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大人たちの昼餐 (*性別反転学園パロ)

学校の先生版 リアンカちゃん、勇者様、まぁちゃん、りっちゃん、画伯の会話。

それぞれの設定は前話と同じく、以前の活動報告(3/27)参照。




 それはある日のこと。

 子供は抜きの、大人の会話(ただし色気皆無)。

 集まった教職員(オトナ)達は、生徒(コドモ)のいない安心感から、あけすけな会話を楽しんでいた。


 時刻は午前11時半。

 みんなで囲む、テーブルの上。

 皆とは言っても、広い食堂には今五人しかいないのだけれど。


 昼休みは生徒で混雑する、学園の充実した食堂の中。

 集まった面子は何れも教職員。

 普段は授業だ何だとあるが、生徒と違って何も全時限に授業が入っている訳はない。

 その特権を生かし、彼らは授業も四時間目の間にお昼ごはんだ。

 生徒達で溢れかえる前の時間に、ゆったり優雅に昼食を味わう。

 お昼のメニューも、売り切れはまだ一つもない。

 各々今日の気分と相談して、自分の好きな昼食に手をつけていた。

 学園理事長であり、実は教員免許など持っていない玉尾羽鳥――まぁちゃんも一緒だ。

 加えてまぁちゃんの秘書化している、谷木律子(りっちゃん)教頭先生。

 学園一不真面目な格好をした、情操教育に悪そうな美術の横須賀安奈先生(画伯)。

 それに時間には比較的融通が利く、ALTのラン・ベルツ先生。

 そして保健室常駐の有村梨杏先生。

 梨杏先生以外は全員見事に女性だが、違和感無く五人は席を同じくしていた。

 何故かハーレムに見えないあたりは梨杏先生(絶食系)の人柄ゆえだろう。


「普段引きこもってる画伯がいるの、珍しいね」

「そういう梨杏ちゃんだって珍しいよ? 保健室にいないで良・い・の・かなー?」

「今日はめぇちゃんが実験してるからね。僕は邪魔そうだったから抜けてきちゃった」

「めぇちゃん? ああ、中等部の方の養護教諭サンだっけ」

「そ、礼名 明先生。中等部の保健室は養護教諭2人体制だけど、相方さんはめぇちゃんの実験が嫌なんだって。それで場所を求めて僕のところまで来たって訳」

「そもそも養護教諭が実験って……何の実験なんだ?」

「ああ、ラン先生はそりゃ知らないか。めぇちゃんは基礎化粧品の自作が趣味なんだよ」

「いや、だから養護教諭……というか職務中じゃないか」

「今は微香調整に凝ってるらしいんだけど、香りを扱うだけに実験中は臭いが凄いんだよ。それで僕も避難中……だけど生徒が来たら、臭いで気分を悪くしないかな。ちょっと心配になってきちゃった」

「…………なあ、理事長」

「なんだ」

「この国の学校の保健室ってのは、養護教諭にそういう特殊技能が必須なのか?」

「んな訳ねーだろ。アタシだって他に知らねぇっての」

「それよりさぁ、高等部の保健室だって2人体制じゃなかったっけ」

「ん? そうだよ」

「えっ」

 いきなり驚きの声をあげたラン先生。

 彼女に、他四名の視線が殺到する。

「ラン先生、どうしました?」

 静かに問いかける律子先生に、ラン先生は気まずそうな顔でぼそぼそ喋りだした。

「いや……保健室にはよく行くが、今までもう一人の養護教諭なんて見たことがなかったから」

「隠れてたんじゃない? らっちゃん、超人見知りだし。内気だし」

「ああ、そういやコミュ症改善策としてより人前に出るよう、授業にぶっこんでなかったか?」

「谷木先生は……養護教諭なのですが、半分保健体育教師と化していますからね」

「やぎ? 教頭先生と同じ姓の方なのか」

「というか、律子の従兄よ。そうだよねー? り・つ・こ?」

「横須賀先生、鬱陶しくまとわりつくのは止めて下さい」

「高等部は体育の先生が何人かいるんだけど、何でか保健の授業こっちにパスしてくることがあるんだよねー……僕の相方、人見知り激しいんで、荒療治として主にそっちに回してるんだよね。でも僕も何回かやったよ、保健の授業とかテスト監督とか。養護教諭なのに」

「なあ、理事長?」

「そんな目で見るなよ、ラン。言いたいことが目だけで察せられちゃうだろ」

「あ、ちなみに僕達も教員資格持ってるからね? 養護教諭とは別に」

「そうなのか!? ………………医師免許も持ってなかったか、キミ」

「持ってるけど?」

「君は何歳なんだ!?」

「やだ、ラン先生ったら! 異性に年齢を聞くなんて破廉恥! ボク、興奮しちゃう!」

「横須賀先生は黙ってような! あと興奮ってなんだ!?」

「え、だって創作意欲湧くじゃん」

「私をネタにする気か……!」

「横須賀先生……! 貴女、まだ懲りてないんですか!」

「やべ、律子いた! ボク、超薮蛇!?」

「おい、律子。食事時に暴れんなよ? 飯が不味くなるだろ」

「……申し訳ありません、理事長」

「やぁん、流石理事長! 素敵!」

「吊るすなら食後にやれ、食後に」

「即座に裏切られた!!」

「裏切ってねぇよ。この件に関しちゃそもそも味方じゃねぇし」

「一億三千万のボクのファンが、ボクの作品を待ってるんだよ!?」

「その一億三千万って数字はどっから出た」

「いやほら、ネット展開してるじゃない? その関係でちょっと☆」

「おい、まさか世界的に展開してねぇだろうな……?」

 てへっと舌を出して笑う安奈先生に、皆は空恐ろしいものを感じた。

 この身長150cmに届かない小柄な身体で、その影響力は計り知れない。

 ただ衝撃が去った後、ラン先生が案じるような眼差しを向ける。

「そんな、莫大な注目を受けて……それじゃストーカーの対応が大変だろう? 大丈夫なのか」

「やっだ、ラン先生と一緒にしちゃ駄目だって! ボクにはファンはいてもストーカーなんていないから無問題だよ! でも心配有難うね☆」

「いないのか!!?」

「え……ナニそのマジ驚愕。ボクびっくり」

「え、え、だって、横須賀先生、こんなに愛らしい顔立ちをしているのに……」

「加えて、小柄で童顔に爆乳って狙いすぎだろ。それでなんで体型崩れねぇんだっての」

「横須賀先生は小柄で細いのに……胸だけ、ホルスタインのようです」

「凄い酷い言い様されてるよ、ボク! え、なにこれ、ボクいじり祭り!?」

「そんな祭り開く予定はねぇよ! 事実しか言ってねぇだろ」

「コアなファンがわらわら釣れそうだよね(笑) 画伯ってば歩く卑猥物だよね、色々な意味で」

「巷で『リアル18禁(エロ)ゲーヒロイン』と呼ばれるだけはありますね」

「わーお、みんな色々言い過ぎだよ。流石にボクもエロゲヒロインにするには終わってるって」

「常時白衣着用とか狙った格好してる癖に、なーに言ってやがんだか」

「しかも胸が大きすぎるから、白衣のサイズが男性用なんだよね……うん、狙い過ぎ」

「やだ、ボクのこれは絵の具避けだからね!? 絵を描いてると服が汚れるんだから仕方ないでしょ」

「だったら普通のエプロンとか、割烹着でもよくない?」

「えー……だって前にエプロンしてたら、卑猥すぎるって律子に怒られたし」

「りっちゃん?」

「誰も新妻エプロンを着けろなんて言ってなかったでしょう!?」

「新妻エプロン……それって、アレだよね。白くて前身ごろがハート型で、ひらひら?」

「それをこの馬鹿は……チューブトップにホットパンツなんて格好で!」

「画伯……それ、前から見たら完全アウトだよ?」

「だって夏だったんだよ!? 暑かったんだよ!!」

「っつうか、学校だぞ。職場でなんて格好してやがる」

「まぁちゃん、それ今更だから」

「皆、ホント言いたい放題言っちゃってー……って、あれ? ラン先生静かだね」

「あれ、そういえば……ラン先生?」

 衝撃的に過ぎる画伯の服装事情。

 過去のアレコレを上げ連ねて騒然とする中、静かに首を傾げる者が一人。

 そういえばツッコミ放題な話題で黙っているなんて、と視線を注ぐと……

 彼女は、理解できない単語が複数あったのか困惑した顔をしている。

 外国人で日本に来て間もない彼女には、マニアックな話題はレベルが高すぎた。

「えろげ?」

「あ、ラン先生は知らなくっても良い世界だよ! その単語は覚えなくて良いからね?」

「???」


 生徒(コドモ)のいない、教職員(オトナ)の時間。

 色気はないが、下種(ゲス)な話題を多分に含みつつ。

 辺りに(はばか)ることも無く、明け透けに会話は進み行く。


 今日の昼食時間で、訳あり外国人(ALT)のラン・ベルツ先生が覚えた言葉。


  ・やぶへび

  ・ばくにゅう

  ・えろげー

  ・にいづまえぷろん


 意味を理解してはいないが、何故か耳に残った不思議な響き。

 まだ日本語も完璧ではないと思っているので、ラン先生は分からない言葉は率先して調べることにしている。とりあえず、今日はこの言葉を調べてみようと思った。思っちゃった。

 誰も意味を教えてくれなかったので、インターネットで検索してみよう。

 実際に意味を知った時、自分が椅子から引っ繰り返るとも知らないで。

 一人頷き、今後の予定メモに『意味検索』という言葉を残し。


 こうして、外国人ラン先生は日本に来てから余計な言葉を覚えていくのだった。






礼名 明……めぇちゃん(メディレーナ)

谷木 雷良……ラーラお姉ちゃん 

 → 何れも保健室の養護教諭。


リアンカちゃんが成人男性になったことで起きた変化

 → 会話がより明け透けに、下種い話題もできるようになったこと。

 10代の乙女だったらまぁちゃんが辺り憚っていましたが、成人男性なら気にせず下種い会話も出来るようです。男の子だしね! 気にする要素ないしね!

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