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225 試練その4 ④

朝になる頃には扉もかなり削れてしまいとうとうその強固な防御力も突破される時がやって来た。

兵士たちは夜通し作業を続けてかなり疲労しているようだけど、あれはあくまで一部に過ぎない。

そして彼らはようやく見えて来た扉の突破という目標の為にラストスパートに入った。


「さあ、原始的な村の奴等に文明の力を見せつけてやるのだ!」


すると彼らの中から手に鉄製の斧や鉈を持った連中が姿を現した。

もうじき突破という所で奴等も本気になったようだ。


「扉を突破し、そのまま奴らを血祭りに上げろ!」

「「「うおーーー!」」」


それにしても何時から奴隷になる選択肢が消えたんだろうな。

顔も昨日よりも不機嫌そうだし、そろそろ俺の仕掛けた罠にも気付いているだろう。

その証拠に早朝の頃には食糧調達に行く奴等がここから出立している。

しかし、その行動は既に予想が出来ており、見えなくなった所で俺が始末しているので戻ってくる奴は1人も居ない。

ちなみに狩りの基本は小さく分断してから確実に仕留めるのが基本だけど、奴等は俺がライオンである事を忘れているようだ。


「おっと、その前にそろそろ扉が破られるな。」

「良いのですか?」

「ああ、問題ない。扉はまた作れば良いからな。」


そして、昨日から村を護ってくれていた大事な扉がとうとう破られ、その先に通路が見え始めた。

しかし、それを見た兵士たちは呆然として言葉を失ってしまう。


「ギャーハハハハハ!残念だったな!そこには扉はあっても入り口は無いんだよ!」


実は扉の先には僅かな距離の通路があるだけで入り口なんて最初からない。

しかも、この防壁は魔法で作り出したために1枚岩で出来ており、強度は鉄を遥かに超えているので破城槌ですら傷程度しか付かないだろう。

これなら炎で焼いても無駄なので再び振り出しに戻ったと言える。


「おのれーーー!・・・お前たち薪と水を用意しろ!あの程度の防壁なら崩すのは容易い筈だ!」

「はい!」


奴は以前に来た時に周囲を観察していたので防壁の厚みも覚えていたのだろう。

何気に頭の回る奴だけど先入観は良くないな。

俺がそんな単純な事を見落とすと思っているのか。


そして周囲に転がる廃材も利用して扉があった所に薪が並べられた。

既にこれまでにも多くの薪を使っているので在庫がどれくらい残っているだろうか。

言っては何だけどアフリカの夜はとても寒く、昼間が熱いせいで体感気温が上がっていているので20度前後でも凍える様な寒さらしい。

まあ、俺達は薪も十分に揃えているので問題はない。


そして薪に火が付けられ再び煙が城壁の外に上がり始めた。

今迄よりもかなり煙が多く、火力も高そうなので使っている薪もかなりの量だろう。

ただしこの周辺は草原なので火事にならないかが心配だ。

そう思っていると外から悲鳴が聞こえて来たのでそちら見ると、上がっていた火の粉から草に燃え移り周囲へと広がろうとしているようだ。

それを兵士たちは踏んだり水をかけて消したりと奮闘しており、怪我人も出た様でかなり酷い状態の者も居る。


「これって戦争だから助けないけどね。」


そして火が消え始めると炭が退かされ、沢山の水が掛けられた。

それと同時に激しい水蒸気が吹き上がっているけど、それ以外だとこれと言った変化は無い。

通常なら加熱と冷却によって膨張と収縮が起きて一部くらいは割れても良い筈だけど、さすが俺が作った防壁はこの程度では壊れやしない。

自画自賛はこれくらいにしておいて忘れてはいけない事が残っている。


「所詮はお前のする小細工なんてこんな物だ!諦めてママの所にでも帰るんだな!」

「グヌヌヌ。碌に出て来ず隠れる事しか出来ない分際でー!もう許さんぞーーー!!」


バーコは顔を真っ赤にして怒りの形相で歯を食いしばると後方へ向かって声を荒げた。


「来い、我が軍団よ!」

「「「ウオーーー!」」」


バーコの叫びに呼応するように後方から轟くような声が上がった。

それと同時に兵士たちが血飛沫を上げながら宙を舞い、その現象は次第にバーコへと向かって行く。

するとその光景を目の当たりにした兵士たちは我先にと逃げ始め、1つの道が出来上がった。

そこを複数の異形の者達が駆け抜けバーコの前に跪いて首を垂れており、まるであの男こそが自分達の王であるかのようだ。

その様子にバーコは満足そうな表情を浮かべるとこちらへと向き直った。

しかし、どう見ても奴らは魔物で間違いはなく、その姿は揃って黒い獣の姿をしている。

どうやらようやく本命が現れたと見て間違いなさそうだ。

バーコは先程までの怒りが消えた様に自信に満ちた顔に戻り、魔物たちへと命令を飛ばした。


「忠実なる我が僕たちよ。あの忌々しき壁を突破し我らが神にその血を捧げるのだ!」

「「「は!我らが神、オニャンコポン様の為に!」」」

「そうだ!我らが神、オニャンコポン様の為に戦え!」


ん?何か変な言葉が聞こえた気がするな。

俺は何を馬鹿な事を叫んでいるんだと思い横の婆さんへと顔を向ける。

しかし、そこには何故か驚愕の表情で体を震わせる姿が目に飛び込んで来た。

今まで3ヶ月近く一緒の村で生活していてここまで驚いている姿は見た事が無い。

何せ自分が撃ち殺される瞬間でも笑みを浮かべられる程の人物だ。

まさかあまりの馬鹿さ加減に度肝を抜かれたのか?

そう考えて声をかけようとすると婆さんは自然と声を漏らし始めた。


「オ、オニャンコポン様だと!まさか、あの御方が生み出した真の精霊たちだと言うのか!?」

(あれ?俺が思っている驚き方と違うぞ。なんだか凄いガチで驚いているし目がマジだ。)


バーコ達の方を見ても同じで兵士たちは怯えながらも「オニャンコポン様の為にー!」と声を上げている。

もしかして、これは日本語だと変な名前だけど彼らからすると凄く神聖な存在なのかもしれない。

稀に世界にはそういう名称があると聞いた事があるので婆さんに聞いてみよう。


「オニャンコポン様って誰だ?」

「な!?お前はオニャンコポン様を知らないのか。あの御方は全ての精霊を生み出した存在にして頂点におられる存在だ。我が家の祭壇にも神聖な像が祀ってあっただろう!」


そう言えばよく分からない土偶が飾ってあったけど、まさかアレが神を象った物だとは初耳だ。

それにしてもマジ顔で誰もがオニャンコポン様と叫んでいると酷いカルチャーショックを受ける。

ちょっと油断すると開いた口が塞がらなくなりそうだから意識して口を閉じないとイケなくて大変だ。


そして魔物たちを見ていると一斉に突撃してくるつもりは無いらしいく、それでけ自分達の力に自身があるという事だろう

すると複数いる魔物の中から体格が1番目と2番目に良い奴が前に出て来た。

その顔はサイとゾウに似ていて体もそれに近い。

サイには鼻の部分に立派な角があり、象にも左右に2本の立派な牙が生えているのでドロップすれば良いお金になりそうだ。

ただ手の指は5本あり骨格自体も俺よりかは人間に近い。


「ここは我らにお任せください。」

「あのような薄い壁など1撃で粉砕して見せます。」

「うむ。期待しているぞ。」

「「は!」」


2匹は前に出て来ると助走の為の距離を残して陸上選手がするような両手を地面に着けるクラウチングスタートの構えを取る。

ただしテレビで見る様な綺麗なフォームとは違い指は地面に突き刺し、足は何度も地面を掻いているので暴れ馬か牛と言った方か良いかもしれない。

そして互いに期が熟したと感じたのか、同時にスタートダッシュを決めると防壁へと突っ込んで来る。

どうやら道具も使わず自らの体で正面からこの壁を破壊しようと考えているようだ。

するとその光景を見た婆さんはその場に頭を抱えしゃがみ込んでしまった。


それにしてもアイツ等はやっぱりおバカな集団で間違いなさそうだ。

そんな事で突破できるほどこの防壁は薄くない。

その確信は数秒後に結果となり俺達の目の前で無残に晒される事になった。


『ベギ!バギ!ボギ!』

「あーーー!壁が破壊されてしまったー!」


激突と同時に城壁が僅かに揺れ、それを上回る音が周囲へと響き渡った。

婆さんはその音と振動に震えあがり、目を閉じて耳を塞いでしまっている。

しかし冷静になって考えれば防壁が破られたならこの程度の音と振動なはずがない。

なにせ強化する前なら確かに適当に作っていたので厚みは1メートルくらいだったけど、今ではその10倍の10メートルまで増やしてある。

婆さんも自分で乗って足場にしてるのだから分かると思うんだけどな。


ちなみに俺がこうして作った壁をまともに粉砕できる人間はゲン爺さんくらいだ。

以前に試した所では5メートルまでは一撃で粉砕されてしまった。

ステータスやなんやらを考慮してもそこまで破壊できるはずは無いんだけど、あの人は稀に数値や常識では予想できない事をやってしまう。

まあ、昔の思い出は今はどうでも良いとして、俺は婆さんの肩に手を置いて声をかけた。


「婆さんよく見ろよ。破壊されたのはこっちじゃなくてあっちだ。」

「・・・え?」


すると婆さんは呆けた様な顔で声を漏らすと防壁の端へと移動し、恐る恐る現場を見下ろした。

そこには自慢の角や牙だけでなく、頭が潰れて首まで圧し折れている2匹の魔物の姿がある。

そして少しするとそいつ等も完全に死んだようで持ち物を残し霞となって消えて行った。

どうやらアイツ等は自身の力が防御を大きく上回っていたことで自滅してしまったみたいだ。

俺も最初の頃に覚えがあるけど、本当に早めに対処しておいて正解だった。


それにしてもバーコの奴はこの光景を信じられないといった顔で見ている。

余程オニャンコポン様~とか言う奴から貰った力に自信があったのだろう。

それが呆気なく自滅してしまえばあの反応も仕方ないかもしれない。

しかし、あの2匹が力自慢とすれば後の奴等じゃこの壁は手に負えないだろう。

残っているのは豹、チーター、ハイエナ、ダチョウ、キリン、カバ、牛といった感じの奴等だ。

微妙にダチョウなら頑張れば飛んできそうだけど、地面から足を離した瞬間に撃ち落としてやろう。

それにしても全く動かない所を見るともしかして打つ手が尽きたのか?

まさか、あんな派手な登場をしてそんな事は無いはずだ。

だって俺の方は今回の為に地形まで変えたのだからもっと足掻いて見せてくれ。


「もう万策尽きたのかねバーコ君。」

「・・・。」

「何か出来るなら自慢の兵士にさせてくれよ。それともそろそろお前自身が来てみるか。」

「い、言わせておけば好き勝手に吠えおって・・・。」


バーコは再び怒りを顔に張り付けると荒々しく後方を向いて声を荒げる。


「お前ら今すぐ殺し合え!」


しかし、その言葉を聞いた兵士たちはその意味が理解できなかったのか首を傾げて周りの様子を見回す事しか出来ないようだ。

そんな中で魔物となっているバーコの兵士たちは一早く動き出し、周囲へと断末魔の悲鳴を上げさせた。


「「「ぎゃーーー!」」」

「バーコ様のお言葉が聞こえないのか!」

「バーコ様のお言葉はオニャンコポン様のお言葉だ!」

「愚民は何も考えずにただ従っていれば良いのだ!」


そして魔物たちは手当たり次第に兵士たちを素手で引き裂き、踏み砕きながら容赦なく仲間を殺していく。

しかし彼らは魔物なのでもともと仲間意識なんて存在せず、あるのは仕える主に対する服従のみだ。

そして僅かな間に数百の犠牲者が出て地面を赤い血で泥濘へと変えていく。

その光景を見ながらバーコは空に向かって狂喜に満ちた表情を浮かべ語り掛け始めた。

その姿はまさに狂信者と言った感じで、姿も次第に人間から離れていく。

体が大きくなると破れた服の下から体毛が伸び、腰の辺りからは先端が針の様に尖った尻尾が生えて来る。

そして、髪と髭が伸びると俺の良く知る獣の姿へと変わった。


「婆さん。俺の目がおかしくなったのかもしれない。バーコの姿がやけにカッコよく見えるんだが。」

「・・・そうか。私には黒いライオンに見えてるよ。しかもお前とよく似ておるな。」


確かにバーコは俺によく似たライオンになっており、違う所を言えば下半身が人間に近いという所だろう。

ただ顔に関しては互いに似ていると言えない事もないけど、俺は中身が人間なのでライオンの顔の判別なんて出来る筈がない。


「それにしても完全に外見が被ったな。」

「みゃ~~~。」


しかしバーコを観察しているとミミが防壁へと上がって来ており、俺の足に擦り寄って甘えて来る。

そう言えば今日はずっとここに居て構ってやれてなかったので寂しい思いをさせてしまったようだ。

俺は以前よりも大きくなったミミを抱き上げると顔を寄せて頬擦りをしてやる。

するとミミも甘えるようにゴロゴロと鳴くと顔を舐め返して来たので、本当にウチの妹は凄く可愛い。


しかし、そんなミミがバーコに視線を向けると表情が一変した。


「シャーーー!!」

「お、ミミには俺達の違いが分かるのか。」


ミミはバーコを見た瞬間に牙を剥いて威嚇を始めた。

俺には分からないのにミミにとっては一目瞭然のようなので、なんだか嬉しくて涙が出てきそうだ。


「あの、ちょっとよろしいか?」

「何だ婆さん。俺は今、猛烈に感動しているんだ。」

「いえ、そろそろどうにかしないと目の前が酷い事になっておりますぞ。」


そう言えばバーコの部下によって虐殺が継続されているのだった。

ただ皆殺しにされても微塵も心が動く相手ではないので今はミミとの時間を大事にしておきたい。

しかし、そろそろバーコがしている事が実を結びそうだ。

先程から放置していたのもそれが理由で、アイツは問題となっているオニャンコポン様とかいう神を呼び出そうとしているので殺している兵士たちはその為の生贄と言う事だ。

それに俺の予想が間違っていなければ、そいつはどうしても殺しておく必要がある。

そのついでと言っては何だけど、もし本物だったら困るのでちょっと先に呼び出してみることにした。


「ミミ、すぐに戻って来るからここで良い子にしてるんだぞ。」

「みゃ~。」


俺はミミを地面に降ろすと婆さんの家に向かいそこに祀られている神像を手にして元の場所へと戻って来る。

そして婆さんに声をかけてこれがオニャンコポンで間違いないのか確認を行った。


「確かにそれがこの村に代々伝わる神像で間違いない。しかしそれをどうするのだ?まさか本物のオニャンコポン様が我らを救ってくれるとでも言うのか?」

「いや、神なんて自分勝手で怠け者な奴らだ。俺達の事なんて実際は対岸の火事くらいにしか思ってない。でもそれが自分に降り掛かるとなると素早い奴等なんだよ。」

「はて?見て来たような事を言うな。しかし、神とは敬い、見守って下さる存在だ。そんな言い方をしてはいかんぞ。」

「まあ、見てろ。」


俺はこれをバーコへと投げつけても現れるんじゃないかと一瞬思ったけど、前例が無い事をして神像が壊れて終了では困る。

変えは無さそうなので資源は有効活用しないといけない。

たとえそれが良く分からない人型の土偶だとしても。


「さあ、偉大なるオニャンコポン様。我が声に応え御光臨ください!」


俺は丁寧な口調で語り掛けながら最後に拳を握ると、反対の手に持っている神像へと振り落とした。

すると神像がピクリと振動し必死で逃げようと動き始める。

しかし、この神像は腰の太さが握るには丁度良く、手で持っているから身動きが出来ずに逃げられない。

そして神像は動き始めると同時に姿を変え、小人のような可愛らしい少女の姿となった。

流石にこれを殴るのは絵面として良くないので拳が触れる直前で止めてやる。

すると空気が衝撃波となって襲い掛かり、髪を激しくバタつかせながら顔はエアーガンで吹き付けたように波打った。

そして手の中には微妙に生暖かい感触が・・・。


「まあ、これも神に類する素材として取っておくか。」


言い方を変えればこれは神の聖水なので、いつか高値で売れるか何かに使えるかもしれない。

なので少量だけどポーションの空き瓶に入れて保管しておく事にした。


「何やってるのよ馬鹿!『ポコ!』」


すると瓶を出す時に意識が逸れた様で、その隙に逃げられてしまった。

そして、なんだか怒った表情を浮かべ俺の頭を叩いて来る。

ただし全く痛くないので見た目通りに非力なようだ。

それにここでも神の力が衰退しているようなのでそちらも考える必要がある。


(まあ、考えるのは後にしてまずは回収回収っと。)

「今の内に質問に答えておくけど、神の御小水なんて欲しくても手に入らないだろ。だからしっかりと保存しとこうかと思ってな。」

「や~め~て~!お願いだからそんな事しないで!欲しいなら奥さんに頼みなさいよ!」


そう言ってオニャンコポンは俺の鬣を掴んで引っ張って来る。

しかし、どうやらコイツはツクヨミたちの事を知っているようなので神に間違いはないだろう。

それにしてもなんて恐ろしい事を言い出すんだコイツは。


「そんな事したら俺がイザナミに殺されるだろう。それに本人に頼んで俺が変態だと思われたらどうするんだ!」

「それなら私なら良いって言うの!?」

「これは事故だ。漏らした事を口外しないからそれで手を打て。」


これこそ互いがパッピーでWIN&WINな提案だ。

俺は素材が手に入ってコイツは漏らした事がバレないで済む。

ただ俺の事は神の誰かが覗き見しているだろうから既に話が飛び交っている可能性はあるけど、それに関して俺は関与できないので本人に努力をしてもらうしかないだろう。

しかし、何故かオニャンコポンにとっては俺の提案は受け入れられない事だったみたいだ。


「神を脅迫するなんてどんな教育を受けてるのよ!もっと私を敬いなさいよ!」

「だから呼び出す時は敬っただろう。」

「行動が伴っていないじゃない!」


何を言い出すのかと思えば何もしない神をどう敬えと言うのだろうか。

だからそんな神は俺からすれば廃れて当然、居ないも同然だ。

それに我が家の家訓は働かざる者は食うべからずなので今のコイツの状況も自業自得と言える。

そして話しながらも手は動かしていたので作業は無事に終了だ。


「良し、補完計画完了っと。」

「ギャーーー!鬼ー!悪魔ー!人で無しー!」

「ああ、今の俺は人じゃないな。何を当然な事を言ってるんだ。ハッハッハー!」


そして少しの間オニャンコポンを脅迫・・・ゴホン。

交渉を続けて信仰を取り戻す方向で御小水のゲットに成功した。


ただ婆さんがさっきから放心状態なのでヤオに言って家へと送らせておいた。

それにこれからもしかすると激しい戦いになるかもしれないので巻き込まない為でもある。

これでようやく防壁がまともに役立つ時が来たみたいだ。

それにしても、食料調達の妨害、飲料水の入手妨害など色々とやっておいたのにあまり役に立たなかったのは残念だ。

次回はもっと骨のある奴が出て来てくれると良いんだけど。


俺はそんな事を思いながら犠牲になっていく兵士たちを眺め、あちらのオニャンコポンが現れるのを待ち続けた。

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