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ババ抜き勝負の行方(第5回・まぁちゃんの場合)


 いきなり始まった早朝の一番勝負。

 種目はババ抜き一本!

 最終的にババになった人が、一抜けした人の一日奴隷をすることになって…?


 参加者はお馴染み、リアンカちゃんと魔王兄妹、勇者様。

 それからセンさんとサイさんの六人で。

 はてさて、駆け引き交じりのババ勝負。

 その行方は果たして…?


   一日奴隷と、ご主人様。(まぁちゃん編)



  ~ご主人様になったのが、まぁちゃんの場合~ 


 漲る威圧感と、リアンカちゃんとの卑劣な連係プレー!

 見事、勇者様を陥れたまぁちゃんの圧倒的な勝利!

 そんな結果の後に、死屍累々と化した部屋を見渡し、満足げにうなずく魔王様。 

 久方ぶりに悪っぽいにやり笑いで、彼は呟く。


「さぁて、一体どんなことお願いしよーかね?」


 魔王様の無茶振りが、いま始まる…!


 ※若干中学生の罰ゲーム的下ネタが介在します。

  そういうのが許せない方はセンさんの場合を飛ばしましょう!



《奴隷その1 センさんの場合》


 自分の奴隷(一日限定)となった男をとっくりと眺め、まぁちゃんは一言。


「闇市の開催、今日だったな………よし。

野郎共の闇市に行って、特に過激な題名のエロ本3冊買ってきな。大声で題名の正式名称付けて、しっかり売り子に「~下さい」って言えよ?」

「ふぎょ!?」

「甲乙付けがたい題名の本しかねぇ時は、緊縛陵辱モノ、新妻不倫モノみてーな際どいジャンル本な」

「ごほ、ごほ…っ」

「…で、だ。闇市の露天真向かいに道具屋があっから、そこで『家庭愛玩用スライム(ペット)』買って来いや。

――あ、清算所で「人肌に温めて下さい」って言うの忘れんなよ?」

「ば、ば、、ば…っ」

「なんだよ?」

思春期(ガキ)の罰ゲームか…っ!!」

「んだよ、文句あんのか?」

「あるに決まって…!」

「…あ゛ぁ゛? てめぇ、ご主人様の言葉に逆らおーってのか? あ?」

「うぐっ…」

「奴隷の身の程って奴を弁えさせてやろーか?」

「い、い、行って来ます…!!」

「最初から素直に行けばいーんだよ」


 それから、暫しの時を要して。


「――『*****して』と『**********』、『の・ぞ・い・て☆***』下さい……っ」


 血を吐くような、悲痛な声が遠くまで響いて。

 ご近所さんがそわそわ、さわさわと遠巻きに見る中。

 律儀に道具屋さんの精算所で、炎熱魔法でチンしてもらった愛玩用スライムを受け取って。

 顔から火が出る思いで超特急!

 駆け抜ける韋駄天のごとく大急ぎで戻ってきた男。

 センさんが献上品のごとく、所望の品を差し出すけれど。

 それに対してまぁちゃんったら、


「あ、別にそれ俺いらねーし。金は出してやっから、お前が取っときな」

「…殴りたいっ!」


  → * = 放送禁止用語(笑)



《奴隷その2 サイさんの場合》


 昨夜から参入してきて、いきなり馴染んだサイさん。

 そんな彼を見て、まぁちゃんは…

 

「とりあえず、実力が見てーな」

「実力? どの?」

「てめぇ、騎士じゃねーのかよ。実力っつったら武力に決まってんだろ」

「ふむん…言われてみると、そうかもしれません」

「それ以外にナニがあるってんだ」

「…裁縫、とか?」

「裁縫?」

「自慢だけど、ちょっとしたものですよ」

「くはっ…自慢かよ(笑)」

「そう、自慢の裁縫」

「そんなもん自慢する奴が、なんで騎士なんてやってんだよ」

「それは長男じゃなかったから、だけど?」

「は?」

「家の跡取りじゃなかったから、手っ取り早く家を出て稼げる仕事を選んだら騎士だった、という…」

「………普通はそんな理由じゃ騎士になれねーんじゃねぇか?」


 実際、そんな理由で騎士に上り詰めるのは大変だろう。

 何より実力社会であり、体育会系の上下関係に縛られた世界。

 そこで実際に騎士まで上り詰めたのだ。

 優男風の見た目に寄らず、サイさんはかなりのやり手である。

 そんなサイさんに、まぁちゃんも興味が湧いたのだろう。


「んじゃ、その自慢の裁縫の腕って奴を見せてもらおーか」

「ん? 剣の腕はいいんですか」

「それはまた今度な。……せっちゃん! リーヴィル呼んで来い!」

「はいですのー!」


  → 兵士C vs りっちゃん の裁縫対決が始まる…!



《奴隷その3 せっちゃんの場合》


「せっちゃんが奴隷、ね……どーしたもんか」

「あに様! せっちゃん頑張りますの」

「つっても、せっちゃんにさせるよーなこと……なあ?」


 実妹を奴隷に、との展開。

 それにまぁちゃんは首を捻っている。

 さて、どうしたものか。


「あに様、せっちゃん何でもしますのよ…?」

「あー…」


 せっかく本人がやる気になっている。

 子供のやる気をそぐような教育は、まぁちゃんは反対派で。

 やりたがることはどんどんやらせてみる主義で。

 だから、


「………んじゃ、今日は俺の昼飯と晩飯作ってももらおうかね。ついでに給仕も頼むぜ?」

「はいですのー!!」


  → せっちゃんは大喜びで台所に走った。

     まぁちゃんのその日のご飯の八割が炭になった。

     ……が、まぁちゃんは文句一つ言わず完食した。



《奴隷その4 勇者様の場合》


「退屈。だから腹踊りでもして俺の退屈を紛らわせろ、犬」

「どこの鬼畜だアンタ!?」


 他人と部下には手厳しいと評判の、辛口指令が勇者様を貫いた。

 どうやら彼は、自身の奴隷にも手厳しいらしい。

 冗談でもなんでもないという顔で、まぁちゃんは平坦な目をしている。

 かつてないくらい冷徹な、虫でも見るような目だ。


「なんだ? 腹踊りできねぇのか。ちょっと上半身諸脱ぎして、腹にでかでか顔描いて身をくねらせて踊り狂うだけだろーが」

「その『ちょっと』がかなり難易度高いだろう、自尊心的に」

「チッ…顔が上手に描けねぇってんならヨシュアンに…」

「いやいや画力的な問題じゃないからな!?」

「んだよ…っ じゃ、どんな踊りなら出来るってんだ!?」

「踊りから離れようか!?」


  → 結局押し切られて、踊らされた。



《奴隷その5 リアンカ嬢の場合》


 従兄妹同士の二人は互い、顔を見合わせて頷いた。


「リアンカ、茶」

「嘘言わないでよ、本当はお酒でしょ?」

「ああ、そうだな………リアンカ、酒」

「はいはーい」


 もはや互いに全てわかっているという風情で、苦笑が漏れる。

 いつの間にかリアンカちゃんの手には、ラズベリーピンクの硝子瓶。

 魔境でも美味と名高い、リアンカちゃんお手製の果実酒だ。


「水割り一本はいりまーす」

「水割りなんてケチくせぇこと言うなよ。ぐっといけ、ぐっと」


 いきなり、酒盛りが始まった。

 リアンカちゃんはそんな中、はしゃぐでも遊ぶでも誰かをおちょくるでもなく。

 いつになく大人しく、まぁちゃんへのお酌に徹している。

 その手に次から次と現れるのは、様々な銘柄のラベルが貼られた瓶、瓶、瓶………

 全て、種類は違うがリアンカちゃんの作った果実酒である。


「こっちがねぇ枇杷でー、こっちが悪魔苺、桜無花果にー」

「あ、これ知らね」

「そっちは新作だよー」


 それは、さながらワインの試飲会のごとき有様だった。

 そうして味美、度数高しのお酒を次から次へと酌み交わし…


  → 勇者様のお部屋は酒臭さが十八倍増した!

     床の死屍累々共の屍度が増した!





→ 対応の違い

 まぁちゃんは身内以外には基本興味がありません。

 そして天然で酷いです。

 いつも甘く優しいのは周囲に庇護対象ばっかりだからですね。

 部下には結構スパルタです。


→ 手料理。

 せっちゃんはまだまだ修行中。

 まぁちゃんがたまに料理をするとき、お手伝いをするだけレベル。

 でもちゃんとまぁちゃんは、美味しいってとろける笑顔つきで。 ←兄馬鹿。

 それでも冷静さは失っていなかったようで、食べた後でちゃんとアドバイスしてました。

 ちなみにリアンカちゃんは薬膳料理っぽくなる癖はありますが普通に料理出来ます。


→ 裁縫勝負

 りっちゃんはみんなのオカン。

 幼少時から遊びまわっては服を破くリアンカちゃんやまぁちゃんの服を繕ってきました。

 ちなみに裁縫勝負は最終的に共同戦線となり。

 なぜか二人でウエディングドレスを作り上げました。

 笑って許してもらえる、ヨシュアンさんの寸法で。


→ 猥褻本。

 最終的に選んで買ったのはセンさんなので、満更じゃないと思われます。


→ 家庭用愛玩スライム。

 普通にペット用。日本円にして45円で買えます。

 理由は原種が魔境じゃそこらじゅうで捕まえられるから。

 愛玩用は、余計なものや食べちゃ駄目なものを食べないように躾けられただけのスライム。

 その中でも小さな、手のひらサイズの奴です。ぷるぷるしてます。ゼリーっぽいです。

 餌は勝手に台所の害虫とかを捕まえて食べるので、害虫害獣対策で飼う人も多そう。


 ちなみに罰ゲーム的な意味では、「こんにゃく」の代わりとして登場させました。


→ 腹踊り

 普通に滑稽です。

 腹の顔は、結局本人からは描き辛いということでリアンカちゃんが書きました。

 ……禍々しく、滑稽な顔を。

 多分、傍目に格好良くはなかったと思われます。


→ まぁちゃんとリアンカちゃん。

 リアンカちゃん生後1年から、既に16年の付き合いですからね。

 互いに相手の塩梅が分かりきっている部分もあると思います。

 特に互いの家に入り浸っているので、色々と慣れているのでしょう。

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