222 試練その4 ①
(またここからか・・・。)
そういった感想が俺の思考に浮かんで来た。
ただ前回と違うとすれば目を開けた先が草むらだと言う事だろう。
そして俺の横には小さな雌ライオンの赤ちゃんがいる。
すなわち今回の転生先はライオンであると言う事だ。
しかし問題が一つあって今この場において、目の前では雄ライオン同士の激しいバトルが繰り広げられている。
確かテレビで見た時に群れの中には大人の雄ライオンは1頭しか居ないと言っていた。
たとえ子供だとしても一定以上成長すれば群れから追い出されるはずだ。
そうなると片方は俺の父親で、片方は群れを奪いに来た赤の他ライオンと言う事になる。
野生の世界では弱肉強食とはよくある事だけどライオン生も世知辛いようだ。
そして激しい戦いの末に片方が逃げ出し、片方は勝利を誇る様に重低音の効いた唸り声をあげた。
(さて、いったいどちらが勝利したのやら。)
すると雄ライオンはこちらに顔を向けるとスタスタとやって来る。
そして途中から速度を上げると牙を剥いて俺の横で母ライオンを呼んでいる妹へと牙を剥いた。
そう言えば新たに群れのボスとなった雄ライオンは前のボスの子供を殺す事があると聞いた事がある。
そうなるとさっき逃げて行った方が俺達の父親で間違いないだろう。
こんな幼い子供を見殺しにして逃げるな百獣の王と言いたいけど、こちらも同じ百獣の王だ。
同じ王なら強い者が勝つのが道理と言うものだろう。
そう、この世は焼肉定食!
強い者が弱い者を食うのが自然の法則だ。
しかし俺の目の前で妹を殺せると思うなよこのクソ猫がー!
そして俺は妹を守りながら無駄な争いを避けるために全力で吠えた。
「にゃ~~~。」
「グ、グルルー!」
すると流石は野生を生きる獣と言ったところか、俺から滲み出る気配に気が付いて警戒と共に向きを変えて距離を取った。
ただもう少しで汚い牙が妹に触れてしまう所だったけど、そうなっていればコイツはミンチになっていただろう。
「にゃ~にゃ~。」
「グルルー・・ゴアァーー!」
それにしてもようやくハーレム王になれたからか、それとも俺の声の迫力がないからか、なかなか引き下がってくれない。
リーダーである事には文句を言わないから俺達の事はそっとしておいてもらいたい。
寛容なリーダーなら前の雄の子供でも見逃してくれるって話なんだけど、コイツはその辺の事で心が狭いのかもしれない。
妹もきっと大人になれば美人に成長して立派な母親になると思うけどそこまで獣に望むのは難しいのだろうか。
ここは仕方ないのでちょっと裏技を使うべきかもしれない。
とは言っても俺がするのは食べるだけだ。
小さな体で取り出した牛乳パックを持ち上げるとそのまま豪快に口へと流し込む。
それと同時に狼の時と同様に体が急速に成長し普通に歩けるほどまで成長した。
「それじゃあ、俺はこれで。」
そう言って妹を背中に乗せるとその場から他人事の様にスタスタと軽快な足取りで立ち去って行った。
せっかくハーレム王となった何処の誰とも知れない雄ライオンだけど、今はそんな事よりも妹の無事が最優先だ。
それに母親が誰かは知らないけど雌ライオンに俺達を助ける気は無いらしい。
きっと本能的に俺達の事に見切りを付けて切り捨てたのだろう。
このままでは餓死するのも時間の問題なので俺達はお暇させてもらう。
そして、しばらく歩くと周囲に危険な生物が何も居ないのを確認してから腰を下ろした。
「み~み~。」
「ああ、お腹が空いたのかな。牛乳しか無くて悪いけど今すぐやるからな。」
ただ、俺にはライオンの飼育についての知識はない。
猫が牛乳を飲んでも大丈夫なのは知っているけど、同じネコ科だとしてもライオンが大丈夫なのかは知らない。
しばらくは様子を見ながら魔法と併用して少しずつ試してみるしかなさそうだ。
それにしても前回の時と違いさっそく2人っきりになってしまった。
しかし、それでもこの子は俺が立派に育ててみせるぞ!
そして決意を心の中で叫び、昔使っていた哺乳瓶を取り出した。
俺も奥さんが沢山いて子沢山だったので子供の世話なら慣れている。
しかも今は半獣人にもなれるので妹を片手で抱き、片手に哺乳瓶を持ってミルクを与えられる。
時々ゲップをさせてやったりと生まれて1日で立派な育メンだ。
まさかあの時の経験がこんな形で役に立つとは思わなかった。
そんな事を続けて1週間が経過した。
俺はミルクを節約するために早々に肉を食べ始め成獣にまで成長している。
そして幼い妹はミミと名付け、最近は元気に歩き回れるようになった。
ただ、幼いライオンには天敵が多いのか周囲の肉食獣が可愛くて魅力的なミミを狙っている。
なので右を向いては威圧を放ち、左を向いては威圧を放つ。
そして空から鳥が狙っている事もあるので空に向かっても威圧を放っている。
鳥に関してはそれで落ちて来るのもしばしばなので俺が美味しく無駄なく頂いている。
そして草原を歩いていると大きな蛇を発見した。
ただ、大きな蛇を見慣れている俺が大きいと言う時点で一般的な大きさを超えているのは理解してもらいたい。
恐らくは10メートルは越えていると見て間違いない。
そして傍に近寄ると、どうやら蛇はお食事中の様で何かに体を巻き付けている。
「ヌーの子供でも捕まえたのか?」
大きさから言えば160~170センチの間位だろうけど、この周りにはヌーの群れは見当たらない。
逸れた個体が居たのかも知れないけど、それなら他の肉食獣がとっくに捕まえているはずだ。
それに捕獲してそんなに時間が経っていないのか蛇も体を動かして締め付けを強くしている。
それに骨が折れる音が聞こえ飛び出している手が助けを求める様に動いているのでまだ生きているようだ。
「・・・手?ヌーなら足だよな。」
そう考えた時に俺の脳裏にある可能性が浮かび上がった。
この大陸に転生して初めて見るけど、もしかすると人間かもしれない。
猿という可能性もあるけど、周りをよく見れば原始的な弓が落ちており、ここがアフリカだとすれば住んでいる人たちの何割かは狩猟民族だったと思う。
もしかしたら狩りの途中で蛇に襲われたのかもしれない。
「せっかくの情報源だからちょっと助けてみるか。・・・なあ蛇さん。そいつを俺にくれないかな?」
「シャーーー!」
しかし、どうもこの大陸の奴等は融通が利かないようだ。
せっかく優しく前足で押してやってるというのに返って来たのは威嚇だけだ。
(誰だよライオンを百獣の王なんて言った奴は!)
蛇はもしかすると獣枠では無いのかもしれないけど、ちょっと優しく接し過ぎたのかもしれない。
仕方ないのでこの蛇さんには俺の晩御飯になってもらうことにした。
「南無!」
俺は蛇の首を落とすと体を1メートル間隔で切り刻んで行く。
すると次第に巻き付かれている奴の姿が見えて来たので息を確認するとなんとか生きているようだ。
なのでサラッと魔法で回復させると顔を肉球で押さえつけて覚醒を促してみる。
「ほらほら、魅惑の肉球を味わえ~。」
「みゃ~みゃ~!」
するとミミも俺の真似をする様に助けた男の顔を押して遊び始めた。
その姿はとても可愛く犬派(リリーは除く)な俺から見ても魅了されそうだ。
そして次第に呻き声を漏らしながら目を開けると俺の前足を手で掴み取った。
「何だこれは?」
「俺の前足だよ。」
「みゃ~みゃ~!」
「そうだったなミミも起こすのを手伝ってくれたもんな~。」
「みゃ~。」
するとミミはその通りと言った感じに俺の体へと頭を擦り付けて甘えて来る。
やっぱりこの子は羽は無いけど天使かもしれない。
次に鳥を捕まえたら羽を毟って翼でも作ってみるのも良いけど、白い羽を持ってる奴が近くには居ないようだ。
確かアフリカにはコウノトリも居るはずだから何処かに飛んでいないだろうか。
しかし起きたはずの男がやけに静かなので、もしかするとミミの魅力にノックアウトでもしてしまったのか?
そう思って足を退けると俺に顔を向けたまま再び気絶していたのでミミの可愛い姿を見過ごしてしまったようだ。
それにもうじき夜になるのでこのまま男を連れて移動するのは危険だろう。
アフリカの夜は肉食獣が活発に動き回る時間でもある。
なので魔法で周囲の草を除けて円形のスペースを作ると、その中央で獣除けの為に薪へ火を着けた。
その横に男を放置して程よいサイズの部屋を作るとその中に草を敷いてミミの寝床も作る。
そして次はミミのご飯を与える為に哺乳瓶にミルクを入れてミミを抱き上げた。
「は~いミミ。ミルクですよ~。」
「みゃ~!」
ちなみに俺はミミの為に日に何度もミルクをあげている。
5~6回は当たり前で欲しがった時にもその場で足を止めてミルクをあげるのを優先する。
そのおかげでミミもスクスクと順調に成長しているようで毎日元気いっぱいだ。
出来れば覚醒させて毒虫や毒蛇からの危険を排除したいけどまだ幼いミミにはあの痛みの方が危険なので、せめて1年は今みたいに守ってやらないといけない。
こうして考えると人の場合はもっと長い時間を守らないといけないので成長の遅さを実感する。
まあ1週間で大人になってる俺が言っても説得力無い気がするけど。
そして、いつもならミミには部屋に入ってもらって数秒程の狩りに出るんだけど今日は十分すぎる食料を確保してある。
まずは皮を剥いで収納すると肉を適当なサイズに切り分け土魔法で作った適当な台で炙り始める。
ただ蛇は骨が多いと言うけどこれだけ大きければ魚の骨みたいに細くはない。
1本1本が牛の尻尾の骨くらいに太くて噛み砕かないと呑み込めない程だけどカルシウムも取らないといけないので残さず食べよう。
「みゃ~!」
「ミミはまだ食べたらダメだぞ。」
「みゃ~!みゃ~!」
するとなんだか抗議をしている様な声で鳴きながら地面を叩き始めた。
しかし犬だって離乳食は2ヶ月くらい先なのでそれまでは残念だけど我慢してもらうしかない。
しかし問題があるとすればミルクの残りがそんなに多くないと言う事だ。
このままでは1ヶ月を待つ前に無くなってしまう。
「そうなれば水牛を捕まえて乳を搾るか。」
「それなら俺の村に乳を出す牛や山羊が居るぞ。」
すると焚火を挟んで向かいに寝ていた男が目覚めたようで俺の独り言に答えてくれる。
そして今の男の言葉が確かなら、そこなら定期的に新鮮なミルクが手に入るということだ。
これは渡りに船というか、助けて正解だったかもしれない。
「それと、どうしてライオンの毛皮を被っているんだ?もしかしてさっき蛇から助けてくれたのも君だったのか?」
「どう言う事だ?」
「いや、さっき目を覚ました時に君の顔を見て気絶してしまったんだ。しかし、ライオンに踏みつけられていると思ったんだがもしかするとそこの小さなライオンの子だったのかもな。ハハハハハ。」
どうやら俺の事をライオンの被り物をした痛い奴だと思っているようだ。
そいえば下半身が見えなければ上半身は人に近いので焚火を挟んでいるから分からないのかもしないな。
でもここまで自然に会話をすれば少しは大丈夫かもしれないけど、念のためにちょっとだけ嘘も含めながら自己紹介といこう。
「俺はライオンの精霊であるハルヤだ。故あってこの幼い雌ライオンを育てている。」
「ははは、そんな冗談は止してくれ・・・よ!」
俺は笑っている男の前で立ち上がり外見の全てを晒した。
ただ今回は起き抜けでは無かったので気絶はせずに驚きに固まっているだけなので放っておいても勝手に動き出すだろう。
逃げ出せばそれまでだけどその場合は本気でヌーの乳絞りを検討しておく事にする。
そして1時間ほど経過した頃にようやく男が再起動を果たした。
思っていた以上に時間が掛かったけど何とか俺の事は上手く呑み込めたみたいだ。
しかし何故か男は立ち上がると俺の前に跪き真剣な顔を向けて来た。
「お願いします精霊様!私の村を救ってください!」
「どういう意味だ?」
「私の村は呪いを受けてしまい多くの人が苦しんでいるのです。それで呪い師によればこちらの方向に村を救う事が出来る精霊様が居ると。どうかお願いします。私の村を救ってください!」
もしかすると呪いと言うのは何らかの病気かもしれない。
ただ本当に呪いだとしても浄化があれば丸っと解決する。
鑑定をすればその辺は判断できるようになっているのでまずは見てみれば良いだろう。
現状でミルクを手に入れる最善の方法と考えれば少しの手間くらいは掛けるべきだ。
「分かった。まずはお前の村に案内しろ。助けられるかはそれから判断させてもらう。」
「ありがとうございます!」
なんだか適当についた嘘が変な事になってしまった。
しかし、ミミのミルクを手に入れる為にはいつかは訪れる必要のある場所だ。
「それで、お前の村は何処にある?」
「彼方にまっすぐ行った所です。」
どうやら、この男は呪い師の言った事を信じて本当に真直ぐここまで進んで来たみたいだ。
しかし数十キロ先まで見る事が出来る俺の目でも村は発見できない。
そうなるとそれを超えるはるか遠くから1人でここまで来たのだろう。
この大陸の人は足腰が丈夫だと言われているけど本当のようだ。
「それならこれから村に案内しろ。」
「しかし精霊様。夜の草原は危険です!」
「俺を誰だと思っている。つべこべ言わずに俺の背に乗れ。」
「す、すごい!一瞬でライオンの姿に!」
男は興奮しながらも俺の命令通りに背中に跨ると体にしがみ付いた。
これで後はミミを抱えれば移動も簡単に終るだろう。
「ミミ~。」
「みゃ~。」
するとミミは飛び跳ねる様にはしゃぎながら駆け寄って来る。
俺はそんなミミを前足で挟むように抱きしめると落とさない様に飛翔で飛び上がった。
「せ、精霊様が空を!」
「慌てるな。しっかりと掴まっていろ。お前が何かした程度で俺の体には毛程の傷も付かないから遠慮はするな。」
「は、はい!」
そして少しずつ速度を上げながら夜の闇を突き抜け村を探す。
その間に名前を教えてもらうと男はヤオと名乗った。
その間に200キロほど進んだ先でようやく1つの村を発見する事が出来た。
ただ、当然かもしれないけど灯りと呼べるものは無く方向を知らなければ見過ごしていただろう。
それにこの1週間で進んだ道程を殆ど戻ってきてしまった。
俺はスキルの効果で運は高い筈なのに真逆に進むとは珍しい事もあるものだ。
まあ、あの時はミルクが尽きるとは予想していなかったので仕方ないのかも知れない。
「もうじき到着するぞ。」
「え!もう到着するのですか!」
まあ、移動を開始してまだ数分しか経過していない。
移動中は空気抵抗で弾き飛ばされない様に風も防いでいたので気付かなかったのだろうけど、かなりの速度で移動をしていた。
後は降りてからそこがコイツの村かを確認するだけだ。
なのでゆっくりと減速すると地面に降りてからヤオを下ろした。
そして半獣の姿になると移動中に眠ってしまったミミを腕に抱え男の傍に移動していく。
「ここで間違いないか?」
「はい。俺の村です。しかし、これは・・・。」
俺はヤオが向けている視線の先を辿るとそこには木で組まれた簡易的な柵がある。
ただ、その柵は何者かに破壊され、何かを引き摺った跡が残されていた。
そして周囲の空気を嗅げば血のニオイが残っていて状況から何かの襲撃を受けた事は明らかだ。
「お前は家を周って村人の様子を確認しろ。俺は中央で火を焚いて待っておく事にする。」
「分かりました。すぐに行ってきます。」
ヤオは走り出すと家の入口へと飛び込み中の確認を始めた。
しかし俺には既に村の状態が分かっている。
だから穏やかに寝息を立てているミミと一緒にヤオが戻って来るのをのんびりと待ち続けた。
そして、しばらくするとヤオは俺の許へと戻って来たけど、その時は1人ではなく複数の村人を引連れて来た。
その中には年老いた婆さんも居て1人だけ周りとは明らかに雰囲気が違うので、どうやらこの人が呪い師で間違いなさそうだ。
「戻りました精霊様。それと村の皆は無事です。呪いに苦しんではいますが死んだり居なくなっている者は居ません。」
「そうか。それじゃあ先に治療に入ろう。話はそれからだ。」
「ありがとうございます。」
そして鑑定の結果では天然痘と出ている。
ここに集まっている人は全員でないと言っても体の至る所に豆のような発疹があり、裂けた所からは膿が出ている。
ここに居る人はまだ軽い方で家の中で動けない人はもっと酷く、肉が一部崩れている人もいるみたいだ。
天然痘は人にしか発病しないと以前に聞いた事があるけど俺は専門家ではないので確証は無い。
今は幼いミミも居るので治療と一緒にウイルス自体をこの村から消し去ってしまうことにした。
ただし、どこからウイルスが持ち込まれたのかが分からないので消したとしてもまた入って来るかもしれない。
しばらくは滞在させてもらう予定だけど、それまでにある程度の事はやっておこうと思う。
そして集まっている人の治療を終えると村の周辺を含めて清潔な空間を作り出した。
「お前等はこれで良いだろう。後は重傷者の治療だな。」
「はい!ご案内しますのでこちらへどうぞ!」
最初は俺の姿に怯えていた人も健康になる人が増えるにつれて信用してくれるようになった。
顔がそのまま雄ライオンなので仕方ないとして、呪い師が俺の事を精霊と認めてくれたのが大きかったみたいだ。
そして案内をされて家々を回り治療を済ませ、最後に周囲を見回して病人が残っていないかを確認する。
「もう居ないみたいだな。それで、ここで何があった?」
俺は病人が居なくなったのを確認すると傍に居た呪い師へと声をかける。
恐らくはこの村でリーダー的な存在をしているのがこの老婆だろう。
常に誰かが傍に付き添い、何かをする時はこの人に許可を取ったり相談をしている。
それに対して、老婆も慣れた感じに指示を出しているので、もし違ったとしても適切な相手を教えてくれるはずだ。
「それではお話ししましょう。こちらへどうぞ。それとお前たちは人払いを任せたよ。」
「「お任せください。」」
そして、俺は案内される形で老婆の家に招かれた。
それに周囲には誰も居らず、大声でなければ話を聞かれる事もないだろう。
俺はライオンの姿に戻って床に腹這いで伏せるとお腹の所にミミを持って来る。
するとミミは眠そうに目を開けて自分から体を動かし、丁度良い位置を見つけると再び眠りへと落ちて行った。
そして落ち着いた所で最優先で確認しないといけない事がある。
「それでミルクは何処だ?」
「それについては5日ほど前の事から話さなければなりません。」
そう言って老婆はその時の事を話し始め、俺はその話に大人しく?耳を傾けた。




