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モテすぎる悪友が鬱陶しいので、彼女を作らせて黙らせたい  作者: 梨本 和広
1章 桐田朱里と蘭童殿

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24話 誤解

僕と雨竜はお互いにごめんなさいをしてから今後の対策を立てることにした。

そのごめんなさいをするまでに「お前がまず謝れ」「7:3くらいでお前が悪いからお前からだ」「それを認めて全力で謝ってもいいが、そうしたら抹茶事件を無しにしろ」「俺が8:2で悪いことでいいから抹茶は奢れ」という瑣末な会話があったが過去のことである。


「というか僕、蘭童殿の誤解を解きたいんだが」


彼女の中で僕は現雨竜の恋人であり、雨竜を誑かす魔の手ということになっている。

蘭童殿の恋を応援したい立場として、ライバル扱いは少しでも早く解消したいところだ。


「なんで? いいじゃんこのままで、面白いし」

「うふふ、雨竜君の頭ってホントにおかしいのね」

「おほほ、雪矢君の行動や思考回路に比べたら大したことないですわ」

「喧嘩売ってんのかテメエ」

「あらやだ、雪矢君ったら物騒ね。怖い怖い」


コイツ、実はそっちの気があるんじゃないだろうか。お姉さま口調がやけに様になっているというか、まあ見た目がいいからというのもあるんだろうが。


「とまあ冗談はこれくらいにして、昼に食堂に行けば会えるだろ」

「蘭童殿は食堂派なのか?」

「前に1回出くわしたことあるし、多分そうだと思うけど」

「お前な、多分とか思うとかでものを語るな。僕が食堂で待ちぼうけを食らったらどうするんだ」

「なら桐田さんのときみたく次の休みに教室へ特攻しろよ。得意分野だろ?」

「ふざけるな、そんなことしたら蘭童殿に迷惑が掛かるだろ」

「なんで蘭童さんにはそんな低姿勢なんだよ! てか前から気になってたけど殿って何!? 仕えてんの!?」

「仕えてねえよ! 彼女の見事な立ち振る舞いに敬意を表してるんだよ!」

「会って1ヶ月も経ってない先輩から敬語って、後輩からしたら恐怖だろ」

「名誉なことに決まってるだろ、僕が敬意を表する人間なんてそうはいないんだから」

「だな、お前の辞書に敬意という言葉があって驚いてるくらいだ」

「お前はもう少し僕に敬意を示せ」


コイツはさっきから僕に対してナチュラルに失礼すぎる。親御さん、もう少しちゃんと指導してあげないとお宅の雨竜君社会で通用しませんよ。と思ったが雨竜は外面まで完璧なんだよな、僕にもその感じで対応しろや。


「まあいい、どうせ昼は食堂行くし顔見たら声かけるか」

「おい、それならさっきなんで俺は怒られたんだよ」

「多分と思うでものを語ること自体は悪いことだろ」

「まあそれもそうか」

「それよりお前は着いてくるなよ、ややこしいことになる」

「お前1人の方がややこしいことになりそうだが」

「馬鹿にするな、土下座をしてでも誤解を解く覚悟だ」

「別の誤解が生まれそうだなそれ」


とりあえず方針は決めた。昼休みに食堂、そこで蘭童殿が抱いている誤解を解く。

そうと決まれば雨竜、お前はお前でやってもらうべきことがある。


「雨竜、お前はクラスの中だけでも誤解は解いとけよ、付き合ってる件」

「それなら先週のうちに終わってるけどな」

「はあ? じゃあなんでAとBみたいな奴が現われるんだよ」

「AとBって誰だよ」

「AとBはAとBだよ」

「哲学かよ。まあなんだろな、世の中にはいろんな趣向を持ってる人がいてな、俺の否定を認めたくなかったんじゃないか?」

「なんだよその趣向って」

「いや、うん、強いて言うならその、愛故の行動ってやつだ」


何言ってんだコイツ。


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