Princessバレンタインの惨劇 ~実食編~
レシピには、最初の一文でこう書かれていた。
『まずはオーブンを温めます』
本来であれば温めるのに時間のかかるオーブン(薪式)のこと。
作業をしている間に温度は丁度いい塩梅になるのが前提。
しかし事前にレシピを読みこまず、作業しながら読み進めればどうなるか?
当然、作業効率は余計に手間が重なり、時間は費やされ……
赤熱のオーブンは、物凄く「こんがり」という仕上がりを見せてくれそうだ。
……結果、『キツネ色』を望むべき部分は『ヒグマ色』になった。
パイ生地をのばそうとすれば、手に取りたるは見事な棍棒。
それも武骨な突起物が複数突き出した攻撃的なメイス。
当然ながら生地が均一に薄くなる筈がない。
でこぼこ具合も甚だしい生地に首を傾げながらも、なんとなく大丈夫そうな気がした!と、せっちゃんはさくっと先に進んでしまう。
当然ながら、欠片も大丈夫ではない。
中身に詰めるべきカスタードクリームは……
色はクリーム色だった。
だけど、それだけだった。
ソレをクリームと呼んでしまえば、恐らく名誉棄損に憤って乳牛さんや鶏さん達が反旗を翻すだろう。
ちなみに乳成分は皆無である。
そして最も大事なもの。
メインとなるべき、紅い幸福。
本来であれば林檎とレーズン、砂糖・赤ワイン・メイプルシロップがレシピの材料欄には名を連ねていたのだが。
せっちゃんが鍋に投入したのは、イービルアップル(魔物/不可食)とレンズ豆、砂糖大根・バルサミコ酢・ネーブルオレンジであった。
→ せっちゃんは おかし(?) をつくった!
せっちゃんは アップルパイ(偽) をてにいれた!
「できましたの~。でも、何かが違うようなー……?」
万事が万事、そんな調子で。
手際の悪さが際立つけれど。
それよりも更に問題なのは、異物混入と狂った分量。
せっちゃんのデスキッチンは、消費者のことを考えることもなく異物が大量生産されていく。
こんな量を、一体誰が片付けられるというのか……胃袋に。
作ろうと思ったレシピのお菓子を、あらかた実践し終わって。
所狭しと厨房に並べられたのは、目にも鮮やかな……鮮やかな…………マーブル模様。
わあ、おたかい大理石みたーい……。
そんな不思議な食べ物(疑)が沢山鎮座ましましている。
果たしてこれを食べモノと呼んでいいのか。
まぁちゃんなら笑顔で断言しそうだが。
呼んだとして、誰がこれを食べられるのか。
まぁちゃんなら意地でも笑顔を保って食べちゃいそうだが。
とっても目にも鮮やか、賑やかなお菓子(困惑)の数々。
その作業工程を知っているりっちゃんが目にすれば、それらが外見だけはまともなお菓子に見えることに、理不尽だとすら感じたことだろう。
そう、並んでいるブツは、見た目だけなら辛うじてお菓子に見えた。
表面上は、ちょっと失敗したお菓子に見える。
見えてしまうことが不気味だ。
「リリフ、リリフ~」
作ったモノは、いざ実際に食ってみよう!
しかしここでせっちゃんは、自分で食べるという選択肢を見つけられなかった。
誰か他人の為に作ったモノを、自分が食べてしまうなんて以ての外だと思っちゃったのである。
その気遣い、盛大な間違いを含んでおいでです。
「主様、お呼びですか」
「はいですの! さっき約束した通り、味見をお願いしたいんですの~」
「わかりました、お任せ下さい!」
そう言うことなら、いざ!とばかりに。
リリフは手近なところにあった、『ダック』ワーズ(北京風)を手に取った!
「いただきます!」
礼儀正しく、手を合わせ。
いざ実食――……!!
口にぽいっと放りこみ、もっきゅもっきゅと噛み締める。
噛み締めながら、リリフは首を傾げた。
「……なんだか不思議な風味がします」
「美味しくありませんの……?」
「ちょっと変わってるような気もしますが、普通に食べられますよ。でも主様、竜の味覚はヒト型種族ほど発達してはいないんです……味の良し悪しは、ちょっとわかりません」
「それは仕方ありませんのー……」
がぶりと豪快に食っておいて、味見なのに味がわからないとリリフは言う。
竜の味覚は大味、大雑把。
そして強靭な胃酸が全てを溶かす。
何しろ彼らは鋼の鎧すらも消化してしまうのだ。
繊細な味? なぁに、それ。わかんなーい。
これほど味見に向かない種族が他にいようか。
いや、いないに違いない。
せっちゃんのお菓子の問題点にちらりとも気付くことなく。
リリフは「普通に食べられる」との判断を下した。
この場にまともな味覚を有したモノがいなかったことが……後に『バレンタインの惨劇(ver.胃袋)』と呼ばれる悲劇を巻き起こすことになろうとは。
そんなこと、きっとお天道様にもわかりはしない。
りっちゃんにはわかったようだが。
そして、迎えたバレンタイン当日。
最初の被害者は、ヨシュアンだった。
レシピ集を提供したのは彼だ。
だからお礼も兼ねて、と最初に襲撃されてしまった。
配り歩く予定(被害拡大)で用意された籠には、色とりどり(恐怖)のお菓子。
沢山のお菓子(疑)が入った籠の中、それでは一つとヨシュアンが手を伸ばす。
彼が手に取ったのは、小麦色にこんがりと焼けたシュークリーム。
中にはたっぷりとカスタード(ではない)クリームが入っている。
口に入れると、不思議な食感がした。
でも肝心の味はしなかった。
味覚を刺激するモノが、何もない。
「なにこれ味がしないんだけど」
首を傾げるヨシュアンの前、せっちゃんとリリフも首を傾げた。
「お砂糖あんなに入れましたのに、味がしませんのー?」
「え……姫様、味見してないの?」
「誰かの為に作ったモノを、せっちゃんが食べる訳にはいきませんの!」
「自分で味に保証が持てないモノを、他人に食べさせちゃ駄目だよ!?」
ヨシュアンは正論を述べた。
彼は何も間違っていない。
惜しむらくは、正論が何の解決にもなっていないことだろう。
彼が渡したレシピが初心者向けのモノばかりではなかったこと。
そして傍について指導する者がいなかったこと。
それが悲劇を生み出した。
「あ、あれ……なにかっ?」
悲劇と化したその結果が、ヨシュアンの胃袋を直撃する!
ヨシュアンの様子がおかしい。
せっちゃんとリリフが見守る前で、ヨシュアンは……!
「な、なんか……え、なに、これ。はあぁ……うあぁ」
色っぽい溜息を溢しながら、服を脱ぎ出した。
「う、うぅ……なんかすっごく熱いよ……体が熱くなって苦しぃよ。それになに、この衝動……無闇やたらと服を脱ぎたくなって仕方ないんだけど!?」
あの菓子、何を入れたの何したの!?と。
ヨシュアンは混乱するも、彼の口からは色っぽい吐息しか零れない。
頭がぼんやりして、長文を話せそうになかった。
彼の手は、本人の意志に反して元から少ない着衣に向かう。
頬を火照らせ、熱に瞳を潤ませる。
とろんとしたその眼差しは……罪作りというよりむしろ犯罪。
その辺の路上で放置したら、卑猥すぎて公衆猥褻で捕まりそうだ。
「く……っ身体が勝手に! 勝手に服脱ごうとするんだけど! 何これ怖い!」
「ヨシュアン、いったいどうしましたのー?」
「しっ……主様、見ちゃいけません!!」
色々な意味で目に毒すぎる、ヨシュアンの痴態。
リリフはささっとせっちゃんの目を両手で塞いだ。
「リリフ? おめめが見えませんの。このままじゃ転んじゃいますのー」
危ないですのーという、せっちゃんの呑気な声。
主様ののほほんとした声に、リリフはキリッとした声で答えた。
「今は目を開けている方が危険です! 主様、急ぎこの場を離れましょう。陛下に見咎められたらヨシュアンさんの身が危険です」
「なんでですのー?」
「それは……ヨシュアンさんが全力で肌色だからです!!」
「それは何か駄目なんですの?」
「今は駄目なんです……! とにかく、行きましょう」
きょとんと首を傾げる、せっちゃん。
肌色面積の多い服装が一般的な魔族の中で育った少女だ。
今更、半裸の男を見た位では驚きもしないのだが……
ヨシュアンは半裸である以上の、蠱惑的な危うさを身に纏っていた。
なんだかうっかり誰かに襲われてもおかしくない。
むしろ逆に、ヨシュアンの色香に負けた加害者を同情しそうなくらいだ。
美少女顔の魔性から、リリフもさっと目を逸らす。
「さ、行きましょう!」
「うぅ~んと……わかりましたのー」
そしてヨシュアンは放置された。
彼が自力で脱衣衝動の発作と戦いながら、何とか医療棟に辿りつけたのはこの三時間後のことである。
その間、道行く人々にヨシュアンは遠巻きにされつつ、何故か伏して拝まれるという謎の現象が発生する。
あれはなんだったのだろうと考えても、ヨシュアンの記憶も朧げで。
どういう意図の現象だったのか不可解なままに終わった。
ただ、画伯も転んでは只で起きることなく。
そして使えそうなネタを拾っておいて、放置ということもなく。
不思議な体験は、カリスマ☆エロ画伯の次回作に活かされることとなった。
次にせっちゃんが突撃したのは、まぁちゃんのところだった。
とは言っても、まぁちゃんはお出かけ中。
行先はハテノ村、リアンカのところだ。
どうやら今年もリアンカはお菓子を大量生産しているらしく、まぁちゃんは強制的に助っ人として駆り出されていた。
だからせっちゃんは、お菓子を贈りたい最たる相手……
リアンカとまぁちゃんがいる場所に、リリフを連れて突撃する。
その道中でも次々と犠牲者を量産しながら。
道端に笑いがこみ上げて止まらなくなる者、ぼろぼろと涙を流しながら架空の罪を懺悔し始める者、山のような山海珍味の幻に追い掛け回されて疲弊する者……
実に様々な症例が、道行く後に点々と残されていく。
「あに様、リャン姉様、せっちゃんですの~!」
「お邪魔します、リャン姉さん!」
「あ、せっちゃん! リリフも!」
「お、せっちゃん。おはよ、バレンタイン楽しんでるか?」
「はい、ばっちりですのー!」
頬を飛び散った小麦粉で白く染め、鼻の頭に生クリームをつけて。
ボウルに入れたバターをかちゃかちゃと泡立て器で攪拌しながら、リアンカちゃんは振り向いた。
その光景、リアンカちゃんのお菓子作りにせっちゃんは首を傾げる。
彼女の内心に湧き上がった気持を言葉にするなら、こうだ。
――あら~? せっちゃんの時と何か違いますのー?
何かが違うな、と。
それに気付きながらも、せっちゃんは。
それ以上に疑問を発展させることなく思考を止めた。
人それぞれ、個人によってやり方は様々ですの!……と。
それは決して、個性がどうのという問題ではなかったのだが。
自分のやりようとリアンカのやり方が違うことをもう少し深く考えていたら、この後の惨劇は避けられたかも知れない。
首を傾げながらもせっちゃんは、手に持っていた籠……
ヨシュアンにお菓子を選ばせた菓子籠ではなく、別の籠をリアンカに差し出す。
「他の人には籠から選んでもらっていますの。でも、あに様と姉様には籠いっぱい用意しましたのー。たくさん食べてほしいんですの!」
「うわぁ……これせっちゃんが作ったの!?」
「はいですの!」
「おー? 思ったより、よく出来てんじゃん。美味そうだぜ、せっちゃん」
「せっちゃん褒められましたのー! あに様、有難うですの♪」
せっちゃんのお菓子は、理不尽なことに見た目だけならまともだった。
「まぁちゃんったら! 褒めるの早いよー? 見た目は綺麗だけど、味も見てみないとね」
リアンカが困ったように苦笑しながら、早速と籠の中から焼き菓子を一つ摘み取り……ぱくっと口に放り込んだ。
「…………?」
怪訝な顔をしている。
不思議そうな顔で、首を傾げながら咀嚼している。
手元にある籠の中、自分が食べたのと同じ菓子をじっと凝視する。
だけど答えは出なかったのだろう。
やがてゆっくりお菓子を呑みこむと、困惑した様子で首を横に振った。
「リアンカ、どうした?」
「どうしたも、こうしたも……まぁちゃんも食べてみて?」
「んー……?」
リアンカがはっきりと明言しない微妙さを共有しようと、我らが魔王様が焼き菓子に手を伸ばす!
「…………???」
首を傾げる、魔王陛下。
正体を探ろうとでもいうのか、殊更慎重な様子で、注意深く味を見る。
怪訝な顔で咀嚼し、やがてごくんと飲み下したのだが。
それでもやはり、正体を見破ることは出来なかった。
「せっちゃん、これ何入れた? っつうか、これなに?」
わからないことは聞いてみよう!
その精神で、素直に疑問を呈する魔王陛下(22歳)。
天真爛漫な妹姫は、やっぱり素直に正直に答えを口にした。
「摩訶竜ですの!」
「まかろん、マカロン……そっか、マカロンかぁ」
「竜涎香の香りがするマカロンなんて斬新だね!」
「っつうかこれ、変質してっけど竜涎香そのものじゃね?」
「でもまぁちゃん、見た目は完璧にマカロンだよ……?」
せっかくの、せっちゃんの手作り。
食べたらちゃんと美味しいと言って、上手に出来ている部分を見つけてすっごく褒めてあげようと待ち構えていた二人。
だがしかし、いざ食べてみれば疑問が次から次へと湧き出してくる。
鼻を絶妙に刺激する、竜涎香のかほり。
なのに舌で味わうと何故か味がしない。
評価に困るお菓子(疑)である。
ここは他のモノも食べてから総評を下そう。
そう判断して、二人は次のお菓子(疑)に手を伸ばす。
二つ目に手に取ったのは、【ダックワーズ】であった。
口に含んでみると、何故か合鴨と魚醤の味が味覚を突き刺した。
次いで波のように挑んでくる、ザラメ風味の濃厚な甘さ。
更には何故か磯を連想する香りが鼻を直撃する。生臭い。
隠し味に潜んでいるのは誰だ。
まあ、蛸の吸盤ね☆
感想を述べねばと思うのに、言葉が出ない。
言葉を探し、二人は視線を彷徨わせた。
とりあえず、食べたお菓子に見た目から連想する味のモノは一つも存在しなかった。
味がおかしいにしても、おかしいならおかしいなりにちゃんと感想を言えるように吟味しようと、二人はせっちゃんに貰ったお菓子(謎)へと手を付けていく。
律儀であり、それこそが彼らの妹愛。
「よぉーし、せっちゃん! 中々独創性と個性に溢れる味だぜ?」
「とっても面白いよ、せっちゃん☆」
「わあい、せっちゃん褒められましたのー!」
「ただ作業工程が気になるな……どうやったらこの味は出せるんだ?」
「純粋に気になるよね……」
「せっちゃん、今度お菓子を作る時には兄様も呼べ。んで、一緒に作ろーぜ?」
「はい! はいですの! あに様、せっちゃんと一緒にお菓子を作って下さいですの~!」
「あ、私もご一緒したい! 私も呼んでよ、せっちゃん」
「リャン姉様、はいですの!」
和気藹々、和やかに会話を交わしながらも魔王とその従妹は菓子(疑)を口にしていく。
一通り味見し終えた頃には、彼らはつくづく己の幸運を喜んでいた。
――毒耐性MAXで良かった、と。
リアンカの薬師としての敏感な舌と経験が彼女に告げる。
これは耐性のない身でまともに耐えられはしまい……と。
かつて幼少期、魔王のまぁちゃんを相手に状態異常への耐性は異常なほど強靭に鍛えられている。
そのお陰でこれらの菓子(謎)を口にしても己が無事でいられるのだと、悟らずにはいられなかったのだ。
これは被害者が続出するな……と。
近い未来を予見したリアンカは、お菓子作りを一端は中断し、万能解毒薬の調合を始めるのだった。
どうやら、稼ぎ時が到来したらしい。
「でも、勇者さんはいませんのね……せっちゃん、しょんぼりですの」
「お? んだよ、せっちゃん。勇者の分も用意してたのか?」
「はいですの。仲間はずれはダメですの~!」
「おー……偉いぜ、せっちゃん」
「大丈夫よ、せっちゃん! 日持ちのするお菓子ならきっと……勇者様が山篭りから帰ってきたら、私が教えてあげるから」
「! はいですの。リャン姉様、教えて下さいですの」
こうして、帰って来た頃に合わせて勇者様の災難が一つ予約された。
大量の冷や汗を流しながら、せっちゃんの好意を無駄にするのかと魔王陛下や村娘に笑顔で脅される勇者様が見られるのは明日後のことである。
無自覚に大量散布された劇物。
その一つに勇者様までノックアウトされたのは、恐らく彼が持っている耐性はあくまで薬物に対するもので……毒物に対するものではなかった為だと思われる。
よりにもよってヨシュアンさんと同じ効果の出るお菓子(疑)を引いてしまった勇者様が、かつてなく色気を発生させながらストリップを演じかけたのは……彼の立派な黒歴史となる事態である。
脱ぎ始めて、しかし強靭な理性によって己の衝動を戒めて。
激しい葛藤と右手と左手の喧嘩が繰り広げられた、麗らかな午後。
腹筋が痙攣してお腹が痛くなるくらい爆笑したのは、魔王と村娘。
リアンカちゃんが勇者様に解毒剤を差し入れてあげたのは、勇者様が脱衣の衝動とかつてない激闘を繰り広げ始めてから……実に一時間後のこと。
それだけの時間を戦い続けてなお、勇者様の脱いだ着衣は三枚のみ。
スカーフと、上着と、シャツだけ。あとおまけでブーツ。
勇者様にしては珍しく薄着に成り果てたが、一時間をかけてそれだけしか脱がなかった辺り……勇者様の精神力がどれだけ強靭なのかわかるというものである。
そしてこういう展開になることを予測していた男が一人。
先を見据えて少し長めの休暇を申請していたりっちゃんは、実に賢かったと言えよう。
「リーヴィル、お前いつまで黒山羊の里に引っ込んでんの?」
「……なぜ貴方が此処にいるんですか、アルビレオさん」
「決まってんだろ、ラヴェラーラの顔を見に来たからだけど」
「わざわざバレンタインの催促に来たんですか?」
「バレンタイン??? ああ、アレか」
「って、覚えてなかったんですか!」
「俺、別にイベントには固執しない方だし。便乗すんのも楽しいけど、な。
素直な思いを伝えるのに、日付は関係無いだろ」
「……一応、ラヴェラーラに何か貰ったらお返しくらいはして下さいよ」
「そりゃ勿論。嬉しい事をされたら万倍返しは基本だろ」
「それを本気で言うんですからね……」
それでもバレンタインから完全に逃げ切ることは出来ず。
どうやらイベントの余波は黒山羊の里まで追いかけてきていたようである。
ちなみにセンさん、リス君、もぉちゃんがせっちゃんの道中で被爆。
笑いが止まらなくなったセンさん、ぼろ泣きして身に覚えの無い罪を懺悔し始めたリス君、ご馳走の幻覚に襲い掛かられたもぉちゃん。
そして作中に登場していませんが、リアンカちゃんやせっちゃんのもう一人の従弟……レイちゃんはお菓子を食べて半日体が小さくなったらしい。ミニマム!
他の犠牲者は、まだこのお話に登場したことの無い方々……と。
むぅちゃんとめぇちゃんはお菓子を貰って半分食べ、半分は研究に回した。




