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モテすぎる悪友が鬱陶しいので、彼女を作らせて黙らせたい  作者: 梨本 和広
1章 桐田朱里と蘭童殿

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27話 ニックネーム

神代晴華は1年のとき、ウルルンと同じクラスだった。その上お互いバスケ部に所属していたこともあり、早いうちから交流があったように思う。


僕がウルルンに絡まれ始めたのは2学期の始めくらいからだが、2人が頻繁に話す姿は見ていたし、付き合うのも時間の問題だと思っていた。


それが今年の1月、神代晴華が3年のバスケ部元部長と付き合い始めて問題爆発。その時からウルルンへの告白は少なからずあったが、アプローチを掛けようとする人間があからさまに増えたのである。


分かるか神代晴華よ、貴様のせいで僕は多大な迷惑を被っているんだ。お前の愚痴を聞く前にまず僕に愚痴を言わせてもらいたいものだ。


そんな風に昔のことを想起していると、目的の人物がようやく食堂前スペースへ現れた。蘭童殿である。


「……」


そして僕と目が合うと、あからさまに嫌悪の表情を見せる。多少は想定していたが、ここまであからさまだと流石につらい。


「空ちゃん、どうしたの?」


隣にいるショートヘアの女子が、僕と蘭童殿を交互に見た。蘭童殿の友達だろうか、少し僕を警戒しているようだ。どこかで見たことがある気がするのだが思い出せない。気のせいか。


「下がってあいちゃん、この人は敵よ。人類の」

「人類の!?」


少しというかかなりというかとんでもなくスケールの大きい話になっている。いつの間に僕は人類の敵になったのだろうか。同性で付き合うことによる出生率の低下を嘆いているのかもしれない、そういうことなら確かに人類の敵だし。


「どうしましたか廣瀬先輩、戦線布告返しですか?」

「違うのですよ蘭童殿、今日は和解しに参った次第なのです」

「和解ですか……」

「そう、先程の教室での一件、大きな誤解があったようですからね」

「誤解も何も、青八木先輩と付き合ってるんですよね?」

「ええ!?」


衝撃の事実なのだろう、あいちゃん殿が一瞬にして顔を赤らめてしまう。

お願いです、そんな安易に広めないでください。火消しがとても大変になります。


「それが誤解なのです。ウルルンは僕と付き合っておりません」

「ウルルン? 何ですかそれ?」


神代晴華よ、誰じゃなく何と返ってきたぞ。

お前のニックネーム、人扱いされてないんだが大丈夫か。


「ああ、ウルルンというのは雨竜のことで」

「青八木先輩のこと……」


そう言うと、口元に指を当てて何か考え込む蘭童殿。

気持ちは分かります、意味分からないですよね。笑っちゃいますよね。

問題点を言ってくれればちゃんと名付けの親は説教しておくので任せてください!



「へえ、随分奇抜なニックネームで呼んでるんですね、私に対する仲良しアピールなんでしょうか?」



あっれええええ!? ますますお怒りになられてるうう!?

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