースを選ぶ事も出来る。

それに今回は来て早々だけど先に俺の用件を終わらせると皆には伝えてある。


なので最初に向かうのはこの国でダンジョン関係を管理している黄龍の本部となる。

ダンジョンが出来てから5年の間に何度も出頭要請が届いていたのだけど面倒だから無視していた場所だ。


「皆はどうする?」

「行くなら私が案内できる。」


俺が声を掛けるとハルカが皆の案内を買って出てくれた。

ここは戦国時代からずっと組織のあった所で歴史的にも古い建物が多い。

ただし観光スポットと言うよりは役所に近い場所なので見ても面白い物は少ないだろう。

しかし、それ故に本などでも殆ど紹介されていないので目新しいとは言えるかもしれない。


「それならお願いしようか。俺はその間に用件を済ませてくるよ。」

「任せて。」

「それなら訓練場とかもあるんだよね。」

「装備品も扱っていると聞いた事があります。」


どうやら、それぞれに見たい物が既にあるみたいなので時間潰しくらいにはなるだろう。

これなら俺が話をしている間くらいは大丈夫そうなので、早めに終わらせて戻って来よう。


「あまり目立たない様にな。」

「まさか一番何かやらかしそうなお前から心配されるとは思わなかったぞ。」


するとダイチから鋭すぎる言葉が飛んで来たかと思うと周りが一斉に頷いている。

確かに呼び出された内容から言ってそれは否定できないけど、今回は好きで目立つ訳ではない。


「それなら終わったら連絡するよ。」

「うん。なるべく手を抜いてね。」

「・・・それは普通逆だろ?」

「そうでもないと思うけど。」


そして俺は皆に見送られて受付へと向かって行った。

するとそこには市役所の様に目的に応じたカウンターが設置してあり、その内の1つへと声を掛ける。


「すみません。俺宛にこういうのが届いたんですけど。」

「はい、それでは拝見しますね。」


俺は届いた封筒を受付の女性に手渡して確認をしてもらう。

その間に名札を見るとクスノキ 美香ミカと書いてあり、年齢は二十歳そこそこで大人しめでショートカットの髪型が良く似合っている。


そして、ここは能力確認と審査の受付になっていて今回の目的はその両方だ。

簡単に言うと以前に使っていた最上位の札を最新の物に変える為の審査を受けるようにという通知が来ていて支部ではなく本部に来てくれと手紙が来ていた。

もちろん、それを本部に知らせたのはゲンさんなのは言うまでもないけど、支部からは依頼の連絡が来ていたのでこうなるのも時間の問題だっただろう。

それにあの人は今でも組織に強い影響力があるので俺の外見が子供だからと軽んじたりはしない。


「・・・あの。本当にこれは確かなのですか?」

「ええ、ここに古い木札ならありますよ。」


それでも組織全体から見れば受付の女性くらいでは末端になるのか、俺の見た目のせいで半信半疑と言ったところだ。

仕方ないので信じてもらうために昔使っていた木札を取り出して見せておく。


「少し拝見しても良いですか?」

「問題ないですよ。」


そして木札も手渡すとクスノキさんは恐る恐る手に取りそこに描かれている絵や番号を確認している。

更に番号を傍にあるパソコンに入力するとその目が大きく見開かれた。


「まさか500年前の英雄!」

「英雄?何の話をしているんですか?」


俺は確かに邪神を封印するために戦ったけどそれだけで、倒せた訳ではないので現代にこうして問題が継続している。

もし英雄と言われる存在が居るなら自分の身を犠牲にして数年前まで邪神を封印し続けていたマルチこそがそうだろう。


「あの・・・これは本物ですか?」

「それを確認するための審査だと思いますよ。ただ人を待たせているので早めに始めたいのですが。」

「わ、分かりました。既に準備は出来ていますのでこちらへお願いします。」


そして俺は彼女に連れられて奥の部屋へと向かって行った。

するとそこにはトレーニングルームがあって色々な機材が揃っており、どうやらここで俺の能力を測定する様だ。


「それではここにある測定器を順番に使ってください。」

「・・・。」

「どうかされましたか?」

「いや、ちょっとしたデジャブを感じただけだ。」

「はあ?」


ここにあるのは学校でも使た事のある物ばかりだ。

もしかすると測定不能を連発してしまうかもしれない。


「先に確認するけどエラーとか出ないかな?」

「それは大丈夫です。なにせここの測定器は異界大使館から購入した最新版ですから。」

「・・・そうですか。」


なんだか今年度の初めにも聞いた事があるセリフを言われてしまった。

もしそれでエラーが出ないならハッキリ言って俺は既に落第者の汚名を返上しているはずだ。

実は学年が上がる度に体力テストはしているんだけど未だに真面な計測がされた事が無い。

そのせいで今では金魚の糞とか言われる事もある。

俺の周りは宝石よりも眩しい美少女たちが取り巻いているので皆の事を華麗な金魚に見立てているようだ。

小学生では最高学年に上っているけど下の学年でも俺を良く思わない奴は多い。

まあ、俺にとってはどうでも良い話だけど。


「それなら、ちょっと手加減をして。」

「本気でないと測定をやり直しますよ。」

「・・・なら仕方ないか。」


俺は仕方なく持っている握力計へと本気で力を込める。

すると『バキ!』と音が鳴ると握っている所が変形して壊れてしまった。


(これは俺の責任じゃないよね・・・。)

「この場合はどうなるんだ?」

「測定不能という事で。」

「弁償とかは?」

「保険に入っているので大丈夫です。」


それなら気兼ねなく測定が出来そうだ。

俺はそう結論付けると次に置いてある背筋力計を引き千切って見せた。

するとその横にはゲームセンターにある様なパンチングマシーンも置いてある。

これをするのは以前に高校生をしていた時以来だ。

あの時は確か95キロ位だったから今っだとどれくらいだろうか。


「久しぶりに本気で殴ってみるか。なんだかちょっと楽しくなってきたぞ。」


俺はマシーンの前に立つと息を吸い込んで鋭く吐き出すと、流れるような動作でパンチを放った。


「なに!?測定0キロだと!」

「あの・・・。ミットに手が刺さってますよ。」

「確かにミットが測定機に触れないと0にしかならないよな。」


言われて手を見るとミットに手が突き刺さってそのまま千切れてしまっているので、これはちょっと失敗してしまった。

そして次は何やら黒いゴムの様な物体が置いてあり中々に硬そうだ。

これは初めて見るけど、どうやって使うのだろうか?


「これは何ですか?」

「それは武器を使った時の攻撃力を測定します。通常ですと大剣で切ったとしても20センチまで食い込むかどうかですね。」

「フムフム。そういう測定方法か。なら武器も普通の物を使用した方が良いかな。」

「自由に使ってもらえるように準備はしてありますが、他の方は自分の武器を使う事が多いですよ。」

「いや、俺の持ってる最高の武器だと。」


俺は以前にゴ〇ラモドキを倒した時に使った剣を取り出した。

それを使って太さ1メートル程の塊を横から1ミリ未満で極薄にスライスして行く。

しかも見るからに殆ど力も入れていないのは顔や棒立ちで手だけ動かしている所からも分かるはずだ


「俺の武器だと性能が高すぎて測定にならないんだ。だからここに在る武器を使った方が良いだろ。」

「す、凄い武器をお持ち何ですね。」


俺は準備されている一般的な剣を手にすると、今度は1ミリ未満の薄さへとスライスして見せる。

どうやらこれでも結果はそんなに変わらないらしく評価が難しい所だ。

このままスライスしても結果は変わらないだろうから10センチ程低くなった所で剣を止める。


「これで十分か?」

「は、はい。それではこれからは訓練場の方でお願いします。」

「了解。それでちょっと確認だけど俺の審査結果は?」

「全て測定不能です。」

「そうだろうな・・・。」


俺は学校とは変わらない結果に肩を落としながら溜息を吐くとクスノキさんに案内されて外へと向かって行った。

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