エピローグ
慣れ親しんだ、『相談屋』の一室で私は筆を握っている。
遠くで鳴いている蝉の声を聴きながら、この紙に筆を走らせている。
私が社長の言いつけを破ったことを乃愛からたっぷり怒られて。
久恩には怖い目で睨まれ、長々とお説教と社員の心についてを説いてもらうことになった。
社長からは拳骨を一つ。それから、
「よくやった」
と言われた。
私が居なければ、小雪は完全に“闇堕ち”していた可能性が高かったらしい。
シロを見つけたこと。
シロの願いを聞いて、自分のできること以上をやろうとしたこと。
すべてが良かったと褒められることはない。
だけど、それでも、ほんの少しでも役に立てたのだとしたら。私にとっては少しだけでも成果だと思う。
だけど、今回のことは本当に反省している。
私は勝手に行動し、言いつけを破り、皆にさんざん迷惑をかけた。心配もかけた。
そして、自分を救うために、他人の願いを叶えようとした。
それ自体はそんなに悪いことではない、と社長は仰ってくれたけれど、私が私を許せなくなることを学んだ。
「美姫? 時間だよ」
乃愛の声が聞こえる。
そろそろ行かなければならない。
何せ、今日は新人が来るそうだ。皆が浮足立っているのを私は知っている。
さあ、行かなくちゃ。
「初めまして、小雪と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
今回の章はプロットが甘かったな、とひとえに反省しております。
今後はこんなことがないようにプロットをちゃんと作ってから書こうと思っています。
また、この作品も次の章で終わると思いますので、お付き合いいただければと思います。
どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。




