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ババ抜き勝負の行方(第6回・リアンカちゃんの場合)


 いきなり始まった早朝の一番勝負。

 種目はババ抜き一本!

 最終的にババになった人が、一抜けした人の一日奴隷をすることになって…?


 参加者はお馴染み、リアンカちゃんと魔王兄妹、勇者様。

 それからセンさんとサイさんの六人で。

 はてさて、駆け引き交じりのババ勝負。

 その行方は果たして…?


   一日奴隷と、ご主人様。(リアンカちゃん編)



  ~ご主人様になったのが、リアンカちゃんの場合~ 


 勝負を始めた時点で大多数の参加者が予見していたとおり。

 勝つために手段を選ばぬ、卑劣な作戦と心理戦の数々。

 更には勇者様を挟んだ場所にいる魔王陛下との巧妙な連係プレーの数々。

 これは目に見えていた結果だと、そういわんばかりに。

 当然のような顔で手に入れられてしまった勝利。

 勝鬨を上げるリアンカちゃんを前に、男性数名は絶望の顔で膝を着いた。


「さぁて、一体どんなことお願いしよーかな♪」

「せめてお手柔らかにお願いします…!」


 鬼畜様の無茶振りが、いま始まる…!



《奴隷その1 センさんの場合》


 リアンカちゃんは、笑顔で言いました。

 奴隷を前に、容赦のないお言葉を。


「とりあえず、みかんジュース買ってきてください」

「は…?」

「オレンジジュースじゃありませんよ。みかんジュースです。

あ、それからミランダおばさんの紅茶シフォンケーキも」

「はあ!?」


 いきなりのパシリ命令に、センさんの顔も引き攣るけれど。

 傍観している勇者様が、思った。

 リアンカのご主人様命令にしては、手緩くないだろうかと。


「制限時間は…そうですね、10分で!

1分遅れるごとに、帰ってきたら一発芸披露してもらいますから!」

「な、なんで俺が…!?」

「奴隷でしょ?」

「くっ…わかった! 行けばいいんだろう、行けば!」

「みかんジュースと紅茶シフォンケーキ、それからクランベリーマフィンですよ!」

「さり気無く増えた!?」


 これ以上ここにいたら、気付く度に何か注文を増やされる。

 悟ったセンさんは、長居は無用とばかりに飛び出した。

 それらを売っている場所が、何処にあるのかも尋ねずに。


 走り去るセンさんの背中にぱたぱたと手を振りながら。

 リアンカちゃんの口が、にやりと。

 それを見た勇者様が、びくっと肩を引き攣らせる。

 無言で眺めるように傍観していたまぁちゃんが、ポツリと口を開いた。


「この辺でみかんジュース売ってんのって、ジュストんちの農園だけじゃなかったっけ?」

「そのとおりだけど?」

「……………あそこ、村から14km地点にあったよな」

「そのくらいあったねー」

「ミランダんちは、正反対の方向に何kmだったか…」

「20km、くらいだったかな」

「「「「……………」」」」

 

 清々しく言い切るリアンカちゃんに、皆は懸命にも無言を貫いた。

 ちなみにジュストさんは真っ白な顔が自慢のナイスガイ。

 ――魔族のボーンソルジャー31歳(お嫁さん募集中)である。

 そしてミランダおばさんは背中に蝶の羽を生やした妖精。

 …激烈男嫌いで有名な、冷徹な商売人である。


  → センさんはパシリ達成に12時間所要した。



《奴隷その2 サイさんの場合》


「そうですね、お仲間の…兵士Bにこの薬盛ってきてもらっていい?」

「構わないけど、この薬なに?」


「睡眠薬」


「リアンカ!? しょっぱなから飛ばしすぎじゃないか!?」

「勇者様、代わりに飲みますか?」

「済まない。ちゃんと黙っているから、此方に持ってこないでくれ…」

「それで、サイさん。このお薬よろしく」

「飲ませて、どうするのかな」

「三十分くらいで薬の効き目は切れます。その間、膝枕してあげてください」

「…それ、ナニが面白いの?」

「起きた時の、兵士Bの反応が」

「よし、乗ろう」


  → その日、二人は精神消耗系の悪戯を兵士A、Bに繰り返した。



《奴隷その3 せっちゃんの場合》


「せっちゃん♪」

「リャン姉様、何しましょうなの?」

「とりあえずこのドレス着て、このドレス!」

「きゃー♪」

「あ、それからあのお揃いの髪飾り使おっか」

「はいですの!」


  → 丸一日、二人できゃっきゃうふふと着せ替え遊びを楽しんだ。



《奴隷その4 勇者様の場合》


「とりあえず、つべこべ言わずにこの服に着替えてきてください」

「いきなり真顔で何だ……って、なんだこの服!?」


「ミニスカ猫耳メイド服です」


「………色々と、言いたいことはある。だけどこれだけはまず言わせてくれ。

寸法的に入るわけないだろう…!! 」

「あ、ご安心を。これ男性用サイズなので」

「なんでそんなものを持ってるんだ…!?」

「この間、ヨシュアンさんが忘れていった服だからです。これ、宴会芸でヨシュアンさんが着たやつなんですよ」

「あの人は一体ナニをしているんだ…っ」

「似合ってましたよ?」

「いや、絶対にそういう問題じゃない…っ」


 ちなみにその時、女性用ver.をリアンカちゃんももらっていたりする。

 デザイン違いの男性用は、それでも見るからにイロモノ臭がしていた。


「下に短パンはいても良いので、着てきてください」

「其処までして、なんで着せたがるかなぁ…」

「ちょっと今、お腹の底から全力で笑いたい気分なんです」


「完全に余興扱いか…っ!」


  → 勇者様はミニスカ猫耳メイド服で、一日リアンカちゃんのお世話をさせられた。



《奴隷その5 まぁちゃんの場合》


 にこっと。

 全開笑顔で、リアンカちゃんは言った。


「まぁちゃん、私、ナシェレットさんが白目を剥いてだらんとしている姿………見てみたいな♪」

「よしきた任せろ!」

「その後は人サイズと竜の巨体差でエビ固めするとどんな感じになるのか…見てみたい!」

「やってやろーじゃん」

「あとあと! 他にね…!」

「ちゃんと全部やってやるから、焦んな。全部全部、叶えてやるよ」

「ほんと? わあ、やった! ありがとー、まぁちゃん!」

「よしよし、まぁちゃんに任せとけ」

「まぁちゃん大好きー!」


「……………まあ、駄竜なら、とめなくてもいいか」

「ライ? どうした、止めないのか? ナシェレットって誰なのか知らないが……止めないと大変なことにならないか???」

「とんでもなく頑丈な相手だから、まあ良いんじゃないのか?」

「!??? ら、ライが…止めない!?」


  → その日、ナシェレットさんが大変なことになった。




→ 兵士A、Bへの嫌がらせ

 兵士Cにも立派な愉快犯の素質がありそうです。

 多分、一緒に魔境への道のりで何かあったのではないでしょうか。

 A、Bは貴族階級出身ですが、Cは平民騎士ですもの。

 あと、恋敵的な鬱憤があるかもしれません。


→ ナシェレットさん鯖折り

 え? ナシェレットさんがご愁傷様?

 奴はそういう役回りです。

 ロリコンの疑惑を背負い、せっちゃんに言い寄っている限り、彼には厳しい運命しかありません。

 主な原因はまぁちゃんだけど。

 あと、リアンカちゃんに根に持たれていますからね、色々と。

 その時点で、もう彼の扱いは決まったも同然ですw


→ せっちゃんは可愛い!(合言葉)

 魔境の可憐な一輪の黒百合w

 彼女には誰だってやさしくなっちゃいます。

 だって愛され天然少女だものww

 魔王陛下と魔境の裏番に溺愛されるせっちゃんは、多分三国一の果報者です。


→ ミニスカ猫耳メイド

 勇者様……とうとう、そっちの方向へ?

 いえいえ、そうじゃありませんねw

 一応、下に膝丈のズボンを仕込んではいます。

 しかし勇者様、イロモノか否かに関わらず、コスプレ率結構高いですよねw


→ パシリ

 今回のセンさんの奴隷メニューは、大体「中学生の罰ゲーム」というテーマで纏めています。

 リアンカちゃんとまぁちゃん、兵士Cの奴だけですが。

 やっぱり、制限時間内で買い物は鉄板ですね。さり気無く無茶な時間制限というのも良し。

 彼は普段から孤児院で酷使され、こき使われていることでしょう。

 だからほら、こんなにもパシリが似合うw


→ 鬼畜様

 リアンカちゃんは罰ゲームといいながら、あまりにいつも通りですね(?)

 お陰で非日常感はありませんが…これが他のキャラだったら許されそうにないのにねw

 なのにリアンカちゃんだと思うと、途端に普通のことに思えてしまう不思議。

 さすが、リアンカちゃんです。


→ 悪戯仲間

 まぁちゃんは大体においてリアンカと行動をともにしつつ育ってきましたからね。

 共犯をやるにしても、年季が違いますよ。年季が。

 もはや息が合っているという以上のツーカーぶり。

 それでこそ、リアンカちゃんとまぁちゃんです。


→ 甘く甘いイトコ達

 この従兄妹ども、いちゃいちゃべたべたしすぎですよねw

 これで実は、他にも従兄妹がいるんですが…

 その子達よりも、絶対にめっちゃくちゃ仲がいいです。

 そうか、まぁちゃんの愛情はリアンカちゃんとせっちゃんの二人に二分されているんですね!

 どうりで愛情を咲く割合が近いわけです!


→ サイさん、ろくなことにならない組み合わせ

 不思議な化学反応が起きていそうですね。よろしいことかと。

 サイさんは意外に侮れないので、敵対するよりは味方に引き入れたほうが吉です。



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