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257 野外活動 準備 ②

「さあ皆さん。とうとう水着回がやってきました。」

「何を言ってるんだお前は?」


ちょっとお約束過ぎてテンションがおかしくなっていたみたいだ。

真向いに立っているダイチから変質者を見る様な視線を向けられてしまった。


俺達は最寄りの一番大きな駅の前にあるモールに来ている。

ここはダンジョンが出来て初期の頃にアクセサリーを買いに来たところだ。

当然だけど上の階に行けば俺達がペアリングを購入したジュエリー店である暁がある。

ただ、このモールはオープンしてから2年くらいしか経過しておらず、お店はどこも新しくて知名度を上げている最中と言ったところだ。

俺達がここで買い物をしたのもこれから10年以上は先の話なのでお店に御客は居ない。

だからと言ってこの年齢で行って相手にしてくれるかどうか。


『『『チラ!・・・チラ!チラ!』』』


いや、相手にしてもらえないなら札束を積み上げてでも相手にしてもらおう。

アズサ、アケミ、ユウナから熱い視線を感じるので早めに時間を作って新たに婚約指輪を買うべきだ。

ただし、さっきも言ったように今日は水着回と言う事でそちらに集中しよう。

そう考えていると変質者を見る様な目でミキが声を掛けて来た。


「アナタって好きな子が他人に肌を晒すのを許容できるの?」

「ふ、・・・そんな事が出来るはずないだろう。何をおかしな事を聞いてるんだ。」

「「「は~・・・。」」」


そこでどうして周りも溜息をつくんだ。

しかもココノエ先生まで混ざっているし何かおかしな事を言ったのか。

俺はただ心が命ずるままに本心を述べただけだというのに。

そして理不尽な友人たちと共に歩きながら水着を専門に扱う店へと向かって行った。

ただ、考えてみれば1人を除いて全員が小学1年生だ。

言動がちょっと大人っぽいけど、その姿に欲情すれば変質者ではなく犯罪者と言われても仕方ない。

なので今回の水着回は中止にするしかなさそうだ。


そんな中でココノエ先生の視線がフとガラス窓の外へと向けられた。

そこには駅前の街並みがあるだけで他には何もない。

空間把握で確認しても人どころか鳥すら居ないので、きっと外が見えて視線が行ってしまっただけだろう。


そしてお店に到着するともうじき夏と言う事もあり色とりどりの水着が売られている。

夏に勝負を懸けていそうな女性も何人か居て出来れば目を合わせたくない雰囲気を背後に背負っている。

あのまま放置すればいずれは、傀儡や操影術などの特殊なスキルに目覚めるのではないだろうか。


それにここに在るのは女性用だけで男性用の水着は置いていない。

どうやらここは女性の園で俺達の様な男が入ってはいけない場所の様だ。


「ダイキ、俺達は外で待っているぞ。」

「え?シュリの水着を選んで・・・。」

「今は眠れ。寝言はその後で好きなだけ聞いてやる。」


俺はダイキを閉め落すと皆と別れて少し離れたベンチへと移動しそこに腰を下ろした。

眠っているダイキは横に座らせると『考える人』のポーズを取らして放置しておく。

これで誰も気絶しているとは思わないだろう。


それに俺にはスキルがあるので中に入らなくても確認するくらいは簡単だ・・・『ヒュ!』。


「おっと。」


しかしスキルを発動する直前に俺の眉間に目掛けて何かが飛んで来る。

俺はそれを掴み取ると手の中にある硬い感触へと視線を向けた。


「これは・・・苦無か。」


アイツは自分が忍びだと隠す気があるのだろうか?

こんなのを飛ばして来れば人物だけでなく正体さえも特定できてしまう。

そして苦無の根元に付いている輪っかに指を入れてクルクル回していると店の中からハルカがやって来た。


「これはお前のか?」

「・・・秘密。」


そう言って苦無を回収すると店へと戻って行く。

しかし姿が見えなくなる前に振り向いて「覗き禁止。」と言って奥へと消えていった。

どうやら俺が想像している以上にハルカの実力は高い様だ。

だが俺を舐めてもらっては困る。


「フフフ!俺の能力をそれだけだと思うなよ。スキル『空間把握』発動!・・・何!」


スキルを使わず肉眼だけなら確かに店内がしっかりと見えている。

なのに空間把握を通して見るとまるで何かがそこを覆っている様にしか見る事が出来ない。

このスキルはたとえ密閉されていようとその中を立体的に見る事が出来るのに絶対におかしい。

そうなると今のあの中は俺のスキルで透過できない何かに満たされていると言う事だ。

すると答えに行き着いた直後に視線の先にシュリが姿を現した。

そして両手を使ってバッテンを作って見せると店の奥へと姿を消していく。

今回はシュリの仕業みたいで、あの中を精霊で満たすか何かして俺のスキルを跳ね除けたようだ。

こんな事は初めてだけどシュリがやったならそれくらいしか方法はない。

しかし精霊という存在をまともに認識したのは初めてだけど、覗こうとしてこれではなんだかちょっと情けない気分になる。


その後2時間ほど待っていると水着を買った皆が姿を現した。

どうやらそれぞれに納得のいく物を買えたみたいでとてもニコニコしている。

しかし、どうやらココノエ先生も新しい水着を買ったらしく小さな袋を下げているようだ。

性格からは想像できなかったけど水着の趣味は意外と大胆みたいだな。

マイクロビキニではないけど赤い三角ビキニとは恐れ入った。

彼氏が欲しいと言っていたのにいったい誰に見せるつもりなのか。


それは置いておくとして予想通り女性の買い物なので時間をかなり使ってしまった。

なのでここに設置されているオルゴール時計が12時を知らせるために鳴り始め、それと同時にアズサの中に眠る猛獣も目を覚まし唸りをあげる。


「グルルルル~~~!」

「そろそろ昼飯にするか。」

「いつもながらにアズサ姉の腹時計は性格だよね。」

「これがあれば遭難して時計やカレンダーが無くても日数と時間には困りませんね。」


するとアズサの左右に居るアケミとユウナが笑いながら唸るお腹に視線を向ける。

ちなみにアズサのお腹は朝の7時と夕方の18時にも唸り、何も食べなければ1時間毎に催促を行う仕様になっている。

しかも電波時計並みに正確なのでその気になったら時計にも使える優れ物だ。

本当に腹に何かを飼っているんじゃないかと心配になって来る。


「少し行った所のホテルに美味いレストランがあるからそこで昼を食べよう。」

「あ、それなら俺達はちょっと遠慮しとくぜ。あんまり財布の余裕が無いからよ。」

「ごめんなさい。でも皆は楽しんできてね。」


そう言ってダイキとシュリは並んで帰ろうとするので俺はダイキの後ろ襟を捕まえて持ち上げてやる。

ちなみに着ている服には俺の持ち物としているので自然と強化され伸びたり壊れたりする心配は無い。

そしてシュリはアケミとユウナが挟み込み逃げられない様に両腕を固定した。


「今日は奢ってやるから気にするな。アズサが食う量からすればお前ら2人程度なら誤差の範囲だ。」

「さ、流石にそれは・・・グエ!」

「あの、これからちょっと用事が。」

「用事が無いから今日にしたんだろ。諦めて昼飯に付き合え。」


すると最初に諦めたのは左右から完全にホールドされているシュリだ。

苦笑を浮かべて小さな溜息を吐くとダイキに視線を向けてから頷いた。


「・・・はい。諦めてお供します。」

「お前はどうするんだ?」

「シュリが行くなら俺も行く。」

「最初からそう言ってれば良いんだ。先生は保護者という事でお願いします。」


俺は同行を決めたダイキを地面に降ろすと先生へと顔を向けて決定事項を告げた。

しかし短い付き合いながらもココノエ先生は既に俺達の事を理解し始めてくれている様だ。

諦めを感じさせる深いため息を吐き出すと肩を落とす様にして頷いた。


「はい。どうせ拒否権はありませんよね。」

「こんな幼い生徒を残して帰るのか?」

「御尤もです。・・・うぅ~どうして私はこっちの班にされちゃったんだろ?」


それはアナタに自主性が無いからじゃないか、とは流石に言えない

でも、もし担任のトワコ先生の様に他人を牽引する能力があればこの光景も違っていただろう。

そして俺は少し前から気になっていた事を聞いてみる事にした。


「アナタはどうして先生になろうとしたんですか?ストレートに言って子供の俺から見ても向いている様には見えませんけど。」


教師というのはとても大変な職業で、仕事の内容も確実にブラックと言える。

生徒の考えはバラだし、それを上手く導かなければならず、それが九十九という特殊な学園なら並の苦労では無いだろう。

ハッキリ言って並以下にしか見えないココノエ先生には俺達の相手は荷が重すぎる。

下手をすると精神を病んで自殺するかもしれないとアズサ達も心配している。

するとココノエ先生は何処か遠くを見る様な目をすると少し恥ずかしそうに話し始めた。


「それは・・・昔にちょっとあって落ち込んでる時に声が聞こえたの。『死ぬ勇気があるなら死ぬ気で生きてみろ。』って。だからもう一度頑張ってみようかなって・・・て、子供に何言ってるんだろうね。ハハハハ、今のは聞かなかった事にして。」


そう言ってココノエ先生は苦笑いを浮かべると先を進んでいる他のメンバーの許へと駆け出して行った。

そう言えば以前に俺やアズサの乗っている車に落ちて来た女性が居たのを思い出したけど、今にして思えば少し似ているかもしれない。

あの時は飛び降りた後悔で顔が強張っていて見分け難かったけど、今なら何処となく同一人物のような気がする。

もしそうだとするなら、あれから九十九の教師になっているので努力だけは怠らなかったのだろう。


そして前を歩いているココノエ先生を見ていると再びその視線が何もない方向へと向けられた。

しかし近くには無くてもその視線は更にその先を見ているのが分かる。

ただし今はまだ情報が少なすぎて特定が出来そうにない。

その為にはもう1箇所くらいは別の場所から方角を確認する必要がある。

それと物知りな友達の協力も必要になりそうだ。


そしてホテルに到着すると上に登って眺めの良いレストランへと入って行った。

ここは窓辺なら駅前の街並みが良く見える様になっているので確認には打って付けだ。

それに今はレストランだけど何年か先には昼間にはバイキングをする様になる。

ある意味ではアズサと正式に再開した場所であり、アイコさんと合わせて2人が出入り禁止になった場所でもある。

そして店に入るとスタッフが席に案内をしてくれてメニューを配ってくれた。

俺はそれを開いて少し考えると視線をあげて声を掛ける。


「決まりましたらお呼びください。」

「それならここに書いてあるメニューで提供可能な物を3人前ずつお願いします。」

「畏まりりまし・・・は?」


すると返したメニューを見ながら視線が俺との間を行ったり来たりしている。

どうやらここのスタッフには教育が行き届いていない様で、この程度の簡単な注文も受けられないとは教育担当の顔が見てみたい。

ホノカの店であるカリーナなら誰に言っても慌てずにメニューを通してくれるというのに。

すると動かなくなっているスタッフが心配になったのか、唯一の大人であるココノエ先生が声を掛けて来た。


「ねえハルヤ君、大丈夫なの?」

「問題ありませんよ先生。・・・ああ、やっぱり5人前でお願いします。飲み物は先に持って来て、デザート系は食後でお願いしますね。」

「え・・・あ、はい。・・・畏まりました?」


するとようやく理解できたのか大急ぎで厨房へと駆け込んで行った。

本当に理解できているのか不安だけど、あれでは初期の家庭用ゲーム機の方が処理が早いかもしれない。

そして幾つもの料理が順番に持って来られるとテーブルの上を飾って行く。

それをアズサが順番に消して行くのでお皿を持って来ても片付ける方が大変そうだ。

その中で気になる物を素早く取らなければ食べる機会を失ってしまう。

それを知っているいつものメンバーは食べられる前に料理を確保しているのでぬかりはない。


「早く取らないと無くなるよ。」

「お、おう。そうだな。」

「これ美味しいから食べてみると良い。」

「は、はい。」


そして初体験であるダイキとシュリにはハルカとアンがサポートに付いている。

既に厨房は全力運転を続けて1時間以上が経過しており、フライパンを振る音に悲鳴が混ざり始めていた。

しかし、今はバイキングでもないので注文をした物はそれ相応の金額を払っている。

これはきっと喜びの悲鳴で間違いないだろう。

そう考えれば厨房から聞こえる怒号や雄叫びが笑い声に思えて来た。


「馬鹿野郎!そのソースはもっと滑らかに練りやがれ!」

「このパスタを作った奴は誰だ!テメーはこれを客に喰わせんのか!」


きっと厨房の見習いたちにも良い修行になっているだろう。

今の所は不味いと思える物も出て来てはいないし、アズサも喜んで食べているから大丈夫だ。

それどころか失敗した物と並べて味の比較がしてみたいと思えるけど、あの様子だと言っても出してくれそうにない。


そして2時間の食事を終えると俺達は腹を抱えて満足そうな表情を浮かべている。

先生もセーブしながらもしっかり食べたのでお腹が気になるみたいだ。

今の状態であの水着を着ると色々と目立つだろう。


そしてアズサが満足するまで食事を続けている間にハルカから情報も聞き出してある。

どうやら俺の予想は間違っていなかった様で、これから向かうから様子も窺ってみよう。


「次は俺とダイチの水着を買わないとな。」

「でも何処で買うんだ?さっきの店には無かったよな。」

「それならこの近くにスポーツジムがある。そこに男物の水着が売られていたはずだ。」


すると俺の提案に1人の肩が大きく跳ねた。

そして、すでに女性陣に関しては自前の乙女レーダーによって恋する乙女の反応を感じ取ったようだ。


「え?ど、どうしてそこなのかな!?探せばさっきのモールに売ってるんじゃない?」


すると焦った様にココノエ先生が反対意見を述べて来た。

いつもは状況に流されてばかりなのに自己主張するとは槍でも降るんじゃないだろうか。

それにお腹を押さえて視線を彷徨わせているので、もしかしたら食べ過ぎてトイレが近いのかもしれないな。


「トイレなら待ってるから先に行って来ても良いですよ。」

「そ、そうじゃなくて・・・あ、そうだ。私用事があったんだった!」


しかし、そんな言い訳が通用するならこの場にダイチとシュリは同席していない。

俺は周囲へと目配せをするとハンドサインを送り、フォーメーション『O』を実行してココノエ先生を取り囲んだ。


「俺は支払いを済ませて行くから先に行っててくれ。」

「分かったわ。ジムで待ってるね。」


そして見送った後に会計に向かうとレジ担当のスタッフが頑張って会計を入力していた。

今のこの時代に電子入力ではなく手打ちとは珍しい。

ただ、そのせいで10分ほど待たされてしまい支払いをすると軽く100万をオーバーしていた。

確かにこれをバイキングでやられたら出入り禁止になってもおかしくないのが理解できる。

相手が子供だから少し心配そうに見ていたけど先に現金を積んでやるとレジを打つ速度が上がった気がする。

最初からあれ位の速度なら半分程しか時間は掛からなかったと思うけどな。


しかしレストランを出て追いかけてみると意外に進んでいなくてすぐに追いつく事が出来た。

どうやらココノエ先生が小学生相手に最後の抵抗を見せている様だけど普段からこれくらいの粘りを見せていれば良いものを。

しかし目的地が決まっているのであの先生では囲みを突破する事は出来ない。

そして俺が追いついて来たのを確認し、フォーメーションは『O』から『Y』へ変化していった。


すなわち手を取って引っ張り、後ろから押して強制連行だ。

連れて行っているメンバーが全員子供なので周りからは微笑ましい顔を向けられてるけど、手を取られている本人は大パニックだ。

何気に表情は変えないように努力しつつ、かなりの力で抵抗を見せている。

しかし手をアケミとユウナに引かれ、後ろからアズサに押されれば一切の抵抗は無意味となる。

更にコケない様に周りが上手く重心を移動させたり支えたりしているので地面に座り込む事さえ不可能だ。


「ま、待って!マジでお願いします!」

「これも俺達の水着を買うためですよ。」

「そうかもしれないけど顔がそう言ってないです!絶対に何かを企んでます!」


おっと!無意識に顔に出ていたか。

それにしても今までにない程のツッコミの鋭さだな。

余程あそこに行くのが怖いとみえる。

その割には何度も同じ方向を見ていたので気にはなっているのだろう。

きっとこの先生の事だから遠くから見ているだけで満足とか思っているに違いない。


そうこうしている間に俺達は目的地であるスポーツジムへと到着した。

こちらも今は新築の様なのでとても綺麗な外観をしている。

ちなみに俺も時々通っているので既に体は体操選手の様に柔らかい。

やっぱり子供の内からしっかりと体を作れば無理もなく柔軟な体を手に入れる事が出来る。

ただスキルで何時でも体の年齢を一定の範囲で調整できるのであまり関係は無いかもしれないけど。


「それでは入りましょうか先生。」

「うぅ~子供に力で負けてる私って・・・。」


既にココノエ先生も諦めたのか目は死んだ魚の様に変わり、誘導されるままにジムへと入って行く。

そして入ると正面にあるカウンターへと向かい受付に座る女性へと声を掛けた。


「こんにちは。」

「はい、こんにちは。今日はお父さん達と一緒じゃないのね。」

「はい。実はちょっと気になる事が・・・ゴニョゴニョ。」

「フフフ、分かったわ。丁度来てるから呼んで来るわね。」


そう言って彼女は笑いながら席を立つと奥へと向かって行った。

その時に左手の薬指に嵌めている指輪がキラリと光り、アズサ達3人はそれを羨ましそうに見詰めている。

その様子を見るとやっぱり早めにプレゼントをした方が良さそうだ。


そして奥から連れて来られたのは俺の担当をしてくれている小泉コイズミさんだ。

以前の時にもお世話になっていたけど、あの時と違い今は20代前半の若々しい好青年の姿をしている。

俺と会った時には30代だったけど、その時に聞いた話では結婚はしていないと言っていた。

それは今も同じで「彼女募集中だよ」と笑いながら言っていたので嘘でなければ今も特定の相手は居ないはずだ。


ちなみにさっきの受付の女性には俺達の連れている女性で何か気になる事は無いかと聞いてみた。

それで出て来たのがこの人という事は偶然だけどココノエ先生が気になっている男性もコイズミさんと言う事になる。

そのおかげか今はさっきまでの死んだ魚の様な目から今までに見た事のない凛々しさを感じさせる目に変わっているので普段から分かり易い人なのだろう。

俺達もせっかくジムに来たのだからちょっとだけ運動をしていくべきだろう。

今はジムが出来て1周年と言う事で無料体験も行っている様だ。

コイズミさんは俺がもっと幼い時でも親切に教えてくれる出来た人なので安心して任せられる。


「俺とダイチは後で行くからみんなは無料体験を楽しんでいてくれ。」

「それはダメ。最低でも誰かが付いて行かないと危険だよ。」

「ダイチも私が居ないと変なデザインの服を買いますから付いて行かないと。」


どうやら俺とダイチは趣味趣向が似通っている様だ。

今は互いに普通と言えるような服を着ているけど、それは自分で選んだ物ではないからだろう。


そしてアズサとシュリが俺達に同行し、少し行った所に併設されているスポーツ用品店へと向かって行った。

すると2人は男性用の水着売り場に向かうと、まるでターゲットをロックオンする様に素早く目を動かして物色して行く。


「・・・これに決めた。」

「・・・あなたに決めました。」


そして数秒という素早さでトランクス型の水泳パンツを選んで購入するとアズサ達も更衣室へと消えて行った。

どうやら2人の乙女も今回の楽しいイベントを逃す気はない様だ。

俺達は押し付けられるように渡された水着を仕舞うと、男用更衣室へと向かって行った。

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