表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/372

248 自己紹介

入学式が終って初登校の日がやって来た。

しかし俺の部屋に私服の数はそれほど無いので入学式の時に貰った服を着ている。

何故かと言えば、あの日に家へ帰るとアズサ達に部屋を荒らされ買っていた服の事如くを焼き尽くされたからだ。

だから買い直す必要があるんだけど1人で服を買う事を禁止されてしまっている。

数もそんなに揃えていた訳では無いし、ジャージやパジャマは残っているから仕事の方に関しては問題は無い。

それに、いざとなればそのどちらかで学校に行けば良いだけだ。

流石に下着姿や裸でなければ大丈夫なはず・・・。

そして朝食を終えて学校へと飛んで行き、屋上へと到着を果たした。


「こっちの方が電車よりも早いよな。」

「飛行機と同じくらいの速度だからね。」


ちなみにここまで公共交通機関を使うと車で駅に到着するまでが10分。

その駅から九十九学園の最寄りの駅まで50分。

そこから再び車で30分程かかる。

それを飛んで来れば俺の速度で5分程で、アズサ達に合わせたとしても10分程だ。

全速ならもっと早いけど、これでも近所の小学校に歩いて行く時間とそれほど変わらない。


そして扉を開けて中に入るとライトで照らされた明るい階段を降りて行く。

するとそこは6年生の教室がある階なので俺達よりも体の大きな子供たちが歩いている。

てっきり何かを言われるかと思ったけど心配は杞憂に終わり、この上は許可の無い者は使えない事になっているので当然とも言える。

なんでも普通の扉に見えても周囲にはしっかりとセキュリティーが働いていて許可が無いと扉が開かないらしい。


そして登校時間と同じだけの時間を使って教室に到着すると中へと入って席を確認する。


「自由席で良いのか。」

「そうみたいだね。」

「それならどの配置で座るかが一番の問題です。」


3人はユウナの言葉に火花を散らすと俺の左右と後ろに荷物を置いて確保し、今日もじゃんけん大会が開始された。

以前なら年上と言う事でアズサが引いていたけど、今は同い年なのでその必要が無くなったみたいだ。

だから事ある毎にジャンケンを行って勝者を決めている。

俺の席は確定しているいう事でそこへと荷物を置いて椅子に座り皆が終わるのを待つ。

なんだかちょっと周りから好奇心の籠った目で見られているので早く終わる事を願おう。


そして今日の勝者はアズサとアケミみたいだ。

登校初日に俺の左右の席を勝ち取れたので凄く嬉しそうに笑みを浮かべている。

代わりに敗者となったユウナからはとても冷たくて重い気配と視線が背中から注がれているのでちょっと怖い。

これから毎日この手の視線に晒されるのかも知れないと思うと何かのスキルを獲得できてしまいそうだ。

するとそんなユウナの声を掛ける強者が現れた。


「ねえ、ここ空いてる?」

「は、はい。大丈夫です。」


声を掛けて来たのは小学1年生にしては大人っぽい雰囲気の少女だ。

服は上から下までを黒で統一していて顔は可愛いのに服装は極端に地味と言える。

そんな彼女は席に着くと視線を俺へと向けて来た。


「アナタ達って入学式の時から仲が良いわね。幼馴染か何かなの。」

「まあ、そんな所だな。俺はハルヤだ。そういえば入学式には居なかったな。」

「私は甲賀コガハルカ。上の名前は好きじゃないからハルカって呼んで。」


そして、その流れに乗ってアズサ達も自己紹介を行い互いに下の名前で呼び合う事になった。


「あの・・・前の席は良いですか?」


すると弱々しくかぼそい声が聞こえて来る。

そちらを見ると顔色の悪そうな少女が俺に声を掛けていた。

瞬時に鑑定を使い彼女の体調を確認すると予想通り貧血となっているようだ。

体つきから食べていない訳では無さそうなので魔法を掛ければすぐに回復するだろう。


「席は空いてるよ。それと体調が悪そうだから回復させとくな。あんまり無理すると倒れるぞ。」

「あ、ありがとうございます。でも・・はい。お願いします。」


そう言って彼女は少し躊躇しながらも了承したので軽く回復魔法を掛けておく。

これで怪我をしたりして大量に出血しない限りは大丈夫だろう。

もし病的要因から来ているのなら次から全力で回復させれば普通に学校生活を楽しめるようになる。

それにクラスメートくらいなら無料で回復を請け負ってやらない事もない。

ただし少し気になる事もあるので数日は様子を見てみようと思う。


「少し楽になりました。私は瑠利子ルリコと言います。」

「俺はハルヤだ。。何か困った事があれば言ってくれ。少しは相談にのれるつもりだ。」

「・・・大丈夫です。」

(否定はしないんだな。)


初対面で首を突っ込むのも何なのでしばらくは気を付けて様子を見るのが最善だろう。

そうしていると再びユウナに声を掛けて来る者が現れた。


「少し失礼。ここに座っても良いですか?」


すると次に来たのは何処から見ても日本人には見えない少女で、ハルカとは少し違った凛々しさがあり少し近寄り難さがある。

気配が少し尖っているので普通の子供なら嫌そうな表情を浮かべたかもしれない。

しかしユウナは俺に対しては際どいセリフが目立つけど、他では優等生なので気にする事なく言葉を返した。


「良いですよ。どうぞ座ってください。」

「ありがとう。」


そしてユウナが隣の席を進めると彼女は軽く頷いて席に着いた。


「私はアンジェリーナといいます。気楽にアンとお呼びください。」

「アンは何処から来たの?」

「私はその・・・お兄ちゃんを探してイギリスから来ました。」


兄を探してわざわざこの齢て日本に来るなんて妹の鏡だな。

それに比べて妹を残して更に探させる様な兄はクソ野郎に違いない。

しかし、それでもイギリスから探しに来るのだから大事な相手なのだろう。


「その人が見つかると良いですね。」

「はい。でもきっとすぐに見つかります。既に手掛かりもありますから。」


そう言ってアンの顔に優しい笑みが浮かび視線が俺へと向けられている。

そこには先程までの凛々しさは消え、まるで年相応の幼い少女の様に見える。

きっとこの周りで男は俺だけだから幼い時にでも見た兄のシルエットを俺に重ねているのだろう。


それにしても生徒もそれなりに登校して来たようで、俺達の様に自己紹介をする者が増えて来た。

室内に置かれている席の半分が埋まっており、それなりに散らばって荷物が置かれている。

その様子からこれだけ密集しているのはここだけのようで、不自然なまでに女の子の比率が高いのもここだけだ。

それにしても入学式の時から気にはなっていたけど女子率が高く、このクラスは30人近くは居るけど男が10人しか居ない。

スカウトなどの関係で偏りが出るのは分かっているけど今年は男子が不作だったみたいだ。


すると前方にある扉が開くとそこから2人の女性が姿を現した。

1人は黒髪を背中まで伸ばした美女で、顔にはとても穏やかな表情を浮かべている。

彼女をモデルにして菩薩を彫ればきっと後世に残る大作になるだろう。


そして、もう1人の女性はその真逆で可愛くはあるけど全く自信が無さそうに見える。

元から精神面が弱いのか、目の下には薄く隈が出来ていてオドオドしている。

これで教師が務まるのかと俺でも不安に思うところだ。

すると2人は揃って手元にあるタブレットを操作して黒板代わりに取り付けられている大画面に自分達の名前を表示させた。


「皆さんおはようございます。私がこのクラスで担任をする八百ヤオ 永久子トワコです。」

「わ、私は副担任の九重ココノエ 芽依子メイコ・・・です。」


するとヤオと名乗った先生はハキハキとした言葉遣いで自己紹介を行い、ココノエと名乗った先生はまるで萎んで行く風船の様に先細りしながら自己紹介を行った。

しかしヤオ先生はそれを咎めようとはせずに優しく肩に手を置いて微笑みかけるだけだ。

それにしてもヤオ先生の方が年下に見えるのは気のせいだろうか?

それともあの暗い顔が実年齢よりも上に見せているだけなのか。

まあ、そんな事を気にしても仕方が無いので今度は俺達が自己紹介を始める番となった。


しかし、こちらは子供と言う事もあって順調に自己紹介を終えて行く。

そんな中で同時に2人の男女が前に出て来た。


「俺は北野キタノ 大地ダイチだ。」

「私は北野キタノ 朱里シュリです。」

「名字は一緒だけど親が再婚した時に居た互いの連れ子だ。後で変に見られたくないから先に伝えておく。」

「みなさん仲良くしてください。」


そう言って2人とも気にした様子はなく自分の席へと戻って行った。

その様子から他人ではあるけど仲は良いみたいだ。


そして少しすると今度は2人の少女が前に出て来た。

少し顔つきが違うけど、もしかしたら双子かもしれない。


「私は村上ムラカミ 未希ミキよ。」

「私は村上ムラカミ カナデです。」

「私達は見ての通り双子なの。あんまり似てないけど妹を虐めると許さないわよ。」

「お姉ちゃん。そんな事を言ってはダメです。皆さん、姉妹でよろしくお願いします。」


どうやら姉の方は妹を大事にしているみたいで、少し強気な印象だけど俺にとっては好感が持てる。

そして妹の方はお淑やかな感じでとても落ち着いており、村上という名前には少し縁があるのでこの機会に聞いてみることにした。


「質問です。もしかしてこの辺で有名な村上水軍と何か関係がありますか?」

「一応は先祖って事になってるわ。」

「その辺の事は子供なのでそんなに知らないのです。」

「分かりました。」


俺は子供らしく納得した顔で大人しく着席した。

なんだか2人がこちらを気にしているようだけど今の質問が良くなかったのだろうか?


そして全員が自己紹介を終えるとヤオ先生が周囲を見回して生徒の人数を数え始めており、どうやら名簿と人数が合っていないようだ。

画面にもまだ自己紹介を終えていない名前が1つあるのできっとその人物だろう。


『ガラガラガラ!』

「滑り込みセ~フ!」


いや、どう見てもアウトだろうと叫びたいけどそれは俺のセリフではない。

どうやら残り1名は初日から遅刻して現れたようだ。


「遅刻ですよ。寺山テラヤマ ワラビさん。」

「すみません!」

「今日は大目に見ますが頻繁になると家庭訪問ですからね。自己紹介をして席に着きなさい。」

「はい!・・・私は寺山 ワラビです。家が神社をしています。秋にはお祭りがあるので遊びに来てください。」


流石は神社の娘さんなだけはあり、この状況でもちゃっかり祭りの宣伝を欠かさないとは見上げた根性だ。

そしてワラビは周囲を見回すと何故かこちらにやって来てルリコの横にある空いている席へと腰を下ろした。

他に空いている所が幾らでもあるだろうに、もしかするとこの集団に入っておけば友達が作り易いと思ったのだろうか。


するとチャイムが鳴って1時限目の授業が終了した。

今日の授業は午前で終了でその後は自由時間となる。

何でもこの学校は色々なサークルや部活があり、小学生の内から誰でも参加できる事になっている。

但しサークルに関しては大学生が多いためにその人たちの承諾が必要となる。

普通に考えて俺達みたいな子供が入るとなると行動に制約が付くし、明らかに御守も同然になる。

どのサークルに行ったとしても良い顔はされないだろう。

逆に部活に関しては教師がしっかりと着いているので歓迎され易い。

特にスポーツや格闘は幼い内からしている人も多いらしいので募集の張り紙にも歓迎の文字がある。

それ以外だと新しく作る事も出来るけど普通は小学生の内からそんな積極的に動く者は居ない。


そして、そんな事を考えていると教室から退室して行く先生から声が掛かった。


「ハルヤ君。話があるので君は私と来なさい。」

「え、俺?」

「何したのハルヤ?」

「いや、何もしてないと思う。」


と、言うかアズサ達とは学校に来てからはずっと一緒に行動していたから俺が常識外れな行動をしていれば一発で分かるはずだ。

あえて言うなら村上水軍に関して質問したくらいだけど、そんな事では呼び出しなんてされない。

しかも俺は中身はともかく、見た目、戸籍上では7歳の小学生1年生だ。

それが呼び出されるという事は何か余程の事をしてしまったと考えるべきかもしれない。


俺は頭に疑問符を浮かべながら席を立つと心配そうな視線に見送られながら教室を出て行った。

そして少し先にある生徒指導室の扉を開けて中へと入っていく。


「あ、ココノエ先生はそのまま職員室に戻ってて。私もすぐに戻るから。」

「は、はい。分かりました。」


そう言ってココノエ先生を職員室へと向かわせると部屋に居るのは俺とヤオ先生の2人だけになる。

ただ、これが高校生か大学生なら如何わしい想像の種にもなりそうだけど、今の俺は何処から見ても子供なのでその心配はない。

そんな噂も立ちようは無いので席に座って軽く頬杖をついた。


『ガチャ!』

「これでこの部屋には私とあなたの2人だけね。」


すると鍵が閉められヤオ先生は上気した顔でこちらに迫って来る。

傍から見ればショタコンの美人教師が教え子に手を出そうとしている様に見えるだろう。

それも間違いではないんだけど、そろそろ説明をしてもらいたいところだ。


「それで、どうして八百比丘尼が現世に出て来てるんだ?三途の川での仕事は止めたのか?」

「フフ!気付いているのに知らないフリなんてしてるからよ。何百年も帰って来ないからこちらから会いに来てあげたの。」


そう言って両手で持ち上げると嬉しそうに抱きしめて来る。

あまり聞いた事の説明にはなっていないけど、八百比丘尼も元は人間だったらしいから400年の時間は長く感じたのだろう。

ここにこうして居るという事は許可や資格もあるのだろうから俺がとやかく言う必要も無さそうだ。


「言っとくけど、俺には沢山婚約者が居るからな。」

「そんな事気にしてたら800年も生きられないわよ。これからあなた達の担任をしながらゆっくりと仲良くなっていくわ。その辺の事もイザナミ様から頼まれてるからハルヤは気にしないで。」


まあ今みたいに人前で頬擦りをしたり胸に抱きしめたりしなければ大丈夫だろう。

これも長い時間を待たせてしまった償いと思っておくけど、アズサ達3人には後で説明が必要になりそうだ。


「それじゃあ、これからはよろしく頼む。ヤオ先生。」

「もう、トワコ先生でしょ。」

「はいはい分かりました。トワコ先生。」

「宜しい。何かあったらまた呼ぶからよろしくね。このクラスはちょっと問題がある子を集めたらしいから学園長も期待してるわよ。」

「やっぱりか。」


なんだかそんな気がしてので言われる前から少しだけ諦めも入っていた。

それに俺の平和な学園生活はそう簡単に訪れてくれないらしい。


その後は解放されると部屋を出て教室へと戻って行った。

そして席に戻ると1つの変化に気が付いて周囲を見回してみる。


「ルリコはどうしたんだ?」

「家の都合で帰ったわよ。なんだかちょっと悲しそうな顔をしてたわね。」

「私も気になった。」

「私もです。なんだか帰りたくなさそうに見えました。」


そう言って3人が珍しく他人の事を本気で心配している。

俺も気になって遠見を使ってルリコを探し出し、その後は空間把握で追跡を行った。

するとどうやらルリコは車に乗って移動中の様でここから30キロほど離れた建物へと入っていく。

その先には看護師の様な服装をした数人の男が待機し、横には献血で使われるような機械が置かれていた。

そしてルリコは僅かに体を震わせながらベットに横になると、腕をまくられ針を刺されている。

もしかして何らかの問題で定期的に輸血が必要なのかと思っていると機械の様子から行われているのはその逆のようだ。

それにルリコからは血が抜き取られ次第に顔色が悪くなっているのが目で見て分かる。

それでも更に血が抜かれているので唇は寒さで凍えている様に真っ青になってしまった。

すると次の瞬間、ルリコの体が寒さとは別の要因から大きく震えはじめ意識を手放した。


「クソ!貧血性ショックか!」


俺は授業中である事を無視して立ち上がるとそのままガラスを突き破って空へと飛び立って行った。

そして全速で現場に到着するとベットの上で痙攣しているルリコへと駆け寄って行く。


「君は誰だ!」

「黙れ!」


俺は取り押さえようとしてくる男達を殴って首を圧し折ると魔法で治して放置しておく。

これで数時間は確実に目を覚まさないだろう。

そしてルリコの傍に到着すると神聖魔法で回復させギリギリで一命を取り留めた。

恐らくは採血の量を間違えたか、限界が来ても無理やり血を抜き取ったのだろう。

コイツ等は看護師の格好をしているけどそんな事をすれば死ぬ事も分からないのか。


『ドゴーン!』

「貴様は何者だ!ルリコに何をしている!」


すると今度は扉を破壊して男が入って来た。

コイツは車でルリコをここに連れて来た奴で間違いない。

それに扉を破壊して一緒に入って来たのは恐らくは式神だろう。

魔物や妖とは違う気配を感じ、テイムされた魔物とも感じが違う。

それにコイツは過去に安倍 ヒコボシが呼び出した火蜥蜴に酷似している。

そうなるとこの男は安倍家に関わりがあるのかもしれない。

そういえばルリコの上の名前は倉田で、これは以前の時にアズサが使っていた名字と同じだ。

もしかするとアズサとは遠い親戚関係なのかもしれない。


「お前は安倍家の関係者か!」

「黙れー!俺は安倍家を超えるんだ。その為ならどんな事でもしてみせる!」


そう言っている男の目は真っ赤に血走り正気とは思えない。

それに登校中の生徒を学校から連れ出せるとしたら他人ではないだろう。

そうなればコイツはルリコの父親なのかもしれない。


「お前が何をしようと勝手だが娘をそれに巻き込むな!」

「黙れーーー!お前も俺を捨てた妻と同じ事を言うな!そいつは俺の娘で所有物だ!本当は安倍家の娘を呪い殺すためにクラスに送り込んだがコイツの血があれば十分に呪殺が出来る。俺が新たな安倍家の当主になるのだーーー!」

「・・・そういう考えなら仕方ないな。」


俺は魔法でルリコを更に深くまで眠らせると手に正宗を構える。

コイツもあれから少しは素直になって俺の気持ちに答えてくれるようになった。


「地獄で娘を苦しめた事をしっかりと償うんだな!」

「死ねーーー!」


すると男の命令で火蜥蜴は炎を吐き出して部屋を炎で埋め尽くした。

それにより倒れていた男達は全身を焼かれ、その痛みで目を覚まして転げ回る。

しかし、コイツ等を助ける気が全くと言って良い程に湧いてこない。

ルリコに関しては俺の張った神聖魔法のシールドに護られているので一切の影響は無いけど早くケリを付けよう。


「ハハハハハ!死ね死ね死ねーーー。」

「ならお前が死ね。」


炎を突き抜けて姿を現すと火蜥蜴と一緒に男の命も同時に奪う。

そして、その体が黒い霞となって消えるのを確認すると魔法で消火活動を行ってからルリコの許へと戻って行った。


「やっぱりあそこまで侵食されてたら正宗でも助けられなかったか。」


恐らく既に邪神の封印に綻びが出始めているのだろう。

以前から魔物の出現件数が右肩上がりになっているのがその証拠で、今の男も邪神に魅入られてしまったのだろう。

しかし魂だけは救う事が出来たので今はあの世に行って三途の川を渡っているか、黄泉へと送られ鬼たちによって魂を浄化してもらっているに違いない。


そしてルリコを抱き上げるとそのまま学園へと戻って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ