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265 野外活動 2日目 ①

朝食は食パンをメインに添えてソーセージや目玉焼きなどを焼いて食べた。

昨日の朝に立ち寄ったパーキングエリアで食パン類も購入しておいたので美味しいパンの在庫は十分にある。

それに加えて他の種類もふんだんにあるのでアズサ以外は軽い準備だけで整える事が出来た。

やっぱりキャンプと来れば調理をやりながらの摘まみ食いだろう。

悪い意味での摘まみ食いではなく、食べる物を火に掛けながら熱々の状態で食べられるという意味だ。

お皿に盛るとどうしても冷めてしまうのでこういった形での食事もキャンプならではと言える。

もし世界が平和になって俺が戦う必要が無くなれば田舎で囲炉裏のある家に住むのも良いかもしれない。


そしてアズサの食事が終わるのを待ってから俺達はコイズミさんの所へと集合した。


「それじゃあ今日は計画通りに川に行くぞ。」

「そういえば、そこで釣りは出来ますか?」

「出来るぞ。ただ、川の魚を釣る時には場所によって遊漁券を購入しないといけない。それを購入せずに対象魚を釣ると罰金を取られる事もあるから注意するんだぞ。」

「分かりました。」

「ちなみに今から行く川の場合は途中にある組合の券売機で1000円を支払えば1日券が購入できる。所々に監視カメラがあったりドローンが飛んでる事もあるからルールを守って楽しむように。」


きっとそれ以外にも事故が起きた時や大雨などの時に川の様子が見られるようにしてあるのだろう。

以前よりも気候が安定しているとは言っても全ての自然を管理している訳では無い。

台風だって発生するし不意の大雨や地震だって起きるので常に備えは必要になる。


「質問が無いなら着替えて川へ行こうか。」


そして、それぞれのテントに向かうとそこで着替えてから再集合となった。

ただし、ちゃんと男女は別々で着替えており、体は子供でも中身は大人なので当然だ。

それに見せるのは川までお預けと言われれば俺だって我慢できる。

そして少し待っていると女性陣は濡れても良いシャツとロングスカートに着替えて姿を現した。

シャツは白一色だけど、スカートは夏らしく色とりどりで個性が出ている。


「まるで目の前に花園が現れたみたいだな。」

「ハルヤも少しは相手を褒めるのが上手になったのね。」

「褒めてるんじゃなくて真実だろ。」


本当に褒めたつもりは無いけど本音で言っていると分かってくれた様で喜んでくれているのが見ただけで分かる。

ただ、今日の主役は俺達ではないく、自身を着飾り大輪を咲かせなければいけないのはココノエ先生唯一人だけだ


そして、そちらへと視線を向けると夏の明るさとは程遠い、暗く地味な姿の女性が1人・・・。

俺はそれを確認した瞬間にコイズミさんに声を掛けながら意識を逸らすと後ろに回した手でハンドサインを送る。


『全軍撤退!後方で戦力を修正せよ!』

『『『ラジャ~!』』』


どうやら皆も思いは同じだった様で即座にハンドサインを返して来るとココノエ先生の許へと駆け出して行った。

そして即座に抱えられる形で拘束されると8人用の最も大きなテントへと姿を消して行った。

しかし、あの先生は本当に何を考えているんだ!

ここから既に勝負は始まっているというのにアレではマツタケと変わらない。

どんなに中身が良くてもそれを見つけられなければ意味がないのだ。

あの姿ではコイズミさんも何処をどう褒めれば良いのか分からないではないか。

するとテントの中から女性陣の声がここまで聞こえて来た。


「ちょっと皆!」

「何考えてるんですか!まずはお化粧をしてください!」

「でも水でメイクが落ちるでしょ。」

「こんな事もあろうかとちゃんと水に溶けなくて滲み難いのを買って来てありますから。」


さすがアズサと言ったところか、こういう状況を想定して準備をしていたようだ。

それらのの事は俺には分からないので本当に助かったけど、あの人は化粧をしてないと本当にポンコツで困ってしまう。

そういうギャップ萌えしそうな事はもっと親密な間柄になってから見せる様にしてもらいたい。


すると今の姿を見ていないコイズミさんはテントに視線を向けなら首を傾げている。

どうやら俺達の素早い行動のおかげで最悪の事態は回避されたみたいだ。


「一体何をやっているんだい?」

「せっかくの大輪の花がみすぼらしい花瓶に生けてあったので飾り直しをしているんですよ。」

「よく分からないけどもう少し待てば良いんだね。」

「そういう事です。」


そして、しばらく待っているとまずは連れて行った少女たちがテントから出て来る。

そのまま扇状にテントの入り口に囲むとその中央を通って今回の主役が姿を現した。

その服装はさっきまでのどんよりとした暗い色ではなく、足には少し踵の高くなったサンダルに緑のスカートを履いている

シャツはまるでシルクの様に滑らかな白いシャツで飾り気は無いけど下から突き上げる立派な果実が飾り以上の効果をもたらしていた。

そして顔には目元を強調し強い意志を感じさせるアイラインが引かれ、口元には少しラミの入ったナチュラルな口紅が塗られている。

その姿にコイズミさんは言葉を失い、俺の横で棒立ちになってしまった。

しかし誰も動こうとはせず、1人の男性が言葉を発するのを待ち続けている。


「コイズミさん。早く感想を言わないと。」


このままでは太陽が沈んでしまいそうなので傍に居る俺がコイズミさんの背中を押してココノエ先生の傍まで歩かせる。

それに合わせてココノエ先生の左右に居るアケミとユウナも背中を押して前へと押し出し狭いけど2人だけの空間を作り出す。

しかも、その足元には見え難くカモフラージュされた凸凹が作ってあり、履き慣れていないサンダルのせいで大きくふらついている。

そんな状態でコイズミさんが居れば反射的に抱き着いて胸を強く押し付けてしまっても事故として片付ける事も可能だ。


「あ、あの・・・ごめ・・・痛!」

「ココノエさん!もしかして足を!?」

「い、いえ、大丈夫です。」


ここは謝るべき所ではない。

俺は咄嗟に小石を飛ばして先生の額にぶつけると、コイズミさんに見えない角度からハンドサインを送る。


『ありがとう』でしょ!


それだけでどうやら自分の失態に気が付いたようで、すぐに表情を改めると顔に笑みを浮かべて見せる。


「ありがとうございます。こうしているとアナタの逞しさが感じられて嬉しいわ。」

「そ、そんな!俺なんてまだまだですよ!」


とは言っているけどコイズミさんの体も筋肉質で脂肪なんて10パーセント以下なのは確実だ。

きっと服を脱げば鎧の様に引き締まった筋肉が見られるだろうから筋肉フェチな女性ならイチコロかもしれない。


「それとやっぱり足を少し痛めたみたいです。少し体を支えてくださる。」

「よ、喜んで!そ、それと今の姿もとても素敵です!」

「フフ。嬉しいわ。それと実は川で泳ぐのは初めてなの。色々と教えてくださいね。」

「は、はい!喜んでお教えします!」

「それでは行きましょうか。」


そう言って2人はゆっくりと慎重に歩き始めた。

すると先生は空いている方の手で密かに親指を立ててサムズアップを送って来る。

どうやら2人はまた1歩距離が近づいたようだ。

そして、そんな俺達の許へとソウマさんがやって来た。


「お前等マジであの2人を引っ付けるつもりなのか?」

「マジで引っ付けるつもりですよ。見たなら分かったと思いますが、普段のあの先生はヘナチョコです。これくらいしないと本人も素直になれないんですよ。」

「は~、どうやらアイツ等はとんだ奴らに目を付けられたみたいだな。」

「とんだ奴等ではなく普通の小学1年生ですよ。それよりも俺達が無理な所のフォローは任せますよ。その為に今回のキャンプに加わってもらったんですからね。」

「仕方ねーな。カホもその気みたいだし手伝ってやるよ。」

「その分ここに居る間は美味しいご飯をお約束しますよ。」

「楽しみにしてるぜ。」


俺達は互いに固い握手を交わすと移動の為にバスへと向かって行った。


(さてと。後は周りに任せて俺は釣りでもして川魚をゲットするかな。)


実は海の近くや海中で生活する事が多かったので淡水魚に関して言えばストックが少ない。

あってもナマズとかウナギなどの癖が強くて食べるのに苦労する物が多く、アズサみたいに料理のスキルが無いと既に死んだ魚だと美味しく料理が出来ない。

それに比べて日本の川魚は癖が無くて塩を振っただけで美味しく食べられる物が多い。

今日は皆の為に沢山釣るぞー。


そしてバスに乗ってしばらく道を走ると河原の近くにある駐車場へと到着した。

皆は素早くバスから降りるとワイワイ言いながら道を下って川へと向かって行く。

そして到着すると俺達は一旦集まってコイズミさんの説明に耳を傾けた。


「ここは広範囲に渡って穏やかな流れになっていて安全に泳げる。何かあった場合はすぐに声を出して知らせるように。それと、さっきハルヤ君が買った券ならこの川の何処でも釣りをする事が出来るけどあまり離れない様に。」

「「「は~い!」」」


そして、それぞれの集団で別れるとココノエ先生は早速コイズミさんを連れて川の傍へと向かって行った。

そのまま見せつける様に服を脱いで水着姿になると嬉しそうに手を引いて川へと入って行く。

どうやらココノエ先生も、ようやく吹っ切ってくれたみたいなので、あれならしばらくはそのままで構わないだろう。

昼御飯もここで食べる事になっているので適度な所で戻って来るはずだ。


すると、さっきの光景を目の辺りにして残っている少女たちにも火が着いたみたいだ。

こちらは着ている物を一気に脱ぎ去って少し恥ずかしそうに距離を空けている。

人数が多いのでもし迫られたら揉みくちゃにされてしまって水着を見る余裕が無くなってしまうので当然の結果だろう。

そして、まず見るのはやっぱりアズサで着ているのは水色のフリルの付いたワンピースだ。

涼し気な感じと清楚な雰囲気がとても似合っている。


そして次はアケミに視線を向けるとオレンジのワンピースを着ており、飾りは無いけどその笑顔が補って余りある。

まるでアズサとは逆で活発な雰囲気がアケミらしい。


そしてユウナは黒い三角ビキニで時々意表を突いてくるけど今回は少し予想していた。

ただ水に入ったら溶けるとか透ける素材でない事を祈りたい。


そしてハルカは何故かサラシに褌だ。

しかもお尻への食い込みがキツクてちょっとエロ・・・。

エロくない!

俺は幼女趣味では断じてない!

それに何故そこで胸に名前が張付けてあるスクール水着を取り出すんだ!?

俺はロリコンではなくシスコンだと声を大にして叫んじゃうよ!


は~・・・は~・・・。

そ、そしてルリコは大人しめな・・・白いスクール水着・・・だと!

コイツは俺に気持ちが落ち着くまで待てと言っておきながら最近はこうして揶揄って来る。

前世のルリではありえない行動だけど楽しいので授業中に手紙を交換して文通みたいな事をしている。

こういうのはメールや直接話したりするのとは違った楽しさがあるけど今は凄いドヤ顔を浮かべている。

まるで俺の心の動揺を読み取っているかの様だ。


そして次がアンの水着だ。

まるで競泳水着みたいだけど長い足を強調する様にハイレグタイプだ。

さらに水着の紺色が肌の白さを更に際立たせている。

ハッキリ言って硬派な感じのアンがここまで攻めて来るとは思わなかった。


そしてミキとカナデはそれぞれに同じデザインの水着を着ている。

白い下地のワンピースに胸元にフリルが付いている水玉模様で頭には麦わら帽子を被っている。

それに少し日焼けした肌が健康的で他の皆とは違った雰囲気を纏っている。

どうやら、火明けの跡が見えないので今日の為に日焼けサロンにでも言って来たのだろう。


そして最後になったけど問題はワラビだ。

コイツは何を思ったのか着け耳を付けたバニーガール姿をしている。

確かに服装は似ているけど・・・しかも仁王立ちで凄いドヤ顔だ。

ある意味で言えば俺の同類と言っても良いのかもしれない。

しかし、あれを見ると俺が普段から言われている事の意味が分かる気がする。

俺も服装について勉強するべき時が来たのかもしれない。

なのでワラビの肩に手を置くと優しく微笑みかけてやる。


「フフフ、どうやら私の魅力にようやく気付いた様ね。」

「ああ、今日はお前が一番だ。」

「とうとう私がアズサを抜いてトップに立つ時が・・・。」

「ああ、笑いのツボを射止めたのはお前だ。俺の優しさが尽きる前に着替えさせてもらって来い。」


今は全身の筋肉を硬直させて笑うのを全力で耐えている状態だ。

しかし俺にここまでの状態異常を与えたのはお前が初めてだと断言できる。


「アズサ・・・は、早く!俺が自分を抑えられている内に!」

「ハルヤ・・・。分かったわ。すぐに着替えさせてくるからね!」


そしてアズサはワラビを連れてバスへと戻って行った。

色々と知らない所で苦労を掛けてしまっているけど、ここでもちゃんと着替えの水着を用意していたようだ。

しかし、それなら最初から言ってやれば良かったのに、あれは絶対に狙ってやっていたに違いない。

なんたって全員が口を押えて笑いを噛み殺していたから、ここの居る全員が有罪だろう。


「終ったよ~。」


するとバスのある方向からアズサの声が聞こえて来たので視線を向けると今度こそ普通の水着を着て来たみたいだ。

ただしその水着はどう見ても布面積が一番小さい。

まるでマイクロビキニと言っても良いかもしれない際どさを内包している。

もしかしてさっきワラビがアズサを差し置いて俺の一番になったと勘違いしていたのを聞いて密かに怒っていたのかもしれない。


よく見るとワラビの笑顔がちょっと引き攣っている様に見えるのでバスの中で密かな話し合いが行われた様だ。

どうやらワラビはこの群れに君臨している獅子の尾を踏んでしまったらし。


(哀れなる恐れを知らない幼き少女よ。)


そうなってしまうと俺も助ける事は出来ない。

もし出来る事があるなら、それはアズサの怒りがなるべく早く収まる様に祈るだけだ。

そしてワラビは俺の前にまで来ると怯えて震えながら笑顔を浮かべた。


「心を強く持てよ。」

「ワタシ・・ボスニハサカラワナイ。」


既に俺の心配は手遅れだったらしくワラビは片言で同じ言葉を繰り返すと皆の所へと戻って行った。

そんなワラビの頭をアズサは優しく撫でながら笑みを浮かべている。

それはまるで「よく言えました」と褒めている様にも見えるので、やはり俺にはハーレム王の素質は無いみたいだ。


そんな皆の傍まで行くとアズサを筆頭にして感想を述べてから川へと向かって行った。

その直後に鼻から赤い液体が流れて来たけどきっと朝の日差しにでも当てられたんのだろう。

絶対にそうに違いないので興奮した訳では断じてない!

ただ俺の防御を貫通してダメージを与えるとは太陽の奴もなかなかやるじゃないか。

今後は気合を入れて当たらないと時が経てば吐血に変わりそうだ。

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