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モテすぎる悪友が鬱陶しいので、彼女を作らせて黙らせたい  作者: 梨本 和広
2章 球技大会と青八木家

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62話 冷やし中華はすごい

*球技大会での一幕です。


「なあ雨竜、冷やし中華ってすごくないか?」

「唐突にどうした?」

「考えてもみろ雨竜、お前が冷やし中華の予備知識がないとして、冷やし中華がどういう食べ物か理解できるか?」

「そうだな、冷たい中華料理って判断するな」

「その実が日本の麺料理って誰が思う? 思わないだろ普通?」

「まあ確かに、言われれば中華麺を略したって分かるけど」

「言葉が浸透して誰もが一発で分かるものに受け入れられる、冷やし中華ってすごいんだよ」

「まあ他に当てはまりそうなものっていくらでもありそうだけどな」

「ああ? もしかしてお前、冷やし中華馬鹿にしてる?」

「してないが、とりたててピックアップするものでもないだろ」

「黙れ。僕の世界には冷やし中華しか存在しない、冷やし中華こそすごい料理だ」

「そうかおめでとう、心の底からどうでもいいが」

「というわけで僕は、冷やし中華を食べに学外に出る」

「そういうことだと思ったよ、相変わらず雑な前振りだな」

「思い立ったが吉日、僕の思いは止められないぞ」

「さっきチームで昼食食べるって言ったばかりだろ、ちゃんと足並み揃えろ」

「ふざけるな、僕は朝から冷やし中華を食べたいと思ってたんだ」

「だったらチームで食べるって言った時点でそう言えよ」

「お前が僕の反論だけは受け付けないって最初に言ったからだろ!? 言論の自由を縛るなんて天皇か貴様は!?」

「お前の希望に合わせてたら話が進まないからだよ! だいたいさっきの言い訳は『定食にからあげがないから気が進まない』だったろうが! どっから冷やし中華出てきたんだ!?」

「登校中に『冷やし中華はじめました』ってのぼり旗準備するおばちゃんを見つけたんだよ! 文句あるのか!?」

「この雨の中!? 絶対作り話だろ!?」

「はああ!? 言ったなお前!? お前の疑念を晴らしてやるからついて来いや、美味しい冷やし中華が出迎えてくれるからな!?」

「行かねえよ、そもそも昼休みに学外への移動は禁止されてるだろ」

「テメエこの野郎! 前美味いラーメン屋があるって言ったらついてきたくせに何良い子ちゃんぶってんだよ!?」

「あれは俺の黒歴史だ、2度と校則は破らん」

「何言ってやがる雨竜、おばちゃんが冷やし中華こさえて待ってるんだぞ!? ここで校則を破らずしていつ破るんだ!?」

「いや、そんな力説されても、雨酷いし外出たくねえよ。別におばちゃんに思い入れもないし」

「これだから現代の若者は……宮沢賢治読んで出直してこい! 僕は1人でも行く! おばちゃんは僕が救う!」

「あっ、ちょうどいいところに先生。コイツ昼休み学外出ようとしてます」

「お、お前、それは反則じゃ……!」

「んー廣瀬、どういうことだ?」

「あはは先生、これは青八木君のブラックなジョークですよ。僕らBクラスはチームで食事を取り、結束を高めて決勝トーナメントへ望むんですから」

「そうかそうか、良い心掛けだ。くれぐれも先生を怒らせないようにな」

「まさか、いつものことながら笑顔がとてもお似合いですよ」

「あからさまなお世辞だが、まあ悪い気はせん。じゃあ午後も頑張れよ」

「先生こそ、スケジュール管理お疲れです!」

「くくっ、雪矢の口から結束を高めるって……!」

「笑ってんじゃねえよ! 先生に言うとか狡いだろ!?」

「悪かった悪かった、お詫びに冷やし中華一緒に行ってやるから」

「チームで学食だろ!? こん畜生!!」

「あはは!」


こうして雪矢は、冷やし中華を諦めて食堂に向かうのだった。

いつも閲覧ありがとうございます。

以上で2章は終わり、次回から3章に移ります。

それとは別に、スピンオフ的な作品を上げる予定です。そちらは不定期更新になるかと思いますが、暇つぶし程度にお読みください。ただのイチャイチャ物語になる予定です。よろしくお願いします。

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